メビウスのヒーローアカデミア   作:Mak

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ご無沙汰しております。
ウルトラマンZとウルトラギャラクシーファイトが面白すぎて・・・

公式からの供給がオーバーフロー気味ですが、良ければこちらも読んでくさい。

今話から入学準備編が始まります。
楽しんで頂ければ幸いです。





入学準備
事務所の運営 ①


「遠足は楽しめたかな? 弔?」

 

「・・・ああ。 先生の言う通りだったよ。 やっぱり自分の眼で直接見て経験することは大事だね」

 

「それはよかった!」

 

 

誰もいない薄暗いバーに青白く不健康な青年、死柄木弔が入ってくるとそれを見越したようにモニターの電源が入る。

彼にとってはいつもの事なのか、特段驚きもせず普通に今日体験したことを報告し始める。

 

 

「図体は大きくても所詮は獣だ。 けど、その習性を理解すればある程度コントロールできるのがよく分かったよ。 あんなデカい怪獣を意のままに操れたら楽しいだろうなぁ! ・・・なあ先生? 俺も怪獣が欲しい! 俺にも一匹くれよ!」

 

 

まるで親にペットを欲しがる無邪気な子供のように先生と呼ばれる存在に強請る弔。

そして先生と呼び慕われている存在は笑いながら、それでも嬉しそうに答える。

 

 

「もちろんだとも! ただし、一口に怪獣と言ってもディノゾールやガギの様にタイプも能力も異なるからね。 そのうち君にも選ばせてあげるからそれまでは怪獣について勉強を続けなさい。 しばらくは色んな怪獣が出現するからね。 ちゃんと名前と能力を把握してレポートに書きまとめて怪獣選びの参考にしなさい」

 

 

会話の内容は物騒であり、あまりにも非常識な内容ではあったがその姿はまさしく師弟関係のそれであった。

そして色よい返事とはいえ、今すぐではないと伝えられた弔は笑顔から一転、憮然とした顔になる。

だがそれは課題を与えられたことからではなかった。

 

 

「・・・名前で思い出した。 先生だろ? あの巨人の情報をリークしたの。 あんなことしても、俺たちにはメリットは無いはずだ。 なんでなんだ?」

 

「フフフ。 怪獣でさえディノゾールやガギという名前があるのに巨人だけが巨人や田等院の巨人と呼ばれるのは可哀想じゃないか。 それに名前は大事だよ! 名は体を表す! まさに彼に相応しい名前じゃあないか!」

 

 

この星で一番の巨悪が笑う。

まるで大物役者がショーに電撃出演したかのように興奮と感動で画面越しでもスタンディングオベーションしてのではないかと思わせるぐらいに。

 

生徒であり、長い付き合いでもある弔はそんな師の興奮具合に目を丸くする。

そんな彼の心情を知ってか知らずか、この男の調子が上がっていく。 まるで名作の誕生に歓喜する観客のように。

 

 

「闇が強くなれば強くなるほど光もまた強くなる! それこそオールマイトのように! そしてその逆! 光が強くなれば闇もまた強くなるのさ! さあ楽しもうじゃないか! 新たな希望の光より生じた悪が何を成すのかを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わってここはMt.レディが代表を務めるMt.事務所。

あの閉ざされた遊園地事件から数週間、気候も落ち着いて過ごしやすくなった5月、Mt.レディの生活にも変化が現れて・・・・・・

 

 

「あんなに頑張ったのに、どうして今月も赤字なの!?!?!?」

 

 

・・・現れてはいなかった。

 

 

「そりゃ、収入より出費の方が多いからね」

 

 

吠えるMt.レディに対し事務所唯一のサイドキック(社員)、経理担当の山本サトシが冷静にツッコミを入れ、淡々と出費の内容を諳んじ始める。

 

 

(ヴィラン)被害以上の破壊、車を数両踏み潰し、寄りかかったビルの窓ガラスを数枚割る、その他諸々。 ・・・前も言ったけどなんで都市部に事務所構えたさ。 正直言うと、この調子じゃあいくら頑張っても返済に消えて行くよ?」

 

「だ、だって郊外じゃあ注目を集められないじゃない! そ、それにこの前なんてテレビにも出たのよ? あの時の出演料や宣伝効果も含めればそれなりの収入に・・・」

 

