やはり俺が強くなることは間違っているだろうか   作:149

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前回ツイッター作ったぜ!って言ったのにID乗せ忘れるポンコツかましたのでここで載せます…。IDはあらすじの方に書いてあります…。今は事情があり鍵垢にしていますができればフォローをいただけるとありがたいです。

主に投稿できそうな日にちやアンケートなんかも取ろうと思ってます。後は読んでくださる皆様と絡みたいです。ぶっちゃけこれです。そして超欲を張るなら直接意見が欲しい…!

まあそんな感じでツイッター作りましたって話でした。フォロー待ってます!それでは本編どうぞ!


#22 決意

迷宮は静かだった。周囲にモンスターの気配はせず、湿った空気が石の香りとともに灰色の洞窟内を埋め尽くす。

そんな迷宮内で乱れた呼吸が四つ。はっ、はっ、と乱雑に吐き出されたそれはあたりに残響する。

 

ヘルハウンドの一斉砲火を被った俺達は、辛くも一命を取りとめていた。

しかし複数のモンスターからなる凄まじい爆炎を耐えぬいた後、限界を迎えた床が抜け十三階層より下へと落ちてしまっていた。

 

「…っ。行き、止まり」

 

パーティーメンバー全員がまただ、という言葉を口の中で嚙み潰す。

完璧に迷った。ダンジョンでは一番回避すべきその事実に歯噛みしながらも、焦っても仕方ないと心を落ち着かせる。

現在位置さえわからず地図もない。十四階層の地形を頭に入れてはいるがどうにもさっきから合わない。

幾度となく現れる行き止まりに、ベルやヴェルフ、リリまでもが瞳を眇める。

 

「一旦、落ち着きましょう」

 

壁の前で立ち尽くしていた三人に声をかけようとしたところで、リリが大きく深呼吸をし、その言葉を告げる。その言葉に振り開けると、彼女は汗を流しながら、俺と同じく冷静になろうとしていた。

その提案にベルとヴェルフは荒れかけていた胸が冷え提案に乗り、地面に座り込む。

 

「まずは、パーティーの装備の確認です。リリは、回復薬が四、解毒薬が二個あります。ベル様達は?」

 

「俺は何も残っちゃいない」

 

「俺もだな」

 

「僕はまだ、レッグホルスターに回復薬が何個か」

 

その間にバックパックから水筒を取り出し、それを全員で回す。

 

「次は武器の確認です。ハチマン様に言われて常備していた短剣なんかの軽量の武器はどこかに行ったみたいです。大剣やバゼラードなんかの重量のあるやつは残ってますけど…それでリリの装備ですがボウガンを先の崩落で失いました。ヴェルフ様の大刀は無事で…」

 

「ベルは大剣に、後は短剣と小型盾をなくしたのか」

 

「う、うん。でも、ナイフはどっちも無事」

 

「『サラマンダー・ウール』も、まだ生きてるな」

 

「なるほど…それでは次です。ハチマン様、ティポ様を呼んでください」

 

「…了解。【二重存在】(ダブル)

 

リリの台詞に了承の意を伝え、起動式を唱える。そしてその起動式に呼応し俺の横でティポが本来の姿で発現する。

実はこの中層進出が始まる前にティポを呼び出す際の条件なんかを決めていた。それは何か重篤なイレギュラーが発生した場合に協力を仰ぐぎ、その判断はリリがするというもの。

これはティポきっての提案でありティポ曰く『ハチマン君はよっぽどのことがない限り私を出さない。だからそこの判断はリリちゃんにお願いしたい』とのこと。これをそのまま全部リリに話したら納得し、任せてくださいと意気込み、承諾した。

 

そしてリリにとって今がそのタイミングであり、はなから異論反論意見その他一切を認めない、とティポにもリリにも厳重に注意されていたのでハチマンは反対せずそれに従う。

 

「ふぅ…リリちゃん、ベル君久しぶり、それでヴェルフ君は初めましてかな?」

 

「お久しぶりですティポ様」

 

「久しぶりです」

 

「は、初めまして?」

 

ティポは現れると同時に挨拶を告げ、それに三者三様の反応を示す。ヴェルフは若干きょどってるけど。

軽い挨拶みたいなものを済ませたティポは状況は把握済みと言わんばかりに口を開く。

 

「状況はハチマン君の中で見てたから分かってる。それで私は前衛をすればいいのかな?」

 

「はい、負担は大きくなってしまいますが—————————」

 

「待て、前衛には俺も出る」

 

「なっ…ば、馬鹿なんですかっ!?」

 

「いや、馬鹿って…」

 

