その後、雪風と合流して(思い切り怒られたけど)、お祭りを楽しんだあたし達は鎮守府に帰りました。それで野分達と別れた後……あたしは黒潮の部屋に向かました。
「黒潮~、起きてる~?」
あたしがノックすると扉が開かれて……あれ、なんで不知火が出てきたの? 部屋、間違えてないよね?
「おや、舞風ですか。黒潮に何か御用ですか?」
「え、う、うん、ちょっとお話がしたいんだけど……」
「そうですか……では、不知火は失礼しますね。黒潮、明日またお願いします」
最後の言葉は黒潮に向けられていて、不知火は部屋から出て行ったんだけど……何してたんだろ?
「おーい、舞風。いったい何の用なんや?」
「あ、ごめんごめん。とりあえずお邪魔するねー」
慌てて部屋の中に入ると、黒潮は床に座りながらあたしを見上げてる。不知火と何してたのかちょっと気になるけど……まぁいっか。
「どないしたんや? 今日は盆踊りの大会やろ? ……まさか一緒に来んかった事怒っとるん? しゃあないやん、提督じきじきに出撃するよう言われたら断れんで」
「もう、その事は別に怒ってないよぉ。仕方ない事なんだし。そうじゃなくて……。お礼言いに来たの」
「へ? お礼?」
不思議そうにする黒潮の前に正座して……あたしはまっすぐ黒潮を見る。
「黒潮……今日ね、萩尾艦長が居てくれたの……居てくれて……あたしに笑ってくれたんだ」
「……そうか、萩尾艦長……ずっと居てくれたんやな。……舞風、無事に送れたんか?」
「……きっと、きっと……送れたと……思う……よ」
あれ、また泣いちゃってるよあたしったら……。野分の時にも泣いたのに、こんなに泣き虫だったっけ?
「そうか……お疲れさん、舞風。あんたはようやった。ホンマ……自慢の妹やで」
黒潮が抱きしめてくれて……頭を撫でてくれる。ああ、きっとお母さんってこんな感じなのかなぁ……。あたしも黒潮の背中に腕を回して……抱きしめながら泣き続けた。
……ありがとう、黒潮。
「ねぇねぇ黒潮。野分と一緒にダンス踊ろうよぉ。三人でならダンスの幅が広がるんだよぉ」
「いやぁ、舞風のダンスはホンマもんのガチダンスやから、ウチがついていくのはキツイで」
「そんな事ないって~」
黒潮の首に腕を回しながらおねだりしてるけど、黒潮は苦笑するだけで了解してくれない。もう、せっかく簡単なダンス見つけてきたのに。
「お? 黒潮、舞風。なにしてんのー?」
あれ、秋雲だ。声かけてくるなんて珍しいなぁ。
「お、秋雲。ちょうど良い所に来てくれたで。なぁ秋雲、舞風がダンスの相手探しとるんや。秋雲、同人誌のネタになるやろから一緒に参加してみいへんか?」
「ちょっとぉ、あたしは黒潮を誘ってるんだよ?」
「……ほっほー。なるほどねぇ、そうかそうかぁ、舞風も堕ちたんだねぇ」
なんか秋雲がニヤニヤしてる。おちたってなんの事?
「……よし、確かにネタになりそうだしこの秋雲さんも参加するよ」
「おお、マジか秋雲。助かるで」
って、黒潮、秋雲の手握ってるし。そんなに嬉しいの!? あたし、凹んじゃうよぉ。
「うん、じゃぁ一緒に頑張ろうね黒潮」
「へ?」
あれ、秋雲が黒潮の右腕を思い切り掴んでる。
「舞風、どこで練習するの? あんまり遠いところだと黒潮連れていくのに苦労するから近くがいいなぁ」
「ちょいちょいちょいちょい。秋雲、なんでウチ連行されるんや! 秋雲が参加するんやろ!?」
「そだよー。でも、黒潮が参加しないなんて一言も聞いてないからね。舞風、早く行こう」
「……秋雲、グッジョブ!」
あたしと秋雲は固く握手を交わし……逃げようとする黒潮を両脇から捕まえて連行する。さぁ、今日は黒潮と秋雲と野分と一緒に踊るぞー。