メビウスのヒーローアカデミア   作:Mak

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お待たせしました。

1話だけで30もお気に入り登録して頂けたことに驚き感謝の気持ちでいっぱいです。

それでは2話をどうぞ。


2021年8月17日
追記修正。
前より読み易くなったはずです。


メビウス: ニュー・オリジン ②

(ディノゾール……)

 

 

 

メビウスは遥か昔、彼がまだルーキーと呼ばれていた過去の出来事を思い出していた。 

 

今の彼にとってディノゾールとはそれほどの脅威となる相手では無い。

 

戦士としての成長の切っ掛けとなり、大切な仲間との絆の始まりとなった感慨深い相手とはいえ、長い年月が過ぎようともあの時の衝撃は忘れられるものではなかった。

 

だからこそ、彼はこの一戦により一層の気合を入れて臨もうとしていた。

 

 

「セァッ!」

 

 

メビウスは左拳を握ったまま頭より上に掲げ、右手は開いたまま敵に突き出すという独特なファイティングポーズを取るとディノゾールに向かって走り出した。

 

 

〔キシャーー!!〕

 

 

ディノゾールはヒーロー達を成す術もなく蹴散らした不可視な切断攻撃をメビウスに繰出そうとする。

 

しかし、宇宙最強の超人(ウルトラマン)たる彼には見えていた。

 

その攻撃の正体を。

 

 

超人的な動体視力で以ってメビウスはディノゾールの口から延びる、たったの1000万分の1㎜の細さしかない舌を掴み取る。 

 

ディノゾールはこの細く長い舌を超高速で振り回すことにより不可視の切断攻撃を可能としていたのだ。

 

メビウスはその厄介な舌を自身の体に巻き付け、高速回転することによりその舌を釣り糸のように巻き上げる。

 

一万メートル分もあるその舌を全て巻き取り終えると力尽くで引きちぎり、体に巻き付いた舌は全身から発する光で消滅させ再度構えた。

 

大事な舌を失ったことにより怒り狂うディノゾール。 

 

残された攻撃手段である光弾をメビウスのいる方向にまき散らす。

 

しかしメビウスは街への被害を抑えるため光弾を全て手刀で切り裂きながらディノゾールへと接近し、パンチとキックの連続コンボを浴びせることにより一時的にも光弾の発射を阻止する。

 

そしてディノゾールがそのダメージに怯んでいる隙にバク転しながら距離を取ると、左手にある神秘の力を秘めたブレスレット【メビウスブレス】の中央にあるクリスタルサークルを回転させブレスレット内部に溜められていた光のエネルギーを解放。

 

解放されたエネルギーを頭上に両手を掲げることで集約し、腕を十字に組んで放つ光の光線、 【メビュームシュート】 がディノゾールの頭部へと直撃する!

 

光線を受けたディノゾールは断末魔をあげながらゆっくりと地面に倒れ、目から光が消え去る。

 

こうしてディノゾールは倒された。 

それはメビウスが登場してからわずか1分の出来事であった。

 

 

 

 

 

「……やった。やった~~~~~!!」

 

 

歓声が一つ沸き上がるとその歓喜の声は連鎖してゆき、次々と突如現れた謎の巨人を讃える声の輪が広がっていく。

 

 

「スゲー! あんな巨大な(ヴィラン)を短時間で倒しちまうなんて!」

 

「なにアレ!? かっこいい!! なんてヒーローなの! あたしファンになっちゃった!」

 

「SNSにも情報が無い!? もしかしてニューヒーロー!? 凄いデビュー戦だ! これは伝説になるぞ!」

 

 

 

 

(リュウさん。 僕は少しでも成長できたでしょうか?)

