やはり俺が強くなることは間違っているだろうか   作:149

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#12 面影

「…?」

 

「どうした、アイズ?」

 

二人の冒険者が五階層に足を踏み入れていた。

 

「人が倒れてる」

 

「モンスターにやられたのか」

 

ホームの真ん中にぽつねんと、二人の冒険者が転がっていた。まるで行き倒れのように倒れてるそれに、二人は近付く。

 

「外傷はなし、治療および解毒の必要性も皆無…典型的な精神疲弊だな。こっちも…ん?この少年は…」

 

思い出されるのは数日前での酒場での事。うちのベート(馬鹿)がそしり我々【ロキ・ファミリア】に宣戦布告をした少年。

 

「どうしたのリヴェリア…あ…」

 

「気付いたかこの子あの時の少年だ」

 

「うん。それにそっちの子も…」

 

「…なるほど。件のもう一人の少年か」

 

リヴェリアはアイズからベルのことは聞いていた。あの日逃げだした少年が嘲笑されたもう一人の少年だと。リヴェリア自身はその話を聞いて何よりハチマンの言葉を聞き深く反省した。彼等には悪いことをしたと。

 

「リヴェリア。私、この子達に償いをしたい」

 

「…言いようはほかにあるだろう」

 

硬すぎる、とため息をつく。しかし当の本人は何を分かっていないようでリヴェリアは何も言わないことにした。

 

「まあ、この場を助けるのは当然の礼儀として…」

 

まだまだ起きそうにないことを確認すると、ちらりと横目で少女を見やった。

 

「…アイズ、今から言うことをこの少年にしてやれ。償いなら、恐らくそれで十分だ」

 

「何?」

 

リヴェリアは簡単に内容を伝えた。

 

「…そんな事でいいの?」

 

「確証はないがな。だが、この場を守ってやるんだ、これ以上尽くす義理もないだろう。…それにお前のなら喜ばない男はいないさ」

 

「よく、わからないよ…」

 

分からなくてもいいさ、とリヴェリアは苦笑した。アイズは暫く考え込み、やがて顔を凛々しく構える。

 

「わかった。私はこっちの子にするからリヴェリアはそっちの子に」

 

「ああ、わかった私はもど…え?」

 

「?」

 

きょとん、とアイズは首をかしげる。それがさも当たり前と言わんばかりに。

 

「リヴェリアはしないの?」

 

「いや、私は…」

 

「でもこの前リヴェリアも反省してるって…」

 

純粋な瞳で見つめられリヴェリアは身動ぎする。

 

「…わかった私もしよう」

 

そこでリヴェリアはおれ、二人で償いをすることになった。

 

***

 

まどろみに抱かれていた。包み込んでくれるようなぬくもり。穏やかだ。ずっとこのまどろみに包まれていたい。

 

(…?)

 

そっと頭を撫でられる。優しい優しい指使い。昔遠い昔誰かに頭をなでられた気がする。

 

(…おふくろ?)

 

遠い向かしまあ生きていたころにそう頭をなでられた気がする。そこからおずおずと瞼を開ける。すると瞳にぼんやりと輪郭がうつる。

 

(!?)

 

かすむ瞳を一気に見開く。次第にはっきりしていく顔のパーツ。最初に見えたのは緑の髪。そして長い耳に整った顔。最後は髪の色と同じ瞳。

 

「…」

 

「む、起きたか?」

 

目は覚めたしかし頭はさえない。状況の理解ができない。ただ何となく予想はついている多分膝枕をされている。周りを見るとモンスターの死骸が転がっており横にはアイズ・ヴァレンシュタインに膝枕をされているベルの姿があった。なるほど…。

 

「…夢?」

 

「…現実だ」

 

それから全力で立ち上がり飛びのき距離を取る。そして改めて顔を見る。

 

(この人酒場に…てことは【ロキ・ファミリア】か…。緑の髪と瞳そしてエルフ…つまり)

 

「【九魔「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」…」

 

俺が呟こうとするとベルが全力で叫びながら走り去っていく。それを俺とヴァレンシュタインさんと【九魔姫】が唖然とした顔で見送っていく。また気まずくなったぞテメエこの野郎!!

