吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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波乱の始まりとお約束

 場所はGGO、グロッケンのレンタルスペースに二人はいた。ナキはグローザとアバカンの共通弾倉であるAKマガジンに弾込めを行っていた。どのマガジンも25発目に曳光弾を込めており、マガジンの一部も強化プラスチックで出来ているので目視でも残弾確認が行えるようになっていた。これを提案してきたのはナキだが、それを聞いた私も乗り気だったので特に一悶着あった訳でもなかった。まぁ、GGOにおいてはもはや趣味の領域になる現実と同じカスタマイズは、一定の自己アピールなので尚更面倒事を呼び込みかねないが、現状大丈夫なので気にしてすらいない。そんな思考を早々に切り上げた私は、運営から来ていたお知らせを見ながらいった。

 

 

「バレットオブバレッツ……最終戦がバトロア方式で、それ以外が1v1……つまりソロか……ナキ、これでる?」

 

 

「ソロだと俺は意味無いよ? ……つまり出ない……分担前提のロールなんだからさ……更に言えばチーミングはどうしても……ねぇ?」

 

 

「ちょくちょくナキって確信犯だよね? その口調……このご時世ネカマはちょっちキツい気がするけど……」

 

 

「うるさい……そう言えばさ、サナこれ見て」と言ってナキは私にとある画面を見せてきた。

 

 

「光学式迷彩? ……って値段高すぎっ……もしかして買う気?」と私は睨み付けながら訊くと

 

 

「いや……なんだろ……久しぶりに狩人としての勘がね……別にサナがいいなら買うが」

 

 

「だーめっ……絶対にダメ……けどなんでこんなもの私に見せたの?」

 

 

「腐っても悪党なんだろうな……レッドプレイヤーの思考模倣の域だもん」とナキは言葉足らずだったが、含まれていた意味を私は理解した。

 

 

「これを使ったPK行為って事?」

 

 

「イグザクトリィ……と言いたいけど杞憂で終わるでしょ……話のベクトルが滅茶苦茶変わるんだけどさ……近接武器買いたいんだけど」

 

 

「え? ……別に銃剣でも……ってナキは駄目だったね」

 

 

「サナのアバカンが異常なだけ……銃剣とグレポン同時装備可とか」

 

 

「でも銃剣は、やっぱりセミオートライフルで付けなきゃね……クリップ装填式の……」

 

 

「万歳エディションか何かかよ……大和魂云々……ってそうじゃなくてさ……バリスティックナイフ辺りが欲しいけど……」

 

 

「ナキの気持ちが分からないこともないけど……とりあえずショップ行こ? 私も投げナイフ用の素材買い足したいしさ」と私は提案した。さっきの発言から解るように、SAOでもALOでもGGOでも私の投擲はアイデンティティのようなものになっていた。銃剣製作スキルを用いて、手頃なサイズの物を作り使っていた。ピック状の物とナイフを自作して使っている……一応アバカンの銃剣も自作出来るが、だったらブリーチャーデバイスの方がマシ、とナキに言われたので、つけていない。何なら重量的な問題もあるので尚更だ。

 

 

 そして、大型のNPCショップで、フォトンソードなるものを計二振りと素材を買い、近くのフィールドでフォトンソードの試し斬りを行った。

 

 

「……うーん……アレだ……フォース云々でしかないよね、サナ」

 

 

「うん、投擲したらブーメランみたいに戻ってきそう……なんなら弾斬ったり、レーザー弾跳ね返せたりしそう」

 

 

「完全にネタ武器扱いなのに、霞まないあたりのバランスは凄いよね。しかも軽いからサブ武器に丁度良い」

 

 

「そうだね……けどCQB位だよね使えるの」

 

 

「まぁ、ただ対人対モンスターに使えるからな?」

 

 

「そうだね……とりあえず何時もの狩り場行こ?」

 

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 場所は移ってサナ達は雪原フィールドにいた。ここで何をするかと言うと……PKである。SAO、ALOでは狩人だったが、GGOではミイラ取りがミイラになっていた。更に皮肉にも『雪原の悪魔』と言う二つ名までつけられていた。ナキに関しては『白の悪魔』とも呼ばれている。その理由は容姿も関係している。

 

 