「これを馬鹿と言わずに何を馬鹿というんですかっ!あの十三階層の猛攻で全員疲れ果ててしかも一番負担がかかっていたのはハチマン様なんですよ!?奇跡的に全員無傷で済んでる(・・・・・・・・・・・・・)とは言え休んだ方がいいに決まってます!特にハチマン様はっ!」

 

「リリちゃん落ち着いて。ハチマン君は馬鹿で阿保で間抜けでスカポンタンだけど、何の考えもなしにこんなことは言わないから」

 

「ちょっと?」

 

「分かってますっ!分かってますよそんな事、馬鹿で阿保で間抜けでスカポンタンですけど、ちゃんと考えがあるんだろうってことくらいっ!でもだからってハチマン様がずっと危険に晒されることを受け入れろって言うんですかっ!?」

 

「なあこれ泣いてもいいよな?」

 

「駄目だこれはお前が悪い」

 

「ええ…」

 

「俺はリリ助の意見に賛成だ。そりゃあティポさんに全部ひとりで任せてってのは心苦しいが今はそれが最善だろ?なら無理してお前が出る理由は…」

 

「いやある。よく考えてみろ、今は大剣やバゼラードなんかの重い装備しか残ってないんだぞ?ならヘルハウンドが出た時はどうする?」

 

「それは俺の魔法で…」

 

「マインドにも限りがある。いざって時に残しておいた方がいいに決まってる。ならこの中でも一番速い俺が前に出てやった方がいい」

 

「それなら僕が前に出れば」

 

「馬鹿か、そんなことしたら遠距離で牽制する奴がいなくなるだろ。俺の魔法はそういうのに向いてない完全近距離専用。でもお前の【ファイアボルト】は違う。遠距離中距離でも対応できるしそれで牽制もできる。それで時間が稼げれば俺かティポが戻ってこれる」

 

ここでいったん言葉をきり、さらに言葉を続ける。

 

「それに他にも理由がある。ティポばっかに前線を任せてティポが死んだら?当然俺に痛みがフィードバックしてくる。そしたら足手纏いが一人完成してしかも最高戦力がもう一人抜けてベルの負担が増えるだろ。それならティポをカバーできる奴が、それもいざとなればティポを出し入れが可能な奴が前に行った方がいい。前線ならタイミングも見極めやすいしな。それにそれでお前達がしっかり休めればその分俺も休めるし。だからこれが本当の最善だ」

 

「でも体力が…」

 

「回復薬がある」

 

「………なら集中力…」

 

「俺の発展アビリティの影響か知らんけど集中力はまだ続いてる。少なくともベルとヴェルフよりはあると思うぞ。多分、知らんけど」

 

俺がそう言い切る?とティポを除いた全員が顔を歪める。ティポも若干表情を変化させているが、これはほかの三人と違って呆れ半分、って感じなんだろう。

しばしの沈黙が場を支配する。様々な感情が表情に浮かぶ中、三人はそろって悔しそうな顔を浮かべる。

 

そしてその沈黙を最初に破ったのはリリだった。

 

「わかり、ました」

 

「りりっ?」

 

「ここで言い争っても不毛なだけです。それに悔しいですけどハチマン様の言ってることは正しく最善です」

 

「…なんかすまん」

 

「そう言うならそういう事提案しないでくださいっ!」

 

リリはひたすらジト目を俺に送り続け、暫くして溜息をつく。

 

「…話を戻します、今後の方針何ですが、ティポ様が加わったとは言え、武装も道具も限られてますし、何より一番疲弊してるはずのハチマン様が前衛に立つことが最善の時点で、生きて帰るのは絶望的なことに変わりはありません。なのでできる限りモンスターとの戦闘を避けなければいけません。状況が許すならば、逃げの一択です」

 

ティポを除いた全員が片膝をついた体勢で、リリの話を聞きいり、ティポはその精霊特有の索敵能力で辺りを警戒しながらリリの話に耳を傾ける。

それにベルとヴェルフは渋々ながらも異論はないと頷く。

そしてそこで見計らったように口を開いた。

 

「四人共、取り乱さず聞いてください。これはリリの主観ですが…今いる階層は、十五階層かもしれません」

 

「「…!」」

 

その言葉にベルとヴェルフは絶句するが、リリはなおも言葉をつづけた。

 

「あの崩壊で落ちた時間を顧みるに、二階層分の距離を落下した可能性があります。この階層の特徴も、通路の幅や光源、迷宮の難解さなど、十三、十四階層より十五階層のそれに近いです」

 

