投稿できてなかった間も感想、評価をくださいました皆様に御礼申し上げます。
そしてなんと、評価バーがなんと赤色のまますべて埋まるとは・・・!
なかなかその評価にお応え出来てるかどうか分かりませんが、 お待たせした分、皆様を楽しませてれば良いなと思っております。
ありがとうございました。 それでは、どうぞ。
「それじゃあ、お腹がいっぱいになって気持ちが落ち着いたところで、改めて仕事内容の説明をさせて貰います!」
Mt.レディと金子の両名は黙ってミライの言葉に耳を傾ける。
つい先ほどまで不毛な争いを繰り広げていた二人を止めたのはやはり彼であった。
30分程前、尚も言い争いを続ける二人を放置し、ミライはキャンピングトレーラの中に入っていく。
数分後、戻ってきた彼がMt.レディに渡したのはカレーライスであった。
「僕の手作りカレーです。 お腹がすくとイライラしますよね。 二人ともこれを食べて元気になってください!」
白熱したやり取りに水を差された形ではあったが、毒気のない太陽のような笑顔で手渡されては、先ほどの気持ちは霧散してしまい、思わず受け取ってしまう。
お礼の言葉を言う暇もなく、金子の分だろうか? もう一皿のカレーと謎のじゃらじゃらと鳴る麻袋を持ってカネシダーの方へと歩くミライを目で追った後、手元のカレーに視線を落とす。
気が付けば時間は丁度お昼時。
この辺りには飲食店も無く、食事に期待できないなと道中考えていたところ、思いがけずに暖かいご飯が出てきたのだ。
添えられていた銀色のスプーンを手に取り一口ルーを口に運ぶと、ふんわりといい香りが広がっていく。
カレーや香辛料に詳しい訳でもなく、大好物だと公言するほどカレーが好きではない彼女であったが、しかしそれは不思議と心に染みる味だった。
食後、心とお腹を満たされたMt.レディは少しばかり社会人としての自覚を持って仕事に取り掛かろうとミライの説明を清聴する。
同じく乗り物の中にいる金子も何も言わないところをみると彼も同じ気持ちなのだろう。
「既にご存じかとは思いますが、Mt.レディさんには怪獣の足止めをお願いします」
「確認なのだけど、あくまで時間稼ぎで良いのよね?」
『そうだ。 流石に俺も奴を倒せとは言わん。 あの金色の悪魔を』
「・・・金色の悪魔?」
気になるワードに思わず反応してしまうMt.レディ。
『あれは3日前、俺が初めてこの地で採掘を始めた日だった。 カネシダーの性能は順調だった。 なんなく地下数百メートルを掘り進んだその時、そいつに襲われたんだ。 黄金怪獣ゴルドンに!』
「お、黄金!!? そ、それってどんな怪獣なの!?」
身を乗り出し、ミライに説明を促す。
「は、はい。 えっとゴルドンはその名の通り皮膚は純金で出来ていて、乾いた汗は砂金になると言われている怪獣ですけど・・・」
『そして奴の主食は金だ。 なんとしても奴より先に金を回収しなければならないが、3日前に一度襲われてしまってな。 そこで奴を地上へおびき出し、オマエが足止めしている間に・・・て、おい聞いているのカネ?』
「・・・・・・ねぇ? 契約の内容なんだけさ。 怪獣を倒しちゃった場合のことまで書いて無かったわよね?」
説明の途中から俯き、なにかブツブツと呟いていたMt.レディがギラギラした目つきで質問する。
「待ってください! いくらなんでもそれは危険です!」
嫌な予感が過り止めに入るミライ。 だがここで彼女の暴走に拍車をかける者がいた。
『聞かせてもらおうカネ?』
「金子さん!」
声を荒らげるミライ。 しかし二人はそれを無視し話し合いが続けられる。
「万が一なんだけど・・・、怪獣を倒してもそれは十分足止めよね? てことはその後の怪獣の始末とかはあたしの自由でいいかしら?」
『その通りだ。 あくまで契約は作業中の足止めだ、その後の事はこっちからは何も言わないことを約束しよう』
「Mt.レディさん冷静になってください! 相手は巨大怪獣です! 相手は貴女の巨大化時の背丈ほどあるんですよ!」
『ヒビノ君の言うことも尤もだ。 元々君では奴を倒せないと踏んだからこそ、足止めを依頼したのだ』
その言葉にほっとするミライ。 だがその気持ちは金子の次の言葉で裏切られることとなる。
『だがオマエがその気になったのなら話は別だ。 そこで提案なのだが、オイラが開発した武器をレンタルしないか? 元々足止め用の道具とかは無償で貸すつもりだったが、そこに殺傷能力のある奴も付けよう。 モチロン、タダとは言わないが・・・・・・どうする? 生身で相手するよりは余程確実だぞ?』
「良いわよ。 交渉成立ね!」
先ほどまでの仲たがいは何だったのだろうか・・・
こうして、金の魔力に取り付かれた二人は契約を更新し、ノリノリで【ゴルドン足止め作戦】改め、【ゴルドン殲滅作戦】を確認し始めた。
・・・ミライをそっちのけで・・・。
『用意は良いカネ?』
「いつでも良いわよ!」
『よし。 エンジン始動! ヒビノ君はソナーを起動! カネシダーのドリルと同じ高周波を地面に流してゴルドンを誘き出すんだ!』
『GIG!』
カネシダーに搭乗した金子とミライの声が外部スピーカーより流れ、作戦開始が告げられる。
作戦はこうだ。
前回の襲撃を検証した結果、どうやらゴルドンはカネシダーのエンジンが発する特定の高周波に引き寄せられたことが分かった。
そこで地面に埋め込んだソナーよりその高周波を地面に流し、ゴルドンを地上に誘き出させた瞬間にカネシダーは地底へと潜行。
その間にMt.レディは金子が用意した各種武器やトラップを駆使し最低でも足止めし、可能であれば始末する。
尚、作戦中はお互いに交信は不可となる。
これで決まりだ!