 

「…何でいつも逃げちゃうの?」

 

「ぷっ…ふふっ…」

 

「!…むぅ…!」

 

悲しそうに呟くヴァレンシュタインさんを見た【ナインヘル】が笑う。それを見たヴァレンシュタインさんは頬膨らませながらポカポカ、と【ナインヘル】を叩いていた。叩いているといっても俺が殴られてもいたくないような威力だ。するとナインヘルは堪えられないと言う風に声を上げて笑い出す。その光景をただただおれは眺めていた。

 

(何あれ可愛い…ていうかあんな美人に膝枕されてたならもうちょっと『ハチマン君?』なんでもないですええ)

 

「黒髪の少年」

 

「ひゃい!!」

 

いきなり声をかけられた俺は素っ頓狂な声を上げてしまう。くそ恥ずかしい…。そして二人と視線を合わせると最初はむくれ顔だったヴァレンシュタインさんもナインヘルも驚いた表情を浮かべていた。

 

「その…もしかして嫌だっただろうか?」

 

「…何がですか?」

 

「いや…その…今やっていたものだ…」

 

そう言うと思い出したのか少し耳を染めていた。何あれ可愛い。

 

「いやじゃなかったですけど…てかお二人にやられて嫌な男子なんていないと思いますけどね。そして俺も男子なんだなと再確認したところです」

 

『ひねくれ者』

 

うっせ。

 

「?…!そうかそれならよかった」

 

「??」

 

ヴァレンシュタインさんは俺の言ったことがわからないのかずっと首をかしげており、見かねたナインヘルがヴァレンシュタインさんに耳打ちをしている。いや改めて説明されるの恥ずかしいんですけど。耳打ちでの説明が始まると最初はけげんな顔を浮かべていたが段々と理解したのかなるほどみたいな顔を浮かべる。

 

「なら…あの子は男の子じゃない…?」

 

そう悲しげにつぶやく。最初は何を言ってるのかわからなかったがさっきのセリフを思い出し何を言いたいのか理解する。要するにベルが逃げたことを気にしてるんだろう。そのあまりに悲しそうな表情に思わず声をかけてしまう。

 

「あー、その、ベルはああベルってさっきの白髪のやつですけどそいつは嫌で逃げたわけじゃないですよ」

 

「ほんと…!?」

 

「ち、ちかいちかい」

 

おれがそう言った瞬間ヴァレンシュタインさんが鼻と鼻が触れ合いそうなほど近づいてくる。速い近い近いいい匂い

 

「ほ、ほんとですよ。女性に耐性がないんでああやって恥ずかしがって逃げただけですよ」

 

「そっか…。ねえ君名前は?」

 

「ハチマン・ヒキガヤです」

 

「ハチマン…ハチマンは私の事怖い?」

 

「ヴァレンシュタインさんが?」

 

「うん。それと私のことはアイズでいい」

 

「ヴァレン「アイズ」ヴァレ「アイズ」…アイズさん」

 

俺がそう呼ぶとヴァレ「アイズ」おい脳内にまで来たぞこの人。

 

『素直に呼んであげればいいのに』

 

(俺みたいなのにはきついんだよ…)

 

『でも嬉しそうだよ?』

 

(気のせいだろ)

 

俺はティポとの会話を切り上げアイズさんの問いに答える。

 

「まあ怖いとは思いませんよ」

 

「!ほんと?ほんとに?」

 

「だから近いって…!?」

 

ほんとにこの人のパーソナルスペースどうなってんだよ。勘違いしちゃうだろ。そして告白して振られるまである。わお振られちゃった。『どんまい』お前はマジで黙れ。

 

「ぷっ…」

 

そんなアイズさんと俺のやり取りを見てナインヘルはまたくすくすと笑い始める。

 

「あの…ナインヘルさん笑う前に助けてくれませんかね…?」

 

「ふふっ…いやすまない。普段見ないアイズの姿につい…な。それと私もリヴェリアでいいぞ」

 

アイズさんも呼んだのだからどうにでもなれとリヴェリアさんもそう呼ぶことにする。ここで俺はこの人達に喧嘩を売っていたことを思い出す。今更ながら冷や汗が出てくる。取り敢えず謝っとこう。

 

「そういえばあの日すいませんでした」

 

「あの日?」

 

「あの酒場でのことです。まああの犬に謝る気はありませんけど空気を悪くしてしまったでしょうし」

 

「いや原因はうちの馬鹿者だ。それにあの時止めきれなかった私にも責任がある。こちらの方こそすまなかった」

 

「い、いや頭を上げてください。それより他の【ロキ・ファミリア】の人にも言っといてくれると助かります。あの犬以外」

 

「ふふっ、ああベート以外の者には伝えておこう。といっても大半のものは気にしていないと思うが」

 

ならよかった。今【ロキ・ファミリア】に襲われたら勝つ見込みなんてないからな。まああの発言を嘘にする気もないけど。

 

「それじゃあ俺はそろそろここで。助けてくれてありがとうございました。この恩はいつか返します」

 

「気にしなくていい。あの時のお詫びだと思って受け取っておいてくれ」

 

「いやいつか返しますでは」

 

「あ…」

 

俺はそう告げると足早にダンジョンの出口を目指した。

 

***

 

「いっちゃった…」

 

寂しそうにつぶやくアイズの姿を見てまた心の中で笑ってしまう。

 

(本当に変わったな…)

