人類最強の男 作:焼肉定食
「クローバーさん。お久しぶりです」
「おっ。セン。久しぶりだな」
「王宮にいらっしゃるなんて。すいません。握手してもらっていいですか?」
と言いながら俺は久しぶりの王宮内で人に囲まれながら歩いていく。
つーかさっきから進めない。
元々王宮でも結構呼ばれながら俺は教会と対立していると言う訳あって教皇から煙たがれている
しかし俺は元々騎士団に鍛えられたこともあり、最初は団長候補にも名乗りを上げていたが元々自由に憧れていたため冒険者に変更した。
教会に縛られるなんてもっぱらごめんである
「はいはい。当分の間は依頼がなければこっちにいるからな。つーかメルドの兄貴どこにいるんだ?」
「はい。私が案内させてもらいます」
「…ありゃ?ヘリーナじゃん。珍しい」
俺は女性としては高めの身長をしたヘリーナを見つける。一応リリィと呼んでいるこの国の姫である女性の待女である
「相変わらずですね。あなたは」
「礼儀作法は苦手なんだよ」
「相変わらずメルド団長に似ましたねあなたは」
明らかにため息を吐くヘリーナ。俺のこの性格は王宮の人曰くメルドの兄貴に似ているとのことだ。
「とりあえず行きましょう。ちょうど講座が始まったばかりですから」
「ヘリーナのおかげで助かったよ。2時間以上入り口付近で囲まれたら進めないつーの」
「……あなたですね。ちょっと変装をしてきてください。竜の鱗でできた剣を持ってきたらさすがに目立ちますよ」
「自分の剣を手放す剣士がいるかよ。」
そんな話をしながら俺は講義室へと向かう。正直期待半分不安半分ってところだろう。
そうしながら歩いていくとメルドの兄貴の嬉しそうな歓声が聞こえてくる。どうやら兄貴にとってはお眼鏡にかなう人間が現れたらしい。
「うっす。兄貴いつものように囲まれてたら遅れた。」
「……クローバーか。はぁ。何時間くらい捕まっていたんだ?」
「2時間ってとこだ。つーか迎えに来てくれても良かったんじゃねーか。」
「無茶言うな。」
「あの、メルドさん。その人は?」
するといかにも爽やかそうな人間が兄貴に告げる。
「あぁ。彼はクローバーという。この世界で最強と呼ばれる冒険者パーティーでリーダーをやっている。クローバーのパーティーは大迷宮の一つである【グリューエン大火山】の大迷宮を攻略した実績を持っている」
「大迷宮ですか?」
「あぁ。詳しい話は後からの座学で教えるが神代魔法である空間魔法の取得者だ。」
「ラックズ代表のクローバーだ。ランクはゴールド。一応メルド団長の弟分で冒険者の依頼がないときに限り指導に当たることになる。」
軽く挨拶する。つーか体細い奴ばっかりだな。
「まぁステータスについてはメルドの兄貴に聞いてくれ。俺は伝手が広いことと実践訓練くらいしか役に立たないしな」
「たく。言っとくがちゃんと指導してくれないと困るぞ」
「それくらいわかっているから。さすがに教皇の野郎がクソ野郎でも依頼を引き受けたからには引き受けるさ」
「……口が悪いがこいつは悪い奴じゃないことを忘れないでくれ。これでも孤児院を経営していて人望もあるんだ」
不安そうになるが実際戦力になりそうな人が全くいないな。
恐らく戦争の意味さえ知らないガキが多すぎる
そして兄貴がとある少年のステータスプレートを見た途端「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートを少年に返した
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
「へ?生産職がでたのか?」
俺は少し驚く。メルドの兄貴は気づいてないが俺にとっては朗報である。
それも錬成師。これは俺にとってどうしても教会に取られたくない人材だ。
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」
するととある少年が実にウザイ感じで錬成師の少年に絡みつく
「さぁ、やってみないと分からないかな」
「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」
はぁ。どこの世界にもこう言う輩はいるんだな。
俺は小さくため息を吐く。
「さぁ、やってみないと分からないかな」
「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」
そしてステータスプレートを奪おうとしたところで
「いい加減にしろ」
その一言を殺気を錬成師に絡んでいるガキどもに向ける。魔力を威圧をかけるとひぃ。と南雲と呼ばれた少年から一歩下がる。
俺はスタスタと歩きそのステータスプレートを見る
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
本当に平均並のステータスだなっとしばらくそれを見る。そして俺はその南雲ハジメという少年にステータスを渡す
「……錬成師か。まぁ確かに戦闘職よりは人気がない職業だな。この世界には何万人の錬成師がいる。……だけどな。その戦闘職をサポートするのが職人職と呼ばれる戦闘職には欠かせない職業の人地だ。……ステータスが低い?戦闘職じゃない?それでもいいじゃねーか。仲間をバカにするクソ野郎に比べたら全然マシだ」
「ちょ、ちょっとその言い方はないんじゃ?」
「事実だろ。戦争だって仲間との連携が大切なんだ。チームの輪を乱す奴に俺の後ろを任せるわけにはいかないんだよ」
爽やかな顔の人がいじめっ子を庇おうとするが殺気と正論で黙らせる。
俺は少年を見る。恐らく強がりであることはわかっている。一人だけ戦闘職ではないんだ。
だから戦争の役に立たないと思われているのだろうが
「兄貴。この少年。俺に預けてもらっていいか?」
「……は?」
「えっ?」
するとざわざわと騒ぎ出す。
「本気か?」
「いや。弱者を甚振る奴らの指導なんて真っ平御免だから。そいつらの面倒を見るくらいならステータスの低い奴引き取った方がいいさ。まぁ強くはなれないだろうけど生き残るための知恵とその伝手を授けるなら俺が適任だろ?」
すると兄貴が少し考える
「……そうだな。分かった。俺が許可しよう。」
「団長!?」
「確かに俺も思うことがある。でもできれば教会の言うことだけは聞いてくれると助かるんだが。」
「この少年が俺みたいに異端者扱いになることは望んでいないしな。まぁ俺のことは諦めてくれ。……俺が教会の味方をするなんて天地がひっくり返ってもありえないことだから」
その一言に兄貴はただずっと俺を見ている。騎士団の元仲間だった奴らも辛そうに、旧友のことを思い出しているのだろう
『ごめん……なさい。……あなたが……好きって言ってくれたのに……こんなことになってしまって』
『あなたが……しんだら……ダメよ。……あなたが……幸せになる……ことが私の……願いだから……』
『好きよ……愛しているわ……だから最後の……お願い。……私の家族を……私たちの家族を……私以外に大切な人ができたなら……』
最後の遺言。ずっと自分のことなんて気にしないでずっと自分の家族の、俺たちのことを守り続けた唯一の愛した女性の言葉を思い出す。