人類最強の男 作:焼肉定食
「っ!」
「えっ?ハジメくんが?」
俺は大火山のマグマ溜まりと取り除いた後、久しぶりの休暇で子供達のお土産を探している時急な連絡がアレックスから届いた。
元より嫌な予感はしていた。そしてギルドの証である腕輪からの連絡を受けた時、……急な悲報に目が真っ暗になった
ハジメが仲間を庇って死んだと答えるまでに
「クローバー。しっかりして」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。わ、悪い」
俺が店主とクララに支えられ。なんとか堪えるがそれどころじゃなかった
ハジメが死んだと雫から連絡があったと。
「それで他に損害は?」
『今の所死者はハジメくんだけ。詳しい状況を知らないけど……メルド団長か雫に詳しいことは聞いた方がいいかもね。確か香織は』
「そっか。……とりあえずホルアドに向かう。悪い帰り寄り道することになるけど」
『大丈夫だよ。クローバーも辛いはずだけど…」
「……一応確認のために腕輪確認して欲しいんだけど。奈落に落ちたってことはどれだけの深さかわからないけど一応死んだのであれば腕輪が戻ってきているはずだ」
魔法陣を二つ書いている魔道具は普通なら壊れるはずだが固有技能である破壊耐性を持ったライトと言われる付加術師のおかげで俺たちはアーティファクトではないが魔道具が破壊されることはほぼないのだ。
ギルドの証と呼ばれる腕輪は、空間魔法と通話を使えるようになっている優れもので連絡用のアーティファクトとそこまで変わらないのだ
腕に魔力がある限り生存を知らせるための道具で基本的に3時間経った場合
そして数分後通話からは驚きの結果が帰ってきた
『クローバーないよ!!』
「……は?」
『ハジメくんが持っているギルドの証がまだ戻ってきてないんだよ!!』
「それって」
クララが目を輝かせ俺も頷く。
ハジメは生きていることはほぼ確定的である
「とりあえずホルアドに向かう。一応ハジメと連絡が取れるか確認してみるから」
『うん。ちょっと待って、雫と繋げるよ。そっちで話してくれた方が二人も嬉しいだろうから』
「えっと。私は?」
「……子供達を頼んでいいか?少し兄貴とも話がしたいから」
「えぇ。当然ですよ。クローバーさん……あの、もし落ち着いたら……」
「はいはい。いつものところな。俺のおごりでいいから」
「はい!!」
嬉しそうに笑うクララ。いつものところとは俺がよく行く居酒屋である。獣人族などにも優しいところでお酒も良いものが揃っているのでいけつけのところだ。
「お気をつけて」
「あぁ。行ってくる」
と俺は空間魔法を使いいつもの転移部屋へと送ると俺はすぐさま転移魔法でホルアドへと向かう。
一応昔俺が使っていた騎士団での部屋を今もずっと貸切にしていてくれている
とりあえず起動すると対象の相手がいないか探し求める。
「……ダメだ。よく考えたら通話ができればかけてくるはずだよな」
通話は通じないことに少しため息を吐く
魔法陣を使った通話機能は通じない
となればやっぱり今の現状を話すしかないか。
「雫いるか?」
俺は魔力の量によって通話相手を変えられる俺は電話をかける。
『えっ?クローバーさん?』
「少し緊急事態だから少し早めに戻ってきたんだが……もしかして既に王都に帰っているのか?」
『はい。えっと今。『ってクローバー?お前』』
「メルドの兄貴話は後だ。……被害者となんでハジメが奈落に落ちたのか、その理由を聞きたいんだが……」
『……ホルアドにいるのか?』
「あぁ。連絡用の魔道具を雫に持たせていたからな。簡単な事情は既にアレックスから聞いている」
すると通話の魔道具が少しだけ沈黙する
『すまない。お前が反対していたにも関わらずハジメを……』
『どういうことですか?』
『クローバーは夜中王宮まで来てハジメの大迷宮を連れていくことに反対し続けていたんだ。元より教会はハジメも戦争に参加させるつもりだったからな』
『えっ?当たり前ですよね?僕たちはトータスの人たちを救うために』
俺は一度通信を切りすぐに本部につなぐ
御託はいい。
「クララ。雫の場所を出せ。飛ぶから」
『どうしようもないね。ここまで酷いと本当に勇者なのか疑問だよ』
アレックスの毒舌が炸裂する
『位置は王都方向に18km向かった地点です』
「あいよ」
『クローバー。もしかして火山に行く前の夜中、メルド団長にあっていたのかい?』
するとアレックスが少しだけため息を吐いたようにする