 

思い出すのは初期の頃のアイズ。モンスターを狩ることしか頭になく、そのバーサーカーっぷりには私もフィンも肝を冷やしたものだ。それが今ではハチマンと言う少年の別れやベルと言う少年に逃げられたことを悲しんでいるように見える。

 

(それにしても…あの少年…)

 

酒場での一件以来の邂逅。

 

(話してみると捻くれてるが面白い少年だ)

 

あの時とは別人だが、と苦笑する。Lv6である私が押されたほどの圧が彼からは一切感じられなかった。今でもあの時と同じ少年だと言うのが信じられない。

 

(ハチマン・ヒキガヤ…覚えておこう。…それにしても…)

 

リヴェリアはその名を呟くとともに先程のセリフを思い出していた。

 

(私のも…嬉しかったと言うのほんとだろうか)

 

意外に乙女なリヴェリアたんであった。

 

***

 

ダンジョンから出てきた俺は一度ホームへと帰りダンジョンに潜る準備をし『豊饒の女主人』へと足を進めた。ホームに戻った際ソファーの上で蹲って嘆いているベルがいたが、めんどくさそうなので放置した。

 

「おはようございますー」

 

小声で挨拶をしながら『豊饒の女主人』の裏手にある庭の扉を開ける。

 

「!おはようございますヒキガヤさん」

 

するとリューさんから反応が返ってくる。見ると素振りをしていたのか木刀を片手に佇んでいた。そこから俺は同じ木刀を受け取りリューさんの前で構える。お互い口下手なことも相まって挨拶をすると特に会話をすることもなく戦闘態勢に入る。

 

「行きます」

 

合図はいつも俺から。その合図と同時に俺は踏み込みリューさんの目の前まで迫ると下から上へ木刀をふるう。

 

(前よりも速いっ!)

 

確かにハチマンは速かった。しかしそれはあくまでLv1の中での話。多少驚きはしたもののリューはその刃を軽くいなす。そして反撃と言わんばかりに木刀をふるう。それをハチマンは避け時には受け流し反撃をし…その激闘の中でリューは純粋に恐怖する。

 

(初日とは比べ物にならないほどの速さ…。それに駆け引きと技。貪欲すぎるほどの渇望。本当に末恐ろしい)

 

この少年は将来必ず化ける、と確信があった。そうこうしてるうちにも少年の攻撃が頬をかする。リューはそのお返しに木刀を縦にふるった。それをハチマンは木刀を横にし両手を添え受け止める。そしてハチマンは支えていた方の手を離しそれを見たリューはまた受け流される、と考え力を抜き次の一手に備える。その瞬間ハチマンがニヤリ、と笑う。

 

(っ!?)

 

それに気づいた時にはもう遅かった。ハチマンは離した手を振りかぶり勢いをつけ木刀を殴った。それによりリューの木刀は払われ僅かに宙に浮かぶ。ほんの一瞬の隙。木刀を払われたリューの胴体は今無防備。

 

(しまっ!?)

 

その一瞬の隙をハチマンが見逃すわけもなく胴体目掛け木刀を一閃する。そしてその攻撃は抵抗されることなくリューの脇腹を直撃する。

 

(っ!!)

 

(やっと一発…!?ぐべれっ!?)

 

やっと一発入れられた、そのことで喜び一瞬油断したハチマンはリューの蹴りが横腹に入り吹き飛ぶ。

 

「…ハチマンさん」

 

「…はぃ」

 

「覚えておいてください人はとどめを刺す時などもっとも油断する」

 

「はい…肝に銘じます」

 

とどめとまではいかなくても攻撃を入れたことで油断してしまったハチマンは素直に反省する。そしリューに対し流石だ、と関心するが当の本人は内心バクバクだった。

 

(今のは危なかった…)

 

別に油断したわけじゃなかった。なのにも関わらず一撃入れられた。この事実があの瞬間リューに本気を出させた。その証拠にハチマンはリューに本気で蹴り飛ばされ未だにそのダメージから回復できていなかった。

 

「今日はこの辺にしましょう」

 

「はい…」

 

未だダメージから回復してないことや一撃入れられたこともありハチマンは了承する。そしてその直後

 

「シルさんはいますかっ!」

 

忙しないベルの声が響いた。

 

***

 

開店してないにもかかわらず騒がしい『豊饒の女主人』の扉を開ける。すると丁度焦った表情のベルとシルさんが話している所だった。

 

「…それは、大変なことをしてしまいましたね、ベルさん」

 

「ちょっとシルさーんっ!?何でさも他人事みたいに言ってるんですか!?」

 

「うるせえっ…」

 

「あっ!ハチマンっ!た、大変なんだよ!僕たちが読んだの魔導書らしくて…」

 

「おうそうか」

 

「軽いよっ!?」

 