 私が居る位置より少し離れて陣取っているナキは長い髪を白に染め、ロシアの某特殊部隊が着ていそうな雪原仕様の迷彩服を着ている。そして、同じようにペイントされたグローザのセレクターをグレネードランチャーに切り替えて構えていた。しかもご丁寧にも某FPSでDPー28とモロトフ弾頭を使っていそうなキャラや、某元祖バトロアゲーのトップ画面のキャラが被っているヘルメットまで被っていた。

 

 

 因みに私はと言うと、黒ロングの髪を三つ編みにしてまとめており、服装は焦げた赤茶の装備の上に雪原仕様のポンチョを着て、即席で作った盾の裏で伏せ撃ちの状態で構えていた。

 

 

「ターゲット残り300m……後部のプレイヤーから頼むよ、サナ」と通信アイテム越しにナキの声が聞こえてきた。それを合図に即座にセレクターをバーストに切り替えると、トリガーに指をかけずに目算し、それが瞬時に終わると同時にトリガーを引いた。放たれた弾は不幸にも一発しか当たらず、それを認識した私は、バイポットを畳みながらナキに

 

 

「一発しか当たらなかった。詰めるから支援お願い」と言って、私がセレクターをフルオートに切り替えると同時にターゲットの少し手前でスモークが展開された……言わずもがな、ナキの支援だ。その後直ぐにターゲットに対して破片グレネード弾頭が飛び込んでいった。

 

 

「ターゲット5人中1ダウン、1ロー、残りノーマル」とナキから戦況報告がきた。

 

 

「相手2名が実弾持ちで、無傷だ……追加でスモーク焚きながら合流する」と続けて言われたので、敵も混乱しているのもあり、完全に撃ちきる前にリロードして、薬室内に一発装填された状態なのでマガジンのマックス容量+1になっている。私は敵を視認すると同時にトリガーを引き続けた。実弾持ちでは無い残りの二人を倒すと、5.56mm弾が飛んできた。だが、幸いにも2、3発カスった程度だったので、大したことはなかった。

 

 

 敵の射線上から退避しつつも、私は右太ももからピックを引き抜くと、そのまま牽制も兼ねて投げた。ほんの数秒後、後方からサプレッサーで減衰された銃声を私が認識すると同時に残っていた敵の片方が倒された。そしてそのまま流れるように、残っていたもう片方の敵も、同じように倒されて全滅した。

 

 

「美味しいところだけかっさらって……」と私がジト目でサプレッサーが装備されているグローザを持っているナキに言うと

 

 

「こっちが全滅してた可能性もあるんだ……仕方無いだろ」とナキが言ってきた。多分このやり取りを第三者が見ていれば、ただイチャついているだけなのだが、一部の人間にとっては目の保養になる光景だった。

 

 

 そんな会話をしながら、サナ達は敵のドロップ品を回収していた。回収し終えるとナキが、

 

 

「サナ、残弾どれくらい?」と訊いてきた。

 

 

「2マガジン使い切って、1マガジンが一発だけ減ってる」

 

 

「こっちは1マガジン使いきっただけだから……とりあえず弾を渡しとく」とナキから弾薬を補充してもらった。時間的にも弾薬的にも、もう一回狩れる余裕があったので、私達はもう一度所定の場所について獲物がくるのを待っていた。

 

 

 少しして、またプレイヤーが現れた。だが、私が接近して倒す際に敵プレイヤーの一人が装備していたデカネードに流れ弾が当たり、爆発した。私もその爆発に巻き込まれて死亡した。ナキの方は、爆発に巻き込まれはしなかったものの、同じように巻き込まれていなかった敵プレイヤーが一人居て、倒そうとした際にヘルメットを破壊されて、尚且つお土産グレネードで死亡した。結局、二人仲良く死に戻りして、しかも爆発オチと言うなんとも言えない死に方をしたので、私もナキも有無を言わずログアウトしたのだった。幸いにも、損害といえる損害がナキのヘルメットぐらいで済んだのでマシな方だった。

 

 

 後日GGO内では、ナキのアバターの素顔が分かった事で、ファンクラブらしきものが発足して、そこのメンバー残らずサナ達に処されるのは、また別のお話。

 




お約束と言わんばかりのオチ
次回胡散臭い人再来と言う嘘予告
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