吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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番外編 二人の高校時代

 エスカレーター式のお嬢様学校からそこそこ難しい公立の共学へと入学して早2年、私は親友と再会した。

 

 

「久し振り紗奈」

 

 

「久し振りだね叶」とHR終わりに転入してきた親友と挨拶をした。

 

 

 彼女の名前は春山叶、私が前にいた学校からの親友で今日転入してきた。

 

 

 私は一番後ろの窓際で、叶はその左隣の席だ。

 

 

「私の左隣の名取君ってどんな人?」

 

 

「静かで一応優しい人だよ……けど、どうしたの急に?」

 

 

「いやあんまり男の人と授業受けるのまだ慣れてないから」

 

 

「一応モテそうなんだけど外見がね……」

 

 

「あー言われてみれば納得かも……」

 

 

 話題に上がっている人物の名前は名取貴夜と言い、昼休みになるといつも図書室にいて、その為か図書委員を押し付けられている。私は余り与太話をしたことが無いが授業で話したりするときこちらにペースを合わしてくれるので、外見も相まって女子の間では恋愛対象にはならないけど、話しやすい異性ともっぱらの評判だ。

 

 

「ねぇ、紗奈って気になる人居ないの?」

 

 

「正直に言うけど笑わない?」

 

 

「笑わない」

 

 

「ゲームでだけど気になるというか……好意を抱いてる相手はいる」

 

 

「えっ……出会い厨?」

 

 

「違うもん……けどその相手の人の声に聞き覚えがあるし……」

 

 

「他人の空似でしょ」

 

 

「だよね……と言うかこんな時間じゃん……次移動教室」

 

 

「とりあえず案内よろしくね紗奈」

 

 

「はいはい……」と私は余り気が乗らないまま次の授業の準備と移動をした。

 

 

 大して面白くもない授業を受けて睡魔との戦いをどうにか制しつつ、平常点稼ぎをしていた。いかんせんお爺ちゃん先生の授業は眠気が来てしまう。なんなら昨夜は好きなプレイヤーと一緒に高難易度クエに挑んで三時間しか眠れてないので尚更だ……美容と健康の為に今の生活を改善する気は更々ないのだし……そんなことを考えられる程度には睡魔が落ち着いた紗奈だったが、窓際の席に座っていた貴夜が眠そうにしていたのは気づいていなかった。

 

 

 紗奈の意中の相手は、十中八九貴夜だったが本人たちが知るのは、当分先のお話。

 

 

 幸い今日は半ドンー学校が午前中のみの日ーだったが午後から色々ある日だったらしく学食も開いていたが、弁当を持ってきていたので関係なかった。私は叶を連れて天気のいい日に弁当を食べている屋上へと向かった。

 

 

 この学校は屋上への立ち入りは禁じられていないが、それほど落下防止柵が高くないので多少制限されてはいるが、私達には関係無かった。ベンチに私達は腰を据えて、私は周囲を見た。ただ、私達以外にも屋上に先客は居たようだったが、それほど気にせずに持ってきた弁当に箸をつけた。

 

 

「紗奈ってさ……もしかしてこの学校に友達いたの?」と叶から急に強烈なストレートが飛んできた。

 

 

「ぐっ……」

 

 

「当たりか……まぁ、分からなくはないよ……容姿端麗、頭脳明晰で下心があると近寄りがたいオーラがあるし」

 

 

「別に……最初の頃みたいに引きこもっている訳じゃないし……一応クラスで気にかけてくれてる人もいるし」

 

 

「クラスの委員長とその取り巻きと去年一緒の図書委員だった名取君」

 

 

「本当に名取君ってクラスでの立ち位置どうなってるの?」噂をすると影と言わんばかりに屋上に貴夜とその友人が入ってきた。すると、貴夜の友人の方がこちらに声をかけてきた。

 

 

「あ、有栖川さんに春山さん奇遇ですね」完全に下心が透けていた。

 

 

「おい馬鹿……ほらいくぞ」と貴夜は面倒な状態になったと言わんばかりに呆れていた。

 

