やはり俺が強くなることは間違っているだろうか   作:149

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割とチートのタグを入れようか迷っています。あと最近忙しいので投稿頻度が落ちています。週一では上げようと思っているのですが上げられないかもしれません…ご承知ください。それと余裕のないときは二千字~五千字の短めで余裕のある時は一万字くらいで出すことにしました。アンケートに答えてくださった方ありがとうございます。それではどうぞ。


#20 ソロ

ベルがインファント・ドラゴンを吹き飛ばした翌日。俺は一人でダンジョンに潜り、十一階層の食糧庫で戦闘を繰り広げていた。シルバーバックやオークなどの無数のモンスターが視界を埋め尽くす中、【サラマンダー】を纏いながらティポが変身した剣と《神様のソード》を手に狩りまくっていく。

 

「ふっ!」

 

飛び込むのは自殺行為としか言えないほどの怪物の宴(モンスターパーティー)。その中に俺は身を投じ猛威を振るう。

 

普通は成立しない戦い。蹂躙劇だけが行われるはずの戦いはハチマンが優勢の状態を保っていた。その理由はハチマンの戦い方にあった。ハチマンはオークやシルバーバックなどの大型のモンスターを無視し、インプなどの小型モンスターや厄介なバッドパットなどを優先的に狩っていた。その結果その数や大型モンスターばかりがその場に残されモンスター同士が邪魔をしあい隙が生まれる。その隙にハチマンは一撃で殺し離れ気をうかがいまた殺しを繰り返していた。

 

「ふぅ…」

 

それを何回かこなしモンスターの声が聞こえなくなった時俺はそっと一息つく。とんでもない戦闘を繰り広げたにしては傷の少ない体(・・・・・・)を見下ろしながら手を握ったり開いたりを繰り返しながら調子を確かめる。

 

『君も無茶をするねえ?』

 

武器になっているティポの声が脳内に響く。

 

「いや別にそんな無茶でも…」

 

『食糧庫で信じられないくらいの量の怪物の宴(モンスターパーティー)と戦う事のどこが無茶じゃないのさ』

 

「うぐっ…」

 

『はあ…それで、体の調子はどう?』

 

「滅茶苦茶いい、と言うかよすぎて怖い」

 

『そりゃあよかったんだけど、そうじゃなくて…』

 

「?…ああ、これか」

 

ティポの言葉に一瞬疑問符を浮かべるがすぐに理解し、傷へと意識を集中させる。すると体中にあった傷からは煙が上がり始めどんどんと塞がっていき、たちまちダンジョンに潜る前にような無傷の姿へと変わる。その様にさしものティポも引いており、剣でありながらも心の中で苦笑いを浮かべていた。

 

この信じられないほどの回復力はハチマンがランクアップした際に手に入れた能力である。能力といってもステイタスにスキルとして発現したわけではなくハチマン自身の能力に他ならない。

 

ティポ曰く、元々ハチマンは半分人間半分精霊という風な種族だったが、それがランクアップによる器の昇華によりハチマンはより精霊に近づき、精霊の奇跡が行使できるようになってしまったらしい。

 

その結果がこの回復力でその他にも副次効果を及ぼしていた。寿命が延びたり、【精霊の加護(ティポ)】の効果増大などなどがある。しかしこれらを含めてもティポが一番恐ろしいと感じているのはこれがまだ成長途中である伸びしろが残っているということ。ランクアップ毎に何かしらが起こると確信したティポは軽く頭を抱えた。

 

もしかして私、とんでもない爆弾作り上げてんじゃね、と—————————

 

その事実を確認した瞬間当の本人であるハチマンがこれらを告げられても強くなれる手段を手に入れたとしか考えていないためティポは考えるのをやめた。もうどうにでもなれ、と。所謂やけくそである。

 

ちなみにこれらはベルどころか主神であるヘスティアも認知していない。ハチマンは最初報告しようとしていたがティポがそれを止めた。その理由はハチマンの存在はそのものがイレギュラー。精霊でハチマンの中でしか実体を伴わない自分ですら胃痛や頭痛が幻痛として表れていたのなら、現実にいるヘスティアがこの話を聞けば絶対にやばいと心配してのことだった。

 

しかし近い内に何故自分だけ悩まなければいけないのか、という思考になりハチマンに許可を出しこの事実を新たな能力とともにあるファミリアとその主神そしてヘスティアの前でハチマン本人が暴露し、胃痛頭痛仲間を増やすことになるのを彼女はまだ知らない。

 

そして視点は戻り————————ハチマンは十一階層内を駆け回っていた。

 

『本当にやる気?』

 

(ああ)

 

『もしかして昨日のこと?』

 

(…)

 

『ありゃ図星?』

 

剣であるティポがわけのわからないことを言っているのは無視して辺りに意識を巡らせ目標を探す。

 

ちなみに剣であるティポとこうして会話で来ているのは性能がアップした【精霊の加護(ティポ)】の交信可能と言う効果なのだ。具体的には【二重存在】(ダブル)の状態で遠く離れていても交信が可能と中々の優れもの。これの何が凄いって密偵なんかが容易にできること。しかしそれをこんな会話に使っているのだから完全に宝の持ち腐れである。

 

「しかし…やっぱそう簡単にはいないか…」

 

通り過ぎざまにオークを一閃しながら呟く。

ハチマンは単独行動と言うこともあり敏捷の数値にものを言わせ走り続ける。パーティープレイではない完全なソロプレイ。

それはダンジョン内において危険以外の何物でもない。モンスターに囲まれでもしたら完璧アウト。それを防ぐためにも駆け抜ける。

 

『そりゃ、希少種だもん。そう簡単にはいないでしょ』

 

「いやまあそうなんだけどさ…」

 

ティポの呟きに返し今日はこのまま終わるか、なんて考えていた時。

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』

 

「う、うわああああああああああっ!?」

 

「『!!』」

 

昨日聞いた叫び声と冒険者らしき人の悲鳴が鼓膜を揺らす。

 

『ハチマン君』

 

「分かってる、【纏え】(フィ・オーガ)

 

魔法のトリガーを引き、それを纏い音の原因のもとへと速度を上げ向かう。霧をかき分けながら進んでいくと段々と目標であるそれが現れる。

 

(いたなっ…!!)

