「てな具合で秋雲からアイス奢って貰ったんや。いやぁ、やっぱ間宮はんのアイスは美味いで、最高や。今度陽炎も一緒に食べよーな」
アイスの味を思い出しているのか、ニコニコと笑顔を浮かべる黒潮に、私は思わず苦笑を浮かべてしまう。
「そうね。そうしましょうか。……で、あんたは本当に秋雲が出した本の内容知らないの?」
その事について聞いてみるけど、黒潮は首を傾げてきた。
「知らんなー。教えてくれへんし、在庫ももうない言われとるし……まぁ、あんま気にするもんでもないからええんやけどな。内容知ったところでウチがどうこう言えるもんでもないやろうし」
私の肩を揉みながら話す黒潮。……はぁ、どうしようかなぁ、あの本の内容……教えるのもなぁ。
実のところ、私はその本の内容を知ってる。と言うか持ってる。変な内容の本を出してないかどうかのチェックのために毎回印刷所からサンプルが司令の元へ送られて、最後には私が処分をしてるんだもん。たまに真面目にヤバイ内容のがあったりして、その時には秋雲に注意もしてるし。でも、今回のは別の意味で困った内容なのよね。
(……あの登場キャラ、どーみても黒潮と秋雲じゃない。特徴がほぼほぼ同じで間違えようがないし。しかも今回の事の顛末と繋がるものがあるし……そりゃぁ黒潮には見せられないでしょうね、黒潮に見せたらどんな反応されるのか……それで怒られたりしたら秋雲も絶対凹んじゃうし)
内心でため息をつきつつ、私は今回の秋雲の修羅場を思い出す。前々から締め切りが迫っている時の秋雲は荒れていることが多かったけど、あの時の秋雲は本当に普段よりも更に荒れていて、よく改善してくれたと夕雲からも黒潮にお礼を言ってたけど……まさかそんな作品を作っちゃうぐらい黒潮を好きになるなんてねぇ。
……なんかイラッとするわね。前までは黒潮の事そんなに深く付き合いを持ってもなかったくせに、良い事があった途端にコロッと堕とされちゃって。ちょーっと調子乗ってるんじゃないかしら?
「陽炎、どないしたんやー? さっきから黙ってもうとるけど、何考えとるん?」
私が黙り込んでるのを不審に思ったのか、黒潮が声をかけてきた。ああ、いけないいけない、黒潮に怪しまれちゃう。
「べっつにー。なんでもないですよーだ」
黒潮の質問に私は適当に返答して、黒潮の両手に意識を向ける。あー、気持ちいいわぁ。人にやってもらうと……と言うか黒潮にやってもらうと、やっぱり安心できるわね。これからも定期的に黒潮にお願いしようかしら。