「すまんな今【ファミリア】の募集はしてないんだ帰ってくれ」
もう何度目かわからないくらいの門前払いを受ける。その事実に隣を歩く白髪で紅い瞳の少年、ベル・クラネルが肩を落とし座り込む。
「まあそう落ち込むなベル」
「う~だって…」
とうとうベルは膝を抱えて蹲ってしまう。俺はそんなベルから視線を外すと先ほどから視線を感じる方を睨み呼びかける。
「そこに隠れている奴だれだ?」
俺がそう言うとベルは顔を上げ、俺が見ている方向を見る。すると物陰から幼い顔立ちの胸のおおきi…ツインテールの女の子が出てくる。
「ごめんよ別についていく気はなかったんだけど気になってつい…」
ついでストーカーすんなよ。しかもこの人のこの雰囲気って…。
「…えっと、君は?こんなところに一人で、迷子なのかな?」
「バカたれ神様だぞこの人」
俺はベルの頭にチョップをかます。
「何するのハチマn…え!?神様!?」
神様だと気づいたベルは何度も頭を下げる。
「だ、大丈夫だよ気にしないでくれ。しかし君はよく僕のことに気付いたね」
「まあずっと視線感じてたんで…」
(この白髪の子は子供って感じだけどこの子は何というか…何処か危うい雰囲気がある)
「ど、どうしました?」
何故か神様にじっと見られ不審がる。
「あー、えっと…そ、そうだ!実は今【ファミリア】の勧誘をやっていてね。それでその…冒険者の構成員が欲しいなーなんて…」
誤魔化すように言い始めたがだんだんと声が小さくなっていく。そして女神さまのその話にすぐに食いつくやつが一名。
「入ります!入らせてくださいっ!」
「…い、いいのかい?本当に、ボクの【ファミリア】なんかで?」
「いいです、全然大丈夫です!むしろ僕達みたいなやつが入っても大丈夫ですか!?」
どうやら俺も強制らしい。
(強くなるために大きいところに入りたかったが…)
ちらっとベルを見ると嬉しそうな表情を浮かべている。その表情を見てどうでもよくなる。そしてそこからは早かった。有頂天になったベルと神様は自己紹介を済ませる。
「よし、ベル君、ハチマン君ついてくるんだ!【ファミリア】入団の儀式をやるぞ!」
「はいっ!」
「うっす」
俺たちが向かったのはみすぼらしい書店。店内には老齢のヒューマンがいて、ヘスティアが入ってくるのを見ると短い白髭を動かした。
「やあ、ヘスティアちゃん。【ファミリア】の勧誘だったらお断りだよ」
「違うって!おじいさん、二階の書庫を貸してくれよ!」
「おうおう、構わんよ。本を読んだら元の棚に戻しておいてね」
どうやらほんとに手あたり次第誘っていたらしい。そんなヘスティア様にジト目を送る。
「さ、さあいこうか!」
その視線に気づいたのか焦ったように俺たちの手を引き急いで階段を駆け上がりその先にあった一室には古い木の香りが漂っていた。隙間なく埋まった本棚が四方を占領しており、棚の前にも書物の山が築かれている。その光景に俺は感嘆の声を漏らす。
「すげえ…」
ゼウスの家でいろんな本を読み本が好きだったハチマンはその光景を見て思わず感嘆の声を漏らす。暫く見入っているとヘスティアがいきなり爆弾発言をする。
「さ。服を脱いで、ここに座ってくれ」
「ふ、服をですか?」
「ヘスティア様やっぱり…」
「ち、ちがう!上着だけだよ!これから、ボクの『恩恵』を刻むために必要なんだ。だからそんな目で見ないでくれハチマン君」
ヘスティアはベルと俺に『恩恵』を刻み始める。
「ベル君、ハチマン君、君たちはどうして冒険者になりたいと思ったんだい?」
「じ、実は僕、
「出会い~?お相手は女の子ってことかい?そんなことのために君は冒険者に?」
「そ、そんなこと、じゃないですよ!出会いは偉大なんです、男の浪漫なんですよ!僕を育ててくれた祖父だって『ハーレムは至高!』って言ってました!」
「君、絶対育ての親を間違ったよ」
それには共感を禁じ得ない。だってあのエロおやz…ゼウス様は事あるごとにハーレムの良さを語ってくるし…女の子のどこがいいとか…女の子の落とし方とか…あれ?女の子のことしか言われてなくね?そしてややあって、
(これで俺も強くなれる…)
決意をさらに胸で高ぶらせる。そしてそんなハチマンを横にヘスティアは二人のステータスを記した紙を見ていた。
(ベル君はスキルも魔法もなしと…ハチマン君は…!?)
ヘスティアは、ばっと音が鳴りそうな勢いでハチマンの方に振り向く。
(普通じゃない…もうスキルが三つもあるなんて…)
ヘスティアは頭を振るとこれからのことに思いをはせた。