黒潮お姉ちゃんシリーズ   作:雨宮季弥99

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第十四章 天津風編2

 しばらくして黒潮が戻ってきたんだけど、なぜか雪風も一緒に居た。雪風が応援なのかしら?

 

「お待たせや天津風。遅くなってすまんな」

 

「別にいいけど、雪風が応援なの?」

 

「はい。黒潮から事情は聞いてます。天津風の力になれるように頑張りますね」

 

 それは嬉しいんだけど、雪風が応援って、なんでなんだろう?

 

「じゃぁ、取りあえずウチと雪風で演習するから、ちょっと見とってくれるか?」

 

「え、ええ。わかったわ」

 

 私が頷くと、黒潮と雪風が少し離れて演習を始めた。二人とも私より早く、正確に攻撃を、回避を、移動を行っている。特に雪風は最近メキメキと実力を伸ばしてるから、よく黒潮に食らいついてるわ。でも、これを見せてどうするつもりなのかしら?

 

 程なくして黒潮の勝ちで演習が終わり、二人が私のもとに戻ってくる。

 

「どうや天津風。なんか気づいたことあるか?」

 

「気づいたことって……二人とも、私より強いってことぐらいよ。でも、それがどうしたって言うのよ?」

 

 私の言葉に黒潮も雪風も大きくため息をついた。な、なによその態度。

 

「……ええか。ウチの戦い方は錬度や経験を元にした戦い方や。一方で雪風は艤装の性能や自分の能力を元にした戦い方や」

 

「つまり、今の天津風が島風に勝つためにはどうすればいいかの形の一つなんですよ。少なくとも天津風は艤装の性能は島風より下なので、参考になると思うんです」

 

 ……そうだったの。意味がわからなくてボーッとみてたけど、そういう意味があったのね。

 

「取りあえず、しばらくウチと雪風で天津風の特訓をしよう思うんや。ウチの戦い方から天津風自身の戦い方を、雪風の戦い方から島風に勝つためのやり方を学べたらええと思うんやけど、問題ないか?」

 

「ええ、大丈夫よ……お願いね、二人とも」

 

 こうして私は二人と特訓をすることになった。待ってなさい島風。かならず追いつくんだから。

 

 

 

 それから一か月間、私は二人と特訓を繰り返した。黒潮と雪風、タイプの違う二人との特訓は厳しいものだったけど、それでも私の実力は伸びていく。でも、二人に勝てそうにない。

 

「……なんで勝てないのかしら」

 

 黒潮の魚雷で倒された私は、水面に仰向けになって呟く。確かに黒潮のほうが強い。でも、これだけ訓練してるのに差が縮まる様子もない。私は一所懸命訓練してるっていうのに。

 

(私……才能がそもそもないのかしら)

 

 艤装の強さ、錬度の高さ、それらがあっても私自身に才能がないのなら意味はない。そんなはずはないはずだと考えても、不安な気持ちは消えない。……私、もしかしていらないのかな……?

 

「おーい、天津風。大丈夫かいな? 起きれるか?」

 

 いつまでも倒れてる私を見かねたのか黒潮が声をかけてくる。でも、私は起きれない。起きようという気持ちになれない。

 

「……ねぇ、黒潮。私、なんで強くなれないのかしら?」

 

「は? なんやいきなり?」

 

「……だって、一か月の間特訓してるのに、黒潮にも雪風にも全然勝てる様子がないんだもん。私……こんなんで島風より強くなんて……フガ!」

 

 いきなり黒潮が私の鼻を撮む。突然の事に驚いていると、黒潮は大きくため息をついて手を放した。

 

「……あんなぁ天津風。そんなあっさり強くなれたら誰も苦労せんわ。つーか、天津風は上達しとる。それでも差が縮まっとらんって思うんは、ウチも雪風も強くなっとるからや。当たり前やろ」

 

 ……言われてみればそうか。黒潮も雪風もゲームの中の敵じゃないんだから、いつまでも同じ強さなわけないじゃない。何をばかな考えをしていたのかしら……。

 

「……ごめんなさい黒潮。ちょっと私、焦っててちゃんと訓練できてなかったかもしれない」

 

「ええで、そんな時もあるわな。じゃ、ちょっと休憩したら訓練再開しよか」

 

「ええ。お願いするわ」

 

 こうして私は新たな気持ちで特訓に取り組むことになった。そしてそんな中で黒潮が教えてくれたのは、相手の目に注意して戦うとの事だった。

 

「目は口ほどに物を言うって言うけど、実際戦闘の最中にはこれがけっこう重要になってくるんや。相手の視線から目標を憶測したり、逆にこっちの視線を意図的に読ませて相手にこっちの狙いを錯覚させたりとな。けっこう使えるんやで」

 

 そう、黒潮は得意げに話してくれた。それを聞いてから私は戦いのときには相手の目線に注意して戦うことが多くなった。それ以来、私の戦績も徐々に上に上がっていき、黒潮や雪風相手にも少しずつ対抗できるようになっていった。

 

 そして更に一か月が経過したある日の訓練で……。

 

「これで……!」

 

「しま……!」

 

 雪風の視線から攻撃される個所を読んだ私は、雪風の砲撃を避けて、カウンターとばかりに自分の砲撃を叩き込む。回避した体勢からの砲撃だから雪風を追い込むことはできなかったけど、これなら……!

 

「いてて……やりましたね天津風!」

 

「え!? きゃあ!」

 

 即座に繰り出された雪風の反撃の直撃を受けた私はそのまま艤装が大破し、戦闘が続行できなくなる。くっそぉ……。駄目だったかぁ。

 

「驚きましたよ天津風。さっきの攻撃で決めるつもりでしたのに、あんな回避した上に反撃までしてくるなんて」

 

「何言ってるのよ。結局雪風を大破させれなかったんだから、褒められるようなことじゃないわよ」

 

「そんな事ないです。天津風はどんどん強くなっていってます。自分に自信を持ってください」

 

 そう言って雪風は自信満々に私を褒めてくれる。……こういう時、彼女のこういう態度はけっこうありがたい。

 

「……そうね、少しは私も自信を持とうかしら。雪風、もう一戦お願いできる?」

 

「ええ、大丈夫です」

 

こうして私はまた雪風と特訓を始める。そして数日後……。

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