メビウスのヒーローアカデミア   作:Mak

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た、大変お待たせ致しました!!!

こんなに時間が掛かってしまいましたが、とりあえずMt.レディ回は今回で完です。

どうぞ!


Mt.レディ: ライジング③

大砲のような音が再度園内を駆け巡る。

 

それはオールマイトが最初に叩き割った穴から少し離れ、今度は見えない壁の内側から新たな穴を確保した際に起こった音だった。

 

そして、その穴からは外で待機していたヒーローたちが続々と流れ込んでくる。

 

 

 

「ヒーロー諸君! まずは人命救助第一だ! 索敵が出来るヒーローは要救助者の確認を! 救助が得意なヒーローは園内中央に向かい、穴に引きずり込まれたという子供たちを救い出してくれ! 戦闘専門は救助のサポートだ‼ 攻撃は私の合図があるまで自衛以外での使用は控えてくれ!」

 

 

「オールマイト!? 貴方に逆らうつもりはありませんがあの怪獣と巨人を野放しにして良いのですかッ!?」

 

 

「ああ、まずは様子見をしよう。 幸いどっちも互いに意識が集中している。 下手に手を出してこちらを標的にされるのは危険だ・・・。 大丈夫! たとえどちらが勝とうとも、最後は私が責任を持って解決してみせるとも!」

 

 

 

No.1ヒーロー【オールマイト】

 

年齢不詳、“個性”不明でありながらヒーロー界に颯爽と現れ、その実力で不動の人気を得る。

 

その戦闘力は凄まじく、先ほどメビウスですら破壊することを諦めた見えない壁をパンチ一つで穴を開けるほどの力の持ち主である。

 

そして、メジャーデビューから数十年も活躍し続けている大ベテランでもあり、多くのヒーローたちの憧れでもある。

 

 

これまで、その超人的なパワーにより様々な奇跡を体現し、今や彼の存在そのものが(ヴィラン)を委縮させ、味方を鼓舞し、人々を安心させる絶対的な精神的支柱でもある。

 

 

常であれば現場に辿り付いた時点で直ぐさま(ヴィラン)にパンチ一つでもお見舞いし早期解決を図るのだが、自分を恐れることのない未知の怪獣、過去に例の無い事件を前にどう動いて良いか悩むヒーローたち、何時パニックになってもおかしくない人々の希望となるために彼は目立つところに立ち、今しばらくは現場の指揮を執ることを選んだのだ。

 

 

そして先ほど、事件の首謀者である(ヴィラン)とは戦わず、正体不明の巨人共々も放置するとも取れる指示に対しての疑問には地位と実績にモノを言わせ、最後には自分が矢面に立つことを宣言し同業者たちを納得させた。

 

 

だが彼の胸中は先ほど言った言葉とは少し違っていた。

 

 

 

(先ほどはああ言ったが・・・田等院の巨人・・・、顔は能面の様に無表情だがあの銀色の眼、私には彼が(ヴィラン)とは思えん。 私の勘が当たってくれればいいが・・・、この戦いで見極めさせてもらう!)

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!」

 

 

メビウスが走り出す。

 

ガギは半ばで切られ短くなった触手を振り回し迎撃するがメビウスは華麗にソレを避けながら組み付き、首を持って大きく左右に揺さぶり、勢いをつけて投げ転ばす。 

 

それは、まだ近くに居る岳山から少しでも距離を離すためだった。

 

 

 

「巨人が・・・わたしを助けてくれたっていうの?」

 

 

「お姉ちゃん大丈夫!?」

 

 

岳山には分からなかった。 

 

あの日彼にはそれなりに酷いことを言った自覚があった。

 

だが彼はそんな彼女に目もくれず、あまつさえそんな自分を窮地から救ったのだ。

 

 

岳山には理解できなかった。 

 

ただ巨人と怪獣の戦闘を眺め、心配して抱き着いてきたアキコの頭を撫でる反対側の手を、血が滲み出るほど強く握ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

投げ飛ばされたガギは触手を引っ込め、腕に生えた巨大な2本の爪で戦う近接モードへと切り替える。

 

 

その強靭な爪は的確にメビウスを切り裂く軌道を描き、または首を挟もうとするがメビウスは全て防御もしくは避け、出来た隙を逃さずパンチやキックの連続で確実にダメージを与えていく。

 

 

そしてメビウスはガギの顎にアッパーカットを喰らわせ、倒れたガギに対して馬乗りになり両腕を足で押さえたうえでパンチやチョップの雨をガギの首に降らせる。

 

