吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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お久しぶりな更新
釈明は後書きで
では本編どうぞ





愛銃

「さてと……どうしたものかね」と珍しく自室のPCで貴夜が調べものをしていると、ナナがもう1つのモニターに出現した。

 

 

「どうしたのパパ?」とナナが訊いてきたので、

 

 

「ナナにも詳しくは教えらんないけど……ママの誕生日がもうすぐだから……ね?」だから見ないでくれ、と言う意味を含みながら言うと、ナナは素直に頷いたが更に訊いてきた。

 

 

「ママにあげるプレゼントの事なの?」

 

 

「うん、そうだけど……ママは何が好きだろうね」

 

 

「ナナにはよく解らないけど、パパがくれる物ならママ喜ぶと思うの」とナナは笑みを浮かべて言った。その笑みに既視感を抱いたが、記憶の中を探るのをどうにか抑えた。

 

 

 今日の日付は、3月25日……紗奈の誕生日まで2週間を切ったのだが、新居が無事に決まり、明日以降引っ越し作業に追われる訳で、結婚指輪のことやら、誕生日プレゼントやらで流石に自分の頭は処理落ちして、回っていなかった。紗奈からの誕生日プレゼントはまだ渡されていないので、判断するにも出来ない状態だった。

 

 

 気付いたらナナは居なくなっていたので、隠していたことに着手しようとすると、モニターの画面がフリーズした。

 

 

「回線に負荷かけすぎてるのかな……いやWi-Fiは全然大丈夫だ……スペックな訳ないから……」と現状の再確認を行っていると、画面のフリーズが解けたのだが、画面には本来いる筈無い人物が写っていた。

 

 

「何故、死んだ筈の茅場先輩が居るんですかね?」と少しだけ高圧的にモニターに対して言った。

 

 

「すまないね、貴夜君。これは茅場晶彦という思考模倣体でしかないが……面白そうな物を作ったようだね」とナナの物理ハードを見ながら言ってきた。

 

 

「茅場先輩だって、とてつもないものをキリトに託したじゃないですか」

 

 

「どうもこれは、お互い様のようだね」

 

 

「けど何で俺の前に現れたんですか……一応今敵対しているのに」

 

 

「君と言う人間を多少なりともしっているからかな……須郷君よりも大分マシとは思っているが」

 

 

「ええ、貴方の事はただの風説として報告するつもりですけど、何を企んでいるんですか?」

 

 

「企むも何も、私はただの傍観者だよ、裏方君」

 

 

「だったら少しは安心出来ますよ」

 

 

「挨拶をしに来ただけのようなものだから、失礼するよ」と言って茅場晶彦のゴーストは、画面から消え失せて画面は元に戻っていた。

 

 

「……色々と面白くなっていきそうだけど、俺は視えているモノだけを守ればいい……名声なんて黒の剣士さん辺りに押し付けるのが最善かつ最良だからな……俺は英雄なんかじゃなくて、ただの悪党だからな」と呟いたお陰か、思考が冴えて、とあるものを即調べあげてポチっていた。

 

 

 

 

 

 その日の夕方、俺とサナはグロッケンーGGOにいた。雪原フィールドを目標に、探索にそれまで出ていたのだが不要なアイテム等の処理をして、事前に用意していたリアルマネーを少し溶かして、実弾銃を買嘔吐していたのだが、グロッケン最大規模のNPCショップ内でサナが、

 

 

「予算一人あたり150万って……限られる気がするんだけど……」

 

 

「十二分だろ……全然強いの買える額だからな」

 

 

「そうなんだけど……」

 

 

「けど?」

 

 

「この店にあるの……ピンとこないと言うか……なんと言うか……」とサナが濁しながら言ったので、

 

 

「なら……他の所見るか?」と俺が提案すると、

 

 

「うん、そうしよ」とサナは即座に提案にのった。

 

 

 小規模なプレイヤーショップが並ぶエリアに移動して、少し歩いていると、視界に一瞬映った何かに後ろ髪を引かれて、立ち止まってしまった。

 

 

「居た……まさかアイツがこの世界にも居るなんて……」と驚きと嬉しさの余りに、そう独り言を漏らしてしまいサナが、「oTs-14-4A……ぐ、グレーザ? ……なにこれナキ」と自分の目線の先にあった銃を見ながら言ってきた。

 

 

「グレーザじゃなくてグローザだ……よし値段はOK……しかも4Aだけって事は見ての通りのタイプグレネーダー……決めた、愛銃はやっぱりこの銃だな」とサナの間違いを軽く訂正しながらも、ショーケース内に有るグローザに釘付けになっていた。

