黒潮お姉ちゃんシリーズ   作:雨宮季弥99

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エピローグB 陽炎視点

「陽炎、ちょっと髪傷んでない?」

 

「あー、加齢のせいかしらねぇ」

 

「アカンでー、ちゃんとケアせえへんと。ウチの使こうとるリンス貸したろか?」

 

「……うん、お願い」

 

 正直面倒くさいんだけど……仕方ないか。みっともない恰好するわけにもいかないし……。はぁ、昔はもっと気にしてはいたんだけど、最近は面倒ねぇ。

 

 戦いが終わってから30年以上が経過した。あれから私達は義父さんの元で勉強をし、社会を学んで、無事に皆独立した。

 

 幸い、皆よきパートナーを見つけることができて、結婚し、子供を産んだ。まぁ、舞風みたいに子供を産んでからもダンサーとして働いてるのも居るけど、親潮や磯風なんかは専業主婦をしてる。私も二人の子供を産んで、今はパートで働きながら旦那様を支えている。

 

「そういや、陽炎とこの子は元気にしとるん?」

 

「ええ。一人暮らしにはしゃいでるわ。黒潮のとこもそうでしょ?」

 

「まぁ、そうやなぁ」

 

 世間話をしながら私は黒潮の膝の上から彼女を見上げる。偶然だけど、私の家族と黒潮の家族は同じマンションに住んでる。だから私はたまにこうして黒潮の所に来て甘えている。テレビをつけたりなんてせず、ただこうして、彼女の膝枕の上で彼女と話している。この時……この間だけは、私も黒潮も、妻じゃなく、母親じゃない……駆逐艦陽炎と黒潮に戻っている。それは例え家族のことを話していてもだ。

 

(……あと、どれだけこうしていられるかしら)

 

 ふとそんな考えが頭を過った。私達ももう40を過ぎた。義父さんは70歳を越えている。……一度生まれ変わった私達だけど、同じ奇跡が起きるなんて甘い考えはない。いずれ……私達はこうすることができなくなると思う。

 

 それは仕方ない事だとわかってる。永遠に存在するなんてのは神様仏様でもないと無理なんだから。だから……。

 

(後悔なんてないように……甘えようっと)

 

 そう、私は決心した。でも、私の心の中でだけ決めても黒潮が承諾しないと意味ないから……口に出して伝えないと……恥ずかしいけど。

 

「ねぇ、黒潮」

 

「なぁ、陽炎」

 

 互いの口が同時に動き、相手の名前を呼ぶ。今タイミングで被らなくてもいいんだけど……なんだかおかしくて、少しだけ笑うと、黒潮も同じように笑った。

 

「先に言いなさいよ黒潮」

 

「いやいや、陽炎が先に言ってえな」

 

「……じゃぁいっせーので。で言うわよ」

 

「あー……うん、わかったわ。いっせーのーで……」

 

 

 

 

 

 

 

「これからも甘えるからね、黒潮」

 

 

 

 

「これからも、存分に甘えてええからな、陽炎」

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