「変身!」
「変身!」
ステージの上で俺と黒潮がポーズをとると、眩い光が明石さん特性の腰のベルトから溢れ出し、そして光が収まったとき、俺と黒潮姉はそれぞれのライダーの恰好になっていた。
「ハア!」
「セイ!」
そしてライダーに変身した俺達は適役のスーツアクターの人達と殺陣を演じて……最後はお決まりの必殺技でラスボスを倒して、ステージを見てくれている皆に手を振ってステージの上を降りた。
「はぁぁ……疲れたわぁ。これ、思ったより動くんやなぁ」
「お疲れさま、黒潮姉。はい飲み物」
「おお、スマンな」
変身を解除した黒潮姉が休憩室に戻った途端に座り込んだから水を手渡すと凄い勢いで飲みだした。
「ぷはぁ……しっかし、嵐こんな事しとったんか。ウチ知らんかったで」
「ああ、鎮守府の広告活動の一環で始めたのが人気が出ちゃってさ。不定期だけど開催するようになったんだ」
俺達が今日やったのは艦娘が登場するヒーローショー。今回は俺と黒潮姉がそれぞれライダーの役として登場したんだけど、ステージの反応を見ると成功だったみたいだな。黒潮姉、良い動きしてたもんなぁ。
「しっかし、なんでこのライダー選んだんや? 確かこのライダーって、別にそっちのライダーと接点ないやろ?」
「えーと……ほら、黒潮姉の名前と似てるじゃん。だからこっちのほうが親近感沸くって思ったんだけど、ダメだったか?」
「いや、別に嫌やないで。確かに親近感は沸くわ」
そう言って黒潮姉はまた水を飲みだす……ふー危ねえ危ねえ。まさか、俺の演じたライダーの俳優が、黒潮姉の演じてるライダーが大好きだから……なんて理由で選んだなんてバレたら恥ずかしすぎるからな。黒潮姉の名前が似てて本当良かったぜ。
「……ふーん、最近嵐と一緒にいると思ったら、そんなのに付き合ってたんだ」
「せやでー。あ、これ向こうで貰ったおせんべいやけど、食べる?」
「もらうわ……あ、美味しい」
黒潮の部屋でせんべいを齧りながら黒潮の話に耳を傾ける。しっかし黒潮もよくよくトラブルに巻き込まれるわね。ま、今更なんだろうけど。
「それで、ヒーローショーって筋肉痛はないの?」
「せやねぇ。ダンスと違って普段使こうとる筋肉使っとるんか、それともダンスのせいでその辺の筋肉も鍛えられたんかはわからんけど、今回は筋肉痛はないで」
「じゃ、遠慮なく甘えるから」
そう言って私は黒潮が行動するより早く彼女を抱きしめる。あー、正面から抱きしめるのは久しぶりねぇ。
「そうやねぇ……それじゃぁ陽炎、いっぱい甘えてええで。ウチが甘やかしたるからな」
そう言って背中を優しく撫でる彼女の手を感じながら、私は久しぶりの満足感に漬かっていった。