 

「そう言えば名取君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」と私はスマホの画面を見せた。

 

 

「あー、今回のイベントのこと?」

 

 

「うん……その特効キャラが居なくて、借りたいんだけど……名取君とフレンドなってなかったから……持ってたらでいいんだけど」

 

 

「一応持ってるしフレンドの空きが有るからいいよ、取り敢えずコードこっちで打ち込むから教えてもらえる?」

 

 

「ちょっと待ってて」と言って貴夜にコードを教えて私はリクエストを承認した。

 

 

「ねぇ紗奈、名取君達と話したいから一緒に食べていいかな?」と叶が言ってきたので、そのまま貴夜に訊くと

 

 

「この馬鹿優がやらかさければ俺はいいんだけど……後は有栖川さんが良ければだけど」と答えた。今更ながらだが貴夜の友人の名前は、山崎優と言う名前のわりに端正な顔立ちなので、腐っている人達ならそそるのだろうが、私達には無縁なので関係無い。

 

 

「貴夜までそう疑わなくていいだろう」と優の泣き言で多少貴夜も判断できたようで

 

 

「なら後の判断は有栖川さんに任せるよ」と言った。

 

 

「親友の頼みだからね……今回は譲歩するよ」それを聞いた叶は少し嬉しそうだった。

 

 

 その後、貴夜達も交えて談笑しつつ、お昼を食べたのだった。

 

 

 

 

 

「ったく……あんまり心臓に悪いことすんなよな」と俺は溜め息混じりに隣を歩いている優に言うと

 

 

「いやー高嶺の花が揃うとああもなるんだな、免疫のない奴ならイチコロだろ」と、どうも悪びれた様子が一切無い物言いだったので、脇腹に軽く一撃をいれてやった。

 

 

「痛ぇって……事実言っただけでこの仕打ちはねぇぞ……」

 

 

「そりゃあ、美人の姉に可愛い妹がいる優はそうだろうが……と言うかなお前ぇの場合何でそうナンパに走るかな……」

 

 

「……てか貴夜も姉は居るだろ? あぁ……後な、姉貴がな、また貴夜借りたいって言ってたぞ」

 

 

「俺の姉は話題に出さないでくれ……お前に対してさっきの以上の一撃だけで済むか判らない」

 

 

「おぅ……すまない」

 

 

「後なお前の姉にこう言っといてくれ、それ相応の対価なら考えるって……何が悲しゅうて女装せなならんのか、マジで泣きたい……」

 

 

「こっちなんて姉貴に着せ替え人形やらされるわ、妹にパシられるわで泣きたいよ」双方のSAN 値が結構削られて虚しく会話の話題が転換された。

 

 

「てか俺もさっきのソシャゲ始めようかな……」

 

 

「止めとけ、あれはキャラ引けないと駄目だから」

 

 

「てかさ……貴夜が最近ガチってるゲームさ、どううのさ」

 

 

「いつもパーティー組んでる人がさ女性でさ……まぁ……何だよその目、言っておくけどそう言う気はないぞ?」

 

 

「貴夜の事だから分かってるって」

 

 

「ならいいけど……まぁその人結構センスがいいんだよ、それこそ壁無しで高難易度を回れるレベルで」

 

 

「貴夜のセンスもあるだろ? ……て言うかC〇Dのさランクマ手伝ってくんね?」

 

 

「フルパ組めないのか? 優のレベルなら引く手あまただろうに」

 

 

「面倒な奴らに会わないって訳じゃないからな」

 

 

「まぁ分かったけど……期待するなよ」

 

 

「いや、キルレ1切ってなければ文句言わねぇから」

 

 

「そうか……けどナイファーすんなよ?」

 

 

「お前に言われたかねぇよ」

 

 

「なら急ぐか」

 

 

 そうして貴夜達は殺戮を楽しむのだった。

 

 

 その二人がSAOで真実を知るのは、まだほんの少し先のお話

 




一応書き上がったので投稿

次更新するのは本編の予定
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