未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
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昂哉が高校1年生の時の話です。
side 昂哉
俺の新しい布団…………とても柔らかな綿と枕をしていますねぇ………白くて美しい生地だ…………。二度寝………してもいいですか?二度寝すると、とても落ち着くんです♪
俺が再び目覚めた時、ニ○リの時計ってありますよねえ?あれ、顔を上げて見たときですねえ…………。あれ、起きてから初めて見たとき………なんていうか………その………馬鹿なんですが………フフッ………絶起………しちゃいましてねえ………。学校には間に合わないと分かったので………パチンコを打つ事にしたんですよ……………。力哉兄貴や知り合いの吉田さんと一緒に…………。そしたらどうなったと思います?それはそれはたいそう負けまして……………財布の中身が尽きちゃったのですよ………。それを見た兄貴たちは俺はやめようと言ったのですが、ここで引き下がるわけにはいかなくてですねぇ………。一度はごねて口座の金を持ち再び座ったのですよ…………そしたらどうなったと思います………?また全額溶けたのですよ………っ‼︎全部で10万負け…………っ‼︎流石の俺でも萎えて、この日は帰ることにしました………
そうして俺は途方に暮れながら、兄貴たちと別れて街中を歩いていると、
姫路「あれは、明久君?」
ぬいぐるみ屋の前で意中の人を見つけたクラスメイトと、
葉月「どうしてもこのノインちゃんが欲しいんですぅ‼︎お願いしますぅ‼︎」
ぬいぐるみ屋で必死にねだる女子小学生と、
店員「うう、弱ったなぁ……」
困る店員さんと、
明久「ねえキミ、どうしてそんなにそのぬいぐるみが欲しいの?」
女子小学生に優しく話しかけてるバカがいたので、
昂哉「よっ、姫路!吉井明久のストーカーでもしてんの?」
姫路「ひ、雲雀丘君⁉︎これは違いますよ‼︎ホントにたまたま偶然なんです‼︎」
昂哉「へえ〜w」
俺は店の外で姫路と一緒に、店の中にいる3人のやりとりを見る事にした。
葉月「さ、最近元気がないお姉ちゃんに前から欲しがってたこのぬいぐるみで、元気になってもらおうと思ったんです………」
明久「元気がないって?」
葉月「きっとドイツから引っ越してきて日本語が上手く出来ないから元気がないんですぅ。お掃除とかお洗濯とかして、葉月と遊んでくれたりもして………それなのにお姉ちゃんはいつも居ないパパやママの代わりに……」
明久「わわっ‼︎なっ、泣かないで!お兄ちゃんがなんとかしてあげるから‼︎」
葉月「………本当?」
明久「うん、本当!」
葉月「……お兄ちゃん、ありがとう!」
とりあえずなんとなく事情は分かった。優しいお姉ちゃんのために何かをしたい優しい妹と、それを見て何かをしてあげたい生徒指導室でよく見る優しいバカ。*1
姫路「明久君、素敵です………///」
昂哉「なんとなくお前が惚れた理由が分かったよ。」
姫路「でしょう⁉︎」
あのバカはただの問題児じゃなかったんだな。さて、吉井明久はどう出るか?
明久「それで、このぬいぐるみはいくらなんです?」
店員「税込で24,800円になります。」
明久「ごめん!お兄ちゃん頑張ったけど無理だったよ……」
葉月「ええ………」
まあ普通の高校生にはお高めだね。ただそのくらいの額ならパチンコやスロットで半日あれば稼げるけどな。麻雀だと新宿歌舞伎町にあるピン東なら1東風(一試合15分程度)で手に入るし、俺が参加してる高レートマンション麻雀ならその倍は同じ時間で手に入る。
明久「ちなみに葉月ちゃんはいくら持ってるの?」
葉月「一万円しか持ってないの……」
明久「なら僕と合わせて11,699円かぁ………この値段で売る事は……」
店員「無理だねえ。」
おい、お前1,699円しかないのかよ‼︎女子小学生の1/5以下じゃねえか‼︎絶対買えねえじゃねいかよ‼︎
明久「ところで、11,699円だと約半額ですよね?」
店員「まあだいたいそうだね。」
明久「葉月ちゃんはぬいぐふみが欲しくて、おっちゃんは売ってあげたいけど半額じゃ売れない。そこで僕からの提案です。」
ん?コイツは一体何を提案するつもりだ?
