圧倒的威圧を出しながらシャルルの目の前に現れたのは、魔法使いを予想される格好をした小さな女の子だった。
「……嘘でしょ?」
こんな子がおじいちゃんと同じ威圧を出したの?てか私よりも小さい。年は私よりも下かな?
すると、小さな少女はシャルルを見つけた瞬間、すぐさまシャルルの元に近づく。
「お前がレイラ達が言っていた女か。なるほど……そう言うことか」
シャルルを見た途端、小さな少女は何かに気付いたのか小さく頷く。
「え〜っと……もしかしてだけど貴方がこのお姉さん達のマスター?あ、違うなら良いの‼︎」
まさかそんな訳がない。こんな小さな女の子がこのお姉さん達のマスターな訳が……
「ん?こいつらのマスターは俺だ。こいつらを作ったのが俺だからな」
「……うそーん」
「そう言えば俺の名をまだ言ってなかったな。俺の名はキャロル・マールス・ディーンハイム。見ての通り錬金術師だ」
「錬金……術?」
あまり聞かないワードにシャルルは首を傾げる。それもそうだ。現代に錬金術師というものはあまり聞かない。そもそも聞く機会がない。
「錬金術はその昔、金や銀などを生成。薬学や医学にも精通していた物ですわ」
「簡単に言うならめっちゃくちゃ便利で有能なもんですよ。ほら、これぐらい分かりやすく言ったんだから分かるでしょ」
「う〜ん、そもそも錬金術にピンとこない。生成するって言ってもね〜やっぱりピンとこない」
「そもそも錬金術というものに精通しない限り派手にピンとこない。それも地味に仕方ない」
そう言うとキャロルは渋々帽子とローブを脱ぎ、シャルルに向かって自分の掌を見せる。掌から色々な術式が展開し、そこから巨大な炎が繰り出される。
「うぇ⁉︎手から火が⁉︎」
「これが錬金術だ。これで少しは分かったか?」
「分かった。でもどういう原理?」
「0から1を、無から何かを創り出す。つまりは創造だ。錬金術とは虚無から充実を創り出す創造者とも言える。お前は急に何かを創り出せと言われたら出来るか?錬金術師にはそれが出来る。つまりはそういう事だ」
「なるほどね〜それなら分かりやすいや」
錬金術は何もない所から何かを創り出せる。だから掌から炎出せたのか。納得。
「だが高度な錬金術にはそれ相応の対価が派手に必要」
「対価…?」
「ええ。マスター並にとわ言わないけど一般の錬金術師の技術を持つとしてもざっと百年はかかるわね。それも朝昼晩、狂ったように錬金術に取り組んで初めて手にする力」
「でも使う頃にはヨボヨボのおばあちゃんだゾ‼︎」
「対価がデカ過ぎる⁉︎」
じゃあキャロルさんは一体何歳なんだ⁉︎
「俺に年齢という概念は無い。錬金術を極めた者なら誰でも辿り着く。いや、むしろ通過点というべきか?不老不死と言った方がここでは馴染みがあるかもしれんな。それになってこそ初めて錬金術の極地へと踏み入れる事が許される」
「それ以外は錬金術というものにすら辿り着けていないの?なんか難し過ぎて分かんない」
「錬金術とはそういう物ですわ。意味のない物に意味を見つけ読み解く。それの繰り返しが錬金術ですわ」
「な〜るほどね。で、なんでそんな話を私にした訳?いかにも錬金術には関係ない女子高生だけど」
シャルルはそう言うとキャロルは笑いながら指を鳴らす。すると、急にファラ達はシャルルを取り押さえる。
「はぁ⁉︎」
「それ簡単な話だ。貴様の祖先が錬金術の中でも特に恐ろしい呪いをかけた」
「私の祖先?全く知らないし錬金術師なの?てか呪い⁉︎」
聞いてないし、そんなはた迷惑な事をよくしてくれたな私の祖先‼︎
「その呪いって何よ‼︎」
「それはな……」
キャロルはシャルルの胸元を破り裂き、心臓部分に指を差す。
「お前があと3年で死ぬかもしれない呪いだ」
「……は?」
まって、どゆこと?あと3年で死ぬ?私が?え?まじ?
「嫌だ‼︎絶対に嫌だ‼︎」
「あ、おい‼︎暴れるな⁉︎」
死の宣告を受け、必死で暴れるシャルルをファラ達は必死で押さえ付ける。だが4人でもすぐに振り払われそうになる。
「こいつ…‼︎人間の力じゃね⁉︎」
「力で負けちゃうゾ⁉︎」
「この力、派手に強い‼︎」
「マスターどうしますか?このままじゃ私達投げ飛ばされてしまいますわ」
余裕そうに見えるが、内心みんなめっちゃ必死で押さえ付けているのだ。ガリィに至っては顔がすでに必死。
「仕方ない。おいシャルル、落ち着いて話を聞け。あくまでもこのまま行けばの話だ」
「……それってどういうこと?」
「貴様に呪いをかけた張本人を捕まえて解除させればお前は自由の身だ」
「分かるの?私に呪いをかけた張本人」
「こんな雑な錬金術など、やる奴に心当たりが一人しかいない。だが、タダでは提供しない。協力してもらうぞ」
「協力?なんの協力よ」
シャルルはノイズを倒す力も無いし、錬金術などの特殊な力もない。協力するメリットなど全然無いのだ。それなのに何故?
「簡単だ。俺からアルカ・ノイズを盗み、そのレシピまでも奪い取った命知らずの馬鹿を見つけるだけの簡単な協力だ」
「あの分解する化け物作ったのが貴方って所がちょっと気になるけどそれを奪った人を見つけるって難しく無い?それこそ3年までに見つけるって……」
「それは派手に簡単だ」
レイラは横からキャロルとシャルルの話に割って入ってくる。
「マスターからアルカ・ノイズのレシピを奪った犯人はお前を派手に狙っている」
「え?」
「私も先ほど調べて確認済みですわ。あいつらは貴方を殺す為に何年も前から動いているようですわ」
「だそうだ。どうする?協力してもしなくても俺は別にどちらでもいいぞ。貴様が死のうが、死なないが俺には関係ない」
この金髪幼女はひどく冷徹だ。伊達に何百年も生きていないようだ。長年生きていると考えも変わってくるのだろうか。優しさも無い。
「……分かった。嫌な予感しかしないけど協力する。まだ死にたく無いし」
そう言うとキャロルはニヤッと嫌な笑みを浮かべ拍手する。
「ようこそ、我がシャトーに。協力者、愛明神シャルル。歓迎するぞ」
「派手に歓迎するぞ」
「歓迎致しますわ」
「歓迎するゾ‼︎」
「ガリィちゃんも歓迎するわ」
「なんか不毛だ……」
そんな事を思いながらシャルルはキャロルの協力者となる。
やっとプロローグ的なのが終わった‼︎次からようやく物語が本格的に動き出します。お楽しみに‼︎