 

 

戦闘を終えたメビウスは安堵していた。

 

彼が登場してからの街の被害は最小限に留められ、ルーキー時代の苦い思い出を繰り返すハメにならずに済んだからだ。

 

だがそんな彼に、あの時と同じ言葉が聞こえてくる。

 

 

「バカヤロー!!」

 

 

戸惑いながらも声がする方向へと顔を向けるとそこには“個性”を解除し、元の人間大の大きさに戻っていたMt.レディが先ほどの戦闘で吹っ飛ばされた先のビルの瓦礫の上に立っているのが見えた。

 

かなり離れた距離ではあるが、ウルトラマンたる彼の耳にはしっかりと彼女の言葉が届いていた。

 

そしてその仕草に確信をもって自分の声が相手に聞こえていることを理解したMt.レディはメビウスに対し更なる思いの丈を叫んだのだ。

 

 

「あなたそれでもヒーローなのッ!? そんな力があるならなんで直ぐに駆けつけなかったのよ! あたしがあんなに頑張っても足止めすることも出来なかった(ヴィラン)を軽く倒しちゃってさッ!! てか名前を名乗りなさいよ!! どこの事務所の誰なのよ! 免許証を提示しなさいよぉ!! 涼しい顔しちゃってさ! 気に入らないのよ! 当たり前のことをしただけですってその態度が! なんなのよぉっ! 今日はあたしのデビュー日なのよ!! あたしの輝かしい栄光のスタートが台無しじゃない!! しかもなに!? あたしよりも大きく巨大化をする“個性”なんて 反則よぉ…………ぐす。 うわっぁあぁあん~‼」

 

「Mt.レディ……」

 

 

ありったけの、個人的なやっかみが多分に含まれた罵倒がメビウスに浴びせられる。

 

そんなMt.レディの近くにおり、メビウス以外では唯一彼女の言葉を聞いていたシンリンカムイは彼女に何も言えずにいた。

ほとんどが私怨とは言え、彼女の気持ちは同業者として理解できる部分も多少あったからだ。

 

なにせ彼らの御株奪ったのは見たことも聞いたこともない能力を持った、敵と同じぐらい謎の人物である。

アレ程の力を持つ者が居ればすぐにも話題となり彼らの耳に入らないはずがないからだ。

 

となると在野の人間かそれとも……

 

 

だが、この星と国が定義するヒーローとは何かを知らないメビウスに彼女の訴えを理解することができなかった。

 

 

「シュワッ!」

 

 

Mt.レディの言葉を全て聞き終わった後、メビウスは空の彼方へと飛び、雲の中へと消えていく。

 

そして、光の粒子となって地上に降り立つと先ほどまでの人間の青年の姿へと元に戻ったのだ。

しかしその表情はどこか浮かないような顔であった。

 

 

「まただ。またヒーローという言葉が出た。一体どういう意味なのだろう……」

 

 

 

 

 

 

翌日に流されたニュースや人々の間で交わされた話題は超巨大な(ヴィラン)と、それを倒した謎の巨人にまつわる物ばかりであった。

 

だがその内容は昨日の民衆の反応とは真逆の批判的な内容で占められていた。

 

それは個人にヒーローとしての公的な資格を与え、その管理を担当するヒーロー公安委員会の発表によりあの巨人は委員会公認のプロのヒーローでは無いということ、更には素性も“個性”も不明という事実が判明したからである。

 

 

それに伴う世間の意見は様々であった。

 

数多のプロヒーロー達が束になっても倒せなかった(ヴィラン)を僅かな時間で倒してしまったその強大な戦闘力を持つ存在が野放しであるという事実を報じる者、資格を持たずにして“個性”を行使したことにより法的効力を蔑ろにしたことを非難しつつもその影響力を心配する者、巨人も(ヴィラン)だと憶測でもって過激に煽る者、酷いものは(ヴィラン)とのマッチポンプだと無責任に言いふり回す者と、多種多様に満ち溢れていた。

 

 

 

青年の姿をしたメビウスはその内容を見てショックを受けていた。

 

 

「初めてだ。こんなにも否定的な反応をされるのは……」

 

 

彼は悩んでいた。

 

今の所、彼の力は必要とされていないのではないかと、このまま地球に残って良いのかと悩んでいたのだ。

 

だが彼にはこの地球に残らなければならない理由があった。 

 

 

 

 

メビウスがこの地球に派遣される少し前のことだった。

遥か300万光年の彼方にあるM78星雲・光の国、その星のどこかにある光の神殿と呼ばれる上下左右の概念が無く、眩い光で満ち溢れた空間に彼は召喚されていた。

 

