TS転生だと思ったら二重人格だった。個性?「歪曲」?何それ   作:からからしき

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バッドマンは最高だろ?だって無個性だ

「んじゃ次の英文のうち間違ってるのは───」

 

眠気を誘う文字群と、眠気を覚ます頭に響く声。

教師的にはいいかもしれないけれど俺からすればいい迷惑だ。

おかげで藤乃の暇つぶしの相手をしなきゃならん。

 

(Average)

 

(E…Energy)

 

(Young)

 

なんで俺に知識が必要な英語しりとりなんてやらせるんだ藤乃。

嫌がらせか?

あー、早く午後の授業にならねーかな。

 

 

雄英高校のカリキュラムは普通の工業高校とかと同じで、英語や数学といった必修科目とヒーロー科特有の授業とがある。

ヒーロー科の授業が始まるのは午後。担当教員は「平和の象徴」オールマイト。

 

「わーたーしーがー……普通にドアから来た!!」

 

 

(交代だ藤乃、ストレス発散してくる)

 

(着替えるまでダメです。私や黒桐さんならともかく、他の方々に失礼ですから)

 

……いまさらそんなこと気にされるなんて思わなかった。

てか鮮花はいいのか?

 

 

 

 

 

 

 

黒い振袖に藤色の帯。袖と裾に大きく咲き乱れる真っ赤な彼岸花。

コスチュームは藤乃に任せていたので地味な服装になるとは思っていた。

しかし、黒に赤はまずいだろう。

遠目に見れば返り血にしか見えないしよくよく見て彼岸花だとわかっても印象は良くない。

スプラッター映画大好きの藤乃に任せた俺がバカだったよ。

藤乃みたいな淑やかな女子に振袖が似合わない訳はないんだけれども、これじゃまるで血の色を誤魔化しているようで女の子らしくない。

 

「翡翠、あんた……」

 

言うな鮮花。

 

────被服控除。

雄英と提携している企業にコスチュームの要望と個性届を提出すればそれに合わせた物を見繕ってくれる。

浅神に残る和装をベースに藤乃の要望を加えた物なので、俺は文句を言うつもりはなかったのだが────

 

(そんなに似合わないでしょうか……)

 

(めっちゃ似合ってる。俺着るより見てたいもん)

 

「何考えてるのかわかるからね二人とも」

 

藤乃は可愛い。そこは譲らんぞ鮮花。

例え映画や服のセンスが微妙でも、可愛いのだ。

 

「惚気けてないで、ほら。次あんた達の番でしょ?」

 

「はいはい、行ってきますよ」

 

「頑張ろうね!ふじのん!」

 

しまった、という顔で見送る鮮花を内心でなんてことしてくれてんだと思いながらピンク髪の少女のおつむが残念だったことに安堵する。

 

オールマイトの初授業は、二人一組でコンビを組み、敵とヒーローに別れて行う制圧戦だ。

敵は核兵器を所持して籠城しヒーローを無力化、ヒーローは敵の無力化か核兵器の確保が勝利条件。

配布されたテープを巻き付けることで確保証明とし、怪我をしないように配慮されていた。

 

 

最初のコンビは爆豪と眼鏡、緑谷と女子の……あれだ、ゲ(麗日お茶子さんですよ、翡翠)おちゃらかさんのコンビだった。

爆豪も緑谷も派手に建物を壊して怒られていたから、壊さないようにしないと。

 

「よーっし!行っくよー!」

 

芦戸は酸を撒きながら突撃していった。

なにか罠があるかもとは思わないんだろうか。

ヴィランは単純火力や不思議パワーよりも狡猾なイメージがあったので、何かしら────

 

「おわぁっ!?」

 

なにか爆発するような音と崩れる音。

おおかたワイヤートラップでも仕込んであったのだろう。

相手の個性はたしか───大砲とか万力とかバイクとか作ってた奴。

何でも作れるみたいだったし、予想は悪くなかった。

籠城する上でああいうお堅い真面目系はドア塞いだりまともな事考えたりするんだろうな。

 

「ほら、埋まってないで。酸で溶かせば出てこれるでしょ?」

 

「あはー、ふじのんスパルタだねー」

 

ピンク髪は本棚に押しつぶされていたが、大したダメージではないようだった。

 

「少し離れたところから酸を撒きながら進もう。ワイヤートラップがいくつあるのか分からないし、あの小さい人の個性も良くわからないし」

 

「ふじのん戦闘になると雰囲気かわるねー。目の色変わったって感じ?」

 

「そんなことは────あるかもしれませんね?」

 

(ちょっ藤乃!?)

 

「あ、あはは!?ふじのん、なんか怖いよ?」

 

 

 

 

 

 

案の定ドアを塞いでバリケードを作っていたエロい人は、酸で溶かされる事は想定済みだったのか入ってきたと同時に発動するトラップでピンク髪をテープで縛り上げていた。

そう、入った彼女だけを。

 

「凶れ」

 

片目を閉じて片方の回転軸で敵役の二人を曲げる。

地面に押さえつける形で曲げたので、抵抗しなければ強く取り押さえられるだけで済む。

無理やり抵抗すれば骨が折れるし、最悪腕を落とす結果になりかねない。

昔不可抗力で殺しかけてしまってからは両方使って曲げることはあまりしない。

藤乃を殺人者にすることは嫌だ。

幸い藤乃は個性を使えないから、俺が気をつけていればそれで大丈夫だ。

 

『ヒーローチーム、WIN!!』

 

核兵器───風のハリボテミサイルに触れると耳元のインカムからオールマイトの声が聞こえてきた。

 

「味方を囮にするのはあまり褒められたことではないが、きちんと相手と味方の能力と特性を把握して立ち回れていたのではないかな?」

 

とのことだった。

まあ、特待生相手に手の内晒していれば対策方法を考えられていただろうけれど。

隠すことで得られる勝利はルーキーの間だけだ。

個性晒し大会がそのうちあるので、そこでできるだけ体術で勝ち進むことが重要になるだろう。

眼に頼りっぱなしじゃ触れて感じることが出来なくなるだろうからね。

特殊能力がなくて、人体改造手術も受けていないヒーローだとバッドマンとかがいたな。

メンタルが人外過ぎて参考にはならないかな。

トニー・スタークは……心臓手術してるしな……

外付けで戦えるヒーロー……そんな時代が来ることは、個性が失われていく世界でなければありえないし、個性がないのならヴィランも生まれることはないだろう。

結局、無個性がヒーローになれる頃には個性を全員持っているかヒーローの必要がないんだろうし。

個性を永久に無くす個性やら薬ができたら、この世界はどうなるんだろう。

崩壊するのか、それとも普通の無個性を受け入れるのか。

ただ一つだけ言えることは、人は生活レベルを上げることはできても下げることはできないということだけだ。

 

 




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