 

終始劣勢に立たされ苦しむガギだったが、怪獣とは怪しい獣である。 

 

種類にもよるが大抵は人体には無い部位を備え、常識が通用しないからこそ怪獣と呼ばれる。

 

 

 

「ア゛ッ!? ディアッ!?」

 

 

 

突如メビウスの首にガギの尻尾が巻き付き締めあげる。そして物凄い力で上体を浮かせ、投げ飛ばし地面に倒してしまう。

 

 

メビウスは即座に起き上がろうとするが、顔面にムチで殴られたような強力な一撃を貰い怯んでしまう。

 

 

正体不明の攻撃を確認する暇もなく、なんとかその攻撃範囲から逃れようと地面を転がり、ある程度距離を離してから再度ガギに対峙しようとすると、そこには彼が斬った反対側の腕から再生した触手を振り回すガギの姿があった。 

 

 

 

「グァッ!? ・・・デュァッ!?」

 

 

 

驚くメビウス。その隙にガギの頭部に生えた角が帯電と共に発光し、赤色の光線をメビウスへと放ち命中させてしまう。

 

幸い威力はそれほど高くなく、大ダメージを負うことは無かったが、連続して放射される光線に対し回避することを余儀なくされる。

 

 

近距離には爪、中距離にはムチ、遠距離には光線とどのレンジでも対応できるガギに対し、流石のメビウスも攻めあぐねてしまう。

 

 

時間が、刻々と過ぎていく・・・

 

 

 

 

 

 

「君! その恰好はヒーローだね? ・・・その傷・・よく頑張った! さあ! ここは私に任せて、早くその子を連れて安全な場所に避難しなさい!」

 

 

「・・・オールマイト!? 何故ここに!?」

 

 

「救援だ。 偶々向こう岸の海浜公園で特訓を見ていた。 ラフな格好で申し訳ないがこうして私が来たからにはもう大丈夫! ・・・さぁっ! この一帯はもう避難済みだ! もうすぐ総攻撃が・・・ムッ!?」

 

 

「ッ!?」

 

 

 

先にオールマイトが気づき、少し遅れて岳山も異変に気付く。

 

怪獣のいる方角から赤い光線がこちらに近づいてくるのが分かったからだ。

 

岳山はアキコを光線に当たらないよう抱きかかえ蹲り、オールマイトはすぐに光線と岳山達の間に割って入り迎撃の構えをとる。

 

 

だが光線が彼女たちに届くことは無かった。 

 

 

訝しむ岳山がそっと振り返ると、そこには自身の背を盾にし、苦悶の声をあげながら光線を防いだメビウスの姿が目に入った。

 

 

 

(まただわ。 なぜヒーローでもない奴がわたしたちを守るの!?)

 

 

 

そんな疑問が頭の中を駆け巡り必死に答えを導き出そうとする彼女だったが、ふと『ピコーン、ピコーン』と耳障りなアラームに似た音が聞こえてくることに気が付いた。

 

耳を研ぎ澄まして音の出何処を辿っていくと、その音は巨人の胸のひし形のクリスタル部分から流れ、澄んだ青色だったはずのそれは赤色に変わり、アラームと連動するかのように点滅していた。

 

 

 

「なに? あの胸のピカピカ?」

 

 

「分からない・・・だが、」

(危険信号か? ・・・巨人よ、まさか君にも活動時間があるのか?)

 

 

「ッ!? 危ない‼」

 

 

 

岳山が思わず叫ぶとまたガギの角が発光し、赤色光線を連続して放つ。

 

メビウスは振り向きながら両手を前へ突き出して光の壁を作り出す。攻撃を防ぐことには成功したが、反撃のチャンスを逃してしまい、連続して放たれるガキの光線を防ぎ続けることを強要される形となってしまった。

 

 

心なしか胸の点滅とアラーム音の間隔が狭まってくるように思えた・・・

 

 

 

「・・・どうやら巨人は我々には好意的で更にピンチらしい。 援護に入りたいところだが、怪獣も隙がない。・・どうしたものか・・・」

 

 

「オールマイト! 提案があります! わたしを、わたしをあの怪獣の頭上高くまで放り投げてください! 考えが有ります‼」

 

 

「! 無茶だ! そのケガで何が出来る!? それに今は我々も体制を整えて・・」

 

 

