Girls and Gambles   作:有澤 保

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ーー あんた ーー
ーーーーーー 嘘つきだね ーー




賭けの末路

ーー悔しいーー

 

と彼女は打ち込んだ。

日課の戦車ゲームをしながら打ち込んだ。

部屋は暗く、光るのは画面しかない。

そんなゲームを写す画面の向こう、その向こうの彼に向けて打ち込んだ。

 

彼は問う ーどうしたの?ー

 

彼女は答える ー騙されたー

       ー悔しいー

       ー無くなっちゃったー

       ー私の居場所ー

       ー思い出の場所ー

       ーみんなの場所ー

       ー廃校にしないって言ったのにー

 

彼はそれを聞きさらに問う ー良ければ話を聞かせてくれないか?ー

 

彼女は少し戸惑う。

言っていいものだろうか?と。

だが心を押し潰す不安、悲しみが彼女を一押しする。

人生とは選択の連続だ。

彼女は選択した。

彼に話すということを。

故に混ざる。

表しか無かった白の場に、裏から混じり込む黒の色が。

 

 

画面の向こうの彼は彼女からの話を吟味した。

深く深く味わっていた。

 

曰く最初は廃校寸前の学校であったこと。

これは文科省の方針の一つであったこと。

文科省から廃校撤回の条件として挙げられたのが戦車道全国大会での優勝。

戦車道部もなかった彼女の学校は急遽、それを立ち上げた。

引っ込み思案だった彼女は立ち上げ時に参加しなかったものの、勇ましく戦う戦車道部を見て、自分も力になれればと思い彼も知るゲーム仲間と途中参加した。

そして彼女達は『成し遂げた』。

成し遂げたのだ。

急遽急造の素人ばかりの集団がである。

これを成し遂げた一つの要因として、立ち上げ時に転校してきた一人の経験者のおかげだ、と彼女は言う。

 

が、彼は考える。

 

戦さ場にマグレはないのだ。

 

仕事上、『よく身を置く』故に知っている。

 

その転校生の指示を実行できる能力と、柔軟性。

そして何よりも彼女達には強い意志があったのであろう。

弱兵が強兵を倒すことは確かにあるが、それはごく稀、極々稀なケースだ。

それを掴み取った運と実力は誇るべきものだ。

 

そしてジャイアントキリングを成し遂げた彼女たちは、安心し、再び日常を楽しんでいたが、今日である。

 

突如学園への門は閉められ、告げられたのは『廃校』の二文字であった。

 

文科省の役人曰く、約定の内容は『廃校撤回を考えてやる』との事だった。

よく考えた結果、廃校にする。

 

今日日、小学生すら使わぬ逃げ口上で彼女の母校は、思い出の場所は閉鎖されたのだ。

その無念、その悲しみにきっと彼女達は崩れ落ち、泣き伏せたであろう。

 

その光景は彼の『嗜好』とは少々かけ離れているので、ただ哀れむばかりである。

 

ただある特殊な職業についている彼は敏感に感じ取っていた。

 

この話の裏にある金の匂いを。

 

全国優勝を成し遂げる程の学校を突然廃校にする。

 

余りにも不可解である。

お役所仕事は時間がかかる。

それをまるで急遽決めたかのように行うのだ。

 

しかし彼は今日、彼女から聞くまでそんな話をどこで聞いたこともないのだ。

 

聞く限り彼女らの取りまとめ役である生徒会長とやらは、かなりの切れ物である。

明らかに行動力、交渉能力が異常だ。

であるならば第一に考えた筈だ。

マスコミに垂れ込むことによるお涙頂戴の人情劇。

 

表に出ればそれこそ悪の権化、文科省がいたいけな少女達との約束を反故にした図が出来上がるのだ。

 

それをしない筈がない。

そしてそれが成功していないのであればマスコミが動けない、動かない理由があるのだ。

マスコミが動かない時の理由は二つしかない。

自分たちの不利益になる、もしくは利益になる、だ。

どちらにしても巨大なマスコミ全てが動かないとなれば数十億は固い彼はと確信する。

 

「ケェッ」

 

怪鳥の鳴き声がする。

 

「ケェッケェケェッケェッ」

 

違う、男だ。

 

男が嗤っているのだ。

男が小学生の時に魔女の笑い声と言われた嗤いが暗い部屋に響き渡っているのだ。

 

「匂う、匂いますねぇ」

 

ー欲望の甘く、暗い腐臭が…ー

 

男は一頻り、思案をするとこうキーボードに打ち込んだ。

 

ーー会って詳しいお話を聞かせてもらえませんか?力になれるかもしれません。ーー

 

男の心がときめくのだ。

 

ーーこの絶望の先にある、暗い欲望の先に男の求めるものがあるかもしれないという希望とーー

 

 

 

ーー人生初のOFF会にーー

 

ーーしかもJKーー

 

 

男は、賭郎弐拾八號立会人、ダミアンこと弥鱈 悠助はときめいていた。

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