「……で。浜風をそうして助けてから妙に懐かれるようになった……って事なのね?」
食堂で浜風と親潮を叱った後、私はいつものように黒潮に膝枕をしてもらいながら事情を聴いていた。その体勢のまま上を見上げると、黒潮はまさに困った笑顔。と言うべき表情を浮かべていた。
「そやねぇ。前に比べたら我儘も言うようになってきとるし……ウチはええ感じやと思うけど、もしかして陽炎は嫌やった? 嫌言うんやったら、浜風にもちょっと怒っておくけど」
そんな事を言われたけど、そんな程度で怒るわけないじゃない。折角浜風が良い感じに変わってるみたいなのに。
「そんなわけないでしょ。そりゃ我儘すぎるのは困るけど……浜風は確かに良い子ちゃんだったし……多少我儘になったぐらいで文句言うわけないじゃない。逆にそれでストレスを解消するって言うなら、浜風のやりたいようにさせてあげるわよ」
そうだ、確かに浜風は八方美人……と言うほどじゃないけど、それでも何か頼まれても嫌な顔をせずに手伝ったりしてくれてた。それは外から見れば美点だけど、当人からしたらストレスの元になってておかしくはない。だから我儘を言うようになったのは別に良いんだけど。
「でも、黒潮もキッチリ面倒見るのよ、逆に人に迷惑かけるようになっちゃったらダメだからね」
「当たり前やで。可愛い妹やからなあ、しっかりと面倒は見るで」
そういって笑う黒潮の顔を見てると……なんだか面白くないわね。なんかこう……胸の奥からモヤモヤとしたものが湧き上がってくるのが自分でもよくわかる。嫉妬……なんてドロドロしたものじゃないけど、こう、なんかヤな感じがして仕方がない。だから、私も我儘になることにした。
「ん……」
「わひゃ!? か、陽炎? いきなりなにしとるんや?」
私は今まで向いていた方向を体ごと変えて黒潮のお腹に顔を埋めると、そのまま腕を回して引き寄せ、更に顔を動かして黒潮のお腹の柔らかさを思う存分堪能する。あー、やわらかいなぁ……。今度からたまにこうして黒潮のお腹の柔らかさを堪能するのもいいかもしれないわね。今度するときは服をめくって貰って、素のお腹を堪能しようかしら。
「……もう、変な甘え方されたら流石に驚くで……。でも、陽炎がこうやって甘えたい言うなら、こうしててもええで」
そんな声とともに黒潮が頭を撫でてくる。そうそう、それでいいのよ。今甘えてるのは私なんだから……。あんまり浜風の事ばっかり考えてるんじゃないわよ。