 

先週末、新人一年目ヒーローとしては異例の彼女単独の特集が組まれたのだ。

 

キッカケはあの事件の最後、アキコとのやり取りの場に居合わせたテレビクルーたちはその姿に感動。 今日日なかなかお目に掛かることのできないヒーローと子どもの感動的なやり取りを目の当たりにした彼らはすぐさま出演オファーを出し、特集を組むことを約束したのだ。 

しかし・・・

 

 

「キー局全てが放送してくれていたらね。 結局放送してくれたのはKCBさんだけ。 一応キー局だけどその他4局に比べれば全国放送には対応していないからどうしても宣伝効果は低い。 もちろん有難い話なんだけどね。 あんな特ネタがあるのにわざわざ枠を割いてくれたんだから」

 

「うう~~~~。 またしてもアイツのせいで! どこまでわたしの邪魔をするのよ! ウルトラマンメビウス~~~ッ!?」

 

 

 

 

それは事件の翌日に起こった。

 

Mt.レディこと岳山優はルンルン気分で入院先の病院のロビーでテレビを見ていた。

先日の怪獣との戦闘での彼女の活躍は全体的に少ないのだが、たくさんのテレビ関係者から出演のオファーと名刺を貰ったことにより確かな手応えを感じていたのだ。

 

そして、まだ収録をしてもいないのにも関わらず、もうすぐ始まるニュースの時間でもきっと自分の話題で持ち切りになるに違いない! と思っていた。

だが!

 

 

『おはようございます。 朝のニュースのお時間です。 早速ですが特集です。 先日も颯爽と現れ、怪獣を撃退した通称【田等院の巨人】、その正体が明らかになりました。 巨人の名前は【ウルトラマンメビウス】。 その正体は何と遥か300万光年の彼方からやってきた異星人とのことです!』

 

 

結局その日、Mt.レディの活躍が報じられたのは深夜の時間帯の、それも数分だけだった。

 

 

 

「あれ以来、世間は連日ウルトラマンの話題で持ち切り。 ビルボード上位のヒーローたちの活躍でさえ一面を飾れず脇に追いやられているぐらいさ。 キミみたいなペーペーじゃあ語るまでもない」

 

「それにしたったやりすぎよ! 同じ内容ばっかり繰り返し! よく飽きないわね。 M78星雲からやってきた異星人。 これだけよ? 繰り返し報道するものだから覚えちゃったわよ」

 

 

世間の反応は凄まじかった。 

なにせこの地球において初の地球外知的生命体とのファーストコンタクトである。

そして名前と出身地、実際に披露した能力以外は不明と言ったそのミステリアスな部分が受けたのか、情報に餓えた大衆の期待を応えるため連日連夜彼を神の御使いやら悪魔の手先だといったもはや陰謀論めいた憶測が世間を賑やかせていたのだ。

 

 

「さてと。 話は戻すがテレビの件はともかく、赤字なのは純粋にキミのせいだ」

 

「なんでよ?」

 

「依頼が少ない。 普通新人ヒーローは他事務所でサイドキックとして働いて、独立するまでに大活躍をしてコネを作ったり顔を売ったりする。 だけどキミみたいに最初から事務所を構えるヒーローたちはそれを事務所を経営しながら始めなければならない。 俺も経営のプロだ。 キミの個性なら目立つから一年目からでも十分収益を上げられると期待したからこそ一緒に事務所を立ち上げた」

 

「・・・じゃあやっぱりウルトラマンのせいじゃないのよ。 キャラ被りしてるし・・・」

 

「あの巨人の存在が誤算だったのは認める。 でもだとしたら今頃パワー系や炎熱系のヒーローはトップ2人以外は消えているよ。  それにね、きっとウルトラマンが現れなくてもこうなっていたと思う。 ・・・忘れたとは言わせないよ? 【事務所ぶっ壊し事故】のこと」

 

 

 

それは先月、田等院での戦闘から復帰し、Mt.レディが【個性イップス】になったもう一つの理由でもあり、きっかけは国からの冷酷な通知であった。

 

 

 