『ソナーに感あり! 巨大な物体が地上に向かって移動しています!』
『ドリル始動! 5秒後に潜行を開始する! あとは頼んだぞ!』
「任せなさい!」
『Mt.レディさん! どうか無理しないでくださいね!』
5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0!
その瞬間ソナーが埋められた場所に土煙が上がる。
それと同時にカネシダーも地面に沈んでいった。
(ガアッゲ!グッゴ!キィー!)
土煙を上げ、鳴き声をあげながら怪獣ゴルドンがその姿を現す。
どことなく芋虫に近い印象の体に竜みたいな顔と一本角を有し、足はヒレのような形状で四足歩行、ミーティングでの説明通りの見た目だったがMt.レディはどことなく違和感を抱いていた。
「光の加減のせいかしら? それとも土まみれだから? 黄金っていう割には輝き足りないような気がする・・・それに大きさも、あたしとそう変わらないような? とにかく今は集中しなきゃ!」
意識を切り替えたMt.レディはまず手始めに頑丈な鎖を持ってゴルドンへと突撃する。
最低限の目標は足止めである。 すぐに地下へ逃げられる訳には行かないため、何としても地上に縛り付ける必要があった。
背後から近づき背中に飛び乗る。
突然の衝撃に驚き暴れることにより振り落とそうとするゴルドンだが、Mt.レディはゴルドンの首にしっかりとしがみ付きこれに耐える。
そして疲れたのか、すこし動きが鈍くなったところ、重く頑丈な鎖の先に作られた鉄製の輪っかを上手いことゴルドンの首に通す。
すると輪っかは自動的にゴルドンの首回りに合うサイズへと締まり、連動して緩かった鎖は自動的に地面に固定された装置で巻き取られる。
「よし! これで簡単には逃げられないはず! あとは、あんたを倒すだけ!」
ゴルドンの背から降りたMt.レディは、誰も見ていないということもあってか、ちょっとヒーローがしてはいけない顔をしながら金子が準備した武器を吟味していた。
そして、とりあえず彼女が“個性”使用時を想定した巨大な棍棒と盾を持ち、敢然とゴルドンへ立ち向かっていったのだ。
一方その頃、ミライと金子を乗せたカネシダーは地下数百メートルの深さまで到達していた。
「Mt.レディさん、大丈夫でしょうか・・・」
「心配するな。 オイラの発明品さえあればあんな小娘でもちゃんと怪獣の相手ぐらいできるさ」
「だと良いのですが・・・」
「それより、そろそろソナーを打ってくれ。 この辺りに大きな塊があるはずなんだ」
「はい。 ソナー発射!」
ミライがスイッチを押すとモニターに3つの大きな影が映し出される。
「どうやらこの先には空洞があるらしいな。 金塊はその先か」
「もう一つの影はカネシダーの丁度真上ですね。 コンピュータによれば・・・銀の塊らしいですけどどうします?」
「愚問だね。 狙うは金のみ! このまま直進だ! 空洞へ出るぞ!」
しばらく掘り進めるとカネシダーは空洞に出る。
その空洞はかなり広く、巨人が闊歩しても問題がないほどであった。
「かなり広いですね」
「ああ、もしかしたらゴルドンが掘った跡なのかもね。 餌となる金もこの近くにあることだし。 もう一度ソナーで金の場所を確認してくれ」
「はい。 ・・・・・・金子さん! 大変です! 金が、金が動いています!」
「なんだって!?」
レーダーを確認する金子。
モニター映し出された金とタグ付けされた光点が、確かにこちらに向かっていることを示していた。
「エンジンを止めてください! ドリルとライトも早く!」
「あ、ああ」
エンジンが完全にストップしても車内には静寂が訪れなかった。
車外からズシン、ズシンっと巨大な何かの足音が聞こえたからだ。
しばらく息を潜めるように二人だったが、音の正体が分からないままでは対策のしようがないため暗視カメラを起動させる。
そこには驚くべきモノが映っていた。
「・・・ゴルドン!? なんでゴルドンが地下にいるんだ?」
「きっと1匹ではなかったんです。 もしかしたら番いだったのかも・・・」
「憶測はこの際どうでもいい! くそぅ!・・・残念だが地上へ戻るぞ! このカネシダーには武装が無い。 奴に気づかれる前に地上に戻らなければ!」
エンジンを再始動させ、来た穴を通って地上に戻ろうと機体を旋回させようとしたが、ゴルドンは地中にも関わらず物凄いスピードでカネシダーに接近し、そのヒレのような前足で薙ぎ払ってしまう。
カネシダーはその衝撃に耐えることが出来ず、空洞内を二三回転がってしまい、そのショックでエンジンは停止してしまう。
「ヒビノ君無事か!?」
「僕は大丈夫です! 金子さんは?」
「何とカネ。 だけど奴はまだ許してくれてないらしい」
生きのこっているモニター画面にはゴルドンはがこちらに向かってきている様子が映し出されていた。
(このままではやられてしまう。 でも、隣には金子さんがいる。 変身できない!)