「うっとおしいよ、坊主。人様の店で、朝っぱらから」

 

そうこう問答を繰り広げていると、騒ぎを聞きつけてか、なんと女将のミアさんが姿を現した。ミアさんにビビって固まっているベルの手の中から二つある本のうち一つをひょいっと抜き取ってパラパラと中身を確認する。

 

「確かに魔導書だねえ…でもまあ、読んじまったもんは仕方ない。坊主、気にするのは良しな」

 

「ええっ!?で、でもっ…」

 

「こんなもの読んでくださいとばかりに店に置いて言ったやつが悪い。坊主が読まなくたって貴重な魔導書を見つけたら、自分のものだと嘘をついてまでそこらの冒険者が目を通していたよ。これはそう言うもんさ。それにそこの坊主は割り切っているみたいだしね」

 

「そう言うことだベル。気にするな」

 

「…あんたはもう少し気にした方がいいと思うけどねえ」

 

「あっはは…」

 

ミアさんは呆れたような顔で俺の方を見る。その後ミアさんは俺達のことを一瞥すると店の奥へと帰っていった。

 

「…えっと、すいません、お騒がせしました。じゃあ、ボクはこれで」

 

暫くしてから俺とベルは顔を見合わせ踵を返そうとすると、ベルはシルさんに、俺はリューさんに引き止められる。

 

「ヒキガヤさん…その…」

 

「…も、もらいます」

 

おずおずと差し出されるバスケットを受け取る。見るとベルも受け取っており顔を赤くしている。そして俺達は顔を赤くしながら感謝を伝え今度こそ『豊饒の女主人』を後にした。

 

***

 

いったんホームに戻った俺達は魔導書を置き、ベルの準備を待つ。

 

「そうだハチマン!」

 

「ん?」

 

「回復薬ももう切らしたし、ミアハ様のところによってみない?」

 

ベルにそう言われ確認してみると回復薬の数が心許ないことに気付き、それを了承する。そこから準備を終えダンジョンへと向かう。そしてその途中の西のメインストリートを外れた少し深い路地裏。そこにぽつんと建てられた一軒家。

 

「すいませーん、おはようございまーす…」

 

両開きの木扉を少し開けて覗いてみると、薄暗い店内では一人の獣人の女性は戸棚の中身を物色していた。彼女は俺達に気付き、半分瞼の下りた眠そうな目を向けてくる。

 

「おはよう、ベル、ハチマン。久しぶり…」

 

抑揚のない声で挨拶を告げてくるが彼女はこれが素だ。前回たまたまあったミアハ様に案内された時も彼女はこんな感じだった。

 

「朝早くからすいません。今、大丈夫でしたか?」

 

「大丈夫、ベル達が帰ったらお客なんて来ないから…。それで、今日は何を買ってくれる?」

 

笑えないブラックジョークを言いながらカウンターをはさんで俺達と向き合う彼女はしまってあったケースを出して、カウンターの上に置いた。幅広い箱の中で色彩様々な液体が詰まった試験管が丁寧に並べられている。

 

「そういえば、ミアハ様は?いらっしゃらないんですか?」

 

「ミアハ様は私用で夕方まで帰ってこない。今日は私一人だけ…」

 

ベルの問いにそんな答えが返ってくる。

 

「ベル、どう、そろそろこのハイ・ポーションなんか使ってみない…?」

 

「いっ、いやあ、僕にはまだまだ早過ぎますよ~」

 

数万ヴァリスで販売されてる高等回復薬を差し出されベルは引き攣った笑みを浮かべている。そこから俺は二人のことを見ながら適当に回復薬を見繕っていく。

 

『ハチマン君って装備品とかあんまりこだわんないよね』

 

(ん?あーでも確かにそんなこだわってないないいのあったらって感じだな)

 

『強くなりたいんじゃないの?』

 

(…ああまあ強くなりたいけどステイタスとか武器とか何もなくても俺の中に残る強さが欲しいんだ。まあ確かに守るためには装備がいるのは否定できないからな。だから全くこだわってないってわけでもないぞ)

 

『ふーんなるほどね』

 

ティポは納得したのかそれ以上声をかけてくることはなかった。

 

「わかりました。それで、買います」

 

「ありがとう、ベル。愛してるよ…」

 

どうやらベルとナァーザさんの会話も終わったらしくそんな声が聞こえてくる。原価九〇〇〇ヴァリスの愛。ずいぶん安い愛だなおい。

 

俺も回復薬の買い物を終え店を後にする。

 

「ちょろいな、ベル…」

 

そんな声が聞こえた気がするがベルの為にも聞こえないふりをしておいた。

 

***

 

店を経った後西の大通りを進んで、中央広場に出る。晴れ渡る空の下今日も円形広場で完全武装をした戦士たちが集っていた。

 