本当に呆れたように、そしてしょうがないなぁって感じをしたアレックスが予想できた
「悪いか?」
『僕たちの団長なんだからあんまり贔屓してほしくないんだけどね〜。とりあえず公布を出すことにしたから。ギルドに連絡して南雲ハジメが来たら連絡するようにしてもらうよ』
「相変わらず仕事が早いな」
『……僕たちにとってギルド員は家族だ。それに僕たちが探さなくてもクローバーは探すんだろう?』
「…そうだけど」
『私たちはあなたに救われたのよ。こういうときに恩を返したいのよ』
すると少し大人っぽい女性の声が聞こえる。それは古参メンバーの一人で、ずっと悩み続けてきた女性だった
「珍しいな。リア。体調は」
『良いわよ。私も安定期に入ったから。後は私が引き継ぐわ。クローバーはあの子たちのところに連れていってあげてそれと……家族を痛めつけた奴に制裁を加えてくれると嬉しいわ』
「……あぁ」
ハジメの人望が分かる優しく、そして心が強かった
だからこそ願う。ただ生きていて欲しいと
俺たちのことなんて忘れていても、心が変わっていてもいい
家族の生存を。そして本当の家族と会えることを祈るのだ
そして俺は空間魔法で飛ぶとそこには大量の馬車が走っており静かなことから恐らく誰もが信じたくないのだろう知り合いが死んだということに雰囲気は最悪に近い
「雫。どこの馬車に乗っているんだ?」
『えっ?……一番前の馬車ですけど…』
「了解。」
と軽く身体強化を乗せ瞬時に、馬車よりも早く走り始める、空間の境界を狭くすることによってさらに時短することも忘れずに、
そして数十秒程度で一番前の馬車に乗り込むと
「……えっ?」
最初に見えたのは香織が伏せているところだった。とっさに手首を手に触れると脈はある。すなわち生きているという状況に俺は一つ息を吐く
「事情を説明してくれるよな?オルクスの大迷宮に入ってから、それとその詳細を」
「あぁ。俺が説明する」
ギルドの依頼というより定期的な国からの依頼を受けていたとはいえこれはかなり酷い結果になるのだろう。
そして最初から最後まで、いや聞いてはいないところまで答えてくれた
20層まで比較的いい雰囲気で攻略できていたこと
20層でトラップにあい、雫や香織が気づいたのだがそれに関わらずトラップを発動させたこと
ベヒモスとトラウムソルジャーに挟みうちにされたこと
混乱状態の仲間を守るためにハジメがただ一人立ち向かったこと
逃亡の際生徒の魔法の流れ弾がハジメに向かいなんとか直撃を避けたもの、ベヒモスに捕まり奈落に落ちたこと。
そしてハジメの死亡したと思い込んだ香織が恐慌状態になり兄貴が気絶させたこと
全てを聴き終わった俺は小さくため息を吐く
「犠牲者は絶対に出ると兄貴には俺はいったよな?戦場の雰囲気がなっていないでヘラヘラした態度……迷宮に出すのは早すぎるんじゃないかって?狭いところで大技を使い簡単に血が上って壁は崩落。……正直ステータスが高いから油断していたんじゃねーのか?」
「……あぁ」
「正直なところ話を聞く限り事故なのか故意なのか微妙なところだろう。全く、これで本当にハジメが死んでいたら大変なことだったぞ?」
「……えっ?」
今この馬車に乗っているのは雫と気絶香織、メルドの兄貴だけで勇者とその相方は話が進まないからと追い出されたらしい。
雫がやっぱり勇者パーティーの軸であるのは間違いないと苦笑しざるを得ないのだった。
「ハジメが落下死した可能性はほとんど消滅している。雫もつけているだろうけど、元々それ俺たちが開発した魔道具なんだよ。死亡したら俺たちのギルドハウスに強制的に送られるようになっている。そして昨日から現在に移るまでギルドの証が返却された形跡はないことはアレックスに確認済みだ」
「……つまり。」
「あぁ。ハジメは今のところは生きている。一応身分証明書にもなるって三人には話したはずだしよほどのことがない限り壊れることはない」
すると少しだけホッとしたらしい。雫に笑みがこぼれる
だけど大切なのはこれからだ。これは事故なのか故意的にやったのか判断する必要がある
「とりあえず聞きたいことがいくつかあるんだが?」
「あぁ」
「とりあえずハジメに打たれた魔法の種類を教えてくれない?」
「恐らく火の初級魔法の火球だろう。火の球体が見えたからな」
……早速臭いな。というよりもこれとある質問をしたら確定だろう
「次に魔法を打つ位置だ。比較的高いところで打ったのか?それともハジメと同じ位置で打ったのか?」
