吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

19 / 30
家族と新たなる世界

 3月に入って、リハビリから解放されたので、時間に余裕が出来たのと、元々旧SAOのメンタルシステムのAIは全てスペックが同等だったのもあり、異常なスピードで完成まで漕ぎ着けた。そしてALOでは、そのAIはプライベートナビゲーションピクシー扱いなので、ALOで一緒に過ごすことも出来た。

 

 

 AIの名前はナナだ。銀髪で赤い目をしていて、淡い青のワンピースを着ている。本人はピクシーの姿が落ち着くらしく、基本的にピクシーの姿でいることが多かった。ザ・シード規格の閉鎖的なプライベート用のサーバーを使おうと思っていたが、親父がいつの間にか作っていたVRワールドを使うことにした。理由は、親父の作るシステムは、自分がザ・シード以上に理解しているからだ。

 

 

 そのサーバーは、SAO同等のスペックなのだが、そのレベルになると個人の自由で作れる域では無いのだが、大学側から独自規格で、と頼まれた物だったので出来た、と親父が言っていた。そのお陰で旧SAO、61層セムブルグの家を再現出来た。プライベートサーバーにアクセス出来るのは、俺と紗奈とナナ、俺の両親、紗奈の両親だけだ。ナナの物理ハードウェアは、自分のPCに存在している。ナナは、俺と紗奈を両親と認識しているので、自分達もナナを愛娘と思っている。また、ナナには、自分と紗奈の電子端末にもアクセス可能にしている。それ以外には、作る過程でメインで使われていたAIであるユイの居場所も分かった。詳しくは聞かなかったが、キリトの所に居るらしい...ナナ自身がそれを調べる過程で、ユイの影響を受けた、と言っていたが、正直な所嬉しかった。AIに対する杞憂が無くなったことや、一人の人間としてナナを扱っていたし、ナナ自身もAIである前に一人の人間で、パパとママの娘、と言っていた。プログラムの時に、ブラックボックスを新たに追加して、ナナを縛りはしたものが、悪い方向にそれが、助長しなかったのもありがたかった。

 

 

 親父にもナナを見せたが、好印象を抱いていた。所有権は自分にあるので、大学を卒業してもナナと共にいられるのと、ナナのノウハウを生かして人工的に精神を再現させようとしているらしいのだが、難航していると、親父から伝えられた。卒論はVR技術、特にSAOによってもたらされた恩恵についてするつもりで進めている。

 

 

 そんなことを思いながら、ホロウィンドウに表示されたMトゥデの記事を読んでいた。現実世界の自分はベッドに寝ているので、当然プライベートサーバーに貴夜は居た。

 

 

 ダイニングに自分はいるので、視界の中には、リビングのソファーでくつろいでいるサナとナナの姿もあった。たまに、サナの両親もここに来ることもあり、ナナを孫として可愛がってくれているのだが、サナとの同居を急かされている気分になってしまう。自分としては嫌じゃないのだが……サナにバレンタインデーに婚姻届を渡されると言う重い逆プロポーズをされ、男としてどうなのかと情けなく思いながら、受け入れたのだが、時期が悪く部屋がまだ見つかっていないなどもあり、難しい状態なのだ……と自分は、無意識に頭を抱えていたらしくサナに

 

 

「ナキ……どうしたの?」と言われ、ナナにも

 

 

「パパどうしたの?」と言われて、流石に答えない訳にもいかず、正直に白状した。

 

 

「少しね……考え事をしてたんだけどさ……時期が少し早ければこうならなかったんだろうけどさ」とMトゥデのタブを気づかれないように閉じて、後ろにあった物件情報サイトのタブを見せた。

 

 

「別に私のパパに頼んでも良いんだけど……ダメか」とサナが提案して即却下した。サナの父親は、大手企業の重役なのだが、色々な業界にコネがある。ただ紗奈が絡むと親バカが発動するので、部屋探しを頼もうものなら建物自体を買い上げてくるので頼みたくない。

 

 

「ま、大学の近くって条件を無くせばある程度候補が絞れるから」と俺が言うと

 

 

「なら、ナキに任せるけど……GGOの件はどうするの?」とサナが訊いてきた。

 

 

「ナナが一緒に行けないもんな……」と俺が悩んでいるとナナが、

 