ヒーロー稼業の基本は犯罪の取り締まりである。

事件発生時には警察から応援要請を受け現場に赴き犯人の逮捕協力、人命救助などの貢献度を申告し、専門機関の調査を経てそれに応じた金額が振り込まれる仕組みとなっている。

 

そしてその財源は国庫から賄われているため、当たり前ではあるがその査定は非常に厳しく、憎たらしいほどに有能でもある。

 

かく言うMt.レディもディノゾールが現れる前の(ヴィラン)逮捕とディノゾールの足止めによる人命救助の支援を申告したのだが、敵との戦闘の際に公共の施設や車両を一部破壊し、補填や賠償のため逆に請求され、各種保険や控除により補填でもギリギリ赤字になるという散々な結果となった。

 

更に残念なことに、既存の基準では怪獣災害に対する公正な査定が出来ず、また関連する法整備や後処理も間に合っていないため、今なお支払われていない状態である。

 

そのことを知ったMt.レディは不満を爆発。

思うように行かない現実とストレスにより事務所内で“個性”が発動してしまい、事務所は倒壊。

事務所は立て直しとなった。

 

これにより巷でのMt.レディは「ビルクラッシャー」と言う不名誉な評価を絶対のものにしたのである。

 

 

 

「おかげさまで都市部からの依頼はさっぱり。 それに雇う予定だった事務員からは一方的にキャンセルで実質俺一人しか書類仕事できないから営業に行って売り込むこともできない」

 

「え、え~とじゃあ! バイトを雇うのは? それか適当な学校からインターン生を雇うとか・・・」

 

「万が一倒壊するビルの瓦礫に耐えられる“個性”がないと採用しないよ。 それにこんな信頼も実績もない事務所にインターン生を送る学校なんてないさ」

 

「じゃあどうするのよ!」

 

「仕事を真摯にやるしかないさ。 キミの嫌いな地方での副業とかさ」

 

「うッ!?」

 

 

ヒーローは形式上公務員である。 

しかし市民からの人気と、唯一合法で“個性”を使用できるという需要に後押しされる形で例外的に副業が認められており、中には副業をメインに生計を立てているヒーローも少なくなく、民間企業専属や個人に雇われているヒーローも存在する。

 

だがそれらの多くは非常に地味な仕事である可能性が高い。

また、食いっ逸れたヒーローたちの末路と陰口を叩かれることもあり、(ヴィラン)との戦闘や取り締まりと言ったヒーローの花形の仕事をしたい彼女にとっては受け入れがたい仕事であった。

 

許容できるとしたら精々化粧品や美容関係のコーマーシャルやイメージキャラクターになる仕事ぐらいだろう。

 

 

「わかった! わかったから!! なんでもやります! やればいいんでしょ!? ここまで言ったんだからもう依頼が来てるんでしょ!?」

 

「ご明察。 場所はN県の太田山金鉱。 依頼内容は作業の間怪獣の足止めだとさ。 あっ! 逃げるなッ! もう前金貰ってるし往復のチケット買ったから! 戻ってこ~い!!」

 

 

 

 

 

 

N県太田山金鉱。

かつて日本一の金埋蔵量を誇る鉱山であったが、四半世紀も前に経済的な理由で廃鉱となった金山である。

しかし未だ金の埋蔵量は日本有数と言われており、採算の取れる革新的な技術が確立すれば再び復活することが期待されている山でもある。

 

 

「・・と言われてもね。 怪獣どころか人の気配すらないじゃない。 まさか私に対する壮大な嫌がらせじゃあないわよね?」

 

 

金鉱のパンフレットを読みながらMt.レディは待ち合わせ場所に指定された、依頼主の物と思われるキャンピングトレーラの近くにあったベンチに腰かけていた。

 

約束の時間の30分経過し、なおもこうして待っていたのだが一向に依頼主が現れないので不毛な心配していると、地面が微かに揺れていることに気が付く。

 

直ぐ収まると思い気に留めないでいたが地震は不自然に長く続き、徐々に揺れが強くなっていったため警戒度を引き上げると彼女の目の前50メートル付近で突如地面が隆起する。

 

そして土煙を巻き上げ、けたたましいモーター音と金属と岩石がぶつかり合う不快な音をたてながら、巨大なドリルにキャタピラーが付いたような無骨な車両が姿を現した。

 

