随分とボロっちい神社と思われる建物の縁側に珍妙な格好をした2人の少女が真剣な顔をしながらトランプに勤しんでいた。
「フフフン、今日こそは勝たせてもらうぜ!霊夢。」
1人は黒と白を基調としたワンピースを身につけ、体の大きさに見合わない程に大きな帽子を身につけた少女。
彼女は自分が負けることなどあるはずがないと言った様子でニヤついていた。
「そう言って今まで1度も勝ってた試しがないのはどこの誰だったかしらね、魔理沙。」
かたやもう一方の少女は紅白色の巫女服という所までは普通なのだが…この巫女服が何故か袖が分離しており脇が丸見えになっているのである。
ただ本人はそんな事気にしていないと言った様子で先の白黒の少女と舌戦を繰り広げていた。
「フルハウス。悪いな霊夢。」
そう言って白黒の少女は、さっと札をオープンする。普通ならば、ほとんど負けえることの無い役である。彼女の自信は尤もといる。
ただそれも゙普通ならば゛である。
「あ〜そうね。確かに凄い役ね。」
そう言って無造作に札を開いた紅白の少女に、白黒の少女は目を見開く。
「ロ、ロイアルストレートフラッシュだとぉーーッ!?」
ロイアルストレートフラッシュ。このゲーム最強の役なのだが実質的に揃える事は不可能に近い。
何故なら―――
「ロイアルストレートフラッシュなんて、65万分の1の確率だぞ!イカサマだ!!」
「失礼ね…そんな証拠どこにもないでしょ?今日がたまたま65万分の1のアタリの日だったのよ。運が悪かったわね魔理沙。いえ、それとも私の運が良すぎたのかしらね。」
紅白の少女は飄々とそう嫌味を言い放ち何かを要求するように手を差し出した。
「クソッ―――持ってけ泥棒。」
そう言って白黒の少女は、どこかの青狸がポケットから秘密になっていない秘密の道具を取り出すかのように帽子から野菜などの食料品の入った大きな木箱を取り出した。
「泥棒はあんたでしょうが。全く。」
そう愚痴りながらも木箱はしっかり受け取るようである。
「『十の盟約』その六、盟約に誓った賭けは絶対遵守される―――はい、ご馳走様。」
「クソォォ、今回こそは勝てると思ったのになぁ。」
そう言って悔しがる白黒の少女―――魔理沙に対して、1周して逆に清々しい程のドヤ顔で紅白の少女―――霊夢は言った。
「全部魔法で解決しようとするからいけないのよ。アンタはもっと視野を広げなさい。」
そんななんてことも無いアドバイスを言っただけという霊夢に対して魔理沙は驚愕していた。
「気付いてたのか!?」
「逆に気付いてないとでも思ってたの?アンタは大して魔力の隠蔽が上手い訳でもないんだからもっと気をつけなさいよ。」
やれやれといった様子で霊夢は返した。
コレがこの世界―――幻想郷の日常―――ゲームで全てが決まる世界
そんな彼らにとって楽園のような世界で彼らは何を思い、何を感じ、何を成すのだろうか。
最も古い神話から繋がるもう1つの最も新しい神話in幻想郷
【十の盟約】
【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる
【二つ】争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする
【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる
【四つ】゛三゛に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない
【五つ】ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する
【六つ】゛盟約に誓って゛行われた賭けは、絶対遵守される
【七つ】集団における争いは、全権代理者をたてるものとする
【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす
【九つ】以上をもって博麗の巫女と八雲紫の名のもと絶対不変のルールとする
【十】みんななかよくプレイしましょうね