人類最強の男 作:焼肉定食
『……うっどれだけ飲んだのよ!!』
緩やかな日常の思い出が蘇ってくる
『悪い。おっさんがギルドハウスでどんどん酒を飲ませてきたからな。つい飲みすぎた』
『あ〜もう。臭いから、とりあえずお風呂に入って。……メアが匂いで起きちゃうでしょ?』
『そんなに酒臭いか?』
『どうせ安酒でしょ?あなた断らないから……あぁもう。毒耐性持っているからって酔わないわけじゃないんだから!!』
『悪い悪い。それとこれお土産』
明らかに怒っているミリア。恐らくあの時は誕生日を二人で祝いたかったのだろう。だけど、帝国のおっさんが急な仕事に入れられて、どうしても帝城に行かないといけなかった
あの当時はどうしても素直にプレゼント一つ渡せなかったよな?
金銭的にもお小遣いだった俺はどれだけ節約をしていたんだよなぁ
一人でできるクエストも受けたりして、必死にお金を集めたんだったよな
『…せっかくの誕生日だったのに……一体なんなのよ。』
とプレゼントの封を不満そうに見るミリアに俺は急いで風呂場に向かう。
この時期は孤児院なんて経営するどころか帝国を拠点にしていたからだ
そして少し封を開ける音が聞こえてきた
『……えっ?これって?ちょっとクローバー!!』
慌てたような声を聞こえてくる。
そりゃそうだ。前に買い物で見た時にミリアが見ていたグランツ鉱石のイヤリングが入っていたのだからそうやって風呂場に突撃してきた時は本当に驚いたことだ。いつもはしっかりしているくせにして時々ポカをやらかす
正直あの時ほど帝国のおっさんを恨んだ覚えがない。せっかくいい飯屋も予約していたのもあってかなり酒を飲みまくった。
まぁ、おっさんも恋敵でさらにデートの誘いを断られたこともあるそうだが、ついやけ酒してしまったんだよなぁ。
……未だにしょうがないって思えないくらいに子供だったんだろう
結局後日談としてその飯屋には家族三人で後日行ったのだが……メアが途中寝てしまって、結果的に二人でのんびりデートできたのが懐かしい
そう。これは夢だ。夢なのだ
「あぁもう。なんで起きないのよ……お酒臭いし……」
とミリアの声が聞こえてくる……雫も似た声を出しているのだが昨日追い出したはずだから……どうせ夢だろう
「……し、雫ちゃん?どうしたの?って何この部屋!!」
「香織。クローバーが起きないのよ!!あぁ、もう。光輝を説得してもらおうと思ったのに…」
「す、すごい。お酒の量だね。これ本当に飲んだのかな?」
「……う、うん。でもクララさんが言っていたけどやけ酒する時のクローバーさんって物凄く起きるのが遅いって。」
「やけ酒ってレベルじゃないでしょ!!これ普通は致死量よ!!」
と声が聞こえてくる。……なんか聞き覚えがない声もきこえているんだけど……
俺は目を開けるとすると少しボケーと周辺を見る。体は重く。頭が痛い
典型的な二日酔いだだろうと思いながら首を傾げていると
四人の少女がいた。
雫、香織、そして同じく勇者パーティーだった鈴と恵里と呼ばれていた少女4人組
今日の訓練はということは忘れ俺はとりあえず気になることを聞くことにした
「あら?起きたかしら?」
「なんでお前らここにいるの?つーか門番は?」
「私が見せたら普通に通してくれたわよ?」
「……追い出しとけって伝えたはずなんだけどなぁ」
と俺は小さくため息を吐く
どうせクララが許可したんだろうなぁっと思うと少しだけ気が病んだ
「ってそういうことより、大丈夫なの?これだけの量を飲んで?」
「あ〜俺たちスラムの奴らは基本的に毒耐性か悪食という技能持っているんだよ。俺は悪食の方だな。毒でもなんでも無害で食べたり飲んだりできるから、人体的には大丈夫だ」
「…悪食?」
「道ぼたに落ちている腐ったものなど食っていたら自然と覚える技能だ。それさえあったら飯に苦労することは減るからな。」