「やらせてください‼ ここでやらなければ、わたしはもうヒーローではいられません! あの巨人には何回も助けられました! それにプロであるわたしがヴィジランテ(・・・・・・)である彼に助けられ続けられるのはヒーロー社会の沽券にも関わります! プロの意地を見せなくては!」

 

 

「しかし・・・!」

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

 

必死に説得する岳山と尚も渋るオールマイトの間をアキコが割って入る。

 

そしてポケットから大事そうにある物を岳山に渡した。

 

 

 

「これ!?」

 

 

「あたし、お姉ちゃんを信じてる‼」

 

 

「・・・ありがとう」

 

 

 

泣きそうになるのを必死に耐え、アキコが拾ったマスクを顔に被ることでプロヒーローとしての顔を作り上げ、説得のため再度オールマイトへ向き直る。

 

 

 

「・・・そう言えばまだ聞いていなかったね。 君の名前を聞かせてくれないか?」

 

 

「! わたしの名前はMt.レディです! 以後お見知りおきを!」

 

 

 

 

 

 

メビウスは焦っていた。 

 

残り短い時間で如何に誰も傷つけずに怪獣を倒すか考えていた。

 

せめてあの怪獣の光線さえ封じ込めれば勝機はある!

 

と思いつつ後方にいる守るべき人間たちを見やると、そこには片手で体を丸めたMt.レディを軽々持ち上げ、砲丸投げのような姿勢を取っていたオールマイトがいた。

 

 

 

「準備はいいかい?」

 

 

「はい! いつでもOKです!」

 

 

「それでは行くぞ! 【Alaska Throw】!!」

 

 

 

Mt.レディがメビウスを飛び越える軌道で空高く放り投げられ、身体を開き上手いことガギの真上の位置に到達する。

 

そのまま右足を突き出しキックの体勢を取りながら“個性”を発動させ、重力に引かれ自由落下で怪獣との距離を縮めていく。だが!

 

 

 

(うっ!? 個性が解ける!?? こんな時に! なんで!!)

 

 

 

飛び出すまでは良かった。

 

だが怪獣の姿を、高い上空からでも恐ろしく大きい敵を目前にして、Mt.レディの“個性”が解け始め、徐々に体が小さくなっていきながら怪獣との距離が近づいてきてしまう。

 

 

このままではせっかくのチャンスを不意にするどころか、最悪の展開になってしまう。

 

そして気づいてしまった。 なぜ自分がイップスになったのかを・・・

 

 

 

(あ、そうか。 やっぱりあたしがイップスになったのは巨人のせいじゃあなかった。 あんなにデカい敵と戦うのが怖かったんだ)

 

 

 

彼女は幸運だった。 

 

学生時代の同級生は疎か、先生相手でも善戦できるほど強力な“個性”を生まれながらに得たことで優秀な成績を残し、若干23歳でヒーローデビューしたほどのエリートになれた。

 

 

そして彼女は不幸だった。

 

彼女より大きく、強い壁にあの日までぶち当たったことが無かったからだ。

 

 

自分より小さい(ヴィラン)しか相手したこと無い彼女にとって、自分よりでかい(ヴィラン)に手も足も出ず負けたことは彼女自身のオリジンを粉みじんにするは十分だった。

 

だがそれを認めるのが怖くて、潜在的に敵ではないと気づいていたメビウス(他人)の責任にして心の均衡を保っていたのだ。

 

 

 

(あたし、何のためヒーローになったんだけ? お金のため? 名声のため? いいえ違うわ。 ビッグになるためだった。 でもビッグっていったい何なの?)

 

 

 

周りの景色がゆっくりと流れ、過去の記憶が脳裏に現れる。

 

彼女はヒーローを志した頃から常日頃「ビッグになりたい」と言い続けてきた。

 

だがそれは彼女の“個性”に合わせたキャッチフレーズみたいなものであり、具体的な意味は今に至っても確立しない曖昧なものだった。

 

 

怪獣との距離が更に近づく・・・ 

 

 

 

「Mt.レディ頑張って!!!!」

 

 

 

聞こえないはずの声が聞こえた気がした。 

 

自分の一番のファンだと、自分みたいになりたいと憧れてくれる女の子の声が確かに聞こえたのだ。

 

 

 

(そうよ! 今は意味なんかどうでもいい。 今は、あの子ために、あの子の希望になるために! そのために・・・)

 

「わたしは‼ ビッグになる!!!!」

 

 

 

イップスが収まる。

 

最大身長、最大質量を維持したまま重力加速度によって威力が高められた彼女の蹴りがガギの角に当たる!!

