吸血姫と天使と鋼鉄の城   作:奈多ナキル

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異なる主軸

 私達がユニークスキルを手に入れて、アインクラッドの攻略状況は、折り返しである50層まであと少しとなった。

 

 

 その後ナキと誓約を結んだのだが、その相手の任意のスキルが私も使用可能になる隠し効果が存在した。それによって私達の武器は、モンスタードロップ品である無銘になっているらしい。武器の強化可能回数は上限が高い為か私達でも未知数の部分が多いので、武器自体のスペックなども偽装されているらしいのだが……

 

 

 話の流れ的にもわかるようにナキは<偽装>と言うスキルを使わせてくれた。ナキの<守護・懲罰天使>に含まれているスキルらしく精霊から渡された盾と剣を装備していないと使えないmodらしい。

 

 

 本人が説明するには、渡された剣はアロンダイ(無毀なる剣)と言って、本来両手剣なのだが片手剣と偽装することで実際に片手剣として使えると言っていたのを顔を引きつらせながら聞いていた覚えがある。

 

 

 私達の服装も最初の頃から変わった。私は鮮やかな赤を基調とした上下なのだが、両太ももにピックをつけているので、ミニスカートになるのだがキュロットなので問題はない。その上からワインレッドのフードマントを着ている。後は胸部に防具がある。

 ナキは、白の一張羅で防具も白い軽装鎧だ。そして白いマントを着ている。

 

 25層辺りから私達は前線に入ったり、抜けたりして、攻略会議には私は出ずにナキだけが出ていた。その為か私は攻略組の内では、レアキャラ呼ばわりされているらしい。

 

 その裏ではレッドプレイヤーを狩る狩人として過ごしていた。ただ、その場で処すのは、3人以上殺した者かそれ同等の凶悪性だと判断が出来る者……つまり日本の死刑制度に則っていた。アルゴを仲介した依頼か、自主的にするぐらいだが、攻略組の面々は狩人が誰なのかおおよそ検討がついているようだったが、それ以外では狩人だけが噂され、多少の抑止力になっていた。

 

 私自身の交遊関係は、KoB副団長で数少ない攻略組の女性プレイヤーのアスナ、アルゴ、鍜治師のリズベットやたまに一緒にパーティーを組むエマや、積木などと仲が良い。ナキの方は、〈黒の剣士〉ことキリトや、カタナ使いのクライン、商人でもあるエギルなどの攻略組と関わりの深いプレイヤーや、聖竜連合のリンドやアイクラッド解放隊のシンカー、KoB団長のヒースクリフとかとも交流があり、そこそこ顔が知られていた。

 

 

 

 ある日のことだった。私達は、エマと積木に偶然会い、一緒にご飯でもと言う流れになったので、嫌がるナキを無理矢理連れてきて食事中にナキが言った。

 

 

「エマちゃんは未だに独り善がりなことを行ってるんだろ……相変わらず」

 

 

「貴方こそ、何で私にそんなこと聞くの?」と喰い気味に反論してきた。

 

 

「当たりか……お前の理想はただの幻想だ、机上の空論でしかない」

 

 

「それ何が悪いっ」

 

 

「思い上がるな……それは単なる我が儘でしかない、それが通じるほど甘くない」

 

 

「ちょっとナキ……ここで喧嘩は……ね?」

 

 

「ま……サナの言う通りだな……よし、こうしよう……今夜今から指定する所に来い」

 

 

 そう言ってナキは、23層の森を指定すると、ナキは席を立って外へ出たので、私は二人に軽く謝ってツンデレを発動させていたナキの後を追いかけた。

 

 

 移動中私は、ナキに話しかけた。

 

 

「ナキ……何であんなことを言ったの?」

 

 

「あの娘も〈ユニークスキル〉持ちだ。ただ一度挫かないと大きなものを喪う未来しかない」

 

 

「まぁ……釘を刺す必要と言う点では正しいだろうけど……ナキが悪役になる必要無くない?」

 

 

「どうやっても、俺は悪役ぶった方が楽だからな」

 

 

「これ以上の追及は後にするから……少し私の我が儘聞いてもらうからね」

 

 

「はいはい、分かりましたよ」そう言いながらも内心闘いたくてウズウズしていることを隠していなかった。

 

 

 夜九時になって少しも緊張の面影を見せずに佇む私とナキの所に、約束の人物が現れた。

 

 

「来たか……ルールの確認だがデュエルは初撃決着で、HPが65%以下になったらソードスキルの使用禁止……範囲はこの開けた範囲のみ……それでいいかエマちゃん」

 

 

「上等です……私の言っていることは間違ってないんですから……勝って正当性を認めさせます」エマが少し虚勢を張りながら言っているように私は見えた。

 

 

「立会人はサナと積木ちゃんに頼んだよ」

 

 

「ナキに言われなくても分かってる」と私が言うと不服そうに積木がしていたのでゼロフレームでチャクラムを積木の首筋に当てると、積木はぎこちなくもコクりと頷くのみだった。

