メビウスのヒーローアカデミア   作:Mak

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お待たせ致しました。 

まさかのハーメルンに投稿して初めてバーが赤く、それも2マスも埋まるほどの評価を頂けるとは!

読んでくれた方と評価して頂いた方々には感謝しかありません。

そしてまさか2話投稿から今日まで55もお気に入り登録が増えるとは!

更新は遅めですが長い目で見て頂ければと思います。

それではどうぞ。


Mt.レディ: ライジング①

『続いては【田等院の巨人騒動】に関するニュースです。本日午後、警視庁は巨人によって倒された謎の(ヴィラン)のDNA検査の結果を発表しました。驚くことに、(ヴィラン)からは人間の遺伝子ならびに【個性因子】は検出されず、代わりに地球外の有機物が確認されたとの事が明らかになりました。つまりあの(ヴィラン)は宇宙からやってきた新種の生物ということです』

 

 

 

となる地方にある薄暗く寂れたバーの店内、カウンターを挟んでバーテンと客と思わしき二人の男がテレビから流れるニュースを静かに視聴していた。

 

 

 

『警視庁と合同でこの新種の生物の体組織を検査した研究チームはこの生物を【ディノゾール】と命名。そして、このような規格外な生物に対する新しいカテゴリーを設立したとのことです。超常黎明期より以前の娯楽作品によく登場したとされる空想の生物、【怪獣】と名付けるとのことです。当放送局もこれに従い、以降この(ヴィラン)を怪獣と呼称し…』 

 

 

「【怪獣】ね……くだらね」

 

 

 

客と思わしき男性が店の主に断りもなくテレビを消し、つまらなさそうに呟いた。

 

 

 

「しかし強大な力です。たったの一匹で何人ものヒーローたちを死に追いやり、生き残ったヒーローも廃業まで追い込まれたそうですよ。戦力に加えられるのならこれほど心強いものは無いと思いますが?」

 

 

 

バーテンと思わしき男性は客の行動に憤慨することも無く、むしろ物騒な方向へと話題を振り男の反応を伺う。 

それは内容に反してとても気さくな問いかけであった。

 

 

 

 

「何人ヒーローが消えようがどうでもいい。俺の狙いはただ一人だ。それに所詮は獣だぜ? 言うことの聞かない力なんて使い辛くて邪魔なだけだ。金を握らせたその辺のチンピラの方がまだ使える」

 

 

『そういうことを言うものじゃないよ? キミは空想を楽しむことをもっと覚えるべきだね』

 

 

 

消したはずのテレビの電源が勝手に入る。

 

流れてきたのはニュースのような一方的な情報ではなく、明らかにこちらのことを認識した相互通信が前提の情報が流される。

 

そしてそれを聞いていたこの男たちも、それに対し違和感を抱くこともなくそも当たり前の様にその声に返答する。

 

 

「先生……」

 

 

『大きな力はそれだけで素晴らしい手札になる。たとえそれが言葉の通じない獣であってもね。大事なのはそれを上手く使ってあげることなんだよ。分かるかな?』

 

 

「でも先生、この話に意味はあるのか? あんな怪物がそうそう居ないと思うが?」

 

 

『キミならそう言うと思ったよ。だからこれをキミにあげよう』

 

 

 

すると何もない空間が突如歪み、その中から一枚のチケットとプリント用紙が現れる。

 

 

 

『明日の昼過ぎにそこへ行って君自身の目で確かめてくると良い。何事も百聞は一見に如かずだからね』

 

 

「……なぁ先生。指定された場所の件はまぁいいや。それよりもこのプリントの情報……どこで手に入れたんだ?」

 

 

『ふふふ。年甲斐もなく心が躍っているよ。幾つになっても新しい友人が出来るのは嬉しいものだね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の始まりは中国で “発光する赤児” が生まれた。

 

 

以降各地で「超常」は発見され、原因も判然としないまま時は流れる。

 

 

やがて「超常」は“個性”と呼ばれるようになり、今では世界人口の約八割が何らかの“特異体質”である超人社会となった。

 

 

だがそれは決して祝福ではなかった。

 

 

既存の人間という枠組みが壊れた、ただそれだけで既存の法は意味を失い、文明が歩みを止めてしまうほどの荒廃という状況に陥ったのだ。

 

 

後に著名な歴史評論家は語る。 

 

 

「超常が起きなければ今頃人類は恒星間旅行を楽しんでいただろう」と。

 

 