 

「お呼びでしょうか? 宇宙警備隊隊長」

 

「よく来てくれた。これより君に新たな任務を授ける」

 

「分かりました。それで、行き先は?」

 

「此処とは別の宇宙にある地球だ」

 

「地球! 別宇宙とは言えまたあの星に行けるのですね!」

 

「ああ、だがそこは我々がかつて観測したどの地球とも明らかに違う部分が多い。その地球は宇宙進出こそはしていないが、代わりに種族としては我々が知るどの人間よりも遥かに進化している」

 

「人間が進化?」

 

「そうだ。調査に向かった文明監視員の報告によればある者は火を噴き、ある者は超能力を持ち、さらには我々がよく知る怪獣や他の星の住人のような見た目に変貌したものもいるらしい。そしてそれを狙う侵略者の魔の手が近づいてきていることも分かった」

 

「侵略者の魔の手が……」

 

「改めて任務を伝える。ウルトラマンメビウスよ。その地球に赴き、地球人たちの進化について調査せよ。そしてその力を狙う侵略者達の魔の手から彼らを守るのだ」

 

「分かりました。行きます、ゾフィー兄さん」

 

「頼んだぞ。弟よ」

 

 

 

 

「……兄さんたち。僕はどうしたら良いのでしょう……」

 

 

彼は使命と現地との反応に板挟みの状態になっていた。

 

行くあてもなく悩みながら歩いていると爆発音が彼の耳にも届く。 

 

すぐさま発生場所へと駆け付けると現場は既にたくさん野次馬で溢れていた。

 

その後ろから状況を覗いてみるとまるでヘドロのような流体の体を持つ地球人が手から連続して爆発を起こしながら必死に抵抗する中学生ぐらいの男子の体を乗っ取り暴れまわっていた。

 

現場には既にヒーローたちも集結していたが、(ヴィラン)の流体ボディと人質の強力な爆破に手が出せないようであった。

 

メビウスは悩んでいた。

 

この星の住人に必要とされていない自分がこの星の住人のために動いて良いのかと……

 

 

「情けない………… 情けない!!!」

 

 

彼の心情を代弁するかのような言葉が聞こえてくる。

その声の主が気になり、横を見るとそこにはわき腹を手で苦しそうに抑え、苦悶の表情を浮かべる不健康そうな見た目の金髪の男性が立っていた。

 

どうやらその男性が自分自身に言って聞かせていた言葉のようであった。

 

 

「馬鹿ヤローーーー!! 止まれ!! 止まれ!!」

 

 

その言葉に釣られ前方を見ると、誰も手が出せずにいた(ヴィラン)に向かって緑がかった癖っ毛が特徴の少年がヒーローたちの制止を振り切り突撃している姿が見えた。

 

少年は背負っていた鞄を(ヴィラン)に投げて怯ませるとその隙をつき(ヴィラン)の体から人質を救出しようとする。

 

だがそんな彼を、回復した(ヴィラン)が彼を殺さんとする魔の手が彼に伸びようとした。

 

 

「無駄死にだ! 自殺志願かよ!!」

 

 

予想だにしなかった事態に固まっていたヒーローたちがなんとかこの少年を救おうと動き出す。

 

メビウスも少年を救うべく駆け出そうとするがそれよりも早く、隣にいた不健康そうな男性が筋骨隆々の男性に変化し、他の誰よりも早く(ヴィラン)の攻撃から少年を守ったのだ。

 

そして、少年2人の手を左手で掴むと、たった1つのパンチを右手で繰り出した。

 

 

「プロはいつだって命懸け!!!!!! DETROIT SMASH!!!!!!」

 

 

強烈な風が吹き荒れる。

風はやがて上昇気流へと変化し雲が形成される。

先ほどまで青く晴れていた空が覆われ雨が降り出した。

 

なんとこの筋骨隆々の地球人はたった1発のパンチで気候すらも変えてしまったのだ。

そのようなとてつもないパンチによる風圧により、流体の体を持つ(ヴィラン)は人質となった少年の体から引き離され、あたり一面にバラバラになって状態で気絶していた。 

 

 

(すごい! この力、僕たちの一族に匹敵するかもしれない! いや、少なくとも僕よりは上だ! でも大事なのはそこじゃない! この人に聞いてみよう! この人なら僕の疑問に答えてくれるかもしれない!)

