プロローグ
「はぁ……‼︎はぁ……‼︎」
逃げている相手は世界災害のアルカ・ノイズ。触れられたら即分解されてしまう。
今月に入って何回目?
シャルルはそんな事を思いながら全力で走る。そう、シャルルは生まれつき運が悪いのだ。
人生でノイズに遭遇すること百回以上。ノイズが居なくなったらと思ったら次に遭遇したのがアルカ・ノイズ。これも百回以上遭遇している。
「アニメの主人公並みに……‼︎良い青春送ってる〜‼︎」
こんな冗談を言わなきゃやってられないレベルにシャルルは運が悪い。呪われているのかと疑うレベルですらある。
「そろそろ正義のヒーロー来て頂戴⁉︎」
いつもならここでこのアルカ・ノイズを倒してくれるヒーローがいる。謎のギアを纏った少女達が来るのだ。青髪の子や少し茶髪の子。それにその他色々のよくわからない装備を纏った女の子達がいつもシャルルの前に現れ、このアルカ・ノイズ達を倒していく。
だが、今日はやけに到着が遅い。いつもなら来てもおかしくない時間帯だ。
「…ちょっと待って。今日警報鳴った?」
走っている途中に今朝、警報が鳴ったかを思い出すが、故障かどうか分からないが鳴っていない事に気付く。そういや鳴ってないじゃん‼︎
「うそうそうそうそうそ⁉︎そんなのあり⁉︎」
警報が鳴ってないのならシャルルどころかこのアルカ・ノイズに気付いていない可能性が高い。今日はとことんついてない日のようだ。
「朝から寝坊するし、バケモンに追いかけられるし散々なんだけど‼︎」
こうなら誰でも良い。助けて欲しい。シャルルはそう思いながら誰もいない商店街を走る。
そろそろ体力的にも限界が近い。だが隠れられる場所が何処もない。
「自転車で行けばよかった‼︎そしたら逃げれたのに‼︎」
後ろにいるアルカ・ノイズに気を取られ、少し出っ張ったアスファルトに躓き盛大にこける。
「うわぁ⁉︎」
カバンに入っている物が散乱する。シャルルは急いで立ち上がり、道に散乱した物を集める。
「もう‼︎今日に限って荷物が多いのよ⁉︎」
殆どはシャルルの私物。後は体操服や教科書。それに筆記用具。後はシャルルの持って来たお菓子や化粧品などの私物。彼女は一体何しに学校に行っているのだろうか?
そうしていると、後ろから徐々にアルカ・ノイズが距離を詰めてくる。周りを囲まれ、逃げ道が無くなってしまう。
「……こうゆう時にさ、ヒーローとか来るよね?」
その願いは虚しく、誰も、来る気配は無い。もう無理だ。助からない。今までは運良く逃げれたのに……もう無理だ。
「痛いのは辞めてよ?痛いの嫌いだからさ私……って言ってもわからないか?」
そもそも話が通じていれば今まで襲われる事はほぼ無いだろう。シャルルはそっと目を閉じ、覚悟を決める。
お父さん、お母さん、御免なさい。私、約束を破ってしまいます。
静かに目を開け、大声で叫ぶ。
「誰か助けて〜‼︎‼︎ここで死んでたまるかぁ〜‼︎‼︎」
私はまだまだやりたい事が沢山ある‼︎だからここで死ぬ訳にはいかないのよ‼︎運命よ、あるなら私は抗う‼︎全力で‼︎
大声で叫んだ途端、突如大量のコインと風がアルカ・ノイズを貫いていく。
「え?コイン…?」
「最後まで抗うその姿勢。派手に感動した」
「後は私達に任せて貰えないかしら?」
シャルルの前に現れたのは片手に剣とコインを持った女性二人組だった。
いつも見ている変な鎧を付けた女の子とはまた違った感じだった。
「行くぞ。派手に潰す‼︎」
「大人しく倒されてもらいますと助かりますわ」
「す、凄い……」
あれほど大量にいたアルカ・ノイズをたった二人で倒していく。その姿はまさに圧巻としかいいようがない。
「派手に散れ‼︎」
「これで最後みたいですわね」
あっという間にアルカ・ノイズを倒してしまい、シャルルは急いで立ち上がり二人の元に走る。お、お礼を言わなきゃ‼︎
「あ、あの‼︎」
「どうしましたか?お嬢さん?」
「え、え〜っと……そのなんと言いますかね。あ、助けてくれてありがとうございます‼︎」
「礼は要らない。これも任務のうちだ」
そう言うと二人は静かにその場から去って行く。
「去り方までかっこいい……って学校⁉︎遅刻する‼︎遅刻してるけど‼︎」
シャルルは慌てて学校へ向かう。私立リディアン音楽院に。
さてここからどうなる⁉︎