 

 

 

「【アヴァランチフォール】!」

 

 

 

ベルモンテ(美しい山)が時折魅せる恐怖の雪崩ごときキックがガギの角をへし折る!

 

すると光線は止み、思いがけないダメージを喰らったガギは後ずさりして大きな隙を晒した。

 

 

 

「今よ!」

 

 

 

巨大化したまま五点着地に近い方法でなんとか落下の衝撃を逃がしたMt.レディがメビウスに対し叫ぶ。

 

メビウスはその言葉に頷くと左腕を自身の前にクロスするように伸ばしゆっくりと引いていくと、彼の左腕に付いた【メビウスブレス】から光の剣【メビュームブレード】が現れる。

 

 

すぐさま立ち上がり、ガギに向かって走り出す。

 

 

 

「セァッ!」

 

 

 

ガギは迎撃のため触手を振り下ろそうとするがそれよりも早くメビウスは懐に潜り込むとそのまま走り抜けた。

 

空を切った触手が地面に当たるとその衝撃でぼとりと落ち、ガギは断絶魔をあげる暇も無く体の真ん中の切込みから光と共に爆炎があがり、木っ端微塵に爆発したのだ。

 

 

こうして、遊園地での怪獣騒動は終息した。

 

 

その報せはすぐさま園内中に知らされ、人々は歓喜に包まれた。

 

その歓声を背に、メビウスは空高く飛び、空の彼方へと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

同じころ、Mt.レディは事件が解決したことを見届けると個性を解除し、林の中で仰向けに寝転がっていた。

 

 

 

「あいたたた! 流石にあの高さから落ちて無事とまではいかないか。だれか見つけてくれるまで待つしか・・・」

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

「きゃあっ!?? ちょ、ちょっと脅かさないでよ~、どこから現れたんですか!」

 

 

「え? 空からですけど?」

 

 

「はぁ~~~??」

 

 

「とにかく、ケガの方を診させて貰いますね」

 

 

 

周りに誰もいない、すぐには救援は来ないと思っていたために突然現れたこの青年に驚いたMt.レディは口々に文句や疑問を投げかけるが、人間の青年の姿になったメビウスはそれを聞き流し、夢を叶え医者になったかつての仲間から教わった応急処置の知識を使って彼女のケガの具合を確かめていく。

 

 

 

「右足を骨折してますね。 他にもケガはしてますけど、とりあえず今は添え木と足を布で固定しますね」 

 

 

「あ、ありがとうございます。えっと、あなたもヒーローの方ですか?」

 

 

「いいえ、ヒーロー志望です。 僕はヒビノ・ミライと言います。 Mt.レディさん、あなたのファンです! さてと、行きましょう!」 

 

 

「い、行くってどこ・・ぉぉぉぉっに!? ちょっちょっっと!? 降ろしなさいよ!」

 

 

 

Mt.レディは狼狽していた。 

 

突然現れたミライと名乗る同い年ぐらいに見える青年から応急処置を受け、整った顔と眩しい笑顔を至近距離で見せつけられながらファンだと告白され、更に人の許可も得ずに軽々と横抱き、所謂“お姫様抱っこ”で運ばれているからだ。

 

 

 

「ダメです! 大丈夫だとは思いますが早くお医者さんに診てもらったほうが良いことには変わりません!」

 

 

「そ、それはそうだけどぉ・・・」

 

 

 

トドメに至極真面目な表情で自分のことを心配する意見で反論される始末。

 

理性が追い付かず、色々言いたいことはあったが、今日までのストレスや死闘にこの仕打ちと身も心も疲れ果てたMt.レディは反論するのを諦め、恥ずかしそうに顔を背けるのが精一杯だった。

 

 

 

 

ミライがMt.レディを運んで数分後、木々の間を抜けると視界が開け、あのガギの角があった、いまは大きな穴が開いてしまった芝生公園に出た。

 

 

そこにはたくさんのヒーローたち、それに警察、消防隊や救急隊が懸命に白い繭みたいなものを穴から出していた。破られた繭からは穴に引きずり込まれてしまった子供たちが出てきた。

 

遠目ながら、その様子に安堵したMt.レディは、周りを見渡すとマスコミと思わしきの目立つ人集りが目に止まった。そこにはオールマイトと、そのオールマイトに抱きかかえられながらマスコミのインタビューを受けていたアキコの姿も見えた。

 

 

 

「Oh! どうやら今日のMVHeroが帰ってきたみたいだぞ!」

 

 

「オールマイト! 早くMt.レディの所に連れてって!」

 

