「……あー、筋肉痛やでぇ……あんな普段使わん筋肉使う事なるとは思わんかった……やからガチもののダンスとか踊れんゆうたのに……」
「はいはい、お疲れ様。湿布の位置はこれでいいのね?」
今日も私は黒潮の部屋に来てる。と言っても流石に今日は黒潮に甘えるつもりはないけど……筋肉痛でベットに横たわってるのに甘えるのは無理よ流石に。服を脱がせて背中や足にペタペタと湿布を貼っていってるけど、黒潮の様子を見ると治るまでにしばらく時間がかかりそうね。
「舞風には私のほうからちゃんと言っておくわ。今日のあんたの予定も舞風と秋雲に振っておくから、安心しなさい」
「助かるわ~……もう、秋雲は結局踊らんで絵ばっか描いとるし、野分も止めきれんし……舞風一体どないしたんや。ウチと踊ってもそんな面白くもないやろ」
「……今回は理由ぐらい自分でわかるでしょ……。舞風はやっと……克服できたのね」
舞風が盆踊りを踊れたという話を聞いた時は本当に驚いた。彼女が盆踊りを踊ろうとしない理由は皆想像がついてたから誰も何も言わなかったけど……。それでも、皆心配していたんだもん。で、どうせ黒潮が何かやっただろうと思って聞いてみたら案の定黒潮が何かやってた。で、野分や雪風にも話を聞いて、舞風が艦長を送れたというのも聞いた……。そりゃ黒潮に懐くでしょうね。黒潮のおかげであの大戦での舞風の大きな心残りが解消されたんだから。
「ん~……そらまぁ、陽炎が言わんとしとる事はわかるけど……ウチは大した事はなんもやっとらんで。そもそも、ウチがやらんでも野分らへんがやれとったはずやし、もっと言うなら舞風なら誰かに頼らんでも自力で克服できとったと思うで。だから、ウチは大したことは何もしとらんわ」
……こいつ、一回痛い目みないと本当にわからないんじゃない? まったく、自分の妹ながら呆れてものも言えないわ。
「……あんたのその変に鈍感な所、どうにかしなさいよ……もう、そんなんじゃそのうち変な勘違いされちゃうわよ。襲われてからじゃ遅いんだから」
「アハハ、ないない。ウチ襲うようなもの好きなんておらんって」
そう言って黒潮は暢気に手を振る。その姿を見て思わずため息を漏らさずにはいられなかった。
……こいつ、今から私が襲ってやろうかしら。そうしたら少しは危機感が芽生えるかも……いや、今後甘える時にやり辛くなるわね。じゃぁどうしようかしら。
呑気に笑ってる黒潮を見下ろしながら、私はため息をつくのだった。