 

 

「良く分からないんだけどナキ」とサナが文句を言っていると、店主らしきプレイヤーが出てきて、

 

 

「そこのお二人さん、何かお悩みで? 良ければあっしが見繕いましょうか、お嬢さん方」と声をかけてきた。

 

 

「店員さんですか?」とサナが確認を兼ねて訊くと、

 

 

「えぇ、ここの店主です」と答えた。

 

 

「店主のおっさん、このグローザ買った……コイツの今の口径は?」

 

 

「今の状態は7.62mmですけど、バレル換装すれば9mmでも、幻の5.45mmもいけますよ」

 

 

「グレネード弾頭って何がある?」

 

 

「ノーマル、スモーク、コンカッション、フラッシュ、テルミット、高性能と言ったお馴染みの物以外に……置いてる数が少なくて値段も高いデカネードも有りますよ」

 

 

「成る程ね、因みにサプレッサー……消音器はあるか?」

 

 

「これ専用ですよね……出しますんで店内にどうぞ」と店主に言われ、店内に入った。

 

 

 店内には、F-2000やタボール、FA-MASと言ったブルバップ式銃ー給弾口が引き金の後方にある銃ー以外にstg-44等の第二次世界大戦中の銃や、グローザを始めとした冷戦中銃が並んでいた。特に厨武器と呼ばれる銃がこれでもかと並んでいて、GGOではロシア製銃器が多く流通しているのもあってかロシア銃が多い店内になっていた。店内を眺めていると店主が、奥から出てきた。

 

 

「どうにか在庫がありましたよ……これですよね?」と店主がこちらに見せてきたサプレッサーを、自分が一瞥して

 

 

「それだ……ならグローザの5.45mmで、弾薬と弾頭、サプレッサーを……ホロの×3ブースターもあるならくれ」

 

 

「デカネード弾頭は何個買われます?」

 

 

「最初はどれぐらいが妥当なんだ?」

 

 

「値も張りますが、取り扱いが慎重のものですから2~3個辺りが妥当だと思いますよ」

 

 

「ならとりあえずデカネード弾頭は2つで、バックショット式だから収納場所は考えなきゃな……それで幾らだ?」

 

 

「合計135万弱のところを少しまけて120万ポッキリで如何でしょう」

 

 

「流石はロシア銃だな……M4とかと比べると安価だな……よし買った」

 

 

「毎度ありー、そちらのお嬢さんの方も銃を買われるのですかな?」

 

 

「ええっとー……はい、そうなんですけど、私何にすべきか分からなくて……」とサナが答えると店主は、

 

 

「良ければ見繕いましょうか? ……お連れのお嬢さんの目は確かですから、お連れの方が決められて構いませんが」と言った。

 

 

「拳銃は決まっているんですけど……他はからっきしで……なのでお願いできますか?」

 

 

「そしたら簡単に質問させてもらいますね……どういうスタイルで?」

 

 

「SMGか、レートの速い系のAR辺りを使おうかなと」

 

 

「ソロメインですか? それともお二人で組まれますか?」

 

 

「後者です」

 

 

 

「でしたら、5.45mm口径の共通のAKマガジンを使うARか、9mmのAS-VAL、VSS辺りですかね」

 

 

「ARの方は何がありますか?」

 

 

「ガリルACE、ANー94……アバカン、AKS辺りですね……9mmの方はウチは取り扱いが少ないですから」

 

 

「中々なラインナップだな……栓抜き銃に、初弾が速いヤツにポピュラーなヤツって……」と呆れながら言うとサナが、

 

 

「なら、アバカン? ってので……」と決断した。

 

 

「毎度っ」と店主の嬉しそうな声が店内に軽く響いた。結果的に、共通の弾倉を使うので多少値を抑えられた。同じAKシリーズなので、グローザもアバカンも共通して丈夫なのだが、両銃とも最近遺跡から見つかった銃らしく他の銃に比べても、まだ値段が割高で珍しい、と教えてもらった。また、サナと自分の銃のアタッチメントやパーツ等の一部が融通しあえる等もあって、今後の出費も抑えられそうだった。また、地下遺跡は力試しに丁度良く相応のリスクがあるが、リターンもそれ相応だと教えてもらったので、残りの時間を地下遺跡で費やすのだった。

 




現実が忙しかったのと、積み本消化してたら小説書くの忘れたと言う見苦しい言い訳を言いつつ、
次回 え?そっち?と言う嘘予告


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