人類最強の男   作:焼肉定食

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あの、恵里人気すぎませんかね?
まぁ恵里もヒロイン確定なんですけど……ついでにクララは違います。クララにとってクローバーはお兄ちゃんなので


忘れられた勇者

「ってところだな。とりあえず風呂入ってさっぱりしてこい」

「はぁはぁ。ありがとうございました」

 

と今は軽く雫と手合わせをしていた。

朝早くから訓練を行うことは別にいいのだが……なんか忘れているような気がするんだよなぁ?

 

「……う〜ん」

「どうしたの?」

「ありゃ?鈴か。おはよう」

「おはよう〜。鈴は二人の訓練を見ていただけだよ?」

「……」

 

と言っているが、技能で鈴が嘘をついていること。それ以外に何か理由があるのを悟ってしまう。

 

「お前恵里から聞いてないのか?」

「えっ?」

「俺は嘘を判別する技能がある。だから俺に嘘は通用しないんだよ。たとえどんな嘘でもな」

 

俺の言葉を聞いて鈴は明らかに動揺している。

いや。でもおかしい。嘘をつくってことは別に悪くはない。

すると直感でとある可能性を考えつく。

いや、技能が発動したことを考えると………こいつもまた厄介な女子だな。

 

「まぁ察しはつく。昨日の恵里のことだろ?」

「…うん。……本当にありがとうございました。恵里のことを命だけは取らないでくれて」

「いや、別に。元々殺す気はさらさらなかったしな。まぁ大分軽くはなったけど」

 

頭を下げる鈴に気にするな、と俺は手をひらひらとふる。

すると鈴は少しだけ不思議そうな顔をする。

 

「殺す気はなかったんですか?」

「あぁ。なかった。というよりも正直俺の師匠送りにしようって思っていたからな」

「クローバーさんの師匠ですか?」

「あぁ。今は衣服屋だけど元々は俺よりも強いゴールドの冒険者だった。駆け出しのとき俺たちは全員お世話になっていたからなぁ」

 

今度顔見せにいこうと思っていたから、ちょうどいい時期だったけど。

 

「まぁ鈴がいたから大丈夫って思ったんだよ。元々あいつが一歩引いていたことは王宮の訓練で見えていた。その中で違和感に気づけた鈴は恵里にとっても今後救いになるだろうしな」

「えっと、クローバーさんは恵里の過去を」

「聞いたよ。……まぁ結局光輝に依存していただけなんだ。好きって感情ではない。ただ居場所を求めている少女。……本当なら誰かに相談するべきだったんだろうな。まぁ俺は軽く手を出しただけ。後は恵里次第だろう」

 

俺は軽くきっかけを作っただけだ。どうなるのかは後は恵里と周囲の環境次第。

 

「それでもありがとうございます。鈴は何もできなかったから……」

「まぁ仕方ないだろ?例え友人であれどお互いの闇に触れるには勇気がいる。俺みたいな他人が触れる方が被害は少ない。だから話しやすかったんだよ」

 

だからこそ鈴は悪くないと言っても恐らく効かない。

 

「恵里が今後立ち直れるかどうかは結局は近くにいる人次第だ。……依存させないようにもしなければならないから大変なのはこれからだぞ?」

「…うん!!」

 

だからこそ今後のことに話を逸らすことが最善だろう。

……でも薄々気づいている。

というよりも……明らかに重症な気がする。

恐らく恵里よりも厄介で処置を間違えたら大変なことになると俺の中での経験が物を語る

……本当に厄介だな。

今後教えていくであろう生徒に、俺は少し頭を抱えるしかなかった。

 

 

 

「クララ?何か今日これ以外仕事あったか?」

「いえ。ないはずですが」

「……だよな?何か忘れているような気がするんだけど……」

 