明久「ぬいぐるみを半分に裂いて右半身だけを売って下さい‼︎」
コイツはバカか⁉︎高校生の知能じゃないだろ‼︎
昂哉「お前の惚れた相手、頭大丈夫?」
姫路「大丈夫じゃないかもしれません…………」
恐らく小学生でももう少しまともな思考をするだろう。アイツの脳みそは実は平均の半分しかないんじゃないか?そう思ってしまった。
しばらくすると女子小学生と吉井明久が2人で店から出て公園へ向かい、そこにあったベンチに座ったので、俺と姫路は陰から聞くことにした。
明久「葉月ちゃん、お父さんとお母さんにお願い出来ないの?」
葉月「2人ともあまり家にいないの………お金が必要な時はお姉ちゃんに言わないといけないし………」
明久「そっか、う〜ん…………」
葉月ちゃんの家系も両親が忙しい感じか………うちの両親もどっちも海外勤務だから似たような感じだな。まあ奴らはビール飲みながら仕事したいとかいう不純な動機でドイツに転勤しやがったが。普通に考えたら毒親だけど、俺は逆にコイツらのおかげでニート生活を満喫出来てたし今だって学校サボってパチンコや麻雀が出来てるから、正直両親には感謝している。ただし俺をニートから無理矢理引き摺り出して両親にチクり、学校に通わせた優子には怒りが溜まってるがな‼︎
そんな事を思ってると、
葉月「そうだ!葉月のマンガを本屋さんに買って貰えばお金になるよね?」
葉月ちゃんが尤もな事を言った。確かにそれならぬいぐるみを買うお金が稼げる。
それにしても、ホントこの子はいい子だな〜。誰かのために自分の好きな物を売り払うとか、俺には絶対無理だよ〜。
そしてそれを聞いた吉井明久が、
明久「ん?そうか………その手があったか!」
どうやら何かをひらめいたようだ。
葉月「……どうしたの、お兄ちゃん?」
明久「どうせ戻ってこないと思ってた物だし、上手くいけばそのくらいの金額には………よしっ、葉月ちゃん!また明日この公園に来られるかな?」
葉月「うっ、うん!大丈夫ですけど………」
明久「じゃあまた明日ね!それと、今日はもう遅いからお家に帰ろうね!」
葉月「あっ、お兄ちゃん!」
そして奴はそのままどこかに行ってしまった。それにしても、アイツは何を企んでるんだ?
昂哉「ねえ姫路、明久はどこからお金を得ようとしてるの?」
姫路「う〜ん、分からないです………あっ、でも戻ってこない物なら心当たりがあります!」
昂哉「戻ってこないもの?」
姫路「今日持ち物検査があったのですよ!それで多分色々没収されたのではないでしょうか?」
なるほど、持ち物検査か!それなら納得だ!
姫路「私も土屋君からもらったばっかりの明久君の写真を盗られてしまいました…………あれ結構エッチで好きだったのに*2………」
昂哉「俺も親からもらったばっかりの10万円をパチンコに盗られたなぁ〜。あれ持ってると結構リッチになれて好きだったのに………」
姫路「学校行かずに何してたんですか………」
昂哉「そっちこそ学校行って何してるのさ?」
姫路「私に土屋君を斡旋したのは誰でしたっけ?」
昂哉「は〜い!」
まあ姫路以外にもムッツリーニの写真を盗られた人は多そうだよね。
それはともかく、本題に入らないと。
昂哉「まあそれより、明久の狙いについてなんだけど………」
姫路「彼は一体何をするつもりなのでしょうか?」
昂哉「恐らく没収品を強奪するつもりなんじゃないかな〜?」
姫路「確かに、明久君らしいですね………」
まあ奴の場合は同じ問題児である坂本雄二と手を組んで何かやりそうだけどね。アイツもどうせ何か変な物持ってきて没収されてそうだし。
姫路「でも没収品の強奪に参加するのは生徒としてどうなのでしょうか?」
昂哉「まああまり良くないね。そもそも成功する確率だってそんなに高いもんじゃない。」
姫路「ですよね…………」
失敗したらそれこそ吉井明久の願いも葉月ちゃんの願いも叶えられなくなる。それを避けるためには、俺たちも手を打つ必要がありそうだ。例えばアレはどうかな?