(リリが遅刻…?珍しいな)

 

そう思いつつ辺りを見渡してみるとそれらしい姿も見えなかった。仕方がないと思いながらもバベルまで赴こうとすると、その途中三人の大男に囲まれているリリの姿が目に入る。その大男達の形相はとても穏やかとはいい難くリリの方も必死に顔を横に振っている。決していい雰囲気とは言えない。気づいたら俺はわき目もふらずに歩み寄っていた。

 

『…いいからっ…寄越せっ!』

 

『もうっ…ない…ですっ!本当に…!』

 

リリの抵抗する声が耳に入る。何の考えもなしにすぐさまその場に飛び込もうとする。

 

「おい」

 

「!?」

 

しかし突然。その動きを肩を掴まれ邪魔をされる。驚きそっちの方を見ると男の冒険者が俺とベルの肩を掴んでいた。

 

(あ?こいつ…)

 

「やっぱりあの時のガキどもか…まぁいい、聞くぜ。お前、あのチビとつるんでるのか?」

 

この声と見た目。間違いないあの時小人族を襲っていた男だ。

 

「オイ、さっさと答えやがれ。お前ら、サポーターを雇ってんのか?」

 

「…あの子は、貴方が追いかけていたパルゥムのことは違う子ですよ」

 

正体に気付いていないベルはそう言う。しかし俺は全部気付いていた。多分種族が違うのは魔法かスキルだろうと踏んでいた。そんな信じているベルを目の前の男はそれをあざ笑った。

 

「バァカ…と言ってやりてえが、思うのはテメエの勝手だ。せいぜい間抜けを演じてろ」

 

そのセリフにベルは怪訝な顔を浮かべる。恐らくそのセリフに違和感を抱いているんだろう。そして男は嘲笑を引っ込め顔つきを改める。

 

「それよりお前ら、俺に協力しろ。…あのチビをはめるんだ」

 

「なっ…」

 

「ただとは言わねえよ。報酬は払ってやるしアレから「断る」…あ?」

 

言葉を遮られたせいかそれとも断られたせいか男は不機嫌そうに俺を睨む。さっきからイライラしてた俺はそのまま言葉をぶつける。

 

「お前に何を言われようとそんな作戦に乗る気はない」

 

「クソガキがぁ…!」

 

男は顔を歪め凄味を利かせてくる。がひるまず睨み返す。暫く睨み合いが交わされるが、男は舌打ちをし踵を返す。

 

「…お二人とも?」

 

「「!」」

 

背後からの呟き。ばっ、と後ろを振り返るとリリが呆然と俺達のことを見上げていた。

 

「リ、リリっ?いつからそこに?」

 

「ちょうど今ですけど…あの冒険者様と、何をお話していらっしゃったんですか?」

 

「ちょっとあの冒険者にいちゃもんつけられて…な」

 

俺は咄嗟に嘘をつく。そんな俺を口を引き結んで少し暗い表情をしている。

 

「そ、そうだっ!なんだか絡まれていたみたいだけど、リリは大丈夫だった!?」

 

「見ていらっしゃったんですか…。安心してください、リリはこの通り無事ですから」

 

リリは両手を広げその場でくるりと回り、微笑んで見せた。取り敢えず乱暴された形跡はなく安心する。

 

「リリ、あの人達は…」

 

「リリもハチマン様達と一緒でいちゃもんをつけられてしまいました。リリもハチマン様もベル様も、やはり弱っちく見えてしまうんでしょうか?」

 

明らかな拒絶。これ以上踏み込んでくるなと言わんばかりに話を遮る。

 

「さあ、行きましょう。リリは二日も探索をさぼってしまったので、今日はベル様のご活躍を期待させてもらいますよ?」

 

俺達のわきを通ってリリはバベルへと足を進める。その後ろを黙ってベルがついていく。

 

『どうするの?』

 

(どうするもこうするも何もしない)

 

『何もしないって…危険じゃない?』

 

(まあ危険だろうな)

 

『ならなんで…』

 

(…妹に似てたから?)

 

『…シスコンめ』

 

(誰がだ)

 

お前だよ、とティポは思わず言いそうになるがどうせ何を言っても無駄だろうと察して口には出さない。

 

(あーあ、もっとハチマン君の役に立てればな…)

 

これが新たなスキルのきっかけになるとは思わずにティポは心の中でその思いを溶かした。

 

***

 

「話ってなんだいハチマン君?」

 

ダンジョンから教会の隠し部屋に帰還した後、ベルがヘスティアにリリのことを相談しベルとヘスティアとで色々話し合いをした後俺はヘスティアだけを呼び出した。

 

「いやちょっとリリのことで話がある」

 

「さっきのサポーター君の事かそれでどうしたんだい?」

 

