砂浜での練習を終えた俺たちは浦の星に一旦戻り、それから次の練習場所である学校裏の裏山の入り口に来た。
円堂:「よし、次はこの山でケードロを行う。まず鬼はUTX、浦の星、大海原のメンバー。逃げる側は雷門、函館聖泉、音ノ木坂、陽花戸だ」
全員:「「「「「「「はい!!!!!!!」」」」」」」
鬼道:「では逃げるメンバーが逃げた20秒後に鬼がスタートする。負けた方は終わった後昼飯前に外周3周な」
竜太:「あっ、1つ聞いて良いですか?」
龍也:「なんだ?」
竜太:「鬼は黒スーツにサングラスじゃなくていいんですか?」
果林:「ハンター!?」
竜太:「えっ? 「逃走中」じゃないの?」
エマ:「違うから!! 練習だから!!」
周りのメンバーもクスクス笑っている。中には必死に堪えている者も。
円堂:「まぁ分かりやすい様に鬼にはビブスを着て貰う」
そしてメンバー全員が用意を完了し、
穂乃果:「始め!!」
ピッ!!
笛と同時に逃げる雷門、音ノ木坂、函館聖泉、陽花戸のメンバー。木々をかき分け山の奥へと逃げていく。
穂乃果:「鬼スタート!!」
ピッ!!
20秒経ち、逃走者を追いかける
果北は小さい頃から俺と一緒に両親の練習を耐え抜き、毎日欠かさずに淡島神社の階段ダッシュをやっていたので、女の子ながら身体能力は俺と同等の物を持っている。
そんなことを思っている間に、開始の笛と同時にスタートダッシュで飛び出した果北がいきなり一人陽花戸の部員を捕らえた。
果北:「先ずは一人!!」
白霧:「なにあの子!! 速すぎるんだけど!?」
戸田:「くっ!! 全員全力で逃げろーーー!!!」
必死に逃げる陽花戸メンバー。しかし果北に瞬く間に蹂躙され、開始5分で全滅した。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
良子:「ここまで来れば.......」
ガサッ!!
良子:「っ!?」
奥の茂みがガサッと音を立てる。な、何?
ガサガサ
神童:「ふ~。あれ? 鹿角さん?」
良子:「し、しししし神童くんんんんん!?」
どうしよう心の準備が!!
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
理沙:「大分奥まで来たわね。」
ガサッ
理沙:「キャアッ!!」
?・?:「キャッ!」、「なんですかぁっ!?」
そこにいたのは、雷門の・・・確か......、
理沙:「ごめんなさい、ちょっと驚いちゃって。桜坂しずくさんに中須かすみさんよね?」
しずく:「はい! えっと・・・絢瀬さん!!」
かすみ:「も~! かすみんビックリしましたよ~。」
理沙:「ごめんなさいね。良かったら三人で行動しない? バラけてると危ないかもだし。」
しずく:「良いですよ?」
かすみ:「かすみんもオッケーで~す!」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
璃奈:「桐穂さん、すずめさん、波未さん足・・早いですね」
桐穂:「まったく・・果北ちゃん速すぎる.......」ハァ、ハァ
すずめ:「璃奈ちゃん・・・何で・・息切れて・・・・ハァ無いの.......?」ゼェ、ゼェ
璃奈:「私、足はそんなに速くないけど、スタミナには・・自信がある」フンスッ!
璃奈ちゃんがエヘンと胸を張る。何かカワイイ。
桐穂:「波未ちゃんは足も早い上にスタミナもあるからね~。ッハァ.......」
波未:「まったく! だらしないですよ二人とも!! そんなことでどうするんですか!!」
璃奈:「・・・・身体能力おばけ。」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
竜太:「追ってきて無いな。栞子、大丈夫か?」
栞子:「ええ。問題無いです」
俺と栞子は先程一人で山の中を彷徨いてる時にバッタリ会い、そのまま一緒に行動している。
栞子:「でも、この練習遭難する危険無いんでしょうか?」
竜太:「周りに他の山無いしあまり大きい山じゃないから大丈夫だと思うよ?」
栞子:「だと良いですが」
竜太:「何ならここらで少し下るか?」
栞子:「その方が良いと思います」
そして俺と栞子は来た道を戻りながら話をしていた。
竜太:「へぇ、栞子の家って日本舞踊の家元の家系なんだ」
栞子:「はい。本来は姉が継ぐ筈だったんですが.....その、少し問題がありまして」
竜太:「・・・ヤンキーとか?」
栞子:「違います。そんなだったら勘当されてますよ」
栞子は少し寂しそうな顔で話してくれた。お姉さんもサッカーをやっていたのだが、のめり込み過ぎて日舞の稽古を疎かにし、跡継ぎとして問題ありと判断されたため栞子に期待が重くのし掛かり、今は何とかサッカーを認めてくれてはいるが高校サッカーを最後にしなければならないと決まっていること。
栞子:「本当は私はプロの選手になりたかったんです。でも、私のサッカーは高校で終わるんです」
俺は、どうにかしてやりたいと思った。けど、俺にはそんな権限も力も無い。だからせめて、この子が最後だと言う高校サッカーを一生心に残る最高の思い出にしてやりたいと思った。
才能があっても、家庭の事情で諦めなければならない人もいる。俺は目の前の女の子を、複雑な心境で見つめていた。
― 続く ―
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