死の七日間が始まる。
都市を押さえられた、市壁を押えられた、
【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】、かつての最強の生き残りの二人が
その中で幹部が出ることはなかったが自爆装置を備えていたため、厄介さはこれまでより段違いのものである。
無差別のもの、読めるはずがなかった。
銃声、きっかけは闇派閥の襲撃であった。
火炎石とよばれる爆弾のような道具、それを装備した自決装置、そして眉間にあるのは風穴。
曰く、また家族を殺させるのか、狼藉を許すのか。
なぜそんなことを許せようか、冒険者では倒せなかった、しかし恐れる必要はないだろう。
親しいものは死んだ、次はお前だ。ならばめそめそと地べたに這いつくばって醜く命乞いをして死ぬのか。
お前たちはどうだ?恩恵を持っているか?
戦う力はやる、策もやる。
信長と豊久の言葉を合わせたならばこうなる。
生き汚く、冒険者を汚く罵っていた民衆の目を覚ますにはそれだけで十分であった。
戦えないから、冒険者に守ってもらうしかない。
守って貰えると信じていたからその言葉が嘘だと激昴した。
しかし、豊久たちは【
彼らがファミリアを名乗っていないことから、神が彼らに恩恵を感じないことからも明らかなことだ。
「正義なんぞ、俺にはなか」
エレボスが豊久に聞いた。
アルフィアを傍につけて首を落とされるのを回避して。
その返答はエレボスですら予想しえなかったもの、豊久の頭には首をとることくらいしかない。
それしかないと、それしかないと自分に強いている、それが豊久という薩摩兵子、功名餓鬼である。
「首置いてけ、なあ。お前、大将首だろう?大将首だろうお前」
神殺し、そんなことで彼は止まらない。
大将首が目の前にいる、それだけが彼の原動力になっている。
尊厳がなくとも飯があれば人は生きられる。
飯がなくとも尊厳があれば人は耐えられる。
たが、両方なくなるともはやどうでもよくなる。
もはやなんにでも頼る。
散々一向一揆にやられた手、信長の経験則。
シャクティに会った、彼女は選んでいた。
死者の尊厳よりも生きている者の明日を望んだだけ。
そんなものわかっていた、リオンは尊厳に齧り付いていただけであると。
その尊厳にしがみついて、執着して、
「あなたはっ‥‥‥!」
「なんじゃ」
赤色の甲冑、刻まれた十字の家紋。
あの日、見たものだ。
闇派閥の本拠点だった、あの子が死んだ場所に彼はいた。
腕を組んでリオンの後ろに佇んでいた。
「あなたは、なんで戦っている」
「首のため」
「首?」
意味がわからない。
目の前の男のことなど全く知らない、知れるはずもない。
【ロキ・ファミリア】と接触していた、その上で作戦を、考えを他に全く漏らさなかった。
だから、アーディは死んだ。
そう思って男に恨みの視線を向ける。
「
「突っ走ることしか、知らない?」
「応、戦えんなら下がれ。女子供は後ろにおれ」
見下されていない、ただ自分の答えを目の前の女に言っているだけ。
豊久としては女や子供が戦場を走るのを見るのは嫌だ。
自身の価値観でモノを測り、そのままで口を利く。
至極、空気を読まない。
否だろうか、空気を読もうとしていないだけなのだろう。
「‥‥‥ふざけるな」
「ふざけてなどおらん」
「ふざけているだろうっ!」
分かっている、これはただの八つ当たりだ。
ふざけていないことなど男の顔を見れば分かる。
「娘ば死んだ。友が死んだ。ならなんでお前は応報せん」
「応報?そんなことしては私の正義は」
「せねばならん。お前が誰であろうと仇は討たねばならん」
仁王立ち、腕を組んでリオンの前を封じている。
選択を強いている、目の前の女は危ないと本能的に察しているのだろうか。
目が危ない、今のままでは戦士としてでは無く女としてめそめそ死んでいく。
「今のお前は畜生だ。こいは戦ぞ、心に迷いのある者からまっさきに死ぬ。
「畜生だと?迷い、」
リオンはその言葉を理解する。
それがそのまま自分のことを表していることを理解
怒りを向ける、剣を向ける先を見失う。
ただ、剣を握っているだけで刃先を豊久に向けているだけ。
「豊久さん。北西部で怪しい動きが‥‥‥、ってその人は?」
「なんじゃあ【アストレア・ファミリア】の団員らしいぞ」
「【アストレア・ファミリア】?ああ、件の家出娘」
もう一人増える。
黒髪の美少年、弓を携えた女にも見える男。
「ふぁるな、なぞ
気に入らん、そう豊久は締めくくる。
それに与一は何も言うことなく笑って応える。
「帰っど、信が呼んどるんじゃろ」
「待ちなさいっ!」
「あとは
豊久は身を翻して廃墟から出ていく。
与一もそれについていき、リオンはただ一人そこに置いていかれる。
毒気を抜かれたと剣をしまってリオンもまた廃墟を出ていく。
「リオンッ!」
血を滴らせた剣を手に、後ろから聞こえた知り合いの声に振り返る。
復讐ではなく仇討ち、友を、民衆を殺した奴らへの、そう切りかえて闇派閥を潰そうと剣を握り直した。
「アンドロメダ」
「やっと見つけましたっ!力を貸してください!」
「エレボスの所在、ですか?」
「その手伝いを頼みたいのです!市壁で存在を主張していますが敵幹部がいるのは恐らく、」
「分かっています。手伝いましょう」
幹部がいるのは地下、下水道を利用している。
リオンでもその程度は想像がついた。
しかしながら、そんな彼女らを邪魔するのはもれなく闇派閥である。
彼女らの二つ名を叫び、首級をあげよと襲いかかってくる。
明確な答えなど持てない、リオンにはそんなものなどない。
今は確かに民衆たちの仇討ちを変わりに執行する、自身の仇討ちを遂行してみせると心を高ぶらせる。
豊久っぽくない、信長っぽくないと思われるかもしれません。
一重に私の技量不足でありますので見逃したくださると嬉しいです。
無い頭回して頑張って考えました。褒めてください。賞賛してください。