俺はリリのこれまでの事を全部包み隠さずに話した。その話をしていくうちにヘスティアの表情が色々と代わっていく。

 

「ってわけだ」

 

「…」

 

話し終わるとヘスティアは目をつぶり何かを考えこんでいるのかずっと無言でいる。暫くしてヘスティアがゆっくり眼を開き口を開く。

 

「それで…君はどうしたいんだい?まさかこれを伝えるためだけに呼び出したわけじゃないだろう。キミは時々ポンコツだけど考えもなしにこんなことをする男じゃない」

 

「お見通しって訳ね…」

 

ヘスティアはそこから怒るわけでもなく俺の意見を聞こうとしている。本当にいい神様だ、と再確認する。なんか馬鹿にされた気がするけど。

 

「キミはベル君ほどじゃないけど分かりやすいからねぇ。それで言いたいことは何だい?」

 

「この一件ベルも言っていたがベルに任せてほしい」

 

「…何でだい?」

 

「今のリリにはベルみたいな真のお人よしが必要なんだ」

 

「なるほど…。もう一つ何で任せてほしいと言ったんだい?」

 

「…妹に似てたから」

 

俺はずっと考えていた。何で明らかに自分に害があるリリをこうやって放置しているのか。考えに考えて単純明快な事だった。俺はもうすでに守るべきものにリリをカウントしていたのだ。俺の姿を重ねコマチの姿を重ねたあの時から。本心からああいうことをやっていないことは時々見せる悲痛な表情からもわかっていた。助けようなんて更生させようなんてそんなことは考えていない。ただ見守ることにしたのだ。それこそ妹の粗相を叱る兄のように。だから俺はあえてこれを理由にする。

 

「…」

 

俺のその発言を聞いたヘスティアはポカン、と俺の方を見るが段々と眉間にしわを寄せていく。

 

「本気で言ってるのかい?」

 

「本気だ」

 

暫く俺の目を見つめると溜息を洩らし不満げな顔を浮かべる。

 

「わかった君とベル君に任せよう。ただこれだけは絶対に約束してくれ。その子に嵌められそうになったらすぐに逃げること危険なことはしないこと。いい?」

 

「!わかったありがとう」

 

「ったくベル君もだけどこの子も中々のお人好しだね…」

 

「?」

 

「いやなんでもないよ」

 

「そうか…そうだステイタス更新頼んでもいいか?」

 

「いいよそれじゃあ中に戻ろうか」

 

***

 

「ベル様?ハチマン様?」

 

「ん」

 

「!」

 

思考が浮き上がる。名前を呼ばれ、昨日の記憶から現実に戻される。

 

「あっ…リ、リリ、おはよう」

 

「うっす」

 

「おはようございます、ベル様。まさかこんな時間にお二人がいるなんて、リリはリリの目を疑ってしまいました」

 

「あはは、そうだね。どんな時でもリリは僕より早く来てたし」

 

そんな二人を見ながら俺は周りを見渡す。昨日の男どもを警戒してだ。ダンジョンの外で問題を起こすとは考えにくいがそれでも警戒をする。

 

「ベル様、ハチマン様」

 

「あ、ごめん、なに?」

 

「今日は十階層まで行ってみませんか?」

 

「えっ…」

 

隣でベルが驚きその様子をリリはずっと見つめていた。

 

「どうして、いきなりそんな…?」

 

「ベル様、リリがお気付きにならないと思っていたのですか?ベル様もハチマン様もとうに踏破できる実力をお持ちになっているのでしょう?」

 

…」

 

リリがベルを説得していく中俺はティパに話しかける。

 

(どう思う?)

 

『んー多分何かしらのアクションがあるとは思うけど…とめなくてもいいの?』

 

(昨日の冒険者のこともあるし、結局先延ばしになるだけで意味がねえ。それにベルが行くと決めたなら俺はそれに従うよ)

 

『何回も言うけど危険なんじゃ…それにヘスティア様とも危険なことはしないって』

 

(まぁ10階層なら俺もベルも遅れは取らないはずだから大事はないはず。だからこれは危険な事じゃない。それより問題はリリだな)

 

『屁理屈ぅ…まぁいいけど…それに危なくなったらあのスキル使えばいっか』

 

(あれかぁ…大丈夫か?)

