3日後に決勝戦を控えた日の早朝、俺は自主練。と天馬、剣城は豪炎寺さんから部活の練習が始まる前に指導を受け、[ファイアトルネード]を習得しようとしていた。
―― 天馬視点 ――
剣城がシュート体勢に入り、回転しながら跳び上がる。すると剣城を炎の竜巻が包み込み、その炎を纏った
剣城:「[ファイアトルネード]!!!」
しかしボールに掛けられた回転が足りずに炎は霧散。シュートはクロスバーに当たり跳ね返った。
イシド(豪炎寺):「剣城、跳び上がる時の回転数をもう少し多くしろ。その方がスピンを掛け易い」
剣城:「はい」
イシド(豪炎寺):「次は天馬だ。」
豪炎寺さんに言われて俺はシュートの構えに入る。俺は剣城とは逆回転しながら炎を纏って跳び上がり、右足で思い切りシュートした。
天馬:「[ファイアトルネード]!!!」
俺のシュートは回転数も十分にあり、炎は霧散しなかった。が、蹴るときにボールに対して足を当てるポイントがズレてしまい、ゴールの枠から外れて飛んで行ってしまった。
天馬:「ああ·····またズレた」
イシド(豪炎寺):「天馬はボールを蹴る瞬間にゴールの位置を確認するのではなく、蹴る前に横目で確認しておいて蹴る瞬間はボールを見ていてみろ。」
天馬:「はい!!」
イシド(豪炎寺):「だが、2人共たった1日でかなり良くなっている。ちゃんとイメージはしてきた様だな。」
剣城:「豪炎寺さんの高校やプロの時の試合映像を何度も見返して来ました」
天馬:「俺もです」
イシド(豪炎寺):「そうか·····竜太は何をしてる·····」
俺たちが視線を竜太に向ける。視線の先には、今まさにシュートを放とうとしている竜太の姿があった。
竜太:「ハァアアアアアアッ!!! [ラストリゾート・改]!!」
竜太の左足から放たれた岩石の竜がフィールドを破壊しながら突き進む。そして轟音とともに、シュートはゴールに突き刺さった。
また威力上がってる······と言うか進化してる·····一体いつそんなに練習してるんだろう····?
イシド(豪炎寺):「このシュートならあのチームからも点を取れるかもしれない·····」
竜太:「あのチーム?」
いつの間にか近くに来ていた竜太が豪炎寺さんに問いかけると豪炎寺さんは口を開く。
イシド(豪炎寺):「フィフスセクター最強のチームだ。「D・L」というコードネームで聞いてるんじゃないか?」
天馬:「「D・L」····!!」
竜太:「聞いてます。俺の予想では恐らく選手全員が化身使いだと睨んでます」
イシド(豪炎寺):「そこまで予想がついていたか····「D・L」、正式な名前は·····、「ドラゴンリンク」。フィフスセクターの黒幕、「千宮路大悟」の率いるチームだ」
竜太:「はぁ!? 千宮路さんが!?」
天馬:「そんな·····あんなに良い人が·····」
剣城:「お前ら会った事があるのか!?」
竜太:「ああ。前に天馬と二人で帰っているときに公園でその人が子供たちとサッカーをしていてな。ボールを拾って上げたら「一緒にどうだい?」って誘われて·····あの人、サッカーをしたくても様々な理由によって出来ない子供たちを支援する活動をしているって言ってたけど····」
天馬:「うん。「子供たちの笑顔は宝物だ。」って言う人だよ? 信じられない····」
イシド(豪炎寺):「そうか。1つ言っておくが、その人の言っていることは本当だ。あの人はサッカーを愛しているし、幼少期にサッカーをしたくても出来ない境遇にあり、自分と同じ思いをしてほしくなくてそういった境遇にある子供たちを支援する活動をしている事も本当だ」
天馬:「だったらどうして······」
竜太:「やり方を間違えてしまったんですね····?」
豪炎寺さんは頷く。
イシド(豪炎寺):「ああ。あの人の活動によって、その境遇にある子供たちは大幅に減った。だが、スポーツをやる者なら、誰もが「勝ちたい」と想う。だが、この世界には生まれ持った環境や、才能という大きな壁がある。だったら、「誰もが平等に勝てる様にすれば良いのではないか?」という考えを持ってしまったんだ。」
天馬:「そんな·····」
イシド(豪炎寺):「あの人は気付いていないんだ。自分の力で手にした訳ではない勝利など、誰も嬉しくないという、一番初歩的な事が。自分が出来なかったから、気付く時間すら無かったんだ。」
竜太:「······俺たちが勝って、千宮路さんに教えます!! 本気でやるサッカーは、こんなにも胸が踊って楽しいんだと!!」
イシド(豪炎寺):「それにはまず聖堂山に勝たないとな。強いぞ? 聖堂山は」
竜太・天馬・剣城:「「「挑むところです!!」」」
すると、8時を知らせる時報が鳴る。確か今日の練習開始は8:30だったな。
竜太:「では俺たちは時間なので失礼します。」
イシド(豪炎寺):「ああ。頑張ってくれ」
そして俺たちは学校に向かい、途中コンビニで朝飯を買って食べながら歩き雷門のサッカー棟に向かう。
―― 竜太視点 ――
円堂:「おう。来たな·····どうした?」
天馬:「円堂監督、練習前に皆を集めてください。伝えたいことがあります」
そして俺たちは、豪炎寺さんに聞いた話を全て話した。
歩夢:「選手全員化身使いのチーム、「ドラゴンリンク」······」
彼方:「そんなチームと戦わないといけないの····?」
鬼道:「ああ。俺たちが優勢にでもなれば、例え選手を全員交代させてでも出てくるだろう」
果林:「っていうか竜太たちがその千宮路って人と会った事があることの方が驚いたわよ」
天馬:「俺たちも驚いてますよ······」
龍也:「千宮路····哀れな男だ」
せつ菜:「サッカーをやりたくても出来ないですか·····辛いですよね。絶対·····」
チームの雰囲気が暗くなる。しかし、
かすみ:「先輩たちも監督たちも暗いですよ!! つまりかすみんたちが勝ってその千宮路って人に、「サッカーの楽しさ」を教えてやれば良いだけじゃないですか!! やること変わらないです!!」
···········プッ、本っ当にコイツ凄ぇわ。
竜太:「かすみの言う通りだな。」
愛:「本っ当にかすかすってたまに私たちと同じ高校生か疑いたくなる時あるよね」
全員:『『『確かに!!!』』』
かすみ:「む~っ!! バカにしてますかぁ!?」
栞子:「褒めてるんですよかすみさん」
侑:「かすみちゃんの言う通りだね。絶対に勝とう!!」
雷門:『『『『おう!!!!!!』』』』
チームメンバー全員が全ての真相を知り、各々の想いを全部ぶつけて勝ってやる!! 待ってろよドラゴンリンク!! そして千宮路さんを、闇の中から引っ張り上げる!!
― 続く ―
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