「うう……腹が一杯や……動けへん……」
「動かなくてもいいけど、体ぐらい起こしなさい。胃液が逆流するわよ。逆流性食道炎とかなりたくないでしょ?」
「おおう……それは勘弁やで……」
ベットに寝転がっていた黒潮はなんとか体を起こすけど……これ、筋肉痛の時より甘えられる雰囲気じゃないわね。おもっきり眉間に皺寄ってるし、相当苦しそうね。
「まったく、親潮と萩風も悪いけど、あんたも律儀に二人分食べてるんじゃないわよ。お金なら貸してるんだから、普通の食事取れるでしょ」
「そうなんやけどなぁ……折角作ってくれたん残すのも悪いやん」
私の言葉に黒潮は苦笑いを浮かべてるけど、それでこんなんになってるんじゃ本末転倒じゃないの。
「だからって食べ過ぎで動けなくなってたら駄目じゃないの。こないだから筋肉痛で動けなくなるわ、食べ過ぎで動けなくなるわ。そんなんばっかりじゃない、そろそろ任務にも支障があるから、笑い話じゃ済まなくなるわよ」
「それ言われると辛いわぁ……って、筋肉痛のほうはウチも全力で逃げとるわ」
いや、逃げきれてたら筋肉痛になってないでしょうが。
「逃げきれてないじゃないの」
「むむむ……」
「何がむむむよ」
……はぁ、しょうもないネタは置いといて……こうして会話してるのも悪くはないんだけど物足りないのよねぇ……仕方ない、恥ずかしいけど。
「よっと」
私は黒潮の横に腰を下ろすと、足を広げる。
「黒潮、ちょっとここに座ってくれる?」
「ええ? 陽炎の股の間に座れって、どないな意味があるん?」
わけがわからない、と言う感じに黒潮が困惑した表情を浮かべてくる。
「いいからさっさとしなさい」
黒潮が渋々と言った感じで座って……じゃ手袋を外してと。
「なぁ陽炎、なんでウチの服捲ってお腹撫でとるん?」
私が黒潮の服をめくり、素肌のお腹を摩っていると、黒潮から怪訝な表情を向けられた。まぁ、うん、言いたいことはわかるわよ、わかるんだけどね……。
「甘えられない分の代用よ。あんたも、こっちのほうが楽でしょ?」
「まぁ、せやなぁ。これで少しは消化が早ようなってくれたらええんやけどなぁ」
そう言いながら私にもたれかかってくる黒潮。その肩に顎を乗せながら、私は黒潮のお腹を撫で続ける。あー……暖かいなぁ……、特に手から伝わってくる体温は、普段の服越しに感じるものじゃなくて、黒潮の素の体温をそのまま感じてるから、普段よりもっと黒潮と言う存在を感じられる。……ま、たまにはこんなのも悪くないわね。