そんな混乱の最中、“個性”を用いた犯罪が横行するようになる。 

 

 

そして、それに呼応するかのように“個性”を用いて犯罪に立ち向かう勇気ある人々も現れた。

 

 

時は流れ、混乱渦巻く世の中、かつて誰もが空想し、憧れた一つの職業が脚光を浴びるようになる。

 

 

 

「それがヒーロー」

 

 

 

地球人の青年の姿を借りたメビウスは市立の図書館に来ていた。

 

 

彼はここ数日、図書館でこの地球の歴史とヒーローとは何かを独自の方法で学んでいたのだ。 

 

 

 

(ヒーローとは統率と規格を重要視し“個性”を“武”に用いないことにした警察などの治安維持機構の穴を埋める形で台頭するようになった公の職種である。本来であれば個人による武力及び“個性”の行使は糾弾されて然るべきで、この行為が許されるのは厳しい免許制が成り立っているからである……か。)

 

 

 

彼は読んでいた【ヒーロー免許入門】から目を離し、同じく図書館で本を読んでいる人たちを見渡す。

 

 

 

(この星の住民は僕が宇宙人ではなく“個性”を使った人間だと勘違いしている。そしてそんな人間がライセンスも無く“個性”を使うことはこの星の人々が定めたルールに反することになる。……早く資格を取りたいんだけど困ったな。免許ならGUYSに入隊したときは特例でライセンスの試験を受けさせて貰えたけど……)

 

 

 

かつて彼は別の地球で防衛隊の一員として参加したことがある。

 

 

その防衛隊に入り、各種装備を使用するためにもライセンスが必要だったがその時は現地の協力者によって特例で受験させてもらい資格を手に入れていたという前例があった。

 

 

 

だがこの地球にはまだ彼を支援してくれる協力者どころか知り合いすらも居ない状態であり孤立無援に近い状態であり、資格取得の道を見いだせずにいたのだ。

 

 

それでなくてもこの星のヒーロー免許取得はハードルが高かった。

その理由は……

 

 

 

(学校か。調べた限りだとある一定のカリキュラムを履修してからでないと免許は貰えないみたいだ……)

 

 

 

 

 

免許とは資格取得者が正しい知識を有し、問題なく実行できることを評価された証である。

 

必要な知識とは一朝一夕で身に付けられるほどの量では収まらず、そもそも受講資格がある一定の訓練履歴という時間単位が必要となっているため、彼が資格を得るにはヒーロー科という学科のある学校に通う必要があるのだ。

 

宇宙人たる彼が地球の学校に通うということはそれなりの難易度を伴うが、彼は特にそのことには悲観することは無かった。

なにせ彼の尊敬する兄であるウルトラマン80も、かつては中学教師になるために教職課程を受けたことがあったのだ。

 

同じウルトラ兄弟であるメビウスにそれが出来ないはずがないのだ。

 

 

 

 

 

(それにしても壮絶な歴史だ。そしてよく似ている、僕たちの星の歴史に)

 

 

 

 

 

【ヒーロー免許入門】の表紙に描かれた過去のヒーローと思われる写真を見つめながら彼は自分の故郷の歴史を振り返る。

 

 

遥か昔、27万年前までは彼の先祖も地球人と変わらない姿を生命体であった。

 

 

 

ある時偶然に、彼らの一族は超人の力を手に入れてしまい、最終的には星の住人全てが超人の力を得た【総超人社会】となったのだ。

 

 

そして力を手に入れた理由があるはずだと考え、長い年月を経てたどり着いた答えがこの宇宙の自由と平和を守ることだと考えた。 

 

 

その結果が宇宙警備隊の設立である。

 

 

時は流れ、宇宙警備隊員に憧れた若き日のメビウスもウルトラ士官学校を経て宇宙警備隊に入隊しこうして彼らの一族の宿命を果たそうとしている。

 

 

そして現在も……

 

 

 

(とりあえず学校の事を調べてみよう。方法はきっとあるはずだ)

 

 

メビウスは読んでいた本の山を片付け始め、どうやって調べるか思考にふける。

 

 

 

そのため彼は気がつかなかった。 彼を見つめる小型の影の存在に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ~~。一人遊園地に来ても気なんて晴れないわよ、ったく!」

 

 

 

海浜公園の防風林のお蔭で緑豊かでありながらアクセスも良く、都会からの喧騒を忘れることができると人気の遊園地にMt.レディこと本名、岳山優は一人寂しく来ていた。

 

