人類最強の男 作:焼肉定食
「んで。結局俺に頼ってきたっと。」
「あぁ。戦争の前線で戦い続けてきたお前なら何かアドバイスを送れるっと思ってな。」
王宮の訓練所で俺はメルドの兄貴からのお願いを聞いていた。
なおハジメも王宮に呼ばれているので後から待ち合わせることになった
「まぁ。いいけど戦闘訓練は……確かまだなんだっけ?」
「あぁ。だがあまり期待しない方がいいだろう。どうやら彼らたちがいたのは。」
「争いのない世界だろ?ハジメに聞いたさ。この世界とは違って争いは少なくカガク?ってものが発達している世界らしい。……ハジメたちがいた国では武器を持ったら罰則、さらに戦争行為は憲法っていう法律よりも束縛が強いルールに絞られ、宗教も多重国家として色々あるんだってさ。人種差別もないし魔法もないらしい。」
「カガク?」
「物事がどうやったら起こるかという自然現象の証明ってことだと思う。所謂こっち側で魔導具を作ることや料理の保存方や大量生産も行えるんだって。本当にハジメが教会に取られないでよかったよ。これで王国が大きく賑わうぞ!!」
するとキョトンとするメルドの兄貴。そして笑って俺の方を見る。
「そんなにハジメのことが気に入ったのか?」
「おう。あいつ獣人族や森人族にも態度を変えないし、あとはメンタルが明らかに優れている。恐らくよほどのことがない限りは動揺はしないな。」
「メンタルがか?」
「あぁ。それとかなりの頭脳派だ。それもとても優しい。視野もいいし完全に軍師や司令官としてなら、王宮でもそうそういないだろう。」
兄貴がほめすぎだろと小さく苦笑しているのだが事実だ。
明らかに戦略をしっかり叩き込めは一人前の軍師にもなるし、開発者としても成功できるだけの才能を持っている
「まぁ大人しいけどそれでも明らかにいい奴だよ。教会に絶対に渡したくないほどに才能はある。それに覚えもいいからな。自分がステータスじゃ敵わないことを知ってすぐさま知識に変更した。頭の回転が早くとても楽しみな人材だよ。」
錬成師の親父も紹介し今後は生き残ることを重点としたものになる。
恐らく戦略やサポートを中心的に覚えさせようと思う
「……そうか。できればもう一人くらい逸材が生まれてくれれば嬉しいんだがな。お前は見る目がいいからな。ギルドメンバーのほとんどシルバーランクやゴールドランクのお前らなら。」
「う〜ん。見てないから分からないけど才能があれどステータスがそれに見合ってない奴だっているし。天職があれど才能がない人間もいるからな。まぁ一人二人いれば合格点だろ」
といい練兵場の見学室に入る。すると既に勇者たちが剣や槍を振っている
しばらく全員を数人を見ていると問題点が何箇所かあることがあるのだが。
「いやそれほど悪くねぇな。」
素直に感心してしまう。だけどしばらくしてから問題点もいくらか見えてくる
「ほぉ。」
「あの爽やかな坊ちゃんは変な形が身についているな。さっきから真上と横から振っているだろ。剣を振る速さは確かに早いが斜めからの攻撃に恐らく対応できない。……髪を結んでいる女性は反対に非の打ち所がないな上と横からの振りは早いし一応斜め上と下にも対応できている。技術面から言ったら恐らく人一倍抜けているだろう」
「……本当に鑑定持ちじゃないんだよな?」
「こういうのは経験と振りでしょ。実際対人でしか分からないことだってあるからな。」
見る目については自信がある。これは鑑定とは違う自分の固有技能が関係していることだけどもそれでも見ただけでわかることと分からないことがある。
「……とりあえずパーティーを組ませようか。前衛、遊撃、後衛がいて回復役と支援役は全体と組ませる。だから回復役と支援は基本的に魔法騎士団の方に回した方がいいだろう。前衛は俺とメルドの兄貴。そして騎士団で応対した方が良さそうだな。あの少女は基本的に基礎ができているし体術も習わせた方がいいだろう。実力じゃ明らかに少女が中心人物になる。」
「勇者じゃなくてか?」
「ありゃダメだ。リーダーにしたら絶対にパーティーが崩壊する。剣術については変な癖を直せばいいだろう。でも勇者はただの子供なんだよ。理想とか正義とかそういう類のものを何の疑いもなく信じている口だ。実力とカリスマがあるから余計にタチが悪い。自分の理想で周りを殺すタイプ。だから一つの戦士としてなら優秀だけどリーダーとしての実力はハジメに劣っている。それに火力がある以上軍師は任せない方がいい。俺が指示をしないのは火力があるからだ、だからリアに一任しているんだよ。」