「……そ、それよりもなんで泣いているんですか?」
「ミリアさんの夢でも見たんでしょ?ミリアさんのことを思い出すたびクローバーは涙腺が緩くなるのよ」
雫正解。つーかなんかやけにイライラしているような気がする
「雫怒ってるか?」
「えぇ。怒っているわよ……と言いたいところだけど確かここ大浴場あったわよね?とりあえず酒臭いからお風呂に入ってきなさい」
「……こういうところがミリアと似ているんだよなぁ」
「何か言ったかしら?」
「別に…」
「こ、怖いよシズシズ」
やけにご機嫌斜めな様子。
そ風呂上りに食堂に集まると未だに外していないギルドの証に何を言うのか察してしまう
俺はクララに飯を出すのを少し待ってくれと言ってから
軽く威圧をかけると全員がぎょっとする
「一応聞く。俺たちは反逆者だ。……神に対する組織、昨日も聞いたが雫と香織の決断は本当にそれでいいのか?」
「……私は南雲くんに会えるのなら。それにメルドさんから聞いたの……南雲くんを殺した犯人もそれをクローバーさんが伏せようとした理由も」
「……は?」
「えっ?」
兄貴何しているんだよ。と内心驚きつつ。雫も初耳だったらしい。キョトンと香織を見ていた
「ちょ、ちょっと。かおりん。どういうこと?」
「そ、そうだよ。だって南雲くんは?」
「ううん。違うの。……あれはれっきとした殺人未遂。ううん。元々は私のせいで南雲くんは殺されかけたの」
「……そこまで話したのか。兄貴」
「ううん。本当はリリィにこの腕輪を返そうと思ったんだけど……その時にメルドさんが報告していたの……檜山くんが南雲くんを殺そうとした犯人だって」
そういやあの二人気配感知持ってなかったな。
俺も持ってないけど、直感で少し引っかかるところがあった場合に反応するからな
「そういえば二人とも、どういうこと?南雲くんは……奈落に落ちて」
「あ〜。そこは伏せておいてくれ。未だに二人のことは知らないからな。ギルドの機密機構ってことになっているから。まぁとあることから、ハジメは未だに生きている……それが俺たちは教会にバレずに探しているんだよ」
「…えっ?それって本当なんですか?」
「あぁ。断言してやる。ハジメは生きている」
すると少しホッとしている二人、いや鈴は安心したようだったが恵里は何か動揺か?一瞬真顔になったな
「…でも、それならなんでクラスに報告しないですか?」
「……檜山が何をやらかすか分からないんだよ。犯人が嫉妬という心情が起点になっているならば……今度は雫やその周囲が危険になってくる。恐らく次にやる行為は、勇者と香織の前で土下座で謝るっていうのが普通だ。トラップに引っかかって仲間を一人殺したと見られてもおかしくはないしな。あの頭のおかしい勇者なら絶対に利用されるだろう。檜山案外頭が回るらしいしな。今は最低限に被害を抑えること。一応そっちの先生にはハジメが生きていることを伝えてある。絶対にクラスに伝えないようにしてあるけどな。そうしないと精神的に戦えないという生徒をこれ以上戦場に送り出すことはできない。さらに死の恐怖を植え付けることができたからな。被害者は当分はでないはずだ。これが教会にバレるとなると被害が膨大になりやすいんだ」
ここからは完全に頭脳戦だ。操られていることを諭されないように暗躍しないといけない
「まぁ香織にバレた以上檜山は俺視線だったら殺した方がマシなんだけど……でも先生が生徒の死に敏感になっているからなぁ。それに余計に香織が壊れるきっかけになるかもしれないからやめた」
「……色々考えているんですね?」
「考えないと俺たちみたいな弱者はすぐに死ぬからな。考えながら生き延びるっていうのは……とても難しいんだよ」
と俺は小さく苦笑する
恐らく生きるってことが当たり前のあっちの世界の人間と、神に反抗していつ襲撃を受けてもいい俺たちのギルドは
