Atelier lirica~アースランドの錬金術士~   作:ねり金術師

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今回は過去話交えたオリジナルでっす(え。いつも原作が跡形もないって?すまない…すまない…)


幼錬金術士だった優雅な一日

【マグノリア】

 

これは『鉄の森』定例会場襲撃事件の後、エルザが評議員に連れていかれ、すぐに免罪で戻ってからのお話。

 

 ルーシィは本格的に「家出娘リリカの捜索」に本格的に協力しようと行動を開始した。

 先の事件で陰ながら助けられていたことをグレイやエルザ・ナツ達に教わり、興味を一層惹かれたのと同時に、一度会ってお礼が言いたかったからである。

 ………別に、リリカ発見捕獲時の賞金に目がくらんだわけではない。「家賃何年分になるかしら」とかいってないったらない。

 

 ともかく本格的に捜すためにも情報が欲しいと考えた彼女は、まずは彼女の人となりを知ることにした。

 少なくとも3年前まではこのまちで暮らしてたということだ。

 そこら辺に情報は転がっていてもおかしくはない。

 

 そう考えたルーシィは先ず『妖精の尻尾』から聞き込みにはいる。

 

「ミラさーん!」

「あらどうしたの?ルーシィ。」

「この前いっていたリリカちゃんのこと聞きたいんですけど、どんな子だったのかなーっていうのを深く。」

「そうねぇ、それならリサー……ううんナツに聞いてみるといいんじゃないかしら」

「わっかりました!ナツに聞いてみます」

 

 何かを言いかけて言い直したミラだったがあえてルーシィはスルーすることにした

 一番聞きやすそうなパーティメンバーから攻めることにしたのだ。

 言い直したということは、言いずらいことの証左でもあるからそこまでして聞く必要もないかと考えを改めたのもある。

 

 ともかく、詳しい話はナツに直接聞こうと彼を探し始めるルーシィ。

 探せども探せどもなかなか見つからず、一度お昼ご飯にしようと家に戻る。

 すると当たり前の様に彼はそこにいた。

 

「ようルーシィ、どこ行ってたんだ」

「今日のお昼はお魚がいいな」

「少しは遠慮というものを覚えなさいよアンタたちぃ!」

 

 勝手知ったる知人の家と言わんばかりに上がり込みくつろぐナツとハッピー。

 いや知人であるのは違いないが、異性の部屋に上がり込み昼の催促までするという横暴さ、ある意味では感嘆物であった。

 

 閑話休題(それはともかく)

 

「リリカの話が聞きたい?」

「ええ、私も本格的に協力しようと思って、どんな人かわかったほうがやりやすいじゃない?」

「―そうだな!じゃぁひとつ昔話でもすっか。」

 

 そういうとナツは懐かしむような所作で窓際へと移る。

 そして当然のように窓を開け放ち、ルーシィに手招きした。

 それにこたえて近くまで寄ると窓から一軒の家宅が見えた。

 窓から見ると真正面になる素の家宅を見ながら彼は続ける。

 

 

「あそこが、リリカの家―アトリエなんだ」

 

 

―〇年前―

 今も昔も変わらない賑やかで穏やかな町の一角に、一人の少女がいm【ドッカ―ン!!!!!】

 

 

『ストップストップゥ!!??』

 

―――――――――――――――――――――――

「なんだよルーシィまだ始まったっばっかだぞ」

「それはわかるけども!今さっき街中で聞こえちゃいけない音から始まらなかったかしら!?」

「ルーシィ、リリカのアトリエでは爆発なんて日常茶飯事だったんだよ」

「そんな物騒なの錬金術って…?」

「はなしをつづけるぞー」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 爆発のあった1階建ての一軒家に一人の少女が棲んでいる。

 今は煤まみれになりながら、されども大した傷もなく軽く咳き込みながら大釜の前に佇んでいた。

 錬金術に失敗するとこのような爆発を起こすことがある。今回も例にもれず産廃(ただのはい)を生み出してしまったようだ。

 

 鼻を啜る音が聞こえる。やがて少女の方が小刻みに震えはじめ、

 ―やがてせき止めていた激情が限界を迎える。

 

「………ウワーン!また失敗だぁ!こんなんじゃいつまでたっても先生に会えないよォ!!!!」

 

 子供の様に大泣きする少女、実際まだ10から数えたほう早い位の歳の少女だった。

 

『そんな小さいころから一人暮らししてたの?』

『毎日爆発してたわけじゃないけど、そんな危ないこと人がいるところで出来ないからね』

『じいちゃんが用意したんだよ。交換条件付きで』

『交換条件?』

 