昂哉「そこで、俺たちで保険をかけるのはどうかな?」
姫路「保険ですか?まさかあのぬいぐるみを予め買うとか?」
昂哉「それは無理だね。なんせあの店にはあのぬいぐるみは1つしかなかった。だから俺らが買ってしまったら、奴の努力は無駄になるだろう?」
姫路「確かにそうですね………」
昂哉「そこで提案!俺たちでもぬいぐるみを作ってしまうのさ!」
姫路「な、なるほど‼︎それはいいですね!」
そう!こうすれば万が一明久たちが失敗しても、葉月ちゃんの想いが無駄になる事はないだろう!
姫路「でももし明久君たちが成功したらどうするのです?ぬいぐるみは2つになってしまいますが………」
昂哉「それなら片方姉にあげて、片方を葉月ちゃんにあげれば大丈夫でしょ!」
葉月ちゃんの善性にも、個人的に何かあげたいと思うからね!
姫路「なるほど!それなら2人とも喜べますね!」
昂哉「よしっ!そうと決まれば作戦決行だ!」
姫路「はい‼︎」
ということで、俺の家で姫路と一緒にぬいぐるみを作ることにした。お互いそんなに裁縫は得意じゃなかったが、それでもなんとか完成させることが出来た。さて、葉月ちゃん姉妹は喜んでくれるかな?
翌日、裁縫による疲れからか、目を覚ますと昼過ぎだった。まあ新品の布団が気持ち良すぎたのもあるけど。それと、こんな時間から学校行くのもだるいので、パチンコに行ってから例の公園に行くことにした。ちなみに姫路とはこの公園で放課後会う約束を取りつけている。そしてぬいぐるみも姫路が持っている。
そして公園のベンチでパック酒の日本酒を飲みながら待ってると、
葉月「えっと、お兄ちゃんは………来てないみたいですぅ………」
お目当ての葉月ちゃんがやってきた。ちなみに姫路はまだ来てない。ここは俺が一旦間を取り持つか…………
昂哉「こんにちは、お嬢ちゃん♪」
葉月「な、なんですか、おじさんっ⁉︎ぼ、防犯ブザーを鳴らさないとっ!」
おいおいマジかよ‼︎俺そんなに怪しく見えるか⁉︎
昂哉「違うよお嬢ちゃん‼︎俺は怪しいおじさんなんかじゃない‼︎」
葉月「そ、そうなのですか………っ?」
昂哉「昨日のバカな高校生と同じ高校に通う高校生だ‼︎信じてくれ!」
葉月「高校生?なんでお酒を飲んでるんですかっ?」
昂哉「世の中には20代の高校生*3だっているものなのさ!」
葉月「そうなのですか………」
若干不安そうな顔をしているが、どうやら防犯ブザーを鳴らさないでくれるようだ。安心したよ。さてと、ちょっと暇つぶしに思った事を言っとくか…………
昂哉「それにしても、お嬢ちゃんはいい子だね!昨日ちょっと会話を聞いてたんだけどさ、お姉ちゃんのためにあそこまで頑張れる子ってなかなかいないよ!」
葉月「いや、いい子なのはお姉ちゃんのほうですぅ!」
そこで自分じゃなくて姉を挙げるあたり、本当に姉想いのいい子なのだろう。
昂哉「そうかい。それはいいお姉ちゃんを持ったね!でも葉月ちゃんもいい子だよ!」
葉月「そ、それは…………」
昂哉「お兄さんが保証するから!」
葉月「そうなのですかっ!ありがとうございます、おじさんっ!」
おじさんじゃなくてお兄さんなんだけどな…………
そんな事を思ってると、
姫路(LINE)『そろそろ着きます!』
姫路からLINEが来たので、
昂哉「どういたしまして!それじゃあおじさんはこれで失礼するけど、ピンク髪のお姉さんが素敵な物をプレゼントを持ってきてくれると思うよ!」
葉月「本当ですかっ?」
昂哉「もちろん!それじゃあまたね〜!」
葉月「バイバイ、おじさんっ!」
俺はベンチを離れ、姫路に役割を譲ることにした。
そして姫路は葉月ちゃんに近づき、
姫路「お嬢ちゃん、こんにちは!」
葉月「こ、こんにちはっ!」
声をかけた。それを俺は木陰で見守っている。
姫路「えっと、昨日茶髪のお兄ちゃんと話してたよね?」
葉月「はい、そうですがっ………」
姫路「それなんだけど、もしあのお兄ちゃんがだめだったら……」
