バカとクズと召喚獣   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


第九十四問 悪魔

  side 高天原

 

 なんだよこのふざけた装置は⁉︎しかも何故俺は固定されている⁉︎

 

高天原「おい‼︎貴様ら、俺に何をするつもりだ⁉︎」

工藤「いや〜、ちょっとした物理の実験ですよ〜。」

高天原「物理だと⁉︎おい家角、俺を解放しろ‼︎」

家角「生徒の分際でこの大天才物理教師であるこの俺に命令する、と…………これは()()()()()必要があるな。」

高天原「ざけんな‼︎テメェは俺より点数低いだろ‼︎」

美穂「なら教えてくれれませんか、高天原先生?貴方の股間の強度を‼︎」

高天原「はぁ⁉︎ふざけてんのかテメェら⁉︎」

 

 これからコイツらは俺に何をするつもりなんだ⁉︎

 

ムッツリーニ「………その紐、引かないと股間が死ぬぞ。」

高天原「引いて何をするつもりだ⁉︎」

秀吉「綱引きじゃの。負けると股間が死ぬタイプの。」

高天原「なるほどな…………」

 

 綱引きか…………なら俺に勝てる奴は居ないだろう。体罰教師として調子に乗ってる西村でさえ俺の前では赤子も同然だ。全く、コイツらはバカだな‼︎

 

赤田爺「それでは対戦型シャルピー衝撃試験に参加される生徒は全員位置につけい。」

 

 そうして俺の対戦相手……………3・400人くらいが全員まとめて敵の位置についただと⁉︎

 

高天原「ふざけんな‼︎1vs300にするつもりか⁉︎」

家角「何も1vs1とは言ってないよなぁ⁉︎」

高天原「にしてもおかしいだろ‼︎皆して俺を虐めるつもりか⁉︎」

 

 なんて酷い連中なんだ⁉︎世界で一番幸せになるべき俺を虐めようだなんて!コイツらは悪魔か⁉︎

 

工藤「せんぱ〜い、もっと笑って〜♪」

高天原「笑えるわけねえだろ⁉︎バカかお前は⁉︎」

美穂「せっかくYouTubeデビューするのですから、もっと堂々としてて下さい。」

 

 YouTubeデビュー…………だと?

 

高天原「ふざけるな⁉︎俺をいじめてる動画を出して何が面白い⁉︎」

ムッツリーニ「………安心しろ。………俺の手にかかれば怒り顔も笑顔になれる。」

高天原「はぁ、出来るわけねえだろんなこと‼︎」

工藤「ムッツリーニ君はね、映像を加工するのが得意なんですよ〜♪」

 

 はぁ?俺の怒りに満ちた顔を強引に笑顔に加工するのか⁉︎

 

高天原「ふざけんな⁉︎それって捏造じゃねえか‼︎」

赤田爺「御主が今まで散々やってきたじゃろ。」

高天原「俺のは違え‼︎優秀な俺が言った事は絶対真実になるんだよ‼︎そうさせるんだよ‼︎」

 

 例え捏造だとしても、俺だけには許されるべきだ‼︎それなのに何故コイツらは分からない⁉︎バカだからか⁉︎

 

高天原「だいいち見た目は誤魔化せても、声は誤魔化せねえ‼︎」

高天原(CV.秀吉)「それなら心配ねえ‼︎なんせ俺は優秀だからな‼︎怒りの声も歓喜の声に変えることが出来るんだ‼︎」

美穂「秀吉君は演技をするのが得意なのです。」

 

 はぁ?俺の怒りに満ちた叫びを喜びに溢れた叫びに変えるだと?

