古代に飛んだ青年は「始まりと終わりを見守る者」となる 作:小人熊
再び目が覚めると、そこは室内だった。さっきまでのは夢か、と思ったが周りを見渡すと壁の1面が鉄格子になっていた。
「あ〜、牢屋か」
いや、だからそんな呑気なこと言ってる場合違うんだって、と自分にツッコミを入れる。やけに思考がズレると自分でも思う。夢ではないと考えて、とりあえず気絶する前に聞こえたことを整理しよう。この世界の情報源となりうるのは「穢れ」と「妖怪」そして「八意様」の3つ。……幸か不幸か、この3つの言葉だけで推測出来てしまう世界がひとつある。
「東方Project」の世界だ。
この世界では神や妖怪と言った現代では幻想とされるものが確かに実在する。しかし、そんな世界でも時の流れや技術の発展により神や妖怪の存在は忘れられていく。そんな「忘れられた者達の楽園」である「幻想郷」を中心に展開される原作や派生作品等からなる作品郡の総称だ。
この世界には「月の民」と呼ばれる者達が居て、彼らは「穢れ」を嫌う。人によって多少解釈が異なるが、生死の概念が当てはまるとされる。生きること、死ぬことそのものが穢れであり、そのサイクルが繰り返された地上は穢れに満ちている。だからこそ、元々地上にいた彼らは穢れの少ない(もしくはない)月へと移り住んだということだ。
その「月の民」の1人にして重要なキャラの1人が「八意様」こと「八意永琳」である。「月の頭脳」とまで呼ばれるほど賢く、天才と称される人物である。月の都を発展させた技術のほとんどを彼女1人で考えたと言えば、その凄さは分かるだろう。また、ここが月である可能性は低いだろう。月であれば、穢れがどうこうとは言わないだろうから。よって時系列的には古代に来てしまったと考えられる。
ところで、なんでこんなサクサク考察が進むかと言うと、自分が東方Projectが好きだからの一言に尽きる。まぁ、パソコンがなかったので原作はプレイ出来てないし、二次創作を中心とする知識なので正直あてにはならないが……ないよりはマシである。
さらに、この世界の特殊能力の表現として、「~~する(を操る)程度の能力」がある。先程の八意永琳なら「あらゆる薬を作る程度の能力」といった具合である。
程度の能力と聞くと大したことないという印象があるが普通に強い能力者も多く、個人個人の解釈によって強さに差が生まれることもしばしば。
さて、1人で考えているのに説明口調になっていた気がするがそれは無視して、自分にも能力がある可能性があるのだ。
そんな風に1人思考していると足音が聞こえてきた。看守か誰かが見回りにでも来たのだろう。そう考えていると
「あら、起きていたのね。ちょうどよかったわ」
現れたのは12,3歳ほどの少女だった。髪は銀色、服は白のワンピースに桃色のカーディガンを羽織っている。
(銀髪でここに1人で来るような人物……1人しかいないだろうが……)
「君のような子供がここになんの用だい?ここに来ても何も面白いことなどないと思うけど?」
「心配はいらないわ。貴方に用があってここに来たから」
「へぇ、でも用って言っても話すことがあるのかい?」
「だからこそここに来たんじゃない。さて、自己紹介をしましょうか」
そうして、少女は礼儀正しく、お辞儀をすると
「はじめまして。私は八意××。八意永琳とも呼ばれているわ」
そう自身の名前を名乗った。
「なるほど。となると、自分も名乗らなければ失礼だけど、自分の本名が思い出せないのでね。あだ名を名乗ることを許して欲しい」
そう前置き、
「自分は…とりあえず…、"ユウ"とでも名乗っておこうか」
ありがとうございました。また次も読んでくださると嬉しいです