その並べられる言葉達に落ちている間の体感時間を思い出す。一階層をおちたにしては長すぎるその落下時間を。

そして何よりリリの言うとおり、この階層のつくりと俺が覚えてる十四階層の知識とでは相違点が多すぎる。

 

それを含めるとリリの言葉は根拠と説得力に溢れていた。自身もその可能性を考えていた為納得する、と同時に心の中で歯噛みする。

この状態では地上の生還は絶望的だ、と。いくらティポがいるからと言ってモンスター達が弱くなるわけではない。十三階層ですら死にかけていたのに十五、十四、十三と越えて更に残り十二階層?おまけにこっちはかなりの疲労付き。希望がないわけじゃないがほぼ不可能に近い。

他のメンツもそれに気付いたのか表情に絶望の影が差し始める。ここまで来たら方法は一つしかない。

 

そう考えて口に出そうとしたが恐らくリリも同じ考えだろうと思い待っているとリリが一息置いて、声を次いだ。

そしてリリの提案をを聞いていくと大体、と言うか全部俺と考えてることは一緒だった。

それは縦穴を使用し十八階層を目指すというもの。

 

一見今ですら限界なのにさらに下を目指すなんて馬鹿だ、と思うかもしれないがこれが一番生存確率が高い。一番の要因はやはり縦穴の利用による時間の大幅な短縮だろう。

 

十七階層にいる階層主、ゴライアスが懸念ではあるが二週間前に討伐され期間的にはまだぎりぎり間に合う。これらを聞いた上でヴェルフは重苦しく口を開いた。

 

「本気か、お前…?」

 

「ええ、本気も本気、大マジですよ。少なくともハチマン様はこの策に賛成みたいですよ」

 

俺が大して驚いていない様子からそう判断したのかリリがそう言うとヴェルフとベルは俺の方を向きリリに言ったように本気か?と視線で訴えてくる。

 

確かにベルとヴェルフ、リリそして特に俺の疲弊具合は結構やばい。あの炎を受け止めた時の回復で結構体力持ってかれたし、こいつらに言ってないが結構きついことになってる。唯一その行為(・・・・)を知っているのはティポだけだが、本人は特に口を挟むことなく黙っていた。

 

そんなティポに感謝しながらも——————なお本人からはとんでもなくジト目をずっと向けられているが———————ヴェルフの問いに答える。

 

「ああ、理由はリリが説明した通り俺もこれが一番生存確率が高いと思ってる」

 

「勿論、これは選択肢の一つです。ベル様達がおっしゃったように、素直に上を目指した方が、差し当たって安全であることは間違いありません。歩き回っていれば、他所のパーティーと会って助けを乞うこともできるかもしれません」

 

リリは自分の考えを言い終えた後、締めくくる様に、ベルのことを真っすぐ見つめる。

 

「このパーティーリーダーは、ベル様です。ご判断は、ベル様にお任せします」

 

ベルの瞳が微かに揺れる。パーティー全員の命がかかった判断を自分がするのか、と。そして助けを求めるかのように俺とヴェルフの方に振り返る、が。

 

「いい、決めろ。どっちを取ったって、俺はお前を恨みはしない」

 

「ヴェルフに同じく、パーティーリーダーはお前だ、お前が決めろ」

 

まあ、めんどくさいし俺の柄じゃないから投げ出したんですけど、というセリフは心の中にしまいベルを見つめる。

その視線を一挙に受けたベルの瞳がまた更に揺れる。決意という炎を奥に秘めながら。

 

「進もう」

 

様々な感情が渦巻いたその一言にヴェルフはにっと男前に笑みを浮かべ、リリは苦笑い、俺はベルから視線を外し、ティポは未だに俺に呆れの視線を、いやさっきよりも数倍強い視線を送っていた。そんな呆れます?

 

そんなこんなで中層の奥へと進む決意をしたパーティーはその歩みをまた先へと進める。しかしその中で誰も気付かない。明らかに怪我をしていた人物がいたことに。その本人でさえ記憶を軽くいじられそれを覚えていないことに。そして今も脂汗を流しながら気付かないほどの、ほぼ無意識で足を庇うように歩き、それを蓄積(チャージ)していることに。

 

今ここに苦難が予想される中層探索が再開した。

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさか会議だけで五千近く行くとは思ってなかったんです。
しかもここ描きたいことあるんで最悪十八階層まで行くのに二万文字行く可能性が出てきてここで区切りました。
後ヘルメス達のやり取りなんかは全カットします。ほぼと言うか全部原作と変わりません。なので描かないことを決めました。だって投稿頻度が…。
まあ今回はこんな感じで薄かったですが次回は濃いと思います。多分恐らく知らんけど。ではまた次回会いましょう!

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