 

高天原「ふざけんなよ、この捏造連中め‼︎」

赤田爺「秀吉よ、台本はどうするのじゃ?」

秀吉「この撮影を見ながら、ワシがアドリブで決めるぞい。」

ムッツリーニ「………そしてそれを見て俺が顔を調整する。」

赤田爺「分かったのじゃ。」

工藤「よろしく〜!」

美穂「お願いしますね。」

 

 くそっ、俺のこの魂の叫びはバカどもに都合よく書き換えられてしまうのか⁉︎この苦痛をなかったことにされるのか⁉︎

 

高天原「テメェら、離しやがれ‼︎」

家角「それでは、撮影開始‼︎」

赤田爺「了解‼︎」

家角「それでは、実験開始‼︎」 ヒューン

高天原「嫌あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 この後、俺は数百連発も股間に鉄球をぶつけられ、そのまま刑務所に送られた。しかも試験機には、恐らく力の伝達度合いを変えるような工夫がされていた。くそっ、俺をハメたバカどもめ、覚えてろよ‼︎

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺が優子にあの事を言おうと心を決めた時に、

 

優子「高天原とアタシで、アンタをハメた甲斐があったわ。」ニヤリ

 

 優子が変な事を言い始めた。なんで………?

 

昂哉「ゆ、優子…………?急にどうしたの………?」

明久「木下さん、何を言ってるんだ君は⁉︎」

優子「あれ、もしかして分からなかった?ならもっかい言おうか?高天原とアタシで………」

昂哉「それは分かった。でもハメたって………」

優子「冤罪で全てを失った元優等生の幼馴染みを恋人として健気に支える。そしてその結果、彼氏が元の優等生に戻って幸せを再び手にするのに一番貢献する。そしてそれを色んな人に讃えられる。これって優等生っぽくない?」

昂哉「えっ…………?」

 

 確かに優子は学校では優等生を演じてきたけど……………

 

優子「だからアタシは高天原と一緒にアンタをハメて、堕ちた元優等生を作り出した。」

 

 嘘…………あれって高天原だけじゃなくて、優子の仕業でもあったの…………?

 

優子「そしてアタシはアンタを元に戻した事を讃えられた。アンタは所詮、アタシが優等生になるための()()()()()だったわけよ。」

 

 そんな…………

 

昂哉「それじゃあ今までのは…………」

優子「もちろん嘘。どう、秀吉顔負けのアタシの演技は?」

 

 そんな…………今までコイツと過ごした日々は………全部嘘だったのか………清涼祭も、如月グランドパークも、大学祭も、プールも、動物公園も、勉強会も、お化け屋敷も、沖縄も、函館も…………全部自分のためだけの、時間だったのか……………

 

昂哉「凄………いよ…………」

明久「木下さん、何をしてくれたんだ‼︎」

姫路「雲雀丘君のこと、なんとも思わないのですか⁉︎」

霧島「…流石に酷い‼︎」

雄二「同感だ。」

清水「美春もです。」

玉野「優子ちゃん………信じてたのに………」

島田「優子、アンタ………ぶっ飛ばすわよ‼︎」

優子「騙される方が悪いんじゃ〜ん♪それじゃあ、優等生のアタシは忙しいので失礼しま〜す♪」

明久・雄二・島田「「「くそっ‼︎」」」

昂哉「ちょ、待って……………」

優子「や・だ♪」

 

 そう言って保健室から出て行く優子。俺以外は窓の外にいるから、捕まえられない。くそっ、なんで優子が………こんな…………

 

 いや、俺に気を遣ってるだけかも知れない。俺が優子と別れる条件は、三年生への勝利により満たしていた。だから優子は俺が別れやすいよう、敢えて皆の前で嫌われ役を買って出た。じゃないと皆の前でわざわざ評価が下がるような事を言うはずがない!奴は自分よりも他人を優先するタイプだ‼︎例え、自分が犠牲になったとしても…………と信じたい…………

 

 とにかく、まずはもっと優子と話がしたい。アイツは俺が身体が痛くて動けないと思ってるだろう。でも、そんなの知ったことか‼︎絶対に捕まえてやる‼︎

 

明久「皆、木下さんを捕まえるよ‼︎」

雄二「もちろん………」

昂哉「いや、俺が行くよ。」

姫路「雲雀丘君?だ、大丈夫なのですか?」

明久「無理しなくても………」

昂哉「大丈夫。それに、俺は優子を信じてるから。」

雄二「お前がそれならいいが………」

島田「本当に無理はしないでね。」

昂哉「ああ。」

 

 こうして俺は保健室の扉を開け、廊下に出た。すると、全力で右に走る優子の姿を見た。待ってろよ、優子‼︎今必ず追いついてやるから‼︎

 

 

 

 

