吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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親バカ

  道中の紗奈との会話は殆ど記憶に残らなかった。何故ならその後の出来事のインパクトの強さが原因なのだが、二人共、家柄が家柄なのでー解りやすく言うと金持ちの家ー身構えた上での事だった。

 

 

 事実、貴夜も紗奈も対人関係でトラウマを抱えている。ただ、原因と結果が違うだけであって、紗奈はその知能の高さ故に、周囲から浮き陰湿なイジメを受けていた。それによって引きこもりがちになり、他人と関わろうとしなかったことに対して自分は見透かして言うことが多いからか、揉め事になりやすかったので、己を偽って過ごしていた。とは言っても死地を共にすれば、些細なことに過ぎないのでわらえる……そんなことを貴夜は道中考えていた。

 

 

 

 

 

「「いらっしゃい貴夜君」」と紗奈の両親に出迎えられた。必要以上に受け入れられてる感が凄く、作っていた顔が崩れて、それを取り繕うのも束の間、言われるままに居間に通された。隣に紗奈、対面に紗奈の両親が座る、と言う完全にあの流れでしかなかった。

 

 

「貴夜君、そんなに緊張しなくても……別に私の事を義母さんって呼んでいいのよ?」と有栖川母にドギツイ冗談に対して紗奈が

 

 

「ママもパパもさ……私の貴夜がこまってるじゃん……ジョークにも程があるよ」と多少引っ掛かる部分がありはしたが、形的には止めてくれた。

 

 

「貴夜君、別にそんなにかしこまらなくても、娘を下さいと言わなくていいよ、こっちから上げたいレベルだから」と有栖川父の冗談としか受け取れないマジレスを喰らった。

 

 

「いえ、御挨拶にはどのみちしに来なければいけかったのと、紗奈に対しても約束していましたから」と切り返すと

 

 

「なんと言うか、ウチも俗に言う名家だからね……紗奈が選んだ相手なら多少見極めて判断するけど、そんなことしたくなかったが、相手が名取さん所の息子って知った時は、嬉しかったよ……結果的に体裁もよくなったからね……ホントにこんなことに縛られてる自分達はどうかしてるよ」と有栖川父が苦笑しながら言った。

 

 

「けど、貴夜君も紗奈も学生だけど、紗奈も稼ぎは一応あるのを私も知っているからね、籍をすぐにでも入れて貰っても構わないしね」

 

 

「ママの言う通りだけど……貴夜君は将来のビジョンはあるのかい?」

 

 

「ええ、一応は」

 

 

「良ければ教えてもらえるかい?」

 

 

「勿論です、親父のメンタルシステム関連をさらに進めるか、それを利用したトップダウン型AIを作れればと」

 

 

「大学に進んだのもその理由が?」

 

 

「いえ、最初はそんなにでしたが、SAOに囚われてから、その思いが強くなりました」

 

 

「負の感情に惹かれたのかい?」

 

 

「いやその逆で、信頼と言う曖昧な事を数値化して、感情と言う人格の元となるシステムをこの手で再現したりしたい、と」

 

 

「なら安心したよ、君が言う程異常者じゃなくて、理性の強い人だと言うのが良く分かった。それと、言うのが遅くなってしまったが、うちの娘……紗奈を助けてくれて……いや救って守ってくれてありがとう」と有栖川父が言った。

 

 

「いえ、紗奈が隣に居てくれたから帰ってこられたので……」

 

 

「僕達は心配していたんだよ、娘が壊れてしまったんじゃないか、かえってこないんじゃないか、とね」

 

 

「はぁ」と相槌とは言い難い返事をした。

 

 

「だが貴夜君なら安心して紗奈を任せられるってことが、話して良く分かったから……僕達は、流石に失礼させてもらうよ」

 

 

「パパとママは、ここにいていいから……私達が上にいくからさ」

 

 

「なら、飲み物を一緒に持っていきなさい」

 

 

「ありがとママ、貴夜行こ」

 

 

「あ、うん分かった。失礼します」と紗奈の両親に軽く頭を下げて、紗奈の部屋へと移動した。

 

 

 女子の部屋と聞くと落ち着かないのは、当たり前だがそう言うのとは無縁すぎる生活を今まで送っていたので、とてつもない緊張が襲ってきていた。

 

 

「貴夜、ここが私の部屋ね……突っ立ってないで入ってよ」と紗奈に言われて足を踏み入れて、部屋を見て少し安心した。何故なら紗奈の部屋もオタクっぽさが多かったので、多少年頃の女子らしさを中和してくれていたし、自分と同じだな、と思ったからだった。

 

 

「やっぱり紗奈もオタクだよな」

 

 

「当たり前じゃん、友達だって少なかったから、必然的にのめり込んでたんだし」

 

 

「なんだかんだ良いPC使っているし、女子と言うよりオタク女子感が凄いよね……ってあれってM1911?」と飾られていてメタリックブルーに塗装されていた拳銃に目がいった。

 

 

「そうだけど……普通制式名で言う?」

 

 

「コルトM1911ガバメントだろ……紗奈も、もしかしてそっち系好きなの?」

 

 

「ゲームしてたら一目惚れしただけ……貴夜にも、この銃にも」

 

 

「自分の部屋にもあるけど、AMTオートマグⅢだからな」

 

 

「物好きって事は良く解るよ」

 

 

「引かないのか?」

 

 

「私だってそれは……ねぇ?」

 

 

「だな」と言外の意図を理解すると

 

 

「まさかALOがSAOのシステム流用だなんて、須郷やってるよ……あの人、茅場より酷い」と紗奈も多少憤慨しているようだったので、少し矛を収めて貰うために、こう言った。

 

 

「紗奈、今日の夜さ……」

 

 

「なぁに?」と少しはにかんで返事をしてきたのだが、考えていることが透けていたので、無視してこう続けた。

 

 

「せっかくだからALOをやろうと思うんだ……また相棒と会えるなら会いたい」

 

 

「まだデータすら引き継いでないでしょ? 種族とかどうするの?」

 

 

「紗奈と同じがいいからさ……レクチャーもついでに、な」

 

 

「私は別に良いけど……そう言えば貴夜、〈吸血姫〉が残ってたの」

 

 

「マジか……」と俺が感慨深そうに言うと

 

 

「あ、あとPKも許されてるらしいし、慣れてきたらまた狩人も出来るね」

 

 

「俺達からしてみれば死んでも良いゲーム何てぬるすぎるな」

 

 

「そうね……とりあえず、隙ありっ」と紗奈に押し倒された。手負いに対しての扱いにしては、あれすぎる、と心の内で思っても、力はまだ紗奈の方が強いので、ジタバタするのが精一杯だったが、ただ押し倒されただけだったので、少しだけ安心していたが、紗奈がこう言ってきた。

 

 

「これで分かったと思うけど……私の意思はこうだから、ね?」と満面の笑みで言われて背筋が凍りついた。

初めて紗奈の家にいった結果、2〜3回死ねるレベルだったんじゃないかと、貴夜は心の底から恐怖を覚えたのだった。

 

 




次回君は◯◯なフレンズなんだねと言う嘘予告





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