 

『うん!大丈夫だよ!』

 

(そうか…すまん頼む)

 

そこからリリがベルの説得が終え、三人で十階層に向かい歩みを進めた。

 

***

 

「頼んだぞ、チュール。査察とは言うが、厳重には取り締まりすぎないように」

 

「はい、分かりました」

 

ギルド本部を出たエイナは上司に見送られ、北西のメインストリートを出発した。

 

(結局、ベル君達とはあえずじまい、か…)

 

エイナは昨日ベル達のサポーターであるリリが所属している【ソーマ・ファミリア】について【ロキ・ファミリア】で情報を仕入れていた。ロキから最後に警告をもらいそのことでずっと不安を抱いていた。

 

(順序が逆になっちゃうけど…せっかくだし、先に神ヘスティアに事情を話しておこう)

 

今日自分が査察を行うテナントで働いている女神の顔を思い出しながら、エイナは今日の予定を決める。

 

「あ」

 

「…?」

 

大通りから中央広場に足を踏み入れ、少し進んだ時北のメインストリートの方角からアイズ・ヴァレンシュタインが近付いてくる。

 

「…お、おはようございます、ヴァレンシュタイン氏」

 

「…おはようございます」

 

動揺しながら挨拶をするエイナに対し、アイズはぺこりと頭を下げた。

 

「ヴァレンシュタイン氏、今日はどうなさったんですか?」

 

「道具を、買いに行こうと思ってます」

 

「えっと、バベルに、ですか?」

 

頷くアイズと会話を進めていくと、どうやら彼女はこのままダンジョンに潜るらしい。

 

(…まだテンションが高い?のかな?)

 

エイナは普段のアイズのことを知らないが昨夜ロキがアイズの様子を見て「あのアイズたんが上機嫌やて!?」と驚いていた。そしてその様子は今日に至っても変わっておらずエイナは何となく察する。そこでふと、エイナの視野にとある光景が入り込む。視界の隅の一本の広葉樹、その根元に身を寄せ合っている【ソーマ・ファミリア】のエンブレムを付けた四人の冒険者。エイナは反射的に読唇術で唇の動きを読んでいた。

 

『———手筈通りに—————しくじるんじゃあ————』

 

『わかって————アーデの方は———————』

 

距離が開いているため一部を取りこぼしたが、アーデと言う単語を認める。やがて彼らはバラバラに散り、ダンジョンへと向かっていく。

 

「…どうか、したんですか?」

 

エイナの異変を悟ったのか、アイズが顔を上げ、声をかけてくる。表情を常より険しくするエイナは、アイズのことを暫く見つめたのち、心の迷いを放りだし、彼女に頭を下げた。

 

「無礼を承知の上で申し上げます。私の担当冒険者を、ベル・クラネルとハチマン・ヒキガヤを助けてください」

 

「…」

 

「私の思い過ごしかもしれません、ですが、彼らは恐らく厄介事に巻き込まれつつあります。厚かましい真似だとはわかっていますが、どうかお力を」

 

「それは、昨日の…?」

 

昨夜応接間で話を聞いていたアイズは、直ぐにエイナの言ってることに察しをつけたようだ。顔を上げたエイナは頷き、これまでの詳しい経緯を話す。エイナの話を聞き終えたアイズは、「わかりました」と頷いた。

 

「よろしいのですか?」

 

「はい…確認したいこともあるので」

 

最期の言葉に一瞬疑問を感じながらも、エイナは道を譲る。そのままダンジョンへと向かっていくアイズを見届けた。

 

***

 

ダンジョンは8~9階層で景色と地形が大きく変わる。ルームの数が多くなりしかも広い。しかし出現するモンスターは強化されたゴブリンやコボルトが出てくるようになるだけなので油断さえしなければ楽な階層だと言える。そこまでは比較的楽にたどり着くことができた。しかし肝心の十階層。この階層は…。

 

「霧…」

 

深くはないしかし視界を妨げる白い霧が立ち込めていた。

 

「リリ離れるなよ」

 

「…はい」

 

先程から俺とベルで何度も警告する。理由としてはこの霧ではぐれるのもまずいが昨日の冒険者を警戒していたためだ。

 

「…!」

 

進んでいた通路を抜け、視界が明ける。草原が続く広々としたホーム。景色の中には葉と枝を失った枯れ木があたりに点々と立っていた。

 

「…」

 

そんな木々の様子にベルが顔をしかめる。取り敢えずモンスターが生まれる壁際は避け広間の奥に進んでいく。木々の様子に目を向けると木肌は意外にもしっかりしており幹は下から上に行くほど極端に細くなっている。それを見ていたベルは俺達の方を顧みる。

 

「どうしよう。これ、先に切っておこうか?」

 

「いやそんな暇ないぞ」

 

前方を見ていた俺は現れたそいつを見据えながらベルに伝える。

 

『『ブグッゥゥゥゥ…』』

 

低い呻き声と一緒に大型モンスター、『オーク』が二匹姿を現す

 

「やっぱり、大きい、よね…」

 

「逃げてはいけませんよ、ベル様?」

 

避けては通れぬ道です、と言うリリにベルはつばを飲み込みながら頷く。

 

『ブギッ、ブフォオオオオッ…!」

 