 

 

 

 

事件が解決してから少し経過し、陽は傾き始め、空は朱く染まり始めていた。

時間の許す限り報道関係者やファンへのサービスを提供し、なんとか抜け出すことに成功したオールマイトをメビウスは裏路地で捕まえることに成功した。

 

 

 

「オールマイトさん。 少しよろしいですか?」

 

「Ha ha ha haッ! オッと! すまないね! これからもの凄く大事な用があるんだ! サインならまた今度でも……」

 

「ヒーローとは一体何か教えてください! そんなボロボロの体になってまでやるほどの物なのですか?」

 

「……君、……なぜそのことを?」

 

「あなたの秘密をバラすつもりは有りません。ですが教えてください! この星にとって、貴方にとってヒーローとはなんなのでしょうか?」

 

 

 

オールマイトは突然に質問を投げかけてきた人間の青年の姿を借りたメビウスを訝しむ。 

オールマイトの秘密はトップシークレットであり真実を知る者は限られていたからだ。

 

普通であればひと悶着起こりえる一幕、だがオールマイトは不思議と彼の知られざる秘密を知るこの青年に嫌悪感を抱くことが出来ずにいた。

真剣に見つめてくる彼の目は恐ろしいほどに純粋で澄んだ目でありながら、その奥には既に歴戦の猛者を思わせるほどの闘志と平和を愛する炎が灯っているように感じられたからだ。

 

 

 

「……ヒーローとは自己犠牲の精神だ。困っている人々の為に自らの力を使い、安心して暮らせるようにする奉仕活動のことだとワタシは考えている」

 

「ですが、もしその力が望まれていない場合はどうすればいいでしょう? 僕のやることが、余計なお世話なのではないかと、最近考えてしまうんです」

 

「それでも構わない!」

 

「えっ?」

 

「余計なお世話はヒーローの本質だよ! 残念ながらこの世にはヒーローを嫌う人もいう。しかし、ヒーローはそんな人たちも等しく救わなくてはならない。そんな人たちを救う場合、私は恨まれてすらも良いと思ってる。その時は余計なお世話だったのかもしれない、だが! 生きていれば、生きて私の活躍を聞き続けてくれればいつか! その時の行動が後で意味を持ってくれると私は信じている! そうやってヒーロー達は人々の信頼を勝ち得ていくのさ!」

 

 

力強いNo.1ヒーローの言葉に青年の顔が笑顔になる。 

 

 

「……どうやら君の疑問に答えられたようだね?」

 

「はい! お引止めしてごめんなさい!」

 

「いやいや、ファンサービスもヒーローの大事な役目さ! それじゃまたッ! どこかで会おう!」

 

 

こうしてオールマイトとの短い出会いは終わり、彼は行ってしまった。 

 

未来のヒーロー候補に会いに行ったのだ。

 

 

 

 

(僕は、無意識に甘えていたのかもしれない。兄さんたちの功績に。ウルトラマンという名前に……)

 

 

彼らの一族の勇名は宇宙中に轟いていた。

メビウス個人の名を知らぬ者はいても長い歴史により積み重ねれてきた一族の名は何処に行っても知られ渡っていた。 

 

だがここはまだウルトラマンが現れたことの無い地球である。

ウルトラマンへの信頼はまだ始まったばかりなのだ。

 

 

(今度は僕の番だ! 僕から始めるんだ。かつての兄さんのように! 僕がこの星で最初のウルトラマンになるんだ! そのためには学ばなければならない! 人々の平和を守りながら、この星が定義するのヒーローとは何なのかをもっと!)

 

 

これは、ウルトラマンメビウスがこの世界のヒーローとは何かを学ぶ物語。

そして、この地球を守る物語。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

すこしMt.レディの扱いが悪いかもしれませんが、最新話のあの活躍には心動かされております。
僕なりに彼女の成長をメビウスと共に書けたらいいなと思っております。

それではまた。
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