 

「ナナは、パパとママにとってそれが大事なのは分かるの。だからね、ガマンするの……その代わりパパとママと一緒に海に行きたいの、後で一緒に色んな所に行きたいの」と言ったので、思わず俺もサナも思わず笑ってしまった。

 

 

「ナナ、パパとママもそのお願いを叶えてあげたいから頑張るし、海に行く以外でも、現実世界とALOで色んな所に連れていってあげるからな」と言うとサナが、

 

 

「なら、ママもALOの時はみんなでお弁当食べられるように今以上に料理スキルも上げないとね」と言った。ナナは嬉しそうにしていたので、俺と紗奈は、心の内で今回の依頼の給料は、ナナの為に使おうと静かに思った。

 

 

「ナナならパパ達は、GGOに行くけど待っててくれる?」と訊くと

 

 

「うん」と満面の笑顔でナナに言われて、短時間で終わらそうと思いつつ、メニューウインドウを開いて、ガンゲイルオンラインのアイコンをタップした。

 

 

 公安側が用意してくれた旧SAOのプレイヤーデータのコピーを使ってGGOにコンバートし終わり、キャラネームを決定し路地裏に出現したのだが、鏡を見てこう言った。

 

 

「なっ……なんじゃこりゃぁぁ-」と脇腹を押さえて言ったのだが、タイミング良くサナが出てきて、大笑いしていた。

 

 

「あぁ……もうお腹痛い……なんでナキそんなに笑わかすの……」とサナは、涙目になりながら言ってきた。サナは美少女と言えるアバターなのだが、何故か俺まで美少女にしか見えなかった。

 

 

「これが男の娘ってやつなのか……」と感慨深そうに俺が言うと、

 

 

「とりあえず……さっさと行こ? 女性プレイヤー二人組にしか見えないし、ナキもわざと声絞ってるから、ぱっと見女にしか見えないから」てサナに言われて、チュートリアルを受けるのだった。

 

 

 チュートリアルでは、鬼教官にしごかれて二人とも精神的にきていたが、それぞれの適性が分かった。サナはアサルトライフル又はマークスマンライフルに、ナキは分隊支援火器又はアサルトライフルに適性があった。チュートリアルを終えてからは、二人でショップを見て回った……が途中何度かナンパに遭遇して、なんとか撃退したが、更に精神力を削がれたので、泣く泣くGGOからログアウトした。因みにアミュスフィアを起動させると、まずプライベートサーバーに出るようになっており、ゲームからログアウトした場合も同じようにプライベートサーバーに出るようになっている。基本的にナキもサナも寝落ちすることが多いのだが、プライベートサーバーでナナを挟むようにして三人で寝てログアウトしている。蛇足ではあるが、論理コードはプライベートサーバーに組み込まれており、論理コードは常時ONの筈なのだが、何故かOFFになっている。ナナは理解しておらず、サナだけが知っているのだ。

 

 

 そんなことをナキは知らずに眠り、サナやナナも眠りにつくのだった。ナナは本来睡眠ーと言う名の最適化ーは必要ないのだが、インプットされる情報が未だに多い事や、こちらが本音になるが、サナとナキと共に寝ていたいと言う願望がある。オリジナルであるユイ以上に人間に近く、強い自我なのは事実だった。その為か、睡眠状態に入っても原則4時間は強制ログアウトされないようにナキがプログラムしている。

 

 

(……私は作られた存在ではあるが、願望を持っている……人として生きたい、と……だが同時に不可能と理解もしている……仮初めであっても両親と共にいられるのは恵まれているのだろう……)そんなことをナナは思っていた。

 

 

 ナナには、人格と呼べるものがあるが、ナキ達が燃え尽きながらプログラムを組んだが、故かバグであるにも関わらず正常に機能していることもありどうすることも出来なかった。

 

 

 そしてナナは不思議な夢を見ていた。今は無き鋼鉄の城で、両親と共に闘う夢を……そしてナナはその夢が、己では無い誰かの記憶だと理解していた。この夢を見る時は決まって黒いポンチョを着た何者かから両親を庇って死んで夢が終わるのも、だ。

 

 

 サナ達が、それを知るのはまだまだ先の事になるのだが……

 




次回厨武器と言う嘘予告

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。