Atelier lirica~アースランドの錬金術士~   作:ねり金術師

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こそっと投稿(ブランクすぎて変な文のため)
不定期投稿です(確固たる意思表示)


始まりの物語
星霊魔導士と旅をする少女


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○年前

「ついたぞリリカ。」

 

 随分と年のいった男性の声が耳鼻を打つ。

 その声の主、子供と身間違うほど小柄な老人に導かれ、少女はここまでたどり着いた。

 

「今日からここがお主の家じゃ。さぁ、中で仲間達も待っとる」

「でも、ワタシは…………」

「お主がいつかここを去るのであればそれでもよい、子はいずれ巣だっていくものじゃからな。」

 

 一度言葉を区切り、老人は少女に向き直り

 

「ー」 

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 どうしてこんなことになっているのだろう。

 一身上の都合で旅をしている少女は青い空を仰ぎながら嘆いていた。

 

 旅の途中でであった、ちょっとしたトラブルで徒歩で町に向かっていたルーシィという少女を自分の牛車に乗せてハルジオンまで送ったまではよかった。

 

 そのあと、風の噂で今とある有名人が同じ町に訪れていることを知り

 嵐、もといその有名人が去るまでは大人しくしてようと隠れ場所、ではなく仮の拠点でも探そうと思ったとき

 

「やぁそこのお嬢さん。今夜パーティが開かれるんだけど一緒にどうかな?」

 

 ナンパにあってしまったのだ。

 しかも大勢のギャラリーを連れている。

 

 そこそこ名の知れてる(らしい)ナンパ師らしく、やたらとアピールをしてくるのだが如何せん少女には覚えがない。

 ついでに琴線にも触れていない。

 

 いやそこは今はどうでもいい。

 むしろ問題なのは余計に注目を浴びてしまうこの状況だ。

 このままだと会いにくい人たちにまでこの喧騒が届きそうで気が気ではない。

 

 と、そんなときである。

 救いの手が差しのべられたのは。

 

「ごめーん、ジェシカ。待たせちゃったかしら」

「え、ルーシィ?」

 

 ハルジオンまでの道のりを共にしたルーシィが割って入ってきたのだ。

 

「ルーシィ、君の知り合いかい?」

「そうなんですよ、これからこの子と約束があるんでこれで失礼しますね。夜のパーティには参加しますから!」

 

 最後、語尾を強く荒らげたかとおもうとルーシィはゼシカの手を引いてこの場をあとにする。

 そして、人気の少ない路地裏まできて漸く人心地ついたのか足を止めてゆっくりと息をはいていた。

 

「ゴメンね、いきなり引っ張っちゃって、一寸見かねたものだからつい。」

「ううん、辟易してたのは確かだし実際助かったもの。ありがとうルーシィ。」

 

 一騒動終えてより仲良くなったのだろう。

 どちらからともなく笑いあってついさっきぶりの再会を喜んだ。

 そしてお互いの近況報告をしながら談笑していたのだが、そこでルーシィはある話題を口にしたのである。

 

「それにしても、一寸幻滅しちゃったなぁ」

「なにが?」

「ほら、さっきのあいつ火竜(サラマンダー)らしいんだ。もっとすごくて、いい人だ思ったんだけどなぁ」

「さら、まんだー?あの人は竜だったの!?」

 

 

 衝撃の事実だと言わんばかりにジェシカは驚く。天然ボケである。

 こんなところに竜がいるわけないしあんなちゃちい男な訳がない。

 

 ルーシィは()()()の勘違いに小さく吹き出しつつも訂正した。

 

「違う違う、火竜って二つ名の魔導士なのよ彼。」

 

 よくよく考えなくてもわかるような話だが、ものの見事に天然ボケを発揮したゼシカは頬を朱く染めている。

 そして、気分を紛らすように小さく咳払いをして口を開いた。

 

「そっかぁ、火竜の二つ名って()()()いたんだね。」

「そうなのよー…………っえ?」

 

 

 ところかわってここはハルジオンの港から出港しようとしている船の一室。

 

 そこには自ら『火竜』を名乗る男とルーシィが対面に座り談笑している。

 否、少し訂正しよう。

 『火竜』は歯が浮くような台詞を次々と繰り出し愉しそうにわらっているが

 対するルーシィも笑顔を張り付けているが何度か口元を引くつかせ拳をぐっと握っている、心の底ではげんなりしてるに違いなかった。

 

 そして限界が来たのか彼女はついに口火をきる。

「あ、あのーところで『妖精の尻尾』にはいつ頃つく……んですか?確かマグノリアはここから陸続きだったはず…………ですよね。」

 

 一応控えめに伺いをたてようとするルーシィ。

 しかし、帰ってきたのは男の不吉な笑みだった。

 

「は、ハハハハハハハハハハハ!まだそんなことを言ってるのかい!君がこれから向かう先はボスコだというのに!」

 

 言い終わるや否や、唯一の出入り口から屈強な男が弾けるように飛び出し、抵抗する間も与えずルーシィ組伏せてしまう。

 はめられた、と思ったときには身動き一つとれず腰に提げていたバッグまでとられてしまっていたのだ。

 ()()()()してやられたという悔しさと、危機的な状況な陥った緊張でいつのまにか拳をつよく握っていた。

  

「やっぱり騙していたのね!この詐欺師!」

「なんだ、最初っから疑ってたのか。まぁ今さら何をやっても遅いがな!」

「あなたは『妖精の尻尾』のメンバーでしょ!こんなことしてただですむと思ってるの!?」

「冥土の土産に教えてやろう。俺はあんなちんけなギルドのメンバーじゃない。嘘っぱちさ!馬鹿め!」

 

 男は蔑むように盛大に嗤い声をあげている。

 絶体絶命の状況で

 ―ルーシィは嘆くのでもなく義憤に刈られるでもなく静かに笑みを漏らしたのだ。

 

「そう、『妖精の尻尾』はこの件に関わってないのね。……よかったわ。ここまできて別のギルドを探すはめにならなくて、ね。」

「あん?テメェ今の状況がわかってんのか?」

「ええ、わかってますとも『火竜』さん。少なくとも貴方みたいなおバカさんよりはね!」

 

 固く握られていた拳が開かれる

 そこには球に比翼がつけられたような、イヤリングと見間違うほどの小さいアイテムが。

 突如光に包まれたそれは、やがて回りに乱気流を産み―

 

 ルーシィを組伏せていた男を勢いよく吹き飛ばした!

 

「「…………は?」」

 

 二人が呆けている間に組伏せた男は勢いよく天井にぶつかり気を失う。

 誰よりも早く気を取り直したのは、ルーシィだ。

 あらかじめ持たされていた本来ならこの世界には存在し得ないアイテム―ルフトと呼ばれる風の爆弾―の効果を知っていたのだ。

 ―とはいえ思ってた以上に威力があったので吃驚していたのは余談である。

 

 『火竜』がまだ呆けている間に距離を取りおもむろに胸の谷間に手を突っ込む。

 するとそこから盗られたはずの鍵が握られていた。

 

「開け!金牛宮の扉、タウロス!」

「MOOOOOOOO!!!!」

「テメェ、星霊魔導士か!隠し持ってやがったのか!?」

「罠かもしれないところに無策で突っ込むほど命知らずじゃないからね。ともかく、これで形勢逆転よ『火竜』!」

 

 ルーシィ()()の機転が功をそうし、始まりの物語はクライマックスを迎え始める。

 本来の展開とは若干異なるものの、彼女が()()と出会うまであと少し。

 

 

 

 

 ―さてそんな中でもう一人の少女は?

 

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