 そうして俺は優子の後を追った。あっちはばあさんの部屋がある。あの部屋に何の…………って窓から外に出ようとしてる‼︎あの高さは俺の運動神経じゃ出られない…………ってためらってる場合か‼︎今こそ火事場の馬鹿力、使うべき‼︎例え身体がボロボロになったとしても、アイツに絶対追いつくんだ‼︎

 

 

 さて、なんとか窓から外に出られた‼︎そしてアイツは今裏口に向かっている‼︎ならそっちに向かえ‼︎

 

昂哉「くっ…………‼︎」

 

 靴を履かずに全力疾走してるから、足が痛い‼︎でも知ったことか‼︎絶対にアイツを捕らえるんだ‼︎さて、今度はどこへ向かう…………って学校の裏山⁉︎あそこは車では入れない‼︎良かった、車を使ってなくて‼︎さあ、追うんだ、追いつくんだ‼︎幸いあっちは俺に気づいていない‼︎だから逃げる進路も、単純なものとなる‼︎

 

 

 

 

 そうして俺はしばらく山を走って優子を追いかけ回した。流石に足がキツい…………でも見逃さない、この絶好のチャンスを‼︎

 

 そうして俺は走り続け、なんとか優子の視界を捉えることが出来た。そしてやってきた裏山の頂上には、木で囲まれた中にポツンと芝生のスペースがあって、その上にベンチが置いてあった。一方向だけは見開けて崖になっており、安全柵の先には学校などの街並みが見える。そこで優子は、

 

優子「…………」キョロ、キョロ

 

 辺りを見渡し始めた。ちょっとだけバレるのが怖くなって、思わず俺は木の中に隠れてしまった。荒れる息も手で無理矢理口を塞いで聞こえなくした。アイツはそれに気づかず辺りを見渡し続けている。もしや誰かを待っているのか?脱獄した高天原か?とりあえずしばらくは様子見しよう。

 

 

 

 

 しばらくして、優子は辺りを見るのをやめて、ベンチに座った。ベンチは崖方向に向かって設置されており、座ると絶景が見えるようになっている。俺はそれを後ろから見ているため、優子が見ている方向とは反対方向にいることになる。近づくなら今だ‼︎

 

 そして俺は物音を立てないようにこっそりと優子に近づくと………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「ぐすっ、ひぐっ………」ポロ、ポロ

 

 優子は泣き始めた。

 

 

 

 

  side 優子

 

 これで終わり…………これで昂哉との関係も終わり………計画は無事成功したはずなのに、涙が止まらない…………アタシに泣く権利なんて、これっぽっちも無いはずなのに……………昂哉の人生をぶち壊した張本人であるアタシに、別れを惜しむ権利なんて無いはずなのに………

 

 

 

 

 小4の時のファンクラブの人からの暴行未遂事件以降*1、下校時間にはアタシの小学校に昂哉が来てくれるようになった。アタシはそれが嬉しくて、毎回下校時間を楽しみに学校生活を送っていた。

 

 そしてアタシが小6、昂哉が中3の時だった。アタシはいつものように昂哉が来るのを学校の正門で待っていると、

 

高天原「なあお前、雲雀丘昂哉を知ってるか?」

 

 昂哉と同じ中学の人に話しかけられた。

 

優子「はいっ、そうです!」

高天原「なら俺について来い。2人で話がしたい。」

優子「すいません、昂哉お兄ちゃんとの約束があるので、行けません‼︎」

高天原「いいや、アイツが来るまでの間だけでいい。」

 

 アタシはそれが高天原大門だとも知らずに、子供らしく無邪気に返事をしていた。そんなアタシに高天原は少しの時間でも2人で話そうとした。アタシはこの日昂哉がちょっとだけ遅くなるのを知ってたので、

 

優子「なるほど!なら分かりました‼︎大丈夫です!」

高天原「そうか。ならついて来い。」

優子「はい‼︎」

 

 彼について行く事にした。これが全ての間違いだった。

 

 

 

 アタシたちが路地裏に着くや、

 

高天原「…………」ドン!

