誰の記憶にも記録にも遺らない、それでも"僕”だけは忘れない最も古き神話。あの世界の誰も知らないその後の、ちょっとだけ救いのあるお話をしよう。
「……くだらない、くだらない……大きな戦を終わらせた1人の"人間゛と1人の少女のお話―――」
それはたった"1人”の機械仕掛けの少女の死に際の遺言… …
否それは誓いだった。
「……シュヴィ……リクに会えて―――本当……幸せだよ……」
「……次こそ……二度と、離れない……よ」
次こそは今度こそはという願いだった。
「……ほんと、に……愛してる……よ――――――………」
それは全てを賭して世界に挑み勝利を目指しされど届かなかった"1人”の『幽霊』の挑戦状であった。
「―――なあ、またゲームしようぜ……今度こそ、勝ってみせるから、さ」
―――シュヴィと2人……でぜっ、たい…………に……………
眩しい…またどこかに戦闘の流れ弾でも当たったのだろうか?それにしては熱くない…いや暖かい、今まで感じたことの…無い感覚がする。まるで優しく包み込まれているような…そんな感覚。
―――あぁ、夢か―――
空が青い…それがどれだけ異常なことか、彼は知っていた。
空が青なんて話は、おとぎ話で太陽なんて伝説の存在だ。
空は血のように赤く、太陽なんてものもなく、ただ深々と死の灰が振り続けるだけ。それが彼の常識だった。
なるほど、たしかに悪い気はしない。自分とシュヴィが目指した世界はこんな世界だったのだろうか?夢ならば心底覚めないでもらいたいものだ…
そこで彼は思い出した。自分が何も成し遂げられずに、惨めったらしく死んだ事を。
そういうことならばなるほど、ここはさしずめ死後の世界と言ったところか。
「ただのクズ野郎、ただの敗者にはあまりにも似つかわしくない世界だな」せめてこの場所が元の世界のようにクソほどの救いもない世界だったなら…せめて俺が殺した奴らが直接恨み言をぶちまけて、ぶん殴りに来てくれたなら…どれだけ救われたことか…
それとも俺は生き残ってしまったのだろうか?幾多もの機凱種(エクスマキナ)を殺しシュヴィの想いすら踏みにじった…そんなクソのような自分だけが生き残ってしまった…
いや、それは無いだろう。自分は確かに精霊回廊に呑まれて死んだはずだ。どう足掻いてもその事実は変わらない。
そう思考を纏めながら彼は立ち上がり周りを見渡した。
「綺麗だ……こんな世界を目指して戦ったんだよな。なあ、シュヴィ…」
一面に彼岸花が咲いている小さな丘でリクは最愛の少女のことを思い出していた。…のだが
「ん〜、リク〜」
……(´・ω・`;)エッ?