 

 

「んじゃ……死合おうか」とナキは不適な笑みを浮かべながら言った。

 

 

 そしてカウントが0になると同時にエマが飛び出した。

 

 

「これで決めるっ」とただの負けフラグを建てながら鎌で攻撃をしてきたが、ナキはそれを軽く受け流して、ソードスキルのホリゾンタルで反撃した。

 

 

「何が全てを守るだ……笑わせるな……ただの子供の戯言だ、独り善がりだ……現実から逃げるな」

 

 

「うるさい……私の想いなんか貴方には判らないっ」

 

 

「何も理解してない……これだから餓鬼は嫌いだ」

 

 

「貴方は今からそのガキにまけるんだから」そんなことを剣撃と一緒に返していると

 

 

「もらったっっ」鎌でナキの盾を絡め取って、そのまま盾を吹き飛ばしてエマが肉薄せんと間合いを詰めた。

 

 

 

 

 

 双方のHPはまだ80%以上残っていたがエマとしてはナキの盾があるせいでダメージをあまり与えられていなかったのだ。それがなくなったことでエマから見ると有利でしか無かったのだが、次の瞬間エマはノックバックを喰らい間合いが戻されてしまった。吹き飛ばしたタイミングに一瞬だけナキの回りに力場のようなものが出てきて、それが剣にまとわりついて何気無い一撃なのに相当なノックバックを生じさせた。

 

 

「何っ……今のっ……」

 

 

「お前と同じユニークスキルだ」

 

 

「だからって私の勝ちは勝ち」

 

 

「ふぅ……自惚れるな」そう言ってまた激しい剣撃が繰り出され続け、数分後には双方のHPが52%ぐらいになっていた。ソードスキルが使えない為、ノーマルの攻撃しか出来ない状態で剣と鎌が撃ち合わされていると、ナキは空いていた片手を握り締め体術スキルの基本技である閃打をエマの腹めがけて打ち込んだ。

 

 

 そして、それによってエマの体力が半分以下になって勝敗が決した。リザルトが表示されナキが勝った。

 

 

「体術なんてっ……卑怯なっ」とエマが言うと

 

 

「俺はソードスキルの使用禁止だと言ったからな」と事実を言った。

 

 

「こんなの負けじゃないっ」と未練たらしくエマが言うとナキが、

 

 

「お前は、全てを見渡そうとして、目の前のことを見誤っていやがる……だから焦点をずらせ……何故判らない?」

 

 

「…………」

 

 

「ま……幻想を抱くなと言ってはないし、完全否定する気はないからな……何なら盲点を見ろってことを理解してほしいだけだ……後は余り強い言葉使うんじゃない弱く見えるぞ…………サナ、帰るぞ」ナキはそう言って、森の奥へと入っていったので、またしても私はナキを追いかけた。

 

 

 

 

 

「本当にナキって遠回しにしか出来ないよね」

 

 

「悪いか?」

 

 

「いや……でも……ううん何でもない」

 

 

「やっぱり夜は落ち着くなぁー」とナキが急にそんなことを言った。

 

 

「貴い夜と書いて貴夜〈きりや〉でしょ……ナキの本名」と私はこの前から抱いていた既視感を裏付けるための一言を発すると

 

 

「そうだけど……何で分かった」

 

 

「高校一緒だったし、何なら同じクラスだったよ3年間」

 

 

「だからって……」

 

 

「しかも東都工業大学の学生だし」

 

 

「……恐ろしい」

 

 

「私の本名言えば判るよね……流石に」

 

 

「聞き覚えとかがあればな」

 

 

「有栖川紗奈だよ」

 

 

「有栖川……紗奈……って、レアキャラ扱いされてて、春山と仲が良かったあの?」

 

 

「ってことは貴夜なのは事実なのね」

 

 

「いつから……ってなんとなく予想はつくけど」

 

 

「名取教授の話とこのユニークスキル」

 

 

「……流石だよ、サナ……なら何でエマちゃんに例えあんな接し方でも関わろうとしている意図は分かる?」

 

 

「老婆心的なものをナキから僅かに感じるから……ど畜生でないのは事実よね?」

 

 

「実を言うとエマちゃんの両親とは面識があってな……親父経由ではあっても、一応それなりに心配はしてる」

 

 

「ふーん……けど私がナキに対して抱いてた恋心に気付けず、色々まだ隠してるみたいだしなぁ」と少し茶化すように言うとナキは何かを察したのか、1歩引いて、更に周囲を見て2歩引いた。

 

 

「世間って案外狭いな……サナ」

 

 

「そうだね……現実世界に帰還したら本当にナキの妻になれそ……」

 

 

「年齢的にも、セーフだろうけど……鬼が笑うよこんなこと話していると」

 

 

「ただの死亡フラグでしかないものね……とりあえず帰ろ?」と私はナキにそう迫って帰路につくのだった。

 




一応書けたけども更新スピードが低速ですいません
次回論理コードと嘘予告



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