俺は少しだけ疑問に思ってしまう。

というのも今日は少し北の山脈に赴き薬草をとってくるクエストだった。

なおただの山脈ではなく奥に行けば行くほど魔物が強いとされる場所で、5つ山を越えなければならないほど奥の薬草をとってくるため、道中で処理する魔物の素材を含めたら数千万という大金が入る。

しかし100人以上の孤児院を経営しているのでこれだけでは足りず、さらに薬など買えばもっと費用がかさむので月に二回大規模なクエストを受けることにしているのだ。

それをきっちり換金を終えた後、

 

「だから雫、香織、戻ってくるんだ!!」

 

どこか聞き覚えのある声に俺とクララはきょとんとしてしまう。

それはどこか、聞き覚えのある声。確かあれは。

 

「あぁ。勇者か。そういえばすっかり忘れてたな」

「あの、その前にあれってギルドハウスの方ですよね?教会の妨害の方は……」

「まぁ大丈夫だろ。教会が来ているならブザーが鳴るはずだしな。恐らく何人かできているんだろ?」

 

俺は小さく息を息を吐く。幼馴染の様子を見に来たって様子ではないっぽいしこりゃ争いになるな。

 

「クララ。戦闘準備。まぁ必要ないと思うけどな」

「当然です。クローバーが負けるわけないですしね。誰が相手でも私たちのお兄ちゃんですから」

 

と俺たちはのんきに歩いている。

そして近くと数人の塊が見える。見覚えのある数人がそこで話していた。

恐らく勇者と、なぜか申し訳なさそうにしている、龍太郎だっけ?それと檜山抜きの檜山パーティーだ。

 

「ほう、今日は客人が多いことだな」

 

俺が現れると恵里が小さく微笑む。

どうやらつけることにしたらしく耳にはイヤリングがつけられており、さらにメガネも黒フチのではなく、薄い緑色のフチの伊達眼鏡に変わっていた。

 

「おかえり。クローバー」

「おう。ただいま。恵里……それで買い物は?金額的に足りたか?」

「あれで足りなかったらさすがに困るわよ。それとこのギルドの証、便利すぎないかしら?」

「まぁな。そういうものだから慣れてくれとしか言いようがない」

 

少し足りないかと思っていたが十分に足りていたらしい。俺は少しホッとしていると勇者がこっちを睨む。

 

「……クローバーお前。雫や香織たち、そして子供達を解放しろ」

「……はぁ?」

 

俺は小さく疑問を覚え、昨日の朝のことを思い出す。

 

「雫、香織。お前ら勇者に説得しなかったのか?」

「…天之河くん?なんで私のことなのに天之河くんに言わないといけないの?」

「……?」

 

あれ?……なんか嫌な予感が。

というより香織がかなり怖い顔になっているんだが……

雫は頭を抱えて俺の方に近づき、耳元で小声で話し始める。

 

「実はね。香織が檜山くんが南雲くんを殺そうとしたことを知ったのが原因だと思うのだけど、私たちが出る時の朝食時間にクラスメイト全員で集まったのよ。その時に」

「檜山くんが光輝の目の前での土下座で許しを得ようとしていたの」

 

雫が話していた途中、恵里がムッとした顔で彼女を強引に引き離し続きを話すと、今度は雫の顔が少し変化する。

俺の腕を遠慮がちに持っているのだが離す気がないのかそのままだ。

 

「あら恵里。今私が説明しているのだけど……」

「雫こそ、今は天之河くんの面倒を見といた方がいいんじゃないの?」

「……ちょ、ちょっと二人とも落ち着いて」

「なんで喧嘩を始めるんだよ。それと両方放せ……」

 

と少し呆れたような顔をしてしまう俺。

しかも香織が止めようとするなんて意外すぎるんだけど。

まぁ大体分かる。

 

「……こうなるから話したくなかったんだよ」

 

俺は小さく頭を抱える。チラリと鈴を見ると少し笑っていたが、同時に少し引きつっているのがわかった。

…雫と恵里はこっちが原因だな。

と考えていると足元にギュッと抱きしめられる。そこには古参の一人でもある少女、センジュが抱きついていた。

 

