黒潮お姉ちゃんシリーズ   作:雨宮季弥99

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第七章 野分編
第七章 野分編1


 最近、この鎮守府では国民に向けての広報活動を行うようになりました。私達の活動を宣伝し、国民への信用を得るための大切な活動です。そして、私もその活動に参加する事になりました。

 

「はーい、那珂ちゃん、野分ちゃん、こっち向いてねー」

 

「はーい。良い笑顔、いっくよー」

 

 今、私は那珂さんと一緒に写真を撮っています。那珂さんと一緒に写真を撮ってもらえるなんてとても嬉しいです。

 

 しばらくの間、慣れない撮影に疲れることになりましたが……無事に本日の撮影を終えることができました。

 

「いやぁ、素晴らしい写真が撮れたよ。流石艦娘の方々は素晴らしい容姿をされていらっしゃる」

 

「もっちろん。でも、このアイドル那珂ちゃんが一番だからね」

 

「ええ。勿論ですよ那珂さん」

 

 そんな風に撮影のメンバーと楽しく話をしながらも撮影は続き、やがて今日の撮影が終わり、私達は鎮守府に帰ってきました。

 

「のわっち、お帰りー。撮影どうだったー?」

 

「撮影は順調に終わったわ。それより舞風、のわっちって呼ぶのやめてったら」

 

「え~いいじゃーん」

 

 もう、舞風はいつもこうなんだから……。

 

「ん~? おお、野分、撮影お疲れさんや。上手いことやれたんか?」

 

 そんな私達に声をかけてきたのは黒潮だった。その姿を認めた途端、舞風が黒潮に抱き着く。

 

「ねぇねぇ黒潮。今度また野分と一緒に踊ろうよぉ」

 

「いや、ホンマ勘弁してーな。ウチ、あれから筋肉痛が辛かったんやで」

 

「え~」

 

 あの盆踊りを踊った日から舞風はよく黒潮に懐くようになった。なんだろう……なんか、イラッとしてしまう。

 

「……なぁ野分、どないしたん? 眉間に皺寄っとるで」

 

「え? わ!?」

 

 突然目の前に黒潮の顔がアップで映ったので思わず体を反らす。

 

「い、いや……なんでもないよ黒潮。それより今日の撮影は……うん、うまくいったよ。撮影の人たちからも褒められたんだ」

 

「おお、そらよかったな」

 

 ……うん、大丈夫。ちゃんと話せる。大体姉妹艦の黒潮が舞風と仲良くするのはおかしなことじゃないんだし、自分がおかしいだけだよ。

 

 

 そんな事があってから数日後、野分はまた広報活動として鎮守府の外に出ていました。今回は会見場で筑摩さんと一緒にカメラの前での質疑応答です。国民の皆さんの質問に色々と答えていきますが……やはり機密情報に近いものは伝えられませんし、かと言ってあんまりプライベートな質問をツッコまれても答えれないし……。正直苦手ですね。

 

 野分が応答に困っていると筑摩さんがさりげなくフォローしてくださって……本当にありがたいです。そのおかげでなんとか無事に終わらせることができました。

 

「ふぅ……疲れたぁ」

 

 質疑応答が終わった後、野分は楽屋で休憩を取ってる。筑摩さんは今後の打ち合わせがあるとかで居ないけど……やっぱり頼りになるなぁ、あの人は。野分も頑張らないと。

 

 そんな事を思っていると、楽屋の扉がノックされて、入るように伝えると、入ってきたのは40台ぐらいの女性だった。その人には見覚えがあって、確か撮影のためにテレビ局に来ると決まって撮影を見ている人だった。

 

「いやー、お疲れさま。中々良かったわよぉ」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

 褒められたので取りあえず頭を下げると、女性は私の傍に近寄ってきて、そのままこちらを凝視してきました。……野分、何かしたでしょうか?

 

「んー、こうしてみるとやっぱり野分ちゃんはもっと男らしい恰好をしたほうが良いわね。折角の素材がもったいないわ」

 

「そ……そうですか」

 

 女性はジロジロと無遠慮に野分の体を見ながら言ってきて……別に男の格好が好きってわけでもないのに……。

 

「ねぇ、貴女。私の所にこない? そのボーイッシュな魅力。私なら最大限に引き出せるわよ!」

 

「え!? ちょ、ちょっと……」

 

 うわ、手を掴んできた。怖い、この人怖いよ!

 

「何をされてるんですか?」

 

「! 筑摩さん!」

 

 いつの間にか筑摩さんが楽屋に入っていて、女性を睨み付けている。それを見た女性は何かしどろもどろに口にしながら楽屋から出て行った。

 

「大丈夫ですか野分さん」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

「さっきの人は……このテレビ局の方でしたね。一応抗議はしておきましょうか。野分さんも、何かあったら教えてくださいね」

 

「わかりました」

 

 これでもうあの女性に会わなくて済むのかなぁ。あー良かったぁ。

 

 そう思っていた時期が、この野分にもありました。

 

 

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