 

オールマイトが目ざとくMt.レディが帰ってきたのを発見するとアキコを連れて歩いてくる。 そして、それを微笑ましく映していたカメラクルーも付いて来ていた。

 

 

 

「ミライ君・・だっけ? お願い、ちょっと降ろして」

 

 

「? 分かりました?」

 

 

 

先ほどまでとは違う雰囲気を纏っての要求にミライは素直に従い、彼女を地面に降ろす。

 

 

 

「Mt.レディ~!」

 

 

ゆっくりと歩くオールマイトに痺れを切らせたのか、アキコは降り、自分の足で駆け出す。

 

 

その場に居る全員が、ヒーローと子供が抱き合う感動的なシーンになるだろうと思った。

 

 

ぺチン・・・

 

 

乾いた音が響く。 

 

それはMt.レディが駆け寄ってきたアキコの頬を引っ叩いた音だった。

 

 

 

「おねぇちゃん・・?」

 

 

「・・・なんであの時言うことを聞かなかったの? 今回は助かったけどヘタすればあなたもケガをしてたかもしれないのよ?」

 

 

「で、でも・・お姉ちゃんが危ないと思って!」

 

 

「それだけじゃあないわ。あなたのあの軽率な行いが、わたしやオールマイト、それにあの巨人すらも危ない目に遭わせたの。あなたがあそこにいなければ、きっと巨人は私たちを庇うことなく、あの怪獣をすぐに倒せたはずよ、分かるわね?」

 

 

「う、うん」

 

 

「アキコちゃん、なんでヒーローになるためには免許が必要なのか知ってる?」

 

 

「「え?」」

 

 

「免許はね、信頼の証なの。色んなヒーローがいるけど、みんな同じ試験を受けて、同じ結果を出して手に入れるの。そうするとね、みんなある程度お互い何ができるのか、どう動くのか、あと苦労も判るから協力することができるの。だからオールマイトもわたしを信じてくれたし、投げた後は君を抱えて避難してくれたでしょ? ヒーローの仕事場に免許を持っていない人がいることは凄く危ないことなの」

 

 

「・・・はい」

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

ミライは先ほどの戦いを思い返していた。

 

Mt.レディの言葉は自分にも向けているように聞こえたからだ。

 

あの時はメビウスが彼女たちを守る対象としか見なかったからこそ窮地に追い込まれたからだ。

 

 

 

「でもねアッコちゃん。 あなたがあの時助けてくれなかったら、わたしはヒーローにはなれなかったわ」

 

 

「ぇ? お姉ちゃん!?」

 

 

 

そういうとMt.レディはマスクを脱ぎアキコの手に握らせると彼女を力いっぱい抱きしめる静かに涙をこぼす。

 

 

 

「ありがとう。アッコちゃんもきっとカッコかわいいヒーローになれるわ! でも、その日が来るまで、わたしにあなたを守らせて・・ね?」

 

 

「・・・ぐすっ!? うわぁぁぁぁぁぁぁん~~! ごめんなさい! お姉ちゃん!!」

 

 

 

後に、ヒーローファンたちは口々に語る。

 

華々しさとは無縁の泥臭い戦い、この日こそがMt.レディの真のデビュー戦であると。

 

 

そして十数年後、約束を守りヒーローになった富士アキコをサイドキックとして雇い、ビッグ美人ヒーロー姉妹として彼女達は歴史に名を刻んでいくことになる。

 

 

この日、岳山優は最初の夢を叶え、次の夢を叶えるための約束をしたのだった。

 

そしてミライも、ヒーロー免許を手に入れ、この星のヒーローの一員になることを改めて誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

「こんなにお仕事頑張ったのに、どうして赤字なのよ!?」

 

「人手不足だからな」

 

「仕事を選んでいる場合じゃあないでしょ?」

 

「授業料を稼ごうと思って!」

 

「ねえ? あなた達、わたしのサイドキックにならない?」

 

次回、 「ヒーロー事務所の運営」




アンチヘイトではないと思ってますが、どうでしょうか?

正直怖いです! お気に召さない人が出てもおかしくないと思ってますが必要だとおもったんです!!


さて、それはさておき、 時間は掛かりましたが、その間最終話をどうするか決まりました。
これも皆さんの感想やコメントから刺激を貰ったおかげです。
本当にありがとうございました!

というわけで引き続き、メビアカを楽しみに待っていただければ幸いです。

次回から新章 入学準備編が始まる予定です。

では!
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