 モクモクと煙が立ち込める室内に一条の光が差し込む。

 このアトリエに来訪者が訪れたのだ。

 

「リリカー、とりあえず無事?怪我してないよね?」

「ナハハ!今日も派手にやったなー!仕事持ってきたぞー」

 

 逃げ場を得た煙が外へ外へ流れ出て、少しずつ少しずつ晴れていく視界に二人の姿が露わになっていく。

 一人は銀髪のおかっぱ頭の少女リサーナ。

 そしてもう一人は、緑がかった黒髪に特徴的な白と桜色を基調とした帽子をかぶった女の子―リリカだ。

 

 

 

『特徴的な帽子、ねぇ。今は流石に使ってないでしょうね。』

『錬金術の先生からの預かりものなんだって。今被ってるかはわからないけど大事にしてはいるだろうね。』

『その先生とやらは俺もじいちゃんもあったことないんだよな』

 

「うぇ、ナツにリサーナ?もうそんな時間だっけ」

 

 来訪者の姿を確認したリリカは、一先ず泣くのを止め状況の確認を始める。

 

 

「朝だよーおはよう。また徹夜したんだ」

 

 リサーナはカーテンを開けながら答える。

 窓から差し込む光に目を焼かれ瞬かせながらリリカはようやく朝であることを認識した。

 

「わぁ…ホントに朝だぁ……。―ゴメン、先にご飯食べていい?」

 

 リリカは明らかに栄養が行き届いていないような青い顔をしている、そこまで急いだ用でもないナツたちは一緒に朝飯を済ませながら話を進めることに。

 これもよくあることだった。

 

「これが今日までで頼まれてたもののリストだ。ちゃんとそろってるんだよな?」

 

 そう言ってが品目の書かれた紙をリリカに手渡すした。

 朝食のサンドイッチを食みながら流してみていく。

 

「―うん。だいじょうぶ。そのボックスの一番手前にまとめてあるか―あ゛」

 

 リリカが太い悲鳴をあげる、その視線の先には先程の爆発で横倒しになったボックスがあった。

 

「中身、中身は大丈夫!?壊れてたりしない!?」

「ちょちょ。一寸待って、えっと…一つ、つぶれてるね」

 

 リサーナ帰ってきた答えに、リリカはガクッと膝をついた。

 必要最低限の個数しか用意してなかったようだ。

 

「終わった、今からギルドに依頼して素材をとってもらっても手続きとかもろもろでギリギリ間に合わない…。明日から家無し子になるんだ」

「さすがに一回くらい依頼果たせなかったからってこの家を引き払うのはないんじゃないかな…」

 

 絶望に伏せるリリカに現実的な話で諭そうとするリサーナ。

 その横でナツは思索にふけっている。

 

「なぁリリカ、その調合ってのはどれくらい時間がかかるんだ?」

「え?―今回のは材料さえそろっていれば昼前には終わるけど…」

 

 大体の所要時間をリリカが教えると、何か挽回の策でも思いついたのか、ナツは満面の笑みを浮かべて、口を開く。

 

「なら俺達だけで取りに行こう!そうすりゃ今日中に間に合うだろ!」

「「えー!?」」

 

 

 ナツとリサーナを連れ、否ナツがリサーナとリリカを連れ近場の森に散策をしている。

 

 近場、と言ってもそれなりに危ない獣もいるし、なんなら魔獣(モンスター)だってそこそこ生息する。

 奥まで行かない限りは魔法を使えない大人一人でも対処できる難易度だ。

 が、魔法は使えてもまだままだ子供である2人と1人は、少なくともギルドの誰か―できればマカロフ―に行先を伝えてから町の外へ出かけるようにと言い含められていた。

 

 実力的にはもう大人の魔導士に混じってクエストに行っても問題ないが、やや頭が回らないナツ

 新しい生活に慣れてきて魔法も上手に扱えるようになったものの、実力的にはまだ少し心もとないリサーナ

 そして後方支援なら小馴れているが紙装甲で臆病、荒事にはめっぽう向いてないリリカ

 

 この、微妙に均衡がとれているようにも見える3人パーティの今の総評は半人前といったところだ。

 

「うーにー」

「今更だけどうにじゃなくて栗だよねそれ」

「よせリサーナ、長くなるぞ」

 