そして姫路はかばんからぬいぐるみを取り出し、
姫路「このぬいぐるみをお姉ちゃんにあげて!」
葉月ちゃんにぬいぐるみを差し出した。
葉月「ほ、本当ですか………っ⁉︎」
姫路「それで、あのお兄ちゃんがぬいぐるみを持ってきてくれたら、これはあなたにあげる!」
葉月「ほ、本当ですか⁉︎わぁ〜、お姉ちゃん、ありがとですぅ〜‼︎」
姫路「どういたしまして!それじゃあまたね!」
葉月「ばいば〜い!」
どうやら俺たちの作戦は上手くいったようだ‼︎
そして姫路が俺のところに来て、代わりに吉井明久が葉月ちゃんのところに現れた。
昂哉「センキュー、姫路!」
姫路「こちらこそ、手伝ってくれてありがとうございました‼︎」
昂哉「ど〜も〜♪」
姫路「それじゃあ帰りますか………」
その後、姫路はそのまま帰ろうとしたので、
昂哉「いや、ちょいと待ちたまえ。」
俺は姫路を呼び止めた。
姫路「な、何故です?」
昂哉「葉月ちゃんと話終わったあと、吉井明久に声をかけるチャンスだとは思わない?」
姫路「た、確かに‼︎」
そしてそうこうしているうちに、
葉月「ばいば〜い!」
明久「ちょ、ちょっと⁉︎…………帰るか………」
奴と葉月ちゃんが別れたので、
昂哉「ほれ、いってらっしゃい!」
姫路「あっ、はい‼︎」
俺は姫路を送り出して、そのまま帰ることにした。
side 葉月
お姉ちゃんにおじさん、本当に優しかったですぅ!葉月のためにぬいぐるみを作ってくれたり、葉月の事をいい子って言ってくれたり………
そしてバカなお兄ちゃん…………好きですぅ!絶対葉月がお兄ちゃんのお嫁さんになるですぅ!
そんな事を思いながら歩いていると、何かを見かけました。ん、あれは…………?
優子「やあ、昂哉。4日ぶりね。」
昂哉「ゆ、優子……………?」
公園のおじさんが可愛いお姉ちゃんに絡まれてるですぅ?どういうことでしょう?
優子「とりあえず座りなよ。」
昂哉「あ、ああ……………」
あの2人がベンチに座って何かを話すようですぅ。ちょっと聞いてみよっかな?
昂哉「優子、何しにここに来に………」
優子「アンタをしばきに来たのよ。寝坊した挙句学校をサボったアンタをね。」
なるほど、あのおじさんは学校をサボってたのですかっ。
そんな事を思ってると、
昂哉「違う‼︎違うんだ優子‼︎」
おじさんが泣きながら跪きました。もしかして何かあったのかな?
昂哉「あの日、俺の諭吉がパチンコに食われて………兄貴と吉田さんは作戦を中止して引き返そうとしたのに………っ‼︎俺は2人を無理矢理説得して、作戦を続行させたんだ‼︎」
ん?このおじさんは何を言ってるのかな?
昂哉「俺は金持ちになりたかった‼︎誰かに尊敬されたかった…………。俺じゃなくて、時代や環境が悪いんだよ‼︎俺が学校に行けなかったのは、パチンコのせいだ‼︎もう、店が嫌なんだ…………金を返してくれ…………」
おじさん、優しいけど悪い大人だったんですね………
優子「多分、アタシは昔からこうなんだ。」
昂哉「えっ…………?」
優子「アタシは全力でアンタをしつける。アンタが反省するまで。」
昂哉「や、やめろ‼︎この木下の悪魔め‼︎」
こうしておじさんはお姉ちゃんにボコボコにされてしまいました。
side 昂哉
くそっ、優子のヤツめ‼︎絶対に復讐してやるからな‼︎いまにみとけよ‼︎
ということで、短編集のラストは葉月とぬいぐるみの話でした。昂哉が高1の頃仲良かったのが姫路だったため、姫路サイドの話になりました。如何だったでしょうか?
それと、昂哉の優子に対する気持ちが随分と変わってきましたね。そのため、優子を悪魔だと罵ってた頃の昂哉を久しぶりに見たのではないでしょうか?
さて、次回からはいよいよ最終章に突入します。昂哉たちの物語の結末は如何に⁉︎
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