「さぁ、行くで天津風!」
「来なさい黒潮!」
今日、私は黒潮と訓練をしている。あれから私はもっと強くなって、雪風とも遣り合えるようになっていってるけど、黒潮にだけはまだ勝てない。
今日も、黒潮にやられた私は水面であおむけになって空を見上げる羽目になった。
「おーい、大丈夫かいな天津風?」
「大丈夫……ねぇ黒潮。なんで私黒潮に勝てないんだろう? 私、あれから強くなってるわよね」
黒潮に起こされながら尋ねると、黒潮は眉間に皺を寄せながら考えて……しばらくして答えた。
「多分やけどな、ウチ天津風が何考えとるかなんとなーわかるんや。せやから、天津風が次になにしようとしとるか読めるんや」
「……何よそれ。反則じゃない」
「反則言われても困るんやけどなぁ。ほら、疲れたしそろそろ帰るで」
そう言って黒潮は私に肩を貸して、一緒に進んでいく。
(……私の考えがわかるのって、私が黒潮の戦い方を元にして戦ってるからなのかしら? それとも……姉……だからなのかしら?)
……まぁいいわ。深く考えても仕方ないし……でも、負けてるとはいえ、黒潮のおかげでこうして強くなれたのよね……。
(……ありがとうね、黒潮)
「ま~た天津風から島風も一緒に連れていけないかって言われたわ。……私達陽炎型での行楽だって言ってるのに」
「まぁ、ええんやないか? 島風は姉妹艦がおらんし、ウチら人数多いんやから一人増えても大差ないで」
「皆がおとなしくしてくれるならね。引率の私の苦労も少しは考えなさいよ」
「あー……それ言われると何も言えんわ」
黒潮の膝枕の上で本を読みつつ、私はため息をつく。そりゃまぁ、全員が親潮や萩風みたいにおとなしいならいいけど、舞風や時津風は気づいたらどっかいってたりするし、磯風は変な食べ物買ってたりするし、不知火もおとなしいふりして変なことしたりするし……。
「陽炎、ウチも手伝うから、島風参加させられへんか?」
「……わかってるわよ、別に参加させないって言ってるわけじゃないから。あんたもちゃんと島風が変なことしないように注意してよ」
「勿論やでぇ」
……まぁ、確かに今更一人増えても大きな差はないし、天津風がちゃんと見てるだろうから大丈夫だと思うけど……。それに、天津風がよく連れてくるから妹達も島風に対して変な遠慮もなくなってるし……別にいいかしらね。
「ふぅ……なんだか眠くなってきたわね。黒潮、ちょっと寝るわね」
「わかったわ陽炎。お休み」
本を横に置いて目を瞑ると、黒潮が優しく頭を撫でてくれる。私は後のことは後で考えることにして、その気持ちよさを感じながら眠りについた。