優子「ひいっ⁉︎」

 

 高天原はコンクリートの塊を殴って粉々にした。あまりにも突然だったので、アタシはびっくりしてしまった。そして、彼の強さが恐ろしくなってしまった。そして次の瞬間、

 

高天原「お前はしばらく俺の言う事を聞け。でないと雲雀丘昂哉の人生がめちゃくちゃになるぞ。」

優子「あ…………あ…………」

高天原「ちなみにこれを他の人に言っても同じだ。」

 

 アタシは胸ぐらを掴まれながら、高天原に脅された。本当に怖かった。おしっこを漏らしそうになるくらい、本当に怖かった。膝もガクガク震えていた。でもそれ以上に、アタシの大好きな昂哉の人生が壊されるのが嫌だった。あの人の辛い顔を想像するだけで、胸が苦しくなった。アタシはどうなったっていいから、昂哉だけは幸せでいて欲しい。だからアタシは、

 

優子「分かり…………ました…………。アタシは貴方の………言う事を聞きます………。だから、だから昂哉お兄ちゃんだけは‼︎」

高天原「そうか。それでいい。」

 

 こうしてアタシは高天原の言う事を聞いた。それは単純で、ただのカメラで撮られながらの彼の性欲処理だった。アタシはこの男に初めてを捧げるのが嫌で嫌で仕方がなかったけど、それが昂哉のためになるのならやるしか無かった。むしろそれだけで済むのならいいと思っていた。

 

 

 

 強姦された日*2からしばらく経ったある日、

 

優子ママ「優子、知ってる、昂哉君のこと?最近一緒に帰れてないよね?」

 

 ママから昂哉の事を聞かれた。この頃から昂哉は高校受験があるからという理由で、しばらく一緒に帰ってなかった。窓越しに昂哉の部屋が見れたものの、そこにはカーテンがずっとかかっていて、中は見えなかった。だからアタシは昂哉の近況が分からなかったので、

 

優子「知らないけど…………」

 

 こう答えた。するとママは、信じられない言葉を返した。

 

優子ママ「あの子ね、悪い事をやって不登校にさせられてるの。」

 

 誰にも優しかった昂哉が悪い事をしたという事実。アタシにもあんなに優しくしてくれたのに。それがアタシは信じられなかった。

 

優子「嘘だ‼︎昂哉お兄ちゃんはそんな事しない‼︎」

優子ママ「もちろんママも、それからおじちゃんおばちゃんたちもそう思ってるよ。でもね、しばらく学校には行けないんだって。」

優子「やだやだやだやだ‼︎昂哉お兄ちゃんと会いたい‼︎昂哉お兄ちゃんを助けたい‼︎」

優子ママ「それが出来たらいいんだけどね………警察の人からも会わないようにって言われてるの。」

優子「そんなぁぁぁぁぁ‼︎うわ〜ん‼︎」

 

 こうしてアタシはずっと泣きじゃくっていた。しばらく学校に行ってもずっと落ち込んでた。四六時中泣いてた。

 

 

 

 

 そしてある日の下校時間、

 

高天原「よう。ちょっとこっちに来い。」

 

 アタシはまた高天原に話しかけられた。

 

優子「はい……………」

 

 そしてアタシは前と同じように路地裏に行った。そしてそこに着いたとき、

 

高天原「そういえば、雲雀丘昂哉は強姦して謹慎処分になったらしいなぁ⁉︎」

優子「ごうかん?きんしんしょぶん?」

高天原「強姦とは、無理矢理いやらしいことをする、と言う事だ。それと謹慎処分とは、悪い事をして学校に来るなと言われる事だ。」

優子「そう、ですか…………それなら、そうですね…………」

 

 高天原は昂哉の事を話し始めた。同じ中学だから知っててもおかしくはない。そう思った時、

 

高天原「全く、無様だよな〜、アイツは。ただでさえ無能なのに、罪まで犯すだなんて!」ニヤリ

 

 高天原がニヤリと笑いながら昂哉をバカにした。そしてその時なんとなく分かった。今までやってきた事。それは、アタシを利用して昂哉を悪者にしたと言う事。これに気づいた時、自然とアタシの口から怒りの言葉が飛び出ていた。

 