焦るミライ。 どうやってこの状況を打破しようかと考えを巡らせていた時、金子から指示が飛ばされる。
「ヒビノ君! そこの赤いレバーを引いてくれ! 岩盤破壊用のダイナマイトだ! それに懸けよう!」
「はい!」
ミライが赤いレバーを引くとカネシダーの上部ハッチが開きダイナマイトが吐き出される。
それは丁度ゴルドンの足元で爆発! 堅いゴルドンの胸の皮膚にひびが入り、ゴルドンは何処かへと姿を消したのであった。
だが同時にカネシダーも近距離の爆発によりダメージを受けてしまう。
駆動系に異常が発生したためこれ以上進むことも戻ることも出来ず立ち往生となってしまったのだ。
金子は機体内部からエンジンの修理を担当し、ミライは機体の外からの駆動系の応急修理担当することとなった。
地底深くの暗い場所での作業は黙々と続けられた。
だが数十分もすると沈黙に耐えきれなかったのか、金子はスピーカーを通してミライに話しかけ始める。
『エンジンはもうちょっとで修理が完了するぞ! そっちはどうカネ?』
「こっちももう少しで修理が完了します!」
『分かった! しかしヒビノ君は大した奴だね。 3日前に初めて出会った時も思ったけど機械の修理まで出来るなんて。 自慢だけど、こいつの整備は簡単じゃあないんだよ?』
掛け値なしの賞賛を浴びせる金子。
二人の出会いは3日前の事だった。
ゴルドンに襲われ命からがらで逃げ出せたは良いが機体は中破。
とても一人では修理に時間が掛かると途方に暮れていた金子の前にミライは現れた。
そして半ば無理やり修理を手伝うと申し出たのだ。
最初は渋った金子であったが、人前に出られないことを良いことに勝手に外部の修理を手際よく行う彼の腕と、短い期間でも伝わった誠実な性格を見込み、勇気を出し正体を明かしたことがあった。
そして、彼は金子を普通の人間と同じ扱いをしてくれたのだ。
金子はそんな彼にとても感謝しており、普段から口が悪く、ぶっきらぼうな彼にとってそれは最大の讃辞であった。
だがミライの反応は非常に謙虚な物だった。
「実は昔、戦闘機の修理もやった事があるんです! それと・・・仲間に、──ロードバイク世界選手権に出場した人がいました。 その人のバイクの整備もしたことがあるんです」
『そうか。 ハハハ! 戦闘機の整備したことがあるならオイラがガラクタから作ったこいつの整備なんて簡単だよな! しかし世界選手権に出るほどの選手のマシンの整備とは・・・すごいじゃないか! 君が整備したんだ! その仲間とやらは、優勝なんて簡単にしたんじゃないか?』
「・・・・・・だと、良いのですが」
小粋なジョークを含めた金子の質問に返したミライの返事はどこか暗さがあった。
何があったのかより深く追求しようとしたその時、 地中を揺さぶるほどの咆哮が空洞を木霊する。
『イカン! ヒビノ君! 早く機内戻れ! ゴルドンが! いや!? 銀まで物凄いスピードでこっちに向かって来ている!! そこに居たら危険だ!! 早く戻るんだ!! 急げ!!』
だがそんな余裕は無かった!
既に右からは先ほど戦ったゴルドンが! 反対側からももう一体のゴルドンが壁を突き破りこちらに猛突進してきたからだ。
2体のゴルドンがカネシダーを押しつぶそうとしたその瞬間!
ミライの左腕にメビウスブレスが現れ、暗かった周囲は一気に光でいっぱいとなる。
暗闇に慣れた2体の地底怪獣がその光によって視力を失い、のたうち廻っているその真ん中で、ミライは左腕を空高く掲げ、自身の本来の名を高らかに叫ぶのであった。
「メビウース!」
地底数百メートルの暗闇に光の巨人、ウルトラマンメビウスが現れたのだった。
次回に続きます。 時間をかけて構成を考えたぶん、悩まず執筆できるはずなので、
今週中には続きを投稿出来るよう努力いたします。
もうしばらくお待ちください。
感想、批評、会話でも構いません。 どうぞ気楽に書いてください。
お待ちしております。
ではでは