そんなことがあった数日後、私は川内さん、暁、黒潮さんと一緒にタンカーの護衛任務に従事していました。
「あーあ、夜戦したいなー。護衛より夜戦したいよー」
「もう、川内さんったらまたそんな事言っちゃって。これも重要な任務なんだからちゃんとしてよ」
「だってさー。夜戦したいんだもん」
「川内はん、そんな夜戦夜戦言うとったら、司令はんから欲求不満なんかって思われてしまうで」
「そりゃ欲求不満だよ」
「……黒潮、川内さん気づいてないわよね」
「せやねー……こんな素で返されるとは思わんかったわ」
そんな雑談をしながらも周囲の警戒を怠らない三人を見て、私は自分の力不足を感じずにはいられません。だって、私は先ほどからいつ敵が出現するかの緊張のせいか、体がうまく動かすに三人に置いて行かれないようにしているのが精いっぱいなんですから。
「親潮、さっきから静かにしとるけど、大丈夫かいな? 調子悪いんとちゃうん?」
「い、いえ! そんな事はありません! 大丈夫です」
クッ……黒潮さんに心配されてしまうなんて……。
「ホンマかぁ? こないだも訓練やりすぎ取ったのに……! 川内はん!」
「うん、敵だよ! 皆戦闘態勢!」
川内さんの声を合図にしたかのように海中から敵が現れる。奇襲を受けた形になりましたが、私達は迅速に陣を組み、敵に主砲を、魚雷を叩き込んでいきます。
「どうやら偶発的な遭遇だね。強さも大した事ないし、さっささと全滅させるよ」
「任せて。私が全部倒しちゃうから」
「ウチも負けへんで、暁」
クッ、三人の攻撃が次々と敵を倒していく。このままでは私は何もできずに……!
「そんなのは……嫌です」
役立たずになりたくない。その一心で私は川内さん達よりも先行して敵の懐に飛び込み、そして砲撃を叩き込みます。
「ちょ! 親潮、それは危険だよ!」
「なにやってるのよ! 誤射しちゃうじゃない!」
後ろから制止の声が聞こえますが、私は大丈夫です。ほら、私の攻撃で敵を次々に倒していけています。どうですか、これなら私は役に立ててますよね。
「! 親潮、後ろや!」
黒潮さんの声に振り替えると、そこには轟沈させたはずの敵が浮かんでいて、そしてそいつが放った砲撃が私に向かってきて……。
「え……?」
呆然とする私に飛んできた砲撃を避ける事もできず、ただそれを見ていることしかできなかった。
「! なにボーッとしとるんや!」
砲撃が私に直撃すると思った時、私と砲撃の間に黒潮さんが割り込んできて、そして直撃を受けた。なんで? なんで黒潮さんが私を庇って……? ! 黒潮さん!
「あたた……こりゃアカンで」
煙が晴れ、姿の見えた黒潮さんは健在で、でも、艤装のあちこちから煙を吹いている。そんな、私を庇って……。
「よし! これで最後だね!」
川内さんの声とともに発射された魚雷は狙いを違わず敵に命中し、轟沈させました。私はそれを横目に黒潮さんに駆け寄ります。
「黒潮さん! 大丈夫ですか!?」
「ちょっと痛いけど、どうにかいけそうやわ。でも親潮、油断はあかんし、無茶もあかんで」
私の言葉に黒潮さんは笑顔で答えるけど、左腕を右手で抑えている姿が痛々しくて、私の心がとても痛くなる。
「……はい、ごめんなさい」
「もう、親潮焦りすぎだよ。誤射しちゃうところだったよ」
「そうよ。次からは気を付けてよね」
川内さん、暁にも怒られ、私は頭を下げて謝ることしかできず。それからは特に問題はなくタンカーの護衛は終わらせることができた。しかし、私の心が晴れる事はありませんでした。