土曜日の万能坂戦までの毎日の練習後、俺は彼方先輩とボールを蹴って遊ぶのが日課となっていた。
彼方:「え~い!!」ドカッ!
彼方先輩のパスは中々に鋭い上に速く、そして正確で相手のディフェンスもパスカットに苦労しそうだなというのが受けた印象だった。
竜太:「彼方、パス鋭いな」
因みに先輩に二日前に自分の事を「下の名前で呼び捨てにして? 敬語も無しで」と何故か顔を赤らめながら言われ、流石に三年生にそれは.....と思ったのだが「先輩命令!!」と笑顔で言われ何も言えなかった。パワハラですよ?
そして先輩も俺を竜太と呼び捨てにしたいと言い出し俺は構わないので承諾した。
彼方:「うん~。小さいときから私はパワーがあまり無かったから、パススキルとテクニックを磨いてたんだ~」
なるほど。通りでこのパスか。
竜太:「彼方はサッカー好きか?」
彼方:「うん。大好きだよ~。けど·····」
竜太:「フィフスセクターのせいで思い切り出来なくて苦しいと」
彼方:「うん·····」
せんp····彼方はサッカーを大切に思ってるんだと感じた。ならば尚更フィフスセクターは潰さねばならない
彼方:「本当、三国くんたちも竜太くんも強いよ。彼方ちゃんはそこまで····強くなれない」
彼方は涙で濡れた目を擦り、俺に笑いかけようとする。
竜太:「彼方、強がらなくても良いよ」ハグッ
彼方:「っ! ········。////」
竜太:「悲しいなら、俺が側にいる。苦しいなら、俺が受け止めるから。だから彼方も正直になって良いよ」
我ながらクサい台詞を吐いてる自覚はある。仕方ねーだろ!? これしか思い浮かばなかったんだから!!
彼方:「っ! ·····も~、生意気だよ~、1年生?/////」
顔を紅潮させて笑う彼方。不覚にもドキッとしてしまう。
彼方:「でも、ありがとう。そんな風に言われたの彼方ちゃん初めてだよ~////」
竜太:「マジか。俺が先輩の初めて貰っちゃいましたか」
彼方:「その発言は誤解を招くから止めてくれない!?」
竜太:「え? だって俺が彼方の初めて何でしょ?」
彼方:「絶対分かってて言ってるよねぇ!?」
顔を真っ赤にして抗議してくる彼方。しかし今の体勢は俺が彼方を優しく抱き締めているため、彼方から漂ってくる女の子の薫りが鼻腔を擽り心拍数が急上昇する俺だった。
― エマ side ―
私は、数日前から彼方ちゃんに笑顔が戻り始めていたことを不思議に思い、今日彼方ちゃんの後をつけてみて驚いた。
彼方ちゃん、大海君とボール蹴ってるんだもん。あんなに楽しそうに。何か彼方ちゃんの顔が女の子の顔になってる気がするのは気のせいだよね?
話を戻すと「まさか彼方ちゃんまで?」と思って見ていたがどうやら少し違うみたいだ。
二人がしているのは練習というよりはボール遊びで、彼方ちゃんも自分や私たちの気持ちを時には口で、時にはボールに込め大海くんに蹴っていた。竜太くんはそれを嫌な顔ひとつせずに聞いてるし。
それでわかった。ここ最近彼方ちゃんに笑顔が戻ったのは、ボールを通じて大海くんに本音をぶつけた事で、ストレスが少し緩和されていたからだと。
エマ:「私もやりたいな」
私は、二人に声を掛けることにした。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
エマ:「二人とも!!」
俺と先輩が声の方を振り向くと、エマ先輩が立っていた。
彼方:「エマちゃん······」
まずい。このままでは彼方が誤解される。
竜太:「エマ先輩! 違うんです!! 彼方先輩は·····」
エマ:「分かってるよ見てたから。ボール遊びで、彼方ちゃんのストレス発散に付き合ってくれてたんでしょ?」
ああ、なら話は早いな。
竜太:「見てたんですか。そうです」
エマ:「だったら彼方ちゃんばっかりズルいんじゃないかなぁ? 私だってフィフスセクターのせいで二年間もストレスが溜まりに溜まってるんだけど?」
竜太:「あっ、じゃあ一緒にやります? ボール遊び」
エマ:「うん!!」
そしてエマ先輩も加えボールを蹴る俺たち。
エマ:「ふっ!!」ドッ
エマ先輩のパスはどちらかと言うとパワー型で精度もあまり高くなく、トラップ技術が無いと取るのは大変そうだった。
竜太:「エマ先輩はサッカー好きですか?」パスッ
エマ:トッ「うん。小さいときからずっと好きだよ」パスッ
嘘の無い素直なボールだ。サッカーへの想いを感じる。
エマ:「本音を言うとね? 私だって出来るならフィフスセクターなんか潰してやりたい」
竜太:「じゃあそういう気持ちが無い訳じゃないんですね」パスッ
彼方:トッ「多分全員思ってるよ~。「フィフスセクターなんか消えればいいのに」って」パスッ
それを聞いて安心した。ちゃんと不満は持ってる。一応正常な思考は出来ていると。
竜太:トッ「でもそのせいでサッカー出来なくなったり失敗した時が怖いと」パスッ
エマ:トッ「うん。天城くんの言うとおり、中にはチーム全員がシードって言うチームも無いとは言い切れないし、そんなチームと当たった時に勝てるのかな? って」パスッ
竜太:トッ「まぁ、今のままじゃあ無理でしょうね。チームがひとつになって本気で練習しない限りは」パスッ
彼方:トッ「そうだよねぇ~」
彼方はボールを止めて俺に近づいてきた。エマ先輩を手招きして二人一緒に。
彼方:「竜太くん、前のやって~。エマちゃんも一緒に~」
竜太:「分かったよ彼方」
エマ:「えっ!? 呼び捨て!?」
竜太:「エマ先輩、セクハラって言わないで下さいね」
エマ:「えっ?」
俺は二人を同時にハグし、頭をよしよしと撫でる。エマ先輩はビックリしていたが段々と目がトロンとしてきて最後には二人とも俺の背中に手を回してハグしてきた。先輩方の豊満な胸が俺の身体に押し付けられフニョンと形を変える。イカンもっと堪能しな····そろっと離さないと後で何を言われるか分からん。
竜太:「先輩、そろそろ」
エマ:「あっ、ゴメン。あまりの包容力につい安心しちゃって/////」
彼方:「だよね~。彼方ちゃんも初めてやって貰った時から忘れられないんだよね~」
エマ:「彼方ちゃん! 今度して貰う時は膝枕何てどうかな?」
彼方:「さんせ~」
竜太:「ええ? あっ、あと1つ良いですか?」
彼方・エマ:「「?」」
竜太:「大きなおっぱいご馳走さまです」
彼方・エマ:「「っ!?///////」」ボグシャアアアアッ!!!
俺は先輩たちからダブルのストレートパンチを顔面に貰い気絶した。けど、大分先輩たちと打ち解けられた気がした。いよいよ明日、万能坂戦!!
彼方・エマ:「「うう·····/////お嫁に行けないよ~······///////」」
― 続く ―
竜太、ギルティ!!('言')
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