Mt.レディはその光景を啞然とする。

彼女は決して土木や機械やフィクションに詳しい訳ではない。

だが、きょうびのSF作品でも見かけることが少なくなった全く持って現実的ではない巨大な機械をただ茫然と眺めることしか出来なかった。

 

地底戦車はその無骨な姿を完全に現すと彼女の側に駐機し、飾りも模様もない外板の側面に設置されたドアが開き、中から人が現れた。

 

 

「お待たせしましたMt.レディさん!!」

 

「・・・え? 確か、ミライ君・・よね? どうしてここに!?」

 

 

中から現れたのは想像もしていない人物だった。

遊園地で出会い、気が付いたころには既に姿が消えていた、作業油で汚れた作業着に身を包んだヒビノ・ミライだった。

 

 

「アルバイトです! 入学金や授業料を稼ごうと思って! それよりケガはもう大丈夫なんですか?」

 

「えっ? ええ。 もう完治したわ」

 

「それは良かったです! じゃあ早速仕事の説明をさせて貰います! Mt.レディさんにして欲しいのは・・」

 

「ちょっと待った! 君がアルバイトってことは・・・依頼主は別にいるってこと? で、その依頼主は?」

 

 

Mt.レディの指摘と要求にミライは困った顔をして返答する。

 

 

「えっと実は・・・依頼主さんはその照れ屋というかなんというか・・・人前に出られない事情があってその・・なので僕が代理です。・・・だめですか?」

 

 

ミライがとても申し訳なさそうに事情を説明する。

傍からみていればまるでMt.レディが責めているようにも見える光景だがMt.レディにも引き下がれない理由が有った。

 

 

「わたしもプロなの。 仕事を引き受けたからにはちゃんとこなしたいわ。 あなたを信用しないわけじゃあないけど仕事である以上、依頼主と直接話して齟齬が無いようにしたいの」

 

『だったらVoice Onlyだけでも良いカネ?』

 

 

となりの地底戦車のスピーカーから拡声された人の声が流れる。

声質からしてどうやら声は高めだが男性と思われる声だった。

 

 

『初めましてMt.レディ。 俺が依頼主の金子(かねこ)だ。 事情はそこのヒビノ君が言ったとおりだ。 ノッピキならない事情があって姿を現したくないんだ。 本当なら直接会って話をしたいところだが・・。 仕事の説明は俺が直接やるのでこれで許してもらいないカネ?』

 

「よろしくお願いします金子さん。 その前に質問が。 貴方はいまどちらに? それとその変なメカは・・・なんですか?」

 

『変なメカとはなんだ!! これは地下何千メートルも掘り進めることのできる【地底戦車カネシダー】で俺の大発明だ! これだから浪漫の分からない奴は嫌いなんだ!』

 

 

その言葉にMt.レディは少しイラっと来るがカメラ越しの金子にはそれに気づくことが出来なかった。

 

 

『そして俺は今このメカの中から君に話している! つまりこの戦車そのものが君の護衛対象だ!! 精々頑張ってくれたまえ!』

 

「・・・へぇ~そうなの? じゃあ確認しますね?」

 

「わ! Mt.レディさん巨大化してどうするんですか!? あ、やめてください! カネシダーを持ち上げないでください! あ! 振らないで!! 中には金子さんが!」

 

 

Mt.レディは“個性”を発動し身長20メートル近くまで巨大化するとミライが止めるのも聞かずにカネシダーを持ち上げ上下に軽く振り始める。 

 

 

『うわぁあ! やめろ! 振り回すなこのバカ女!』

 

 

その言葉にMt.レディはより一層大きくシェイクする。

すると中で金属同士がぶつかり合い、跳ねるような音がするのを確かめ、依頼者が間違いなくいることを確認すると地面に降ろしたのだった。




次回に続きます。

ウルトラギャラクシーファイトにより、言及を避けてきた今作におけるメビウスの年齢設定公開に覚悟が決まりました。

原作本編より3000年後、メビウスがギリギリ1万歳にならないぐらいだと思って頂ければと思います。

そして、ウル銀の2000~3000年ぐらい前ぐらいのイメージで読んで頂ければと思います。

その理由付けは・・・・ いつか物語内で・・・

ではでは。
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