「……お兄ちゃん。私たちお兄ちゃんたちと別れないと行けないの?」

 

怯えているのか少し涙目になっている。

本当あのバカどうしてやろうかと内心思いながら処刑方法を考える前にセンジュの手を放させると俺はセンジュと目線が合うように屈む。

 

「それを決めるのはお前らだろ?俺と一緒に居たければ、このギルドハウスに住めばいい。俺たちは家族って最初にいっただろ?家族の意見は尊重するし、もし夢があるなら叶えるために応援する。センジュはどうしたいんだ?」

「……お兄ちゃんたちと居たい」

「それならここに居ればいい。……まぁさすがにずっとと答えられたら少し考えるけどお前らはまだ子供だ。しっかりと大人になるまでは面倒はきっちりと見るつもりだ」

 

俺がそういうとパァーッと明るい顔をしてギュッと抱きついてくる。それを抱きあげる。

 

「お前らもそうだ。勇者の元に行きたければいけばいい。最終的に決めるのはお前らだ。俺からは何も言わないしそれでお前らが幸せになれるならいい。ただ俺たちがお前らを見捨てるって選択肢はない。……命をかけてでもお前らを守る。それが家族ってもんだからな」

 

俺の言葉に全員は頷く。何度も聞かせて来た言葉だけど言われたら安心するってことで隙を見て俺に言わせてくる。

一度捨てられた人が多いなかで俺は何度も同じ言葉を聞かせてきた。

俺だってそうだったんだから。

 

「香織たちは……って聞く必要はないか」

「うん。助けたい人がいるから」

「えぇ。……やりたいことも一杯あるもの」

 

誰もが離れようとしない。少しだけ感動してしまうが俺はぐっとこらえ勇者に振り向く。

 

「これが答えみたいだが?」

 

俺がそういうと、ありえないという様子で笑顔が引き攣る光輝。視線を合わせてもらえないどころか、子供たちが怖がっている、もしくは敵意の視線を向けられている。

そして、そのショックは怒りへと転化されたのであろう。俺を睨みながら聖剣を引き抜いた。

 

「クローバー!俺と決闘しろ!俺が勝ったら、二度とみんなには近寄らないでもらう!そして、そこの子供達も全員解放してもらう!」

「……はぁ。……雫、センジュ持っておいてくれないか?」

「えっ?」

「……」

 

センジュは何をするのか、今俺がどういう状況なのか理解したらしい。

顔が青ざめ、少し勇者に同情するような視線を向けている。

そして雫がセンジュを受け取ると俺は少し腕を回し。

 

「……ちょっと許せそうにねぇや」

 

俺は一瞬のうちにかけると勇者に回し蹴りを食らわす。がはっと呻き声が漏れたが俺は気にせずに俺は勇者を頭を掴む。

それを地面に叩きつけるとさらにそれを蹴飛ばす。意識や命を取らないくらいの加減は分かるので俺はギリギリの威力でぶん殴っていく。

 

「いい加減にしろや。何うちの家族を物扱いしているんだよ。…そのご都合主義の塊みたいなのやめたら?なんでも思い通りになるって思うなよ?何子供達を解放しろ?雫や香織を解放しろ?は?ふざけてんのか?雫も香織も俺たちは地球への帰還を目的だと思っていたからな。一回は切り離した。かなり辛いことも言ったさ。無理やり切ってこっちだって辛い思いで縁を切ろうとしたんだぞ?」

 

俺は思い出す。俺たちは異常者だ。教会と敵対し、家族とその仲間たちのために戦う。それが俺たちだ。

だから羨ましいのだ。嫉妬しとても地球という星が羨ましいと思う

 