俺はバカだが戦略面では優秀の方だと思っている。実際戦争時では指示は俺が取ることが多い。
「……言い方は悪いが的は得ているな。それならあの少女はクローバーが指導すればどうだ?」
「ん?俺がか?」
「あぁ、……多分これも運命だからな。お前じゃなければならない気がするんだ」
どういうことだと思っていると集合と兄貴が声を出し集合をかける
「よし。それじゃあ今からパーティーについて説明する。基本的にはクローバーから説明した方がいいだろうな。」
「メルドさんじゃないんですか?」
「戦争の指揮は主にクローバーが握っているからな。騎士団は戦争よりも防衛任務が多いんだ。」
すると苦い顔をする勇者。どうやら苦手意識を持たれているらしい
「それじゃあ簡単なパーティーについて教えるか。基本的に戦争では前衛、後衛、そして遊撃の3つに分けられる。まずは前衛、基本的に攻撃手や盾役だな。一応ここにはステータスが筋力依存の人が振り当てられる。そして後衛は魔法や弓、支援役が基本だ。そして最後に、遊撃。これはちょっと説明がし辛いのだけど、基本には俊敏が高い人が割り当てられる。主に偵察要員や戦況を変化させるための職業になっている」
俺はそういうと一区切りをつける。
「まぁとりあえず見てもらった方がいいか。スイミー。レイン、センリ、マヤ、アカシア。」
「はいは〜い。」
「…ふぁ〜。」
「……」
「もう。相変わらず人使い悪いんだから。」
「本当〜今度奢ってよ。」
と五人の女性冒険者が歩いてくる。俺たちのギルドに入っているセイレーンというパーティーの集団だ。
「セイレーンと呼ばれる俺のギルドの一つのパーティーだ。ランクはシルバー。スイミーは天職が守護者。基本的に両手盾の防御特化型。んでレインは斧戦士そしてセンリは回復術師でマヤが魔術師、そしてパーティーリーダーのアカシアはシーフという弓と短剣で戦う職業になっている。この場合スイミーとレインが前衛、センリとマヤが後衛、アカシアが遊撃だな。遊撃手と呼ばれる人が基本的に指示を出すようにしている」
「遊撃手ですか?」
「あぁ。前衛は指示を出すのは結構愚策なんだよ。前衛で絶対に避けないといけないのは後衛に敵を抜けさせることなんだ。だから常に前を向かないといけないの」
「絶対にさけないといけないってどういうことですか?」
「後衛の役職は基本的には魔法の威力を上げたりするのが目的の装備だから防御力があまりないのよ。」
「防御力?なんだそれ?」
俺がそういうと首を傾げる
「あれ?ハジメくんが言っていたわよ。身につけている装備がどれだけ私たちの被害をなくしてくれるってことらしいわ。」
「へぇ〜。なるほどな。まぁ防具の耐久力ってことか。」
「……ハジメの話面白い」
「そうね〜ハジメくん可愛いし、面白いから」
「ほらほら仕事だぞ。まぁしばらくの間はセイレーンにも付き合ってもらう」
俺が手を叩くとは〜いという。一瞬何か寒気がしたがほっといて大丈夫だろうか。
「とりあえずこれらを参考にしてパーティーを組んでくれ。できたら報告して俺とメルドの兄貴が相手になるからな。後ハジメは一旦俺の家に戻ってクララと合流してくれ。俺の剣を作った錬成師に話をつけてあるから。それとハジメには後からいうが軍師としての勉強も受けてもらう予定だからな」
「えっ?」
「どうやら教会のアホタレはお前をどうしても前線に向かわせたいらしいんだよ。軍師の才能もあるからな。俺の補佐についてもらおうって思っていたんだが?」
「えっ?ちょっとクローバー?それ本気か?」
するとメルドの兄貴は俺の方を見る
「ん?悪いか?」
「い、いや。お前の補佐って……ミリア以来だろ?」
「……」
そういえばそうか。初めての戦争で指揮を取った時以来になるのか
「大丈夫。才能もあることは兄貴には伝えてあるだろ?」
「うむ。確かにそうだが。」
「だからいいの。はい。この話はこれでおしまい。」
強制的に話を終わらせる。すると兄貴も少し触れられたくないってことが分かったのだろう
少しざわめきを残しながら