「いや、少し高台のところだ。坊主に射程が……」
と言ったきりメルドの兄貴は固まる。言葉を告げたくないように、そしてそれを認識したくはないように
「……そうだ。坊主に射程が入らないはずなんだ。特に初級の魔法はよほどのことがない限りは……打ち誤まることはないはずだ」
「…えっ?ちょっと待ってください。それって」
俺も兄貴も結論は出たらしい。……そしてそれを信じたくないのか雫は首を振る
「一応確認だ。ハジメに向かっていた火球は……軌道が変化したか?」
それは最終通告。そして二人は恐ろしいように震えている
「……っ!」
「あ、あぁ。軌道がわずかに下に……いや坊主に向かっていった」
「……兄貴。これは歴とした事件だ。事故に見せかけてハジメを狙った暗殺だよ」
その一言で馬車の中には静寂が生まれる。
「そんな」
「……お前ならどう判断する。」
「奴隷いや最低であっても死罪だろう。さすがに悪質性がすぎる。恐らく初級の魔法を選んだのは適正魔法が見抜かれないようにするためだろう。だから基本的に火を優先的に使っている勇者たちは省いてもいい。勇者パーティーとはいえどさすがに仲間殺しの罪は……お互いに見過ごせないだろうけど……」
と俺は少し雫が震えている。仲間に殺人犯がいると分かったらそりゃ怖いはずだ
俺は軽く雫の頭を撫でる。
「……悪い。怖がらせたか?」
「えっ?その。」
「……悪い。……でもこれ以上は恐らく香織にも関係が恐らくあることだ。雫には聞いておいて欲しい。正直本来である場合……処罰した方がいいのだが……できれば今回は隠しておきたい。恐らく、香織が壊れる。俺が思うに、犯行理由の最大の原因は香織がらみの恋愛関係だろうから」
「…っ!それは本当か?」
「香織がハジメを想ってたのは確かだろう。だからこそその人物はハジメが邪魔だった。俺の予想が正しければ……」
と俺は一息入れ
「トラップに引っかかった、所謂無断に鉱石を取ろうとしたのは、檜山で間違いないか?」
と俺は断言する。唯一この条件に当てはまる人材。それはそいつしかいないのだ。
ハジメに恨みや嫉妬をもち犯行動機があり、尚且つ火属性を使える人物は
「……あぁ。」
「本当に檜山くんが……南雲くんを殺そうとしたの?」
「あぁ。俺は詳しくは分からないけど、大体の推理はあっているはずだ。というより確定だ。直感に引っかかった」
固有技能直感。魔力を引き換えに自分が考えついていることが正しいのか間違っているのかが分かる技能だ。
これで俺はその情報が正しいのかを見極めることができるために幾度もなく危険な旅を乗り越えていた
「でも隠しておきたいと」
「あぁ、……さすがに香織が心配なんだよ。恐らく教会はあまり厳しい処分を言い渡さないと思う。……一応こんなんでも勇者としてこの世界に呼ばれたからな。それどころかハジメのことは教会からしたら無能って呼ばれているんだろ?そんな奴が死んだところで、教会側は軽い処分をいいわたすだけだ」
「……もし、それが本当なら。……香織は…怒るどころじゃ」
「恐らくな。復讐に走ってもおかしくはない」
「……恐らくクローバーの言っていることは間違ってはないだろう……公表もしない可能性も高い。勇者が人を、仲間を殺したとなると国民に不安を覚える可能性が高いな」
だからこそ。黙っていた方がいい。
香織が壊れず、ハジメと合わせるために
「兄貴。元々俺のギルドハウスに住んでいることもあるからな。適当に理由をつけて雫と香織を正式に俺のところを宿にできないか?香織も。クラスメイトから少し離れさせたいのもあるのだが、できればハジメを死んだことにしておきたいんだ。」
「……ハジメをか?」
「あぁ。正直俺たちのギルドのメンバーの南雲ハジメにした方が風当たりはいいだろう。少し工作も始める。俺たちは当分の間いなくなったギルド員の捜索に全力を尽くす。迷宮にずっと居続けるなんて不可能だ。だから可能性としたら、奈落から生き残ったハジメを探す方が効率がいい。あとあとになるが強くなったハジメを探すしか今の所手がないんだ。すでに冒険者ギルドに腕輪をつけたハジメという少年を探しているって発破をかけた。……それを教会に邪魔されたくない」
即ち、本気でハジメを探すための時間が欲しいということだ。
「……雫はどうしたい?俺らばかり話を進めているが……」
「私ですか?」
