「久しぶりに演習するね天津風ちゃん」
「そうね、島風」
島風から久しぶりに演習をしたいと言われたので、私は島風と二人で海上に立っている。黒潮達との特訓を始めてからは島風との演習は避けていたけど、今なら……!
「島風、今日は負けないわよ」
「それは私もだよ、天津風ちゃん」
互いに睨み合い……そして私達は戦い始めた。
(……島風も……強くなってる!)
久しぶりに戦う島風は明らかに強くなっていた。私と演習をしていない二か月間の間、彼女も強くなっていっていた。でも、基本的な動きに変わりはない。いかにキレがよくなっても、いかにスピードが速くなっていても、パターンが同じなら対処法はある。
「この!」
島風の行動パターンを読んで、彼女の回避先にばらまくように砲撃を飛ばす。よし、このままなら順調に追い込め……!
「甘いよ、天津風ちゃん!」
突然、島風のスピードが更に上がった。こちらの予想を上回るスピードに攻撃が追い付かない! このままじゃ!
「これで……終わりだよ!」
そう言って島風が魚雷の発射体勢に……違う! 彼女の視線は私の上半身を見ている。つまり、魚雷は囮、本命は……!
「てえい!」
魚雷の発射体制から素早く復帰した島風が主砲の砲撃を行ってくる。考えるより先に私の体はそれを際どい姿勢で避け……反撃の砲撃が島風に命中した。
「きゃああ!」
私からの反撃を予想してなかったんでしょうね。島風は砲撃が直撃し、そのまま海面に倒れる。……やった、勝った、勝った!
「島風。私の勝ちね……島風?」
水面で倒れる島風からの返事がない。もしかして衝撃で気絶したの? それなら早く入渠させないと。
「……すごーい!」
「え!?」
突然島風が体を起こしたと思うと、私の手を取ってきた。気絶してたんじゃないの!?
「すごいよ天津風ちゃん。あれを避けたの天津風ちゃんが初めてだよ! どうやったの!?」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさい!」
「だってだって。天津風ちゃん、私のスピードについてこれたんだよ。天津風ちゃんこんなに凄かったんだ!」
「あ、当たり前でしょ! 私はあんたのお姉ちゃんみたいなものなのよ!」
「うん、本当凄いよ天津風ちゃん」
私の手を取って嬉しそうに笑う島風……久しぶりに見る島風の笑顔……それを見たとき、私の目から涙が零れてた。
「え!? 天津風ちゃん!? どこか痛いの?」
「……大丈夫よ、なんでもないから……。島風、訓練も終わったし、片付けしたら間宮で甘いものでも食べない?」
慌てて涙を拭って、島風を誘う。それに島風が頷いたので、私達は一緒に海面を滑り出した。
(こんな気持ちのいい中で間宮に行くの、いつぶりかしら)
島風に勝てなくなってから、彼女と一緒にいく間宮は楽しいものじゃなかった。でも、今は……今は大丈夫。
(……黒潮、雪風、ありがとうね)
島風と一緒に滑る中、私は二人に感謝していた。