「まぁ、香織は納得だけど雫はなんでだよ?言っとくけど俺たちと交流するってことは……地球に帰れる可能性が」
「そんなこと知っているわよ。でも、私は香織に強くなりたいって言われたわ。今度は守れるようにって……それに私も、悔しいのよ。……南雲くんが臆病だけど、心が強いのは分かっていた。確かに地球に戻ることが私たちの最終目標だわ。でも、それまでに……香織たちの誰かがなくなったら意味がないでしょ?」
確かにそうだ。
神に頼みを求めるより自分たちがまず生きる選択をした
「……それに、私個人でいえばいつかはこの世界に戻りたいって思っているのよ」
「えっ?」
「クローバーが言ってたわよね?獣人族たちや魔人族も共存できる世界って。……個人的に少し見てみたいかなって。だから少しお手伝いできればって思っているんだけど……」
俺は少しだけあっけにとられる。
「笑わないのかよ。夢のまた夢のような笑い話だぞ」
「笑わないわよ……私がこの世界に来てからあなたたちには本当に救われたんです。必死に生きている道を模索している中でこの世界でまだ多くは見れてないんですけど……ここの子供達やアレックスたちが本当の家族のように思えてきて……」
「うん。みんな。いい笑顔だもんね。それも嘘じゃなくて本心から笑っているような気がする」
香織が少し納得したようにしている。俺が言っていることは本当に夢物語だ。
だけど本気で叶えようとしているバカがこのギルドに集まっている
「……だからあなたの夢を叶えるために、あなたの隣を歩きたい。それが私の入団理由です」
「……」
少し一瞬だけどきっとしてしまった
それはどこか少しどこか大人びて、そして魅力的に見える
「……はぁ、たく。前の部屋そのまま開けてあるからそこ使え。それと……雫は隣に歩きたいって言っているから戦闘職希望か?」
「えぇ…当然」
「なら俺のパーティーに入れるか。アレックスとはしばらくは別行動になるし、つーかもうまとめて面倒みるか」
「……えっ?」
「香織はどうせハジメが来たらそっちと合同行動することになるだろ?ロラで適当にパーティー組もうとしていたからちょうどいい機会だろうな。そこの二人は……勇者パーティーだから知っているけどなんでこっちに来たんだ?」
「鈴は二人がいるから……。それに南雲くんについて二人が話していたから気になって。」
「私は鈴がいるから……」
と少しだけため息を吐く
また面倒なことを持って来やがったな
「まぁいい。とりあえずお前らの部屋も用意しておく。鈴と恵里は相部屋な」
「う、うん」
「それと雫は夜間と朝に剣を見てやる。お前いつも5時には起きているだろ?」
「いいの?」
「別に。結構危険な仕事をやらせるつもりだからな。言っとくけど甘やかすことはしないしビシビシいくからな。ちゃんとしっかり覚えておけよ」
するとはいっと大きな声で返事をする女性陣に俺は小さく苦笑する
内心。頼もしい仲間が増えるのを喜ぶ反面
……たった一人の闇を俺はどうやって取り除くかだけを考えていた
今回の話を見たら分かるようにヒロイン雫は確定ですね。完全にデレてますし
ついでにあとがきに設定集を作ろうと思います
まず1回目
ミリアとは
これは毒舌な天職が治療師の雫だと思ってくれて構いません
好きなものが家族とクローバーです
初期のパーティー
アレックスとクローバーとミリアの3人です。なおこの後にリアでリアの加入時にはミリアはなくなっていますが、リアはミリアとかなり重要な関係になっています。なおこの3人で大迷宮の攻略をしました。そして最後にクララが加入しました
クローバーの飲酒について
クローバーは食べたり飲んだりしても毒によって死ぬことはありません。だけどもお酒の場合元々弱いこともあり樽4杯くらいを飲むとほろ酔い状態になれます。