オークはその瞳で俺達のことを射抜く。獲物として俺達を視認し木々の合間を抜け、おもむろに手を伸ばす。そしてその巨腕で一本の木を引き抜いた。先程まで木だったそれは引き抜くと無骨な棍棒へと代わる。

 

『迷宮の武器庫』

 

ダンジョンの厄介な特性の一つ。ダンジョンが支援をするように与えられる天然武器。素手でも一癖も二癖もあるのに武器を持つことで更にめんどくさくなる。

 

「タイミング、悪いよ…」

 

『迷宮の武器庫』は破壊可能だがダンジョンの一部の為時間がたてば復活してしまう。かと言ってやすやすと強化させるわけにはいかないので破壊をするのだが…本当にタイミングが悪い。

 

「「…」」

 

二匹いるオークの前に俺とベルはそれぞれ対峙する。そしてオークは待ちきれんとばかりに雄叫びを上げる。

 

『『ブゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』』

 

戦闘開始の合図。それを聞いて俺もベルも地を蹴り駆け出す。

 

(あの時以来だな…)

 

怪物祭の時のことを思い出しながらオークの挙動を確認する。オークはその手に持った棍棒を高く掲げている。

 

(よっ、と)

 

それを確認すると俺はオークの攻撃のタイミングに合わせ横にずれそれを回避する。そして回避しその腕に一閃を見舞う。

 

「ふっ!!」

 

『ブグウウウッ!』

 

腕からは鮮血が飛び散りオークは雄叫びを上げ少し怯む。

 

「ほっ!」

 

『グボ———————』

 

その隙に俺は飛び上がりオークの首を飛ばす。絶命したのを確認し、ベルの方を見ると丁度終わったらしく近くでオークが倒れていた。

 

「リリ。やったよ、ぉ…」

 

ベルはそこで言葉を切る。気付くと周りには俺とベルしかおらずあとは白い霧を残すのみとなっていた。

 

(動いたか…?)

 

そこで異臭が鼻につく。そして異臭の原因はすぐに見つかる。

 

「これは…」

 

そこには特殊に加工された血肉が置いてあった。これは効率を上げる為にモンスターをおびき寄せるトラップアイテム…。それに気づくと同時に地響きが鳴り響く。恐らくオークだろう。しかも足音は一つじゃなく複数聞こえてくる。

 

「噓でしょ…?」

 

———―八体。それらを視界に入れたベルが呟く。

 

「いっ!?」

 

立ち尽くしていたベルがバチン、という音の後に悲鳴を上げる。それに反応しそっちを見るとベルのホルスターに金属矢が刺さり宙を舞っていた。

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

「「っっ!?」」

 

一瞬意識をそらした間にオークは距離を詰め俺達に襲いかかる。それを横に飛びよけすぐさま相手を見据えるとそこから二撃、三撃と襲い掛かってくる。それを避け続けているとリリの姿が目に入る。

 

「リリ!!」

 

見つけたと同時に叫ぶ。当の本人は宙に舞っていたホルスターを手に取り中から《神様のナイフ》を取り出す。

 

「ごめんなさい、ベル様。ハチマン様。もうここまでです」

 

「リリ、何を言ってるの!?」

 

「…」

 

「お二人はもう少し人を疑うことを覚えた方がいいと思います」

 

瞳はフードで覆われその表所はうかがえない。しかし浮かべている小さな笑みは寂しそうにしていた。

 

「折を見て逃げだしてくださいね。さようなら、お二人とも。もう会うことはないでしょう」

 

最期に別れを告げリリは霧の中へと消えていった。

 

「リリ、リリィ!?—————っっ、あーもうっ、やっかましいいっ!!」

 

ベルが焦りながらそう声を上げる中俺はティポに話しかける。

 

(ティポ…頼めるか?)

 

『任せて!』

 

(すまん)

 

言葉少なく会話を終わらせると今度はベルの方に話しかける。

 

「ベル」

 

「な、にかな!?」

 

「行け」

 

「え?」

 

「ここは任せてリリを追いかけろ」

 

「だ、駄目だよ!それじゃあハチマンが…!」

 

「このままリリをほっとくわけにもいかないだろ。それにこの状況を打破する策はある。だから行ってくれ」

 

「…ごめんハチマン」

 

「気にすんなほら言った言った」

 

ベルは俺の言葉に申し訳なさそうな顔を浮かべリリが向かった方向へと走っていった。リリは最後悲しそうに口をゆがめていた。ならリリの中にまだ迷いがあるんだ。なら今リリに必要なのはベル・クラネル(真性のお人好し)の言葉。普段なら馴れ合いと一蹴してるが今はベルを信じることにした。

 

(さて…やるぞティポ)

 

『うん!』

 

俺は自分の仕事を全うすべく八体のオークを睨み

 

「『【二重存在】(ダブル)』」

 

新しいスキルの名前を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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