優子「酷い、酷いよ‼︎昂哉お兄ちゃんだけは助けてくれるって約束したのに‼︎」

高天原「酷い?心外だなぁ⁉︎」

優子「なんで約束を破ったの⁉︎ねえ、なんで⁉︎」

高天原「バカだなぁ、お前は。全く、本当にバカな子供だ‼︎」

優子「うるさい‼︎バカはお前だ‼︎」

高天原「俺は確かに、言う事を聞かなければ雲雀丘昂哉の人生がめちゃくちゃになるとは言った。」

優子「そうだそうだ‼︎」

 

 そんなアタシに対して、高天原は信じられない事を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「でも言う事を聞いたから奴が助かるとは、一言も言ってないよなぁ?」

優子「えっ……………?」

 

 言葉の裏を突く、衝撃の一言。それがアタシには突き刺さった。

 

高天原「それをお前は勝手に勘違いして俺の言う事を聞いた。」

優子「う………そ………」

高天原「あの時お前は言う事を聞かずに俺を力でねじ伏せていれば、雲雀丘は助かったんじゃないのか?あの時俺から上手く逃げ切れれば、雲雀丘は助かったんじゃないのか⁉︎あの時もっと上手くやれてれば、こんな目に遭わずに済んだんじゃないのか⁉︎」

優子「そ………ん…………な…………」

高天原「雲雀丘昂哉の人生を壊したのは誰だ⁉︎他ならぬお前自身だろ⁉︎

 

 大好きなあの人の人生。それを守るどころか、自分でぶち壊していた。アタシがあの時別の行動を取っていたら、昂哉はこんな目に遭わずに済んだ。アタシが間違えたから、昂哉の人生は崩壊した。自分のした事に対する罪悪感で、胸がいっぱいになった。

 

優子「うわわわわわぁ‼︎ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎」

高天原「謝る人が違うだろう?まあ謝ったところで、奴の人生は元に戻らないけどな♪」

 

 謝っただけでは済まない。一度壊したものは、きちんと直さなければいけない。でももしここで今昂哉に謝ったら、それこそ昂哉の人生は壊れたままだ。アタシの言うことなんて聞いてくれなくなるだろう。だからアタシは昂哉が元に戻れるように助けなきゃいけない。そして助け終わった後で、罪を懺悔しなければいけない。アタシは彼にとっての悪魔になってしまったのだから。

 

 

 

 その日から、昂哉を元に戻そうと頑張った。そのためにも、まずは自分が昂哉みたいな優等生になる必要があった。それと、次に高天原が邪魔してきた時のために、身体を鍛える必要があった。こうしてアタシは学校では優等生を演じ、その裏で段々と自分の力が強くなっていった。

 

 でも昂哉にはなかなか会えなかった。それから一年後に繁華街でようやく会えたが、

 

優子「た、昂哉お兄ちゃん………久しぶり………」

昂哉「おっ、優子じゃん!久しぶり〜♪」

優子「こ、高校はどうなの…………?」

昂哉「高校?そんなのどこも受けてないよ。だって学校行くのめんどくさいし。学校なんか行ったら、こうして毎日遊べなくなっちゃうじゃん♪」

優子「ちょ、ちょっと!行かなきゃだめだよ!なんで受けなかったの⁉︎」

昂哉「だって、高校は義務教育じゃないもん♪だったら行かなくていいよね〜。」

優子「で、でも!」

昂哉「何を言っても無駄無駄〜♪」

 

 何を言っても昂哉は自分の意志を曲げなかった。その後も何回か会ったが、何を言っても聞き入れてくれない。加害者の戯言に被害者が従う権利なんて無い。そんな事は分かってたけど、どうしても元の幸せを味わって欲しかった。だからそれから二年後のある日、昂哉が学校に通ってない事をおじさんたち*3に報告した。もちろん、

 

昂哉「ちょっと優子、何してくれてんのさ⁉︎」

 

 昂哉にはその後で文句を言われた。でもアタシは貴方に幸せになって欲しい。そのためにはなんとか言う事を聞いて欲しい。

 

優子「ニートを躾けるのは、当然でしょ?」ぐぎぎぎぎ

昂哉「痛、痛いよ優子‼︎腕が潰れる‼︎」

優子「こうなりたくなかったら、ちゃんと言う事を聞く事。いい?」

昂哉「は、はい…………」

 