 そんな3人は森の中層付近で素材の採取に勤しんでいた。

 気になるとげとげの木の実を楽しそうに採るリリカに、疑問の一言を投げつけようとするリサーナ、そしてそれを止めるナツ。

 リリカにとって今手にあるとげとげの実は錬金術の材料になるモノで、かの先生が「うにー」と言いながら敵に投げつけていたので、リリカにとってはうになのである。(勿論、海産物のほうのウニも存在する)

 そう、火で炙ると中の実がはじけ飛ぼうが、その身でモンブランが作られようが錬金術士(リリカ)にとってのそれはうになのだ(大事なことなので二回言いました)

 

 果たしてどちらかが真実なのか、それは各々で判断してもらうとして3人は目標数まであと少しというところまで集め終わっている。

 時はまだ太陽が真上に昇る前、このペースなら問題なく納品に間に合いそうだ。

 

「あとは-魔獣の爪があれば、アトリエに戻って調合できるよ。魔獣…」

 

 残すところ、討伐系の素材のみとなった。……なったのである。

 

「ねぇ、やっぱりやめよう?さすがに今の私たちじゃ魔獣は荷が重いよぉ」

 

 ポーチの中身を確認しながら、弱気を見せるリリカ。

 実際中には集めた素材のほかには、傷薬にお菓子と何故か入ってる楽器(ほじょどうぐ)、後は攻撃用のうに袋と呼ばれる爆弾のみである。

 まず魔獣と戦いに挑む備えではない。

 なんでこうなったのかといえば、今朝の爆発騒ぎでアイテムの大半がおじゃんになったのである。

 

 すぐに使えるものをかき集めてこれだったのだ。

 

 

「いや、いけるって俺達なら!」

 

 たいして自信満々に言い切るナツ、リサーナはどちらの提案に賛成するか決めかねていた。

 その近くでがさりと物音をたてていたことに気付いたものは少なかった。

 

 

―――――――――――――――――――――――

「え、待ってここで終わり!?その後どうなったの?」

「んーなんか話す気失せた。帰るぞハッピー」

「ちょっと待ちなさいよ!せめてどうなっただけでも-」

 

 すべてを言い切る前にナツはルーシィ宅から去っていく。

 来た時とは裏腹に話の最後辺りからどこかむくれたような面持だった。

 困惑を隠せないルーシィ。

 そんな彼女の困惑にハッピーが去り際が答えた

 

「そのあとラクサスにいいところとられちゃったからね、話してる途中でおもいだして悔しさがぶり返したんじゃないかな」

「ハッピー!早く行くぞー!」

「あい!それじゃぁねルーシィ」

 

 ナツのもう一人の親友も、声に急かされ外へと飛びだしていく。

 

 呆気にとられながら、ルーシィはまた窓からリリカのアトリエを眺める。

 3年前から家人がいなくなったというわりに、手入れが行き届いていて今でもきれいに残っていた。

 

 思っていたよりもすごいということはなく、どこにでもいる少し不思議な少女というのが話をきいたルーシィの書評だった。

 少なくとも、マグノリアの住人からは愛されていたのだろうことと彼女が町に貢献してきたことはこの家と先の話を聴いてわかる。

 

 だからこそ彼女がこの町を去っていった理由がルーシィにわからなかった。

 

「まだ何か、あるのかな。彼女が隠していること―」

 

 ふとこぼれた言葉は開け放たれた窓から吹きすさぶ風にながされ、消えていった。

 

 

 

「あとすこし、あと少しなんだ。諦めるもんか―」




末尾の解説コーナー
《うに袋》
読んで字のごとくうにを詰めた投擲兵器。威力は低め初心者錬金術師のお供(お供になるとは言ってない)
アースランドにとっての栗はうにかもしれないし栗かもしれない。然し錬金術士にとってはうにである。

《錬金術士の常識》
栗のようなものをうにと読んだり、道端にタルを見つけたら「た~る!」と呼び掛けるのは錬金術師(別世界)の常識である。
…と思いきやなんかゲームで全プレイアブルキャラクターにタルを言わせる開発陣営がいるらしい。いったいどこの会社なんだ…?

《リリカのアトリエ》
リリカの旅立ち後、ルーシィが棲むことになるマンションの横に位置する。
3年前までは『妖精の尻尾』のマカロフが調合の依頼を内裏で受けリリカに課題として斡旋するという体で回していた。
アトリエの家賃もそこから天引きして支払われている。

なお突発的に爆発を起こすアトリエの真横にあるマンションは度々その被害を受けやすい。
特に角部屋のルーシィ宅は顕著で、そのため元は7万Jだった家賃が4万Jまで暴落している。
移住した当初のルーシィはすわ事故物件かとおびえていたが、ある意味では正しい(人死には出てません)
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