黒潮お姉ちゃんシリーズ   作:雨宮季弥99

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第十章 時津風編3

「つーわけで、なんか最近時津風と遊んどると、犬飼いとうなってもうたんよ。どうにかならんかな?」

 

 部屋の中でそう言ってくる黒潮に、私は取り合えず当たり障りのない言葉で返す。

 

「別に止めないけど、世話はちゃんとやるのよ。でも、犬飼ったりしだしたら時津風が拗ねるんじゃないの? 犬に構ってたら時津風に構う時間少なくなるし」

 

「うーん、そうなんやろか? 別にそんな事はないと思うけどなぁ」

 

 黒潮が首を傾げてるけど、まぁ面倒だからこれ以上は言わない。どうせしばらくは時津風がじゃれついて犬を飼うどころの話じゃないだろうし。

 

「それで、時津風ってあんたに懐いてるのよね?」

 

「……まぁ、そうなんかなぁ? 前々に比べたら今はようじゃれつかれるようになったとは思うよ」

 

「じゃ、私も同じようにじゃれるから」

 

 そう言って私は黒潮の胸に顔を埋めると、そのままグリグリと押し付ける。うーん……やっぱり、あるわよねぇ黒潮って。浜風とかが目立ちすぎるからあんまり目立たないけど、やっぱりあるわよねぇ。今度お風呂に入った時にちゃんと確認とかしてみようかしら。この感じだと……不知火よりはありそうなのよねぇ。

 

「……陽炎、ウチの胸に顔埋めてもあんま柔らかくはないで。浜風らへんのほうがええんとちゃう? あっちのほうが明らかにボインやで」

 

 なんか呆れたように言われたけど、あんただからやってるんだって気づきなさいよ。妹の胸に顔を埋めるなんて、普通逸るわけないじゃないの。ていうかボインとか古いわね。

 

「あんただから埋めてるのよ。言わせないでよ恥ずかしい」

 

「まぁ、ええんやけどな」

 

 黒潮はそう言っていつものように私の背中を撫でてくれるけど、実のところ今回のは普段の甘えてるのとはちょっと違う。

 

(……なーんか、黒潮からたまに時津風の匂いがするのよねぇ)

 

 時津風は元々親しい相手にはじゃれついてくる性格で、私にもそこそこじゃれついてくる。だから普段の時津風の使ってるボディソープやシャンプーが黒潮の使ってるそれと違うのは知ってる。でも、最近微妙にだけど黒潮から時津風と同じ匂いがすることがある。つまり、時津風がそれだけ、黒潮相手にじゃれつく頻度が高くなってるって事よね。だから……。

 

(時津風、黒潮は渡さないからね)

 

 黒潮と私の使ってるシャンプーやボディソープは違う。だから私がこうして匂いを付ければ時津風に黒潮が私のものだって認識させれるかもしれない。……なんか本当に犬のマーキングみたいだけど、気にしないでおこうっと。

 

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