「あぁ。香織にも一応話すつもりだ。ハジメが生きていることは。ただ人格が変わっている可能性が高い。ハジメだって殺されかけた経験があるはずだからな。……覚悟はしておいた方がいい。昔のハジメと全く変わっているだろうからな」
「それでも探すのか?」
「当たり前でしょ。俺たちは決して家族を見捨てない。うざがられようがこの証をつけたやつは見捨てない。それが俺たちの流儀だ」
それが俺たちの唯一の掟。家族は何があっても見捨てないのだ。
たとえ恨まれようが、常識に囚われないでいようが変わらないのだ。
「……その、香織が起きてからでも構いませんか?それと……」
「一応部屋はそのままにおくから、いつでも頼ってきていいからな。しばらく王都に滞在するし、ギルドハウスにいるようにするから」
「えぇ。本当に何から何まで……」
と雫はごめんなさいとでも言おうとしたのか少し申し訳なさそうにしているがその態度に少し呆れてしまう
俺は軽く雫の頭を叩くと
「お前な、こう言う時はありがとうだろ?」
正直に言ってみる。こう言う時にお礼じゃなくて謝罪を入れるのが雫の悪い癖だ
「謝まるなとは言わない。でもな頼るときはちゃんと頼れ。なんでも謝罪で解決しようとするな。お前の悪い癖だぞ。人を頼らず自分で解決しようとするところ。俺から見たらハジメや香織よりお前が今の状況が一番危ないんだよ。怖い気持ちを押し殺しているのが目に見えているのに、甘えられない、言葉にできない。お前は自分自身を殺しすぎだ。…そういった意味ではお前が一番危ないんだよ」
「それも、ミリアさんと同じだからですか?」
雫は触れられたくなかったことなのか少し強い様子で俺に言ってくる。メルドの兄貴がおいと言っているが俺は首を横にふる
「いや。そこらへんはミリアと違う。あいつは結構毒を吐くタイプだったからな。俺のアレックスも何度怒られたか……兄貴もかなり怒られたよな」
「……えっ?あぁ」
「雫、お前頼られるのが当たり前って思っているから少し言っておくけど……頼られるって結構嬉しいもんなんだぞ?」
すると雫は考えたこともなかったのだろう。少しキョトンとしている
「俺もアレックスも困った時はすぐにお互いを助けあっているだろ?それに孤児院の子供達だってそうだ。自分が苦手なことは誰かを頼るし反対に誰かに頼られることもある。俺の孤児院は広いからな。色々な人が集まってくる。俺だって掃除や料理は少し苦手だぞ。字は書けないから手紙一つも書けやしない。報告書や計算もできないしな」
俺にはできないことが多すぎる。戦闘バカで女心も分からない、思ったことをすぐ伝えてしまうダメ人間だ。でも慕ってくれているやつだっているのだ。バカだった俺を好きって言ってくれた女性も。幸せだったと言ってくれた人もいる
「字は書けない。計算もできないけどそれでも軍略や作戦を立てれるだけの力は持っているって自分では思っているんだよ。俺は極端すぎるかもしれないけど……それでも誰かに頼られるっていうのは信頼されているってことなんだ。……雫はそう思わないか?」
「……」
「俺じゃなくてもいい。勇者でも、香織でも。先生でも兄貴でもいい。誰でもいいから頼ることを覚えろ…そしてありがとうってお礼をいえばいいんだ。時に甘えて、時に甘えられて。自分を殺すんじゃなくて自分を見せる、受け入れてくれる仲間がいるんじゃないのか?俺みたいな口が悪くて女心も分からない戦闘しかできないバカすら孤児院や町人に慕われているんだぞ。頼りになって、可愛くて何よりも根が優しい雫が受け入れられないはずがないじゃないか」
そういうと少し笑ってしまう。雫もハジメも、香織も俺たちが拒否することはない。
どんなことがあろうと仲間なんだ。
受け入れてみせる。どんなに醜く、汚くても。決して仲間であることには変わらないのだから
「まぁ、おせっかいなバカからの言葉だと思っておけばいい。でも、こう言う時は謝罪じゃなくてお礼を言われた方が俺たちにとっては嬉しいってことは覚えておいた方がいいぞ。人間って単純な生き物だからな」
と馬車に揺られながらのんびりガタンゴトンと揺られる
もうそろそろ、帰ろうかと思った時雫に手を握られる
「ん?」
「あの、もう少しいてもらっていいですか?」
「……ん。別にいいけど、勇者たちは……」
「俺が説得しておこう。それと、……お前その癖直した方がいいぞ」
俺がきょとんとしてしまう。メルドの兄貴がこいつはといい外に出て行く
結局王都に着くまでの間無言でありながら香織を心配そうに看病をしていた雫の三人の旅になるのであった