「俺たちはこの世界では悪だ。教会に抗い自分の正義を押し通そうとしているクソ野郎だ。……でもな。誇りを持って言える。俺はこの道で間違ってないってな。だからこそ俺たちは抗い、団結し、一つの共存という道につこうとしている。でもなお前らにはその意志がないんだよ。地球への帰還かもしくはこの世界を救うことか一つに絞れや!!お前らの先生を見習えばすぐに分かるだろ!!あの先生は誰よりも帰還の方法に力を加えているんだよ!!なんであんないい先生に教えてもらっていてそんな簡単なことがわかんねぇんだよ!!」

 

俺は一息つく。前に少し話したことがあるけどあの先生は先生として立派だ。多少現実が見えてなくて夢想家であるが、それでも強い意志を持っている

 

「いい加減現実を見ろや。今回はお前らが虐めていたハジメだからお前らにとってはよかったかもしれないが……今度は身近な誰かが死ぬぞ?」

 

俺は小さくため息を吐く。

 

「香織、あの勇者治療してやれ」

「えっ?でも……」

「友達なんだろ?そう簡単に見限ってやるんじゃねーよ。雫も一旦戻れ。死なないように痛い目にあってもらっただけだからな。一回ちゃんと勇者と話して、それでも意志が変わらないのであればこっちにこい。」

「……えぇ。分かったわ」

「二人もだ。お前らはちゃんと先生に伝えてこい。恵里も鈴も未だ先生には伝えてないだろうしな」

「えっと」

「う、うん。でも光輝くん大丈夫なの?」

「意識はあるはずだし骨が何本か折れているくらいだから大丈夫。回復魔法で治る」

 

少し雫がホッとしたのが見れて軽く頭を叩いてやる。

すると雫が俺をじっと見つめる。誰のために手加減したのか知られてしまったが別にいいだろう。

俺はただその様子を見る。

 

「お前らもなんか文句があるんなら相手になるけど?……言っとくが今度は容赦はしない……これ以上家族に矛を向けるようなら……本当に殺すぞ?」

 

それは最終通達であり、これ以上は……2度と手加減はしないということだ。

威圧を含んだ言葉に数人が尻餅をつく。

 

「んじゃ、クララ帰るぞ。お前らも部屋戻れ!!今日の夕飯は怖がらせた分もあるから豪勢に焼肉にするぞ!!」

「えっ!本当!?」

「本当だクララ」

「はい。準備しておきます!!」

 

もうクララはヨダレを垂らしている。同時に歓声をあげる子供達。

この笑顔を守るためならば。

……昔はミリアの夢だったけど本当に俺の夢になったな。

俺は少しだけ微笑む。

願わくば子供たちが自分の意思で未来へとたどり着けることを。

そう思わざるを得なかった




設定集 ステータス
クローバー 17歳  レベル不明
天職魔法戦士

筋力 5012 (+51021)

体力 3102 (+51021)

耐性 4012  (+51021)

敏捷 3030 (+51021)

魔力 50190

魔耐 50129

技能 剣術[+斬撃速度上昇][+抜刀速度上昇]][+威力向上][+無拍子][+瞑想][+精神統一][+受け流し][+剣の極] ・格闘術[+浸透破壊]〔+受け流し〕〔+威力向上〕・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅸ][+集中強化]・付加魔法適正[+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+纏]・限界突破[+覇潰]・気配遮断・悪食 ・豪炎 直感・空間魔法〔境界操作)・破壊耐性・変温耐性

ステータスから見て分かるとうり正真正銘の化けもの。恐らくハジメ最盛期とやったとしても完全にクローバーが勝利するだろう。
身体強化型のシアの強化版であり、幼少期からスラムで戦闘ばっかりしていたこともあり、ステータスが異常。文字はかけないが頭は悪くはない
過保護で子供や雫たちのことを何かと心配している
なお、アレックスがいるからという理由でモテないと思い込んでいるのだが、持ち前の優しさと、完璧ではなく、少しだけダメ人間であるところに女性たちの人気(特に異世界組)からは人気が高く、とある理由で鈍感ではないのだがあえて鈍感な振りをしているのは今のところパーティーメンバーにはバレバレである

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