第八章 萩風編
萩風は皆さんが心配です。艦ではなく人の体を持った萩風達は艦にはない多くの利点があります。それはとても素晴らしい事ですし、萩風も艦娘になれて良かったと思っています。
ですが、人の体は利点だけではありません。怪我、病気、どうしてもそう言ったものと無縁ではいられません。そうしたものは艦であった時のように誰かに修理してもらって終わり。と言うわけではなく、癌のように完治が非常に難しい。または現代医学では不可能なものも多くあります。ですから……。
「はい皆さん。今日のお菓子用意しましたよ」
今日は久しぶりに第四駆逐隊で集まっておやつの時間です。この鎮守府の人も増えてきて、一緒に集まる時間も少ないですから、萩風、精一杯作ってみました。
「おー、萩風のクッキーだ。……うーん、いつもの味だぁ」
「こら舞風。お行儀悪いよ」
「ま、あんまり気にするなよ野分。ここに居るのは俺等だけなんだしさ」
ふふ、皆さん特にお変わりがないようです。萩風、嬉しいです。
「あ、そうだー。あたしもお菓子持ってきたんだよー。じゃーん、浜風お勧めのケーキ。これも食べようよ」
そう言って舞風が取り出したのは有名なケーキ店の箱で、上を開けるとそこには四つのケーキが入っていました。うわぁ、美味しそう。
「お、気が利くじゃん舞風」
「へへ、そうでしょ。じゃ、お皿とフォーク持ってくるから」
そう言って舞風はアッという前に席を離れて、アッという間に人数分のお皿とフォークを持ってきました。
「じゃ、俺はこれだ」
「野分はこれ、貰ってもいいかな?」
「あたしはこれが良いけど、野分、そっちもちょっとちょうだい。あたしのもちょっとあげるから」
「では、萩風はこれを頂ますね」
こうして四人で分けられたケーキ。早速皆が口にしたんですが……。
「う……あっまい。ちょっと甘すぎます」
口にしたケーキの甘さに思わず眉間に皺が寄ってしまいます。
「え? そんなに甘い? どれどれ? ……萩風、そこまで甘くないよ?」
「うーん……そうだなぁ。言うほど甘くもないな」
「……そうだね、普通だと思うよ」
「ええ!? そうなんですか!?」
三人のケーキを少し分けて貰いますが、やっぱりどれも甘すぎます。でも三人はそれぞれ同じようにケーキを食べてみても首を捻るばかりです。
「うーん……取りあえず、ケーキは今度、甘さ控えめなの買ってくるね」
「……お願いします。あ、ケーキのほうは誰か食べてください」
そう言ってケーキを差し出すと、三人とも申し訳なさそうにケーキを食べ始めます。あーあ、久しぶりの女子会なのに、悪い空気にしてしまいました……悲しいです。