吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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決意

 朝起きて、アミュスフィアを外して身支度を済ませると、時刻は9時前だった。今日は日中は大学に、夜はダイシーカフェで75層攻略&ゲームクリアを祝したパーティーがあり、私達も招待されているので出る予定だ。

 

 

 私は一人で、貴夜との待ち合わせ場所である大学の最寄り駅まで向かった。1度乗り換えて、最寄り駅に着いたのが、9時半だった。私が改札を出て貴夜が何処にいるのか探すと、貴夜は壁にもたれかかるように待っていた。

 

 

「貴夜おはよう」と私が貴夜を痛い人を見る目をしながら言うと

 

 

「紗奈、おはよう……一応言い訳させてもらうが、こっちは松葉杖だから少しでも負担減らすためだからな」と貴夜に言われた。

 

 

「分かってはいるけど……何で駅で待ち合わせなの、しかも大学の最寄り駅なのは」

 

 

「親父がここまで送ってくれたのさ……普通に辛いからねコレ」

 

 

「1時間位なら歩ける癖に……」

 

 

「夕方までとっておくべきじゃんか」

 

 

「って言うか、送ってもらったんだったら私も乗せてくれても……」

 

 

「親父からもそう言われたが、辞退させてもらった。リハビリお前だって完全に終わって無いだろ、後時間帯もだしさ」

 

 

「さて、何のことやら」と私は痛いところを突かれたので、しらばっくれるしかなかった。

 

 

「俺が眠ってる間に、リスカやらなんやらをやらかしかけてたのは、何処の誰ですかね?」と貴夜に圧力をかけられたが、私にとって耳が痛いので話題の転換を図った。

 

 

「ってかさ、私早く重村ラボとか見に行きたいんだけど」

 

 

「そうだな、なら行こうか」と話題の転換がうまくいって、私達は大学へ向かった。

 

 

 大学構内に入ってまず、名取教授の所に向かった。貴夜は松葉杖を使っていたが、動き回るので車椅子の方が楽だぞ、と父親である名取教授に言われて貴夜は車椅子を使うことになった。因みに私と貴夜は重村ラボに所属だが、本籍は名取ラボにある。名取ラボ自体は1年前に重村ラボから形だけ分離したラボである。私は元々他のラボにいたが、名取教授の計らいによって名取ラボに移った。そして今、重村ラボの次世代AR計画と言うプロジェクトが動いていた。詳しい内容は分からなかったものの、重村ラボ自体が無くなるような雰囲気はあった為、何故名取ラボが出来たのかの理由が良く理解できた。また、専門的な内容の説明でも貴夜が私が解らない素振りを見せれば、噛み砕いて教えてくれたので、滞ることも少なかった。ただ、驚いたのが貴夜がレポートを1つ名取教授に渡していたことだ。私も見せてもらったが、SAOに対する貴夜から見ての評価のようなものとしか、内容からは私は読み取れなかったものの、貴夜の今後の目的が明記されてあり、それを見た名取教授が、

 

 

「貴夜、もしそれならSAOのメンタルケアAIを使ってもいい。ただ、許可が降りればだが」と言った。貴夜はトップダウン型AIを作ろうとしていたのだ。

 

 

「親父ありがとう。俺は親父と同等の何かを作る才能は無いけど、茅場先輩の意思だって理解しているつもりだよ……1人の人間としてのAIを作れれば世界は大きく変わるのは、SAOで体感した」と貴夜が言った。

 

 

「実を言うとな……重村の娘さんもSAOに囚われて、帰ってくることは無くてな、重村とは反りが合わなくなっているのは事実だ……私の影響力があったからこうして名取ラボがあるが……すまないこの発言は忘れてくれ、話は変わるが紗奈君は何を名取ラボでやりたい?」と雰囲気を切り替えてから聞かれたが、私は心で決めあぐねていたことを口にした。

 

 

「まだ、決めきれては無いんですけど2つあって……1つはVR技術と医療等に対するアプローチで、もう1つは人の感情が情報的にどんなものなのか、と言うことです」言葉足らずだったが、貴夜も名取教授も私の言わんとすることを理解していた。

 

 

「皮肉だけど、俺も紗奈もSAOに囚われていなければ、こんなこと考えなかっただろうな」と貴夜が笑いながら言った。

 

 

「私としては、考えて作り上げても感じれることは自ずと限られるからな……利用する側から見るとどうなるのかは、この分野は特に多いからな……けど紗奈君が考えていることは面白いし、私が諦めたことだから、心理や医療の専門家を交えてやりたいレベルだよ」と名取教授に好評だった。

 

 

「まぁ、紗奈はもう少し悩んでいいと思うよ……俺は親父があんなもの作ったから、踏み台として使おうとしてるだけだし」と貴夜が言ってきたが

 

 

「貴夜には、それを踏まえて医療とかに展開出来ないか、考えて貰うつもりだったんだがな」と名取教授が貴夜をおさえてくれた。

 

 

「どうせ、あの胡散臭いおっさんが食い付いてきてるんだろ?」と貴夜が毒づきながら言った。

 

 

「貴夜が思っている通り、総務省仮想課の菊岡君だろう? ……取引を持ち掛けられているさ」

 

 

「内容は?」

 

 

「メンタルシステムの概要とか色々とね……それと引き換えに罪の帳消しだと」

 

 

「あんなオーパーツ理解出来る訳無いにな」

 

 

「事実取引にはのったさ、ただまだ少ししか開示してないが、菊岡君は難しいそうな顔をしていたよ、ただ根本的な考え方と目的であるプログラムで人間を再現させることは理解したようだが……」

 

 

「世の中にある汎用AIのルーツはとある数学者の思考模倣プログラムだし、そっちを使った方が安上がりだけどな」

 

 

「私が貴夜に教えたことを理解しているようだし、紗奈君が困っているようだし先に進もうか」と名取教授に関連施設だとか、理論の説明を受けた。昼食はピークを避ける為に、時間帯をずらして済ませた。

 

 

 途中貴夜がこんなことを言った。

 

 

「公安に協力すべきだな、だったらSAOのメンタルケアAIが手に入れることが出来るだろうし、SAOでの事に対する俺らの罪滅ぼしと思えばな……」

 

 

「貴夜、それ含みがあるでしょ……エマちゃん達の事もじゃないの?」

 

 

「そうだけど……エマ達には原動力がある、キリトとかにもだけどな……だが俺にはそれが無い、我を忘れることが出来るだけの恨みや怒りが無い」

 

 

「私だって、そう言う原動力は無いけど、貴夜に対する想いが原動力なのに……否定してもいいけどわかってるんでしょ?」

 

 

「そうだよな……動機はそんなものでいい……善意って動機で充分だよな……」

 

 

「全てを抱え込まないでよ……私を信用して……私は貴夜を絶対に死なせない」

 

 

「ありがとう紗奈、俺だって紗奈を死なせない、絶対にな」

 

 

 そして、私達の誓いが私達の原動力になっていったのだった。

 




次回どんちゃん騒ぎと言う嘘予告





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