 だからアタシは強くなった力を使った。体罰を使った。というかそれしか思いつかなかった。アタシがバカで愚かだから。もちろんこんな事をしたら嫌われるのは知ってた。でもそんなの人生をぶっ壊したことを言えばどのみち嫌われる。というか嫌われて当然。だってアタシは、貴方にとっての悪魔なのだから。

 

 

 

 こうしてアタシは脅迫を利用して昂哉の不真面目になった部分を戻す事をした。二年になってからは恋人という立場に無理矢理なって。昂哉が悪い事をしたら、躾けて元に戻す。悪魔らしい、最低最悪の愛情だ。

 

 ただ昂哉に負担が行きすぎてもいけない。だからアタシは躾けるときだけ関わるようにした。自分からはデートに誘わない。手を繋ぐなどの恋人らしい事も自分からはしない。もし本当にしたくなったら、それは悪い事をした時の罰として行う。それを何も知らない秀吉や瑞希とかは、

 

秀吉「姉上、恋人に遠慮し過ぎじゃろ。」

姫路「そうですよ!もっと雲雀丘君とくっついていいんですよ!」

優子「いいよ、アタシは別に!これで満足だから!」

 

 遠慮気味と言ってた。でもこれで本当に満足、むしろ傲慢な方だった。

 

 

 

 

 昂哉は予想通り、最初はちゃんと嫌がってくれた。被害者が加害者に向けるべき対応を、知らずとも当然のようにしてくれた。でも段々、昂哉はアタシに気を遣い始めちゃった。やっぱり昂哉は昂哉だ。優しいままだ。アタシはそういう安心感を得ると共に、勘違いを抱かせないように、

 

優子「ふぅ〜、お腹いっぱい♪」

昂哉「なのにあっという間に食べ終わった!」

優子「不思議だよね〜。これが美味しさの証って事かな?」

昂哉「まあ、俺はいつもそうだけど♪」

優子「えっ………?///」

昂哉「それじゃあ会計お願いしま〜す♪」

山奥「はいよ!」

優子「あの、その、いつもって………///」

昂哉「言った通りだよ。いつも作ってくれてありがとね!」

優子「ど、どういたしまして………///」

昂哉「さてと、それじゃあ次の場所に行くぞ〜!」

優子「う、うん!///………まあ、褒めてもいじめるのはやめません♪」

昂哉「クソが‼︎」

 

 時々嫌われるような事を言った。それなのに、昂哉は優しいからアタシに気を遣って、好きになってきたかも、とか言ってくれた。その言葉にこっちがますます好きになってった。

 

 でも所詮アタシは加害者で悪魔。だから全てが終わったら、自分の罪を皆の前で打ち明ける。そして昂哉を解放する。それが作戦の締めだった。アタシはこの功績を利用した優等生のフリをし、留学する。もしくは高天原に自白され、刑務所にぶち込まれる。そうして昂哉と自然と距離を取る。そしてそれは上手くいった。高天原は敗れ、昂哉の冤罪も晴れる流れになった。アタシもきっと留学先か刑務所に行くだろう。

 

 だからアタシは本来喜ぶべきはずなのに、全てを言い終わった時、自然と涙が出てきそうになった。もっと一緒に居たいという傲慢な想いが、口から溢れ出そうになった。だからすぐに走って逃げた。もし昂哉に泣いてるところなんか見られたら、また気を遣わせてしまう。彼にはアタシが悪魔という事実だけ知っていて欲しい。

 

優子「ごめん………なさい…………昂哉…………」

 

 そしてアタシか居ない世界で、幸せになって欲しい。

*1
第二十問参照

*2
脅された日とは別の日

*3
昂哉の両親




 ということで、今まで伏せられていた優子の気持ちや行動原理が明らかになりました。子供は何か悪い事があると全て自分のせいにしてしまう。優子もずっと自分のせいで昂哉が闇堕ちしたと思って過ごしてきたのです。優子の性格が原作とちょっと違くない、と今まで思ってきた方もいるとは思いますが、その理由は全てこれです。

 さて、優子が泣いてるの聞いた昂哉はどうするでしょうか?それは次回のお楽しみに!

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