 

目に入ってきたのは、絶望の表情を浮かべている冒険者パーティーとそれを悠然と見下ろすインファント・ドラゴンの姿。

 

(獲物の横取りはご法度だけど…まあ今はいいだろ。…いいよね?)

 

冒険者パーティーの方は装備なんかを見る限りLv1のパーティーであり、周りに他の冒険者の姿もなくとてもあの冒険者パーティーが勝てるとは思わなかったため乱入する。だって諦めて武器離してる奴いるし。

 

「危ないぞ」

 

「へっ?うわあっ!?」

 

取り敢えず近づき一番前にいた前衛職であろう男の首根っこを掴み後ろへと放り投げた後、すぐにその場を離れ冒険者パーティのもとへ避難する。

そして数秒後俺と前衛職のいた場所にインファント・ドラゴンの足が振り下ろされる。それを見た投げ飛ばした前衛職は顔を青くする。

 

「おい、あいつもらってもいいか?」

 

「「「えっ?」」」

 

「だからあいつもらってもいいかって」

 

「え、その、どうぞ?」

 

「あざす」

 

目を白黒させている冒険者パーティーの一人から許可をもらったハチマンは、先程から睨みつけているインファント・ドラゴンの元へと走り出す。

自らの攻撃を邪魔した存在が突っ込んできたことでインファント・ドラゴンは嬉々として足を振り上げ俺を踏みつぶそうと攻撃を仕掛ける。それを俺は横っ飛びをし回避する。

 

(まずは…)

 

攻撃を回避した俺はまず機動力を奪うために俺を踏み抜こうとした前足へと剣を構え斬り飛ばす。

 

『ギャアっ!?』

 

いきなり前足を失ったインファント・ドラゴンは痛みによる叫び声をあげバランスを崩し失った足の方へと傾く。その間に逆の前足の方へと移動し同じく斬り飛ばす。

 

『—————————————ッ!!』

 

それにより最初に失った足の切断面が地面につくと、今度は逆の方向へとバランスを崩し先程切り飛ばした足も地面へと着く。

インファント・ドラゴンはエジプト座りの逆バージョンのような体勢になり、身動きの出来ない格好になる。その光景にティポが若干引きながらもそんなのお構いなしに低くなったインファント・ドラゴンの眼前へと飛び上がる。

そこで俺はスキルを発動させる。スキル名は【自己犠牲】(アウトフィシア)。これまでためたダメージを————————と言っても体に傷はない——————ティポへと付与する。すると剣の周りを黒の粒子が舞う。それを確認すると剣を持つ手に力を入れ

 

「——————ふっ!」

 

ただただ剣を横に一閃する。はたから見たらただの一閃。しかもその攻撃は敵には掠ってもおらず、普通ならダメージなんてはいりはしない。

しかしハチマンが剣を薙ぎ終えた瞬間インファント・ドラゴンの首が胴体から離れ宙を舞う。

 

「やっぱやべえなあれ…」

 

『君がやばいのは元々だよ』

 

一閃をかまし胴体を蹴り冒険者パーティーのもとまで行き着地し自分の行ったことを思いだし軽く引く。なんか馬鹿にされた気がするがそれは無視する。

先程ハチマンがやって見せた一閃は【自己犠牲】(アウトフィシア)により斬撃自体を強化した結果それを飛ばすことを可能にしたのである。

そしてそんな光景をずっと見ていて口を半開きにしている冒険者パーティーが一つ。

 

「…なあ、あんたの名前を聞いてもいいか?」

 

「ん?」

 

いち早く硬直からなおった投げ飛ばした前衛職の人が近付き名を訪ねる。それに対し素直に名前を答え獲物を奪ってしまったことを謝罪する。

 

「い、いや謝らないでくれ。と言うか助けてもらったんだから感謝してるくらいだ。ありがとう」

 

「気にしないでください。好きでやったことですし」

 

「…」

 

「それじゃあ俺はこれで」

 

ハチマンはそれだけ伝えると満足したように背を向け歩き出した。

 

「あれが【ブラック・ルーキー】か…」

 

「すごかったね」

 

「ああ、巷ではインチキなんて言われてたが実力なんだろうな。しかも助けたのに見返りも求めやしねえ」

 

そんなハチマンの背をまるで英雄を見るかのように眺め憧れを抱く冒険者一同。しかしこれらの行動はベルがインファント・ドラゴンを倒したのを見て先を行かれた感がして悔しかっただけなんてことを言うのは邪推だろう。

そして当のハチマンはと言うと———————

 

「二体目いないかな…」

 

『…』

 

自らの相棒に呆れられながらも二匹目を探してまた十一階層内を走り回っていた。

 

 

 

 

 




まあ今回説明口調が多かったですが気にしないでください。設定のおさらいと新能力の把握とでも思っておいてください。後これからどんどんチート化が始まっていきます。苦手な方がいるなら申し訳ないです。それではまた次回お会いしましょう。
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