 

なぜ彼女が文句を言いながらここに居るのかと言えば……

 

 

 

(ここ最近……いいえ! あの巨人が現れてから良いことがないわ! デビュー戦は無茶苦茶‼ 仕事も空回り! エゴサすれば弱いだのあの巨人の下位互換の没個性だのッ‼ 私の“個性”は強個性よ‼)

 

 

 

彼女は荒れていた。 

 

 

その荒れっぷりは凄まじく、見かねたヒーロー仲間たちや所属する事務所は様々なチケットや優待券を彼女に渡し、しばらく仕事から離れほとぼりが冷めるまでリフレッシュするように勧めた程であった。

 

 

彼女は乗り気ではないながらも、そんな仲間たちの気遣いを無碍にできずこうしてチケットの消費に勤しんでいるのだ。

 

 

それでも彼女の心は晴れなかった。

 

 

 

あの事件から2週間が経過したがそれ以来彼女は目立った活躍が出来ずにいたからだ。

 

 

本来であれば派手で話題になるはずのデビューは、僅か1分の登場しかないにも関わらず彼女よりも2倍以上も身長が高いあの巨人に話題を全て攫われてしまい、それどころか事あるごとにその巨人と比べられるようになってしまっていた。

 

 

その影響もあってか、ここ最近はヒーローとしての活躍よりも個性使用による損害の方が取りざたされるようになってしまい、世間では【巨大化】の“個性”は不要論まで出始めるほどであった。

 

 

だが彼女の真の悩みはそのことではなかった。

 

 

 

(私が【個性イップス】か……)

 

 

 

 

“個性”とはれっきとした身体能力の一部である。 

 

 

使えば使うほど、鍛えれば鍛えるほどその“個性”は強化され、思う通りに使用することが出来るようになる。

 

 

そして、それが突然使えなくなることもある……。

 

 

 

 

イップスとは自分の意思とは裏腹に突然思う通りに意識や動作に支障をきたす症状のことである。

 

 

本来であればスポーツ選手に用いられた言葉だが、現在ではヒーローたちにも使われるようになった言葉であり、主に精神的な原因などによって発症すると言われている。

 

 

 

(あ~もう! イライラするッ! これも全部あの巨人のせいよ‼‼ あの巨人さえ現れなければ!)

 

 

 

ベンチに座り、ジュースが入った紙コップを思わず握り閉めてしまう岳山。

 

 

Mt.レディはあの日以来から個性発動に難を抱え、意識を集中しないと巨大化を維持することが出来ないようになっていた。

 

 

ヒーローたちにとって“個性”が使用できないことは危機的な状況であった。

 

 

ただでさえ都心部での巨大化には細心な注意を払う必要がある中、イップスの発症は彼女にとってはヒーローを引退せざるを得ないほどの状況であった。

 

 

 

(このままだと引退か……。 せっかくビッグになれると思ったのに……。 物理的にビッグな奴が現れちゃったじゃないのよ。 それに、お金どうしよう? せめて借金は背負いたくないなぁ。)

 

 

 

明るい展望が思い描けず、顔を俯かせてしまう岳山。

 

 

 

「ええ? お前Mt.レディなんて好きなのダッセェー!」

 

 

「ほんとほんと! いまのトレンドは【田等院の巨人】だぜ! Mt.レディなんかよりももっと大きいんだぜ!」

 

 

「何よッ! Mt.レディのが数百倍かっこいいじゃない!」

 

 

 

思わず顔を上げて声の方へと顔を向けるとそこには2人の小学くらいの男子2人と1人の女子が自分の事で言い争っていた。

 

 

 

 

「Mt.レディはね! ちゃんとしたプロヒーローなのよ! あんなどこの馬の骨か分からない巨人と違って! あの巨人はモグリなのよ! 違法なの!」

 

 

「でも巨人の方が強かったじゃねーか!やっぱりヒーローは強くてなんぼだよな!」

 

 

「そうだそうだ! Mt.レディなんてすぐやられちまったんだぜ! 弱いヒーローなんていらねー! お前みたいにな! チ~ビ!」

 

 

「むぅうぅ! チビって言うな~! Mt.レディをバカにするなぁ!!」

 

 

「お、泣くか? ヒーロー目指してる癖に泣くのか? よ~わ虫!」

 

 

「コラッ! 弱いものイジメするんじゃないわよこのクソガキ共ッ!」

 

 

 

岳山は我慢ならずその喧嘩に介入する。

 

突然の出来事に3人の子供は驚き、男子2名は慌てて逃げ、残されたは岳山と泣いてる女子だけとなった。

 

 

 

「ったく! ……大丈夫だった?」

 

 

「あ、ありがとう、お姉ちゃん」

 

 

「どういたしまして。 ねえ、君。 あなたてMt.レディのファン? どうしてMt.レディが好きなの?」

 

 

「お姉ちゃんもMt.レディをバカにするの!?」

 

 

「ち、違うわよ! 私も嫌いじゃないわ。 ただ気になってね」

 

 

 

先ほどの会話を思い出す。 

 

癪だが内容はあながちハズレではなく、賛否両論ながらもあの巨人の人気は急上昇中であり、特例でヒーロー免許を与えるべきとの声も少なからず上がっている程である。

 

 

間違いなくファン数は自分より多いと認識していた。

 

 

だからこそ男子とケンカし、泣かされても反論してくれたこの小さなファンに聞いてみたくなったのだ。

 

 

 

「そんなの簡単! だってかわいいし、カッコイイんだもん! それにあたし、Mt.レディに助けてもらったことあるの!」

 

 

 

少女からの返答はシンプルであった。

 

 

 

「あたしね、あの日怪獣の近くにいたの。 怖くて泣いてて、動けなかったの。 そしたらMt.レディが来てね! (ヴィラン)にドロップキックをしたんだよ! 自分よりも大きのに! でね! その隙に別のヒーローが来てね助けてもらったの。 あたしもいつかMt.レディみたいなカッコかわいいヒーローになるの!」

 

 

 

彼女は嬉しかった。

 

自分の知らないところで、自信を無くしたデビュー戦の裏で助けることが出来ていた命があったことに。

 

そしてカッコ悪い自分をカッコいいと言ってくれたことに少し自信を取り戻していた。

 

 

 

「・・そっかぁ。 Mt.レディカッコイイよね!」

 

 

「うん! 大好き! あたしがMt.レディのNo.1ファンなんだから!」

 

 

「……ありがとね」

 

 

「? なにか言ったの?」

 

 

「ううん! なんでもない! それよりあたし岳山優って言うの。 君の名前は?」

 

 

「あたしアキコ! アッコって呼んで!」

 

 

「ねえアッコちゃん? 実はあたし独りで寂しく遊園地に来ちゃったの。 よかったら一緒に遊園地で遊ばない? 乗り物のチケットならいっぱいあるわよ~?」

 

 

「ほんとう!? 行こう行こう!」

 

 

 

岳山は彼女の手を握りこの小さなファンに少しでもお礼をしようと園内を移動しようとする。

 

 

その時!

 

 

遊園地の中心から突如なぞの光の柱が立ち昇り、空に拡散する。 

 

しばらくすると光は完全に消え何も見えなくなった。

 

 

 

「なんだったのかしら、今のは?」

 

 

「花火かな?」

 

 

 

突然の事に訝しむ岳山とアッコ。 

 

そんな二人の耳に大量の空き缶が地面に落ちる音が聞こえてくる。

 

 

そちらの方へ目を向けると3輪車に乗り、空き缶を回収していた飲料配達の業者が倒れていた。

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 

岳山とアッコは職員に駆け寄り声を掛けた。

 

 

 

「ああ、 自転車で走ってたら何かにぶつかって。 何だろう?」

 

 

「何か?」

 

 

 

そういうと岳山はなにかを探すように自転車の前へと進む。

 

すると鈍い音と共に岳山は地面に倒れ額を押さえて倒れこむ。

 

 

 

「あだッ! いっった~~~い! 何にぶつかったのよ!?」

 

 

「お姉ちゃん! 壁だ! 壁があるよ!?」

 

 

「壁?」

 

 

 

アッコに言われ慎重に手を伸ばして進むと何もないはずの空中で壁に手を当てた感触が確かにあった。

 

 

 

「本当だわ! 見えない壁だわ!」

 

 

 

 

その日、遊園地は閉ざされてしまった。




後編に続きます。

ウルトラファンなら何となく何の怪獣かお分かりかと思います。

ちなみにTwitter(@MasaHI521)をやってるのですが、もしよければフォローしてください。

アイコンがネタバレしておりますが。。。それでも良ければ!

しかし、今月はウルトラマン関連のトピックが多くて嬉